「……来たな」
北米戦線2日目の戦場。
いや、正確には3日目か。
初日はあくまでも基地ですごしたのを考えると、今日の戦いが最後になる訳だ。
昨日の戦いでは、結局俺とエイガーは遊撃隊という形で、ユーグ率いる部隊とは離れて戦った。
だが、今回は違う。
本来なら、今日も別行動になる予定だったのだが、この場合問題になるのは昨日フルアーマーガンダム7号機を奪おうとした男だ。
向こうにしてみれば、自分に恥を掻かせた相手という事で、何かを仕掛けてくる可能性もある。
実際にユーグから聞いた話によると、あの男はかなり執念深いらしいし。
そうなると、向こうとしては今回俺達が戦っている中で安全に戦って貰う為には、ユーグの部隊と一緒に行動した方がいいと、そう判断したのだろう。
……とはいえ、俺とエイガーがレビルと繋がっているというのは、向こうも既に知っている。
そんな状況で手を出すなどといった真似は、自殺行為でしかないように思えるんだが。
それでも、ユーグは向こうが手を出してくると、そう判断しているのだろう。
仮にも大尉という階級の人物であれば、ここで俺に手を出してくる危険くらいは分かってもおかしくはないと思うんだが。
だというのに、あの男の事をよく知っているユーグは本気で心配しているらしい。
うん、まぁ……ルナツーにいた強硬派の事を思えば、あながちそういう軍人がいてもおかしくはないんだよな。
とはいえ、そういう軍人ばかりが目に付くとなると、それはそれで不味いんだが。
あの男の一件は取りあえず置いておくとして、上空からは制空権を得ようと、ドップとルッグンが大量にこちらに向かってくる。
その少し離れた場所には、ドダイに乗ったグフやザクの姿もある。
そうして航空部隊を追うようにして、背後からはMS部隊とマゼラアタックがやって来るのも見えた。
そして更に背後からは……
「ダブデまで用意してるとか……さすが北米だな」
思わず呟く。
そう、MS隊の背後からはジオン軍が地上で使っている陸上戦艦とも呼ぶべきダブデが姿を現したのだ。
とはいえ、これはそれ程不思議な事ではない。
北米は……正確にはキャリフォルニアベースを始めとする各種基地は、ジオン軍が有する地球の戦力の中でも屈指の生産能力を誇っているのだ。
だとすれば、ダブデの製造ラインの類があってもおかしくはない。
あるいは、宇宙で製造したダブデの部品をHLVで北米に降下させ、そこで組み立てているという可能性もある。
ともあれ、北米というのは地球にあったジオン軍の基地の中でも屈指の生産拠点だったのは間違いない。
その上、オデッサを始めとして地球各所にあるジオン軍が連邦軍に占領されている以上、ジオン軍の基地に生産した兵器を送らなくてもよくなる。
勿論、オデッサを取り返された以上、兵器を生産する為の資源にも問題は出て来るだろうが……ジオン軍としては、今はそんな事を考えてはいられないのだろう。
今の状態で出来るのは、とにかく連邦軍を撃退する事。
それに対処する為には、やはり現在の状況で出来る事を最大限に活かそうと考えるのは当然だった。
「どうする? ダブデがいるとなると、厄介だぞ」
移動指揮所としても利用可能だし、それ以外にも後方からの援護射撃を行ってくる。
……さすがに、オデッサの時のように水爆の搭載したミサイルを撃ってくるような事はないと思うが、それだって絶対という訳ではない。
その辺の事情を考えると、やはりダブデは可能な限り早く潰しておきたい。
『頼む。アクセルの機体なら、かなり遠距離からでも攻撃は届くだろう』
ユーグの言葉に頷く。
フルアーマーガンダム7号機が背負っているビームキャノンは、長物ということで近接戦闘の時は邪魔になったりもするが、射程距離や威力という点ではかなりのものだ。
それこそ、ここからダブデに向かって攻撃するには十分な程に。
「分かった。なら、今からあのダブデを狙う。……幾ら何でも、ダブデが何隻もいるとは思えないから、ここで撃破すればこの先の戦いは楽になる筈だ」
幾ら生産設備が整ってるとはいえ、そう簡単にダブデを量産するような真似は出来ない筈だ。
……これでもしダブデが10隻も20隻も出て来たりしたら、この戦力で連邦軍が北米を取り返すのはかなり難しくなるだろう。
『アクセルがダブデを撃破したら、敵が動揺した隙を突いてこちらも攻撃を開始する。……他の部隊にも連絡を回すから、少し待ってくれ』
ユーグの言葉に頷き、俺はビームキャノンを展開し、いつ合図があってもいいように準備を整える。
この戦場にいるMS部隊は、別にユーグの部隊だけではない。
他の部隊に合図を送るといったように、他にも幾つかの部隊が存在していた。
連邦軍にしてみれば、今回の戦いは可能な限り素早くジオン軍を倒す必要がある。
だからこそ、今回もこうして虎の子のMS部隊を北米奪還作戦に用意したのだろう。
……本来なら、これからの主戦場になる宇宙に送りたいと、そう思っている者も多いのだろうが。
いや、それともまずは地球を完全に取り戻してから、宇宙での戦いに挑むのか?
宇宙での戦いに挑むとしても、まずは制宙権を取り戻す必要があるから、連邦軍としてもあまり余裕はない。
何しろ、現在は地球の上空をジオン軍に封じられている状況だしな。
ましてや、地球ではオデッサを奪われ、それ以外の場所でも多くの基地が連邦軍に攻撃されつつある。
だからこそ、オーストラリアの連邦軍も、ハワイに接触してきたのだろうし。
そんな状況である以上、ジオン軍としても連邦軍を地球に封じ込めるという意味もあって、地球の上空ではかなり厳重になっている筈だ。
……連邦軍としては、ジャブローから打ち上げる戦力と返還したルナツーから派遣した戦力で挟み撃ちにしてどうにか制宙権を取り戻したいと考えているだろう。
一ヶ所でも連邦軍が制宙権を確保出来れば、後はそこに向かって連邦軍最大の優位性たる物量で押しのけていけばいいだけなのだから。
逆に言えば、ジオン軍としてはそれを許すと物量的な意味でかなり不利になってしまう。
とはいえ、ジオン軍はジオン軍でア・バオア・クーやソロモンといった宇宙要塞があるので、そう簡単に本国……サイド3まで向かわせるような事はないのだろうが。
『アクセル、全部隊に連絡が取れた。アクセルが攻撃をしたら、先程言ったように、一気に攻撃をする』
「そうか。なら後はこっちのタイミングで攻撃をしてもいいんだな?」
『問題ない』
「そうか。なら……今だ」
そう告げると同時に、トリガーを引く。
もしフルアーマーガンダム7号機に乗ってるのが普通の、それこそジャブローで訓練をしていたパイロットなら、狙いをつけるのにも相応の時間が掛かるだろう。
だが、俺の場合はこれまで様々な戦場を渡り歩いてきた経験がある。
また、それ以外にもPPによってステータスを伸ばすといったことも出来るのだ。
その辺の事情を考えれば、この程度の距離からの射撃で躊躇するようなことなどある筈がなかった。
ビームキャノンから放たれたビームはダブデのブリッジに命中し、爆発を起こす。
とはいえ、ダブデはブリッジ以外の場所でも相応に機体を移動させることが出来るらしく、ブリッジを破壊したからといってすぐにダブデの動きが止まるという訳ではない。
『攻撃開始!』
俺がダブデのブリッジを破壊したのと同時に、ユーグの命令が聞こえてくる。
その言葉に、ユーグの部下だけではなく他のMS部隊も一斉に攻撃を開始した。
エイガーのマドロックもまた、近付いてくるMS部隊に向けて攻撃を開始する。
当然そのような事になれば、ジオン軍のMS部隊も黙って攻撃を受けるといったような真似はしない。
ザクバズーカやザクマシンガン、ミサイル……それ以外にも、多くの攻撃が行われる。
中には砲弾や弾丸、ビームが行き交ってる中で、距離を詰めようとするザクやグフ、数は少ないがドムもいるのだが、当然のようにそのような行動が簡単にいく筈もなく、逸ったMSから撃破されていく。
そんな行動を眺めつつ、俺もまたビームライフルを撃つ。
ビームキャノンでもいいのだが、この武器は連射が出来ないんだよな。
ましてや、フルアーマーガンダム7号機が持っているビームライフルの威力は、他のMSとは一線を画している。
それこそ、敵味方合わせたMSの中でも、現時点でフルアーマーガンダム7号機のビームライフルよりも強力なビームライフルは……あ、でもガンダム4号機は強力なビーム兵器を運用するのが前提の機体だったか。
とはいえ、今回問題にしているのはあくまでもビームライフルの話だ。
そんな風に考えつつ、1機、2機、3機、4機、5機とMSを撃破していく。
次々と仲間が撃破されたことで、ジオン軍も動揺した様子を見せ……当然ながら、それをユーグ達が見逃す筈はない。
この隙を逃して堪るかと、攻撃をより一層集中させる。
そうして放たれた攻撃は、ジオン軍のMSを次々に撃破していく。
当然の話だが、攻撃されているのはMSだけではない。
地上を走るマゼラアタックといった戦車もそうだし、上空を飛ぶドップやルッグンもまた、当然のように地上から放たれる攻撃によって撃破されていく機体が多い。
当然のように、戦闘機を出撃させているのはジオン軍だけではなく、連邦軍からもセイバーフィッシュを始めとした戦闘機が次々と出撃していた。
MS戦に慣れていない為だろう。MSのうちの何機かは、セイバーフィッシュに命中するかと思うくらい近くに攻撃をする者もいる。
これは……下手にセイバーフィッシュとかを出さなかった方がよかったんじゃ?
普通にMSで対空攻撃は出来ているんだし、ここで下手にセイバーフィッシュとかを投入しても、それこそ味方の足手纏いになるだけのような。
あ、でもドップがこっちを飛び越えて後方に攻撃しに行くとかなるのを考えると、それを防ぐ方法としてセイバーフィッシュとかはやっぱり必要なのか。
『アクセル! 向こうの方に援護を頼む!』
戦いの中、不意に聞こえてくるユーグの指示。
その指示に従ってユーグのジムが指さしている方を見れば、そこではドムがホバー移動をしながらジムキャノンの集団に突っ込んでいくところだった。
本来なら、弾幕が張られている場所をホバー移動のドムで突っ込むというのは自殺行為に等しい。
ホバー移動は移動速度にこそ優れているが、それとは裏腹に細かな移動をするのは難しい。
出来ない訳ではないのだが、相当高度な技量が必要となる。
だというのに、そのドムがジムキャノンの攻撃を回避しつつ、更にはバズーカを発射してジムキャノンを撃破すらして見せていた。
これは……どうやら、相当に腕の立つ奴が乗ってるらしい。
ジオン軍はこれまでの戦いでパイロットも相当に消耗している筈なのだが、にも関わらず、まだこれだけの技量の持ち主がいる。
やっぱMSパイロットの質という一点においては、やはり連邦軍よりもジオン軍の方が勝っているという事か。
この戦争が終わって、連邦軍のMSパイロットがもっと操縦に慣れさえすれば、将来的には連邦軍にも技量の高いパイロットが増えてくるだろうが、少なくてもそれは今ではない。
……いやまぁ、一応連邦軍にもアムロやユウといったエースパイロットと呼ぶに相応しい実力を持っている奴はそれなりにいるのだが。
ともあれ、ユーグからの要請によって俺はビームキャノンの砲口をドムに向けて狙いを付け、トリガーを引く。
戦場を縦横無尽に走り回っているドムだったが、それでもビームの一撃を回避出来る程の速度ではない。
一切の躊躇なく、放たれたビームはドムの下半身を消滅させる。
当然自由に動き回っていたドムは、いきなり下半身がなくなった事により、その勢いのまま上半身が吹き飛んでいく。
あの勢いだと、コックピットに乗ってるパイロットもただではすまないだろう。
それを示すように、ステータスの撃墜数の数値が1上がっていた。
「取りあえずドムは片付けたぞ」
『見てたよ。あの混戦の中でドムだけを狙って、しかも下半身を破壊するというのは、とんでもない技量の持ち主だ』
ユーグの感嘆の声が聞こえてくる。
まぁ、上半身を破壊すると、場合によっては核融合炉が爆発する可能性もあるしな。
そんな真似は出来る限り避けたい。
取りあえず、俺がやりたいかと言われれば、その答えは否だ。
……とはいえ、それはあくまでも一定以上の技量があればの事でしかない。
ジオン軍ならともかく、MSを使い始めたばかりの連邦軍では、そういう真似をする事が出来るパイロットというのはそう多くはない。
結果として、核融合炉の爆発が結構な頻度で起こっていたりするという話を聞いた事はある。
まぁ、ハワイの周辺でそんな風にならないのなら、取りあえずそれはそれで俺としては問題がないのだが。
取りあえず、ジオンの独立戦争で地球の環境破壊が一層進んだのは間違いない。
連邦軍としては、地球の環境回復のためにコロニーに強制的に移住させたというのに、正直なところ意味がないように思えるな。
そんな風に思いつつ、俺は戦闘を続けるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1591