転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0241話

 レイ・ザ・バレル。ムウの父親であるアル・ダ・フラガのクローン……というよりは、アル・ダ・フラガのクローンであるラウ・ル・クルーゼのクローンという、複雑な生まれの秘密を持っている少年だ。スーツに身を包んで俺達の前にいるその様子からは、クルーゼ程にテロメアの問題が表面化してはいない。

 もっとも、それに関してはデュランダルの薬で病状を緩和しているからこそだろうが。

 

「ムウ、気が付かなかったのか?」

 

 俺達へと軽く頭を下げているレイを見ながら、ムウへと尋ねる。

 ムウとレイの間には原作のように共感覚があったと思うんだが。

 

「そう言われても、いつもいつも確実にって訳じゃないさ」

 

 苦笑を浮かべながらそう返事をし、こちらへと近づいてくるレイとデュランダルを迎える。

 

「アクセルさん、先程のお話通りに」

 

 デュランダルの言葉に頷き、レイの方へと視線を向ける。

 

「テロメアの治療について決めたそうだな」

「はい」

「……場所を移した方がいいか?」

 

 周囲へと視線を向けると、シャドウミラーの代表である俺とプラントの代表であるデュランダルの関係が気になるのだろう。ましてやそこにエンデュミオンの鷹と呼ばれたムウの姿まであるのだ。会場中……とまではいかないが、少なくてもこの周辺にいるパーティ参加者達の注目を集める結果となっていた。

 だが、俺のそんな言葉にレイは軽く首を振る。

 

「いえ、構いません……治療の方、有り難く受けさせて貰う事にします」

「……それがどんな意味を持つのか、以前言ったな?」

「はい。プラントではなくシャドウミラーの所属となり、暫くの間は情報漏洩を警戒して監視が付くというのは理解しています。ですが、ラウの願い、俺の思い、ギルの気持ち。その全てを考えた結果です」

 

 自分自身の心の内側から漏れ出た言葉を口に出すかのようなその表情は、とても10代前半の少年の姿には見えなかった。原作のDESTINYでもそうだったが、やはり自分がクローンという存在である事やテロメアの問題もあって人一倍大人びているのだろう。

 そんなレイの様子を見ながら、デュランダルが手を差し出してくる。

 

「レイの事、よろしくお願いします」

「ああ。引き受けたからには出来る限りの治療をさせて貰う」

 

 その手を握り、レイの治療に関して全力を尽くすと約束した。

 

「なら、俺も以前の約束を果たさなきゃな」

 

 握手をしている俺とデュランダルに向かい、ムウがそう言ってくる。

 以前の約束? そう言えば、プラントでデュランダルとの初顔合わせの時にレイがシャドウミラーに来るのなら自分がレイの後見人になると言っていたな。

 

「本気だったのか?」

「当然だ」

 

 俺の言葉にあっさりと頷くムウ。

 だが、以前も言ったように……

 

「レイの後見人になるのなら、いざという時の為にシャドウミラーに所属して貰わないと困るんだが……?」

 

 チラリとこちらの話の行方を見守っているナタルへと視線を向ける。

 あの時は冗談でナタルもシャドウミラーに云々と話していたが、正直、ナタルの性格を考えるとシャドウミラーとしてやっていけるのかどうか非常に疑問だ。

 いや、能力に関しては全く問題無い。しかし正規の軍人として教育を受けてきたナタルにとって、後ろ暗い作戦なんかも平気で行う非正規部隊のシャドウミラーに馴染めるか? と言えば首を傾げざるをえない。

 それに、シャドウミラーに所属するという事はこのSEED世界のみならず他の世界でも戦わなければならなくなる。少なくても、ギアスの世界でR2が始まったらブリタニア帝国や黒の騎士団、中華連邦なんかとも戦う可能性が出て来るだろう。

 既にシャドウミラーに染まったと言ってもいいマリューやコーネリア。設立当初からのメンバーであるレモンは問題無いだろうが……

 

「ナタルはどう思うんだ?」

「個人的な意見で言わせて貰えば反対だな。だが、ムウがそれを望むのならば私は止めようがない」

「なら、ナタルもシャドウミラーに来るか?」

「……いや。私にお前達の流儀は合わないだろう。私はオーブ軍に入隊するつもりだ。前々から誘われていたしな」

 

 きっぱりとこちらの誘いを断るナタル。

 その返事を聞いてから、再度ムウへと視線を向ける。

 

「との事だが、どうするんだ?」

「何、別に所属が違うからって別れなきゃいけない訳でもないだろう? ましてやオーブとシャドウミラーは同盟を結んでいるんだ。それに俺が誰だか忘れたのか? 不可能を可能にする男だぜ?」

 

 ……そう言えば、このフレーズを実際に聞いたのは初めてじゃないだろうか? ヘリオポリスから脱出した後のデブリ帯の補給は俺が提案したし、本来ならマリューの乗っているアークエンジェルにドミニオンのローエングリンが発射されたのを受け止める、という事態もこの歴史では起こっていない。

 

「まぁ、お前達が納得しているのならそれでいいが……レイはこの男が後見人になっても構わないか?」

 

 デュランダルと共にこちらのやりとりを聞いていたレイへと尋ねると、躊躇いながらも頷いてみせた。

 

「はい。俺としてもラウと縁のあった彼には興味がありますので」

 

 その言葉を聞いて今更ながらに思い出す。そうか、遺伝子上ではムウがレイの息子になるのか。ムウとクルーゼは年齢が殆ど同じ親子だったが、ムウとレイでは息子の方が年齢が上という、また微妙にややこしい感じだ。

 

「ならまずは住居を用意しないとな。ムウとレイは同居でいいのか?」

「突然言われてもなぁ。後で話して決めさせて貰うよ」

「ええ、それで構いません」

 

 取りあえずは保留、と。

 

「デュランダル、レイはいつからこっちに来れる?」

「そうですね、一度プラントに戻って細かい手続きをしてからですから……2週間程度は必要かと」

 

 2週間か。なら丁度いい、か?

 

「了解した。実はレイの他にもホワイトスターに移住希望者が多少だがいてな。どうせならレイがこっちに来た時に纏めて歓迎会でもやろうかと思っているんだが、構わないか?」

「ええ、もちろん」

 

 正確に言えばヤキン・ドゥーエ戦の時に言っていた身内だけのパーティをやろうと考えているんだが。あの時は戦勝パーティと言ったが、プラント出身のコーディネーターがいる事を考えると戦勝パーティじゃなくて何か別の名目を考えた方がいいかもしれないな。

 

「それでお前はこれからどうするんだ?」

 

 取りあえずレイの件は片付いたので、デュランダルへと聞いてみる。今回プラント側の代表としてここに来ているとなると、既に政治家としての道を歩み始めているのだろう。だが、デュランダルの最後にして最大の目標であるデスティニープランに関してはDESTINYの時のように全世界に強制するという形でやらせるつもりはない。以前言ったように、会社を興して遺伝子適性を調べるというのなら問題無いんだが。あるいは……

 

「お前もシャドウミラーに来るか? こっちで研究すれば、コーディネーターの子供を作れないという問題も解決するかもしれないぞ」

 

 とは言う物の、事はそう簡単ではなかったりする。以前レモンに尋ねたのだが、レイのテロメアに関してはそれ程苦労無く治療可能だが、コーディネーターの子供を作りにくいという問題に関してはちょっと手が出せないと言っていたのだ。色々と難しい話を説明されたが、ぶっちゃけると『種の限界点』の可能性があるらしい。人に年齢があり、星にすら年齢があるように、種族に関しても年齢があるという説があるらしい。ナチュラルの遺伝子を弄ってコーディネーターとしてこの世に生を受けた結果、その種としての寿命がコーディネーターに起きたのではないか、と。

 遺伝子解析の専門家であるデュランダルなら、もしかしたらその種の限界点を打破出来る可能性もあるのだが……

 

「いえ、私はプラントに残りたいと思っています。あそこが私の故郷ですし、色々と思い出もある。……楽しい思い出にしろ、悲しい思い出にしろ、ね」

 

 悲しい思い出というのは恐らくタリアとの子供が出来ないと知り、別れたというものだろう。

 

「そうか、お前がそれでいいのならこっちも無理には勧めない。レイに関しては先程も言ったが、出来る限りの事はしてみよう。まぁ、学校に関してはオーブに通わないといけないだろうがな」

 

 シャドウミラーとして教育するのもいいが、技術班を始めとして個性的な面々。……いや、個性的過ぎる面々が揃っているので、出来れば普通の教育を受けさせてやりたい所だ。

 ……あぁ、なるほど。原作的にシン・アスカと同じ学校に放り込むのもいいかもしれないな。どうせならルナマリア・ホークもいれば良かったんだが。

 

「そうして貰えると助かります。レイには今まで普通の子供としての生活を送らせてやる事が出来ませんでしたから、そういう意味でもアクセルさんには感謝をしないといけませんね」

 

 口元に笑顔を浮かべるデュランダルだが、果たしてその言葉を信じていいものかどうか多少悩む。養子同然のレイの身体問題が解決するのを喜んでいると同時に、この世界では突出した武力と技術力を持つ俺達シャドウミラーとの繋がりが出来た事を喜んでいるようにも感じられる。また、当然レイにこちらの技術を調べるように暗に指示していると見るべきだろう。そこまで考えるのは、やはり俺が目の前の男を謀略家として捉えているからかもしれないな。

 どのみちこのSEEDの世界と関わる以上、こちらの技術を完全に秘匿するなんて真似はまず不可能なのは承知している。だが、その技術の漏洩先がブルーコスモスのような集団だったり、デスティニープラン推進の為なら手段を選ばないような原作のデュランダルだったりしたら洒落にならない。

 

「どうかしましたか?」

 

 内心で考え込んでいた俺へとレイが声を掛けてくる。その言葉に首を振り、取りあえずこの問題に関しては先送りする事にした。

 

「いや、何でも無い。それより、先程も言ったがレイが手続きを終えてホワイトスターへと来たら他の移住希望者と併せてパーティをやりたいと思っているが構わないか?」

「ええ、俺としては問題無いです」

「そうか。もしかしたらその時にお前と同い年くらいの友人を紹介出来るかもしれないな」

 

 どうせならコウ・アスカの一家も呼んでシンとレイの顔合わせをしてみるのも面白いかもしれない。そう思いながらパーティを楽しむ俺だった。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:615
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:374

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