MAについて確認した後、俺はニッキに案内されて基地の中を歩いていた。
幾らMAについての収納を任されたからといって、一言もなしに勝手に空間倉庫に収納するような事は、さすがに出来なかった為だ。
いやまぁ、立場的にはそういう事をしても問題はなかったのだろうが、それでもやっぱり連絡はしておいた方が、後々の面倒が少なくて済むのは間違いない。
「そう言えば、奇跡の子供達の件は何か聞いてるか?」
通路を歩きながら、ニッキにそう尋ねる。
今は別行動をしているが、アイナ達と闇夜のフェンリル隊は一緒にオーストラリアまで来たのだ。
であれば、当然その任務も知ってる筈だ。
そう思って尋ねたのだが……
「いや、知らない。何しろ、オーストラリアは未だにコロニー落としの影響で色々と混乱してる場所も多いからな」
「そうか。雑誌に載ったくらいだから、それなりに有名だとは思うんだが」
「俺にしてみれば、よくあの雑誌の記者はその奇跡の子供達に会えたなって思うけどな。この広大なオーストラリアの中で、3人の子供を捜し当てるなんてのは……正直、普通ならとてもじゃないが不可能だと思うし」
「それは否定しない」
これで戦争の類が起きている訳でもないのなら、住所とかを調べてその子供達が住んでいる場所に向かえば会える。
だが、今は戦争中で、しかも奇跡の子供達の住んでいた家はコロニー落としの影響で既に消滅している。
そうなれば、当然どこにいるのかを見つけるのは難しい。
あるいは住んでいた街の生き残り達と一緒にどこかの避難民キャンプとかにいる可能性もあるが……その辺り、どうだろうな。
「アイナ達には頑張って欲しいものだ。闇夜のフェンリル隊の方でも協力はしてるんだろ?」
「協力はしてるけど、だからといってすぐに何かが出来る訳でもないしな。こっちもこっちで忙しいし。……っと、到着だ」
とある部屋の前に到着すると、ニッキは扉をノックする。
歩哨の類がいないのは、微妙に心配だが……いや、コバッタがいるな。
扉の前にコバッタの姿があるのを確認し、安心する。
武器は機関銃程度なので、そこまで強力ではないし、MSを相手に戦えるような能力はない。
だが、それでも無人機……人が操っている訳でもないという事もあってか、命惜しさに怯えるといった事はないので、簡単な護衛用の戦力としてはそれなりに有効な戦力ではあるだろう。
「ローア中尉、ニッキです。アクセルが来たので、案内してきたのですが」
そう声を掛けると、扉の中から入れといった声が聞こえてくる。
なるほど、ローアが現在の闇夜のフェンリル隊を纏めてるのか。
闇夜のフェンリル隊にはニッキのように個性的な人材が揃っているが、その中でもローアは士官学校を首席で卒業、冷静沈着な性格をしており、皆に頼りにされているらしい。
闇夜のフェンリル隊に配属当初は、周囲に壁を作っていたみたいだったが……ルナ・ジオンに来てからは、その辺もなくなったとか何とか。
俺が知ってるローアの階級は少尉だった筈だが、それが中尉になったのはゲラートの代わりに闇夜のフェンリル隊を纏める立場になったからか。
部屋の中に入ると、執務机の上で大量の書類に目を通してるローアの姿があった。
「アクセル代表、ようこそ」
「ああ、そっちはそっちで忙しそうだな」
俺の言葉に、執務机の上にある書類に目をやり、苦笑を浮かべるローア。
この状況を見て忙しくないなどと言える者は、まずいないだろう。
「ともあれ、話は聞いています。MAの件は持っていって下さい。それと、出来ればこちらで運ぶ事が出来ず、オーストラリアに置いていかなければならないような物も持っていって貰えると助かるのですが」
「それは別に構わない。そこまで手間でもないしな」
実際、空間倉庫を持っている俺にしてみれば、その辺はお世辞でも謙遜でもなく、実際に全く何の問題もない。
ただ触れることが出来れば、それだけで空間倉庫に収納出来るのだから。
「ただ、1つずつ収納していくのは結構面倒だから、コンテナとか大きな箱とか、そういうのに一纏めにしてくれると、こっちとしても助かる」
その言葉にローアは頷き、少し打ち合わせをしたところで会話を終える。
本来ならもっと色々と話をした方がいいのかもしれないが、今のローアは執務机を見れば分かるように、非常に忙しい。
……オーストラリアにいるジオン軍の全員がという訳ではないだろうが、荒野の迅雷の関係者だけでも結構な人数になる。
そんな者達を全員集め、そしてハワイまで運ぶのだ。
当然のように必要な食料だったり、護衛用だったりも用意する必要がある。
その辺を用意するだけでも、書類の処理をしないといけないのだろう。
そんな訳でローアとの話が終わった後で、俺は再度ニッキに案内されて格納庫に向かう。
MAの収納の方を先にした方がいいのでは? と尋ねてもみたのだが……
「格納庫の方にある物資をどうにかしないと、色々と不便なんだよ」
そう、告げられた。
どうやらローアは俺が空間倉庫で物資を運ぶのを承諾すると判断していたらしく、既にコンテナとかにその手の物資を入れて用意してあるらしい。
そこまで手間が掛かる訳ではないので、俺もニッキの行動に不満を抱くような事もなく、格納庫に入る。
「違う! それはそっちじゃないわ! 向こうのコンテナに入れなさい! 種類が違うでしょう! ……ちょっとそこ! アタシの言葉を理解してる!?」
その瞬間、そんな声が聞こえてきた。
声のした方に視線を向けると、そこではジオン軍の軍服に身を包んだ女が高い場所から拡声器を使って格納庫にいる者達に指示を出している。
その指示に従い、様々な物資が次々とコンテナに収められていく。
「ニッキ、随分とまだ空間的な余裕があるみたいだけど? それで、あの女は?」
ジオン軍の軍服を着てはいるが、それでも牢屋に閉じ込められるのではなく、こうして自由に行動しているのを見れば、ハワイに亡命する者の1人なんだろう。
その女は、客観的に見て美人と呼ぶに相応しい。
黒髪とその顔立ちから、いわゆる日系のなのは間違いない。
白人系の者が多いジオン公国だが、日系の類もいない訳ではないのだから。
有名なところでは、ドズルの腹心と言われているシン・マツナガとか。
「マヤ・コイズミ大尉だ。元々後方支援とかが得意らしいから、ローア中尉も任せてる」
「……大尉なのか」
あの若さで、しかも後方支援の専門家で大尉となると、もしかしたらコイズミ家というのも名家の類なのかもしれないな。
そうなると、ルナ・ジオンに亡命するのも色々と問題になりそうだけど。
そんな風に思っていると、指示を出していたマヤが俺とニッキの姿に気が付く。
「ニッキ少尉、何か用?」
「その荷物を引き取るアクセルを連れてきました!」
拡声器に負けじと、叫ぶニッキ。
そんなニッキの言葉を聞き、マヤは指示を出していた場所から飛び降りると俺の方に向かって近付いてくる。
「貴方が?」
「ああ。アクセル・アルマーだ」
「その名前、聞き覚えあるんだけど」
そう言いながらも、マヤは戸惑ったように俺を見る。
まぁ、マヤが知ってるだろうアクセルってのは、セイラと一緒に建国宣言とかに出た、20代の姿の俺だしな。
ぶっちゃけた話、今の俺は色々な意味で特殊な存在だ。
だからこそ、俺を見てもアクセルだとは確信が持てないのだろう。
魔法でそういう風に変身してるとかは、考えるかもしれないが。
「有名な名前だし、比較的よくある名前だからな」
取りあえず、そう誤魔化しておく。
マヤは俺の言葉に疑わしそうにしていたが、取りあえず今は俺を追求するよりも前にやるべき事があると判断したのだろう。
顔つきくらいは変装で変えられるだろうが、20代の俺と10代の俺では背の高さそのものが違う。
顔立ちくらいならともかく、背の高さを変えるのは不可能……とは言わないが、難しいというのは分かっているのだろう。
いや、シークレットシューズとかを使えば、ある程度はどうにかなるか?
とはいえ、そんなあからさまな真似をすれば、すぐに見つかりそうだが。
「そう。……ともあれ、貴方があのMAとか、積み込めない物資の類を持って行ってくれるのよね?」
「そうなる。この格納庫に置いてあるコンテナの類は、持っていってもいいんだな?」
「ええ」
マヤは俺の言葉に頷くも、どこか疑わしそうな視線を俺に向けている。
無理もないか。
俺の能力について知らなければ……あるいは知っていても、自分の目でみなければ、納得する事は出来ないのだから。
「百聞は一見にしかずってな。……取りあえず満杯になってるコンテナは?」
「扉を閉めてあるコンテナは、どれも持っていってもいいわ」
そう告げるマヤの言葉に格納庫の中を見るが、扉が閉められているコンテナは結構多い。
それこそ、この基地には最低限の物以外は残さず、全部を持っていくと考えているのかと思えるような感じだ。
「これ全部……いいのか?」
「いいのよ。アタシ達はルナ・ジオンに亡命するんですもの。そうである以上、ここに物資を残していく必要はないでしょう?」
最低限の物資は残していくと思っていたんだが、どうやらこの様子を見る限りでは全ての物資を持っていくつもりらしい。
とはいえ、ルナ・ジオンとしては、マヤの判断はそう悪いものではないだろう。
物資というのは、あればあっただけいいのだから。
……問題なのは、この物資を置く場所をハワイで用意出来るかどうかといったところだろう。
ハワイも何だかんだと言って広い。
正確には様々な島があるので、そういう島にこれらの物資を置いておくという方法もあるし、もしくは俺の空間倉庫の中に入れておくという方法もあった。
政庁がある場所に置くというのは、難しいかもしれないが。
「持っていくのはいいんだけどな。……後々問題になったりしないか?」
「なるかもしれないけど、今のジオン軍にその辺の問題を表沙汰にするような余裕があるとは思えないわね」
「……まぁ、それは確かに」
実際、現在の地球上におけるジオン軍は、かなり追い詰められている。
最大規模の拠点だったオデッサは連邦軍に占領され、北米も連邦軍の攻撃で次第に追い詰められているのだから。
こうなると、地球上におけるジオン軍の拠点はどうしても少なくなり、ジオン軍としては宇宙に撤退する事になる可能性が高い。
というか、連邦軍としてはそれを考えた上で、戦力を宇宙に上げようとしているのだろう。
そんな状況なら、この基地の物資が全てなくなってもジオン軍には対処のしようがないというのは、分からないでもなかった。
「ともあれ……問題ないのなら、収納するか」
呟き、コンテナに触れると空間倉庫に収納する。
「な……」
目の前で何が起きたのか分からないといった様子を見せるマヤ。
そんなマヤの様子を、理解出来るといった様子で眺めるニッキ。
この世界の者にしてみれば、当然の反応ではあるのだろう。
「こんな感じですぐに収納出来る。……それで、コンテナの類は全部持っていってもいいんだな?」
「え? あ、ええ。……そうね……」
呆然とした様子を見せるマヤ。
いや、それはマヤだけではなく、この倉庫の中で仕事をしていた多くが俺の方に視線を向けていた。
向こうにしてみれば、今の状況は何が起きたのか全く理解出来ないといったところなのだろう。
その気持ちも、分からないではないんだが……だからといって、こっちも暇って訳じゃない。
出来るだけ早く片付けられるのなら、それに越した事はないのだから。
「なら、コンテナは次々に収納していくぞ。それでこれが一段落したら、MAの方も……」
「ちょっと待った」
俺の言葉に待ったを掛けてきたのは、当然のようにニッキ。
この状況で何だ? と思って視線を向けると、そこには真剣な表情をしているニッキに姿があった。
「どうした?」
「いや、どうせならアクセルにはMSとかMAとかじゃなくて、戦車とかそういうのも持っていって貰った方がいいと思って」
「……まぁ、それは構わないけど。ただ、マゼラアタックとか、ハワイのような場所では使い物にならないと思うぞ?」
純粋に戦闘機として使えるのならともかく、マゼラトップが分離して浮いていられる時間はそう長くはない。
そうである以上、ハワイという小さな島々が多く存在するような場所では使い勝手が悪い。
一応戦車として固定砲台的な扱いが出来ない事もないけど、ぶっちゃけそういうのはMSで十分だし。
無理に使い道を考えるとすれば……俺が敵の上空まで移動して空間倉庫からマゼラアタックを落とす質量兵器として使うとか。
もしくは、最悪の場合はキブツに突っ込むとか。
そんな使い方しか思いつかないが、それでも無料で貰えるのならいいかと、そう判断しつつ、ニッキと話を進めるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1591