転生とらぶる   作:青竹(移住)

2659 / 4302
2538話

「うお……結構あるな」

 

 目の前に広がっているマゼラアタックやドップ、ルッグン……それ以外にも様々な通常兵器を眺めつつ、呟く。

 ニッキからの要望によって俺が収納する事になった兵器の数々だ。

 

「ドップやルッグンはそれなりに持っていった方がいいんじゃないか?」

 

 ハワイまでの移動で、敵が来たというのが判明した時に対処する為には、やはり航空機の類は必須の筈だった。

 一応ルナ・ジオン所属であるというのを隠している訳ではないので、ジオン軍にしろ連邦軍にしろ、迂闊に攻撃をしてくるとは思えない。

 思えないが……それはあくまでも普通ならの話だ。

 ジオン軍にしてみれば、オデッサのように連邦軍の攻撃で逃げ出した者達にとってルナ・ジオン軍はいい獲物と思えるかもしれないし、ザビ家のシンパだったりする相手にしてみれば、ルナ・ジオンというのはジオン公国の裏切り者でしかない。

 そうなればルナ・ジオンの所属であっても問題なく襲ってくる可能性は高かった。

 連邦軍にしても、強硬派の生き残りにしてみればルナ・ジオンというのは不倶戴天の敵でしかない。

 そのような者が指揮している部隊と遭遇するような事になったりすれば、戦闘になる可能性も十分にあった。

 だからこそ、航空機の類は必須だと思ったのだ。

 だが、ニッキはそんな俺の言葉に問題はないと首を横に振る。

 

「こっちで必要な分だけの兵器はもう詰め込んであるから、問題はないって。ここにある兵器は全部持っていってもいいぞ。ここにあるのを放っておけば、それこそジオン軍が使うか……もしくは連邦軍が接収するかだろうし」

「連邦軍の接収……?」

 

 これがMSであれば、連邦軍も接収する価値はあると考えるだろう。

 何だかんだと、連邦軍のMSの技術はジオン軍と比べて劣っているところもあるのだから。

 だが、それがここにあるような通常兵器となれば、話は違ってくる。

 MSではなく通常兵器という点においては、連邦軍の方が進んでいるのは間違いない。

 俺も武器として使う場合……自分が乗って操縦しないといけない場合は、マゼラアタックではなく61式戦車の方を選ぶ。

 まぁ、武器は武器でも投擲して使う場合は、マゼラアタックでも構わないのだが。

 

「連邦軍なら別にMS以外のジオン軍の兵器は……あ、でもルッグンなら使い道は結構あるか?」

 

 高い索敵能力を持っているルッグンは、ミノフスキー粒子散布下においては重要な偵察の目となる。

 また、MS1機をぶら下げて移動出来るだけの性能も持っているので、何気に使い勝手が多い機体だ。

 ジオン軍の通常兵器は基本的に特徴的な物が多いが、ルッグンは連邦軍が接収しても普通に使える機体なのは間違いない。

 とはいえ、それは本当に例外であって、それ以外の……そう思いながら見ていると、マゼラアタックではない戦車がある事に気が付いた。

 その戦車は、オデッサで以前戦ったマゼラアインという戦車。

 この戦車なら、普通の戦車として使える……か?

 まぁ、マゼラアインを使うなら61式戦車を使った方がいいだろうが。

 

「マゼラアインだったよな、あの戦車?」

「え? ああ、そうだ。元々は空挺戦車で、コロニーの中で使うように開発された戦車だったらしいけど、地球でも結構使われてるらしいぞ。とはいえ、やっぱり主力の戦車はマゼラアタックらしいけど」

 

 そういう話を聞きながらも、兵器を空間倉庫に収納していく。

 ……兵器どころか、中には拳銃やバズーカのような兵器も多い。

 ちなみに、医薬品や戦闘用の食事、いわゆるレーションの類はマヤが用意したコンテナの中に入っていたらしい。

 うーん、これだと本当にこの基地には何も残らないんじゃないか?

 とはいえ、そう遠くないうちに連邦軍によってこの基地が占拠されるんだろうから、その辺はあまり気にする必要もないのかもしれないが。

 

「よし、完了っと」

 

 何だかんだと数は結構あったので、20分程掛かって兵器の収納を完了する。

 けど……サムソントレーラーはMSを運搬するという意味である程度使い勝手はいいけど、キュイはぶっちゃけ使い道が殆どないんだよな。

 ルナ・ジオン軍に歩兵の類はあまりいないし。

 そもそもキュイの形状が独特すぎて、格納庫とかでもかなり場所を取りそうだ。

 この辺は、やっぱりある程度調査を完了したらキブツ行きか?

 もしくは俺の武器として使って壊れた後にキブツ行きというのも……

 ゲリラとかに流すというのもいいかもしれないな。

 現状だと、俺が介入した結果もあってか、連邦軍の方がちょっと有利になりすぎているようなきがしないでもない。

 だとすれば、ここはやはり連邦軍に反抗しているゲリラとかに兵器を横流ししてもいいかもしれない。

 ……とはいえ、爆弾とか銃火器を貰ったのならともかく、キュイを貰っても困るような気がしないでもないが。

 そんな風に考えながら、格納庫から出る。

 次に向かったのは、当然のようにMAの保管場所。

 アッザムオルガとライノサラス。

 どちらも、本来ならここで廃棄していく予定だった機体だが、空間倉庫がある俺にしてみれば、非常に勿体ないとしか言いようがない。

 この一件の詳細を知れば、ゲラートから頼まれなくてもここに来ていた可能性は高いだろう。

 

「やっぱりこのライノサラスは色々と使い勝手が悪そうだな。一応ホバー移動出来るから、ハワイでも使おうと思えば使えるけど」

 

 ホバー移動の何がいいのかと言えば、やはり水上を移動出来る事だろう。

 特にハワイのように小さな島が大量に集まっている場所では、ホバー移動が最大限に活用出来る。

 ……もっとも、ホバー移動出来るとはいえ、それはあくまでも浮いているだけだ。

 敵の攻撃がホバーに命中したり、もしくはホバーに何らかの故障が起きたりした場合は、水中に沈む。

 まぁ、そういう意味ではグフ・フライトタイプのように空を飛べるMSにしても同じなのだが。

 いや、空を飛んでいるMSの場合は、飛んでる高度が高い場合は地上に落ちた衝撃でMSは壊れるし、操縦していたパイロットも死ぬ。

 そう考えれば、地上や水上のすぐ上を浮かんで移動しているホバー移動の方が、まだ安全性は高いのかもしれないが。

 ……ただ、そうなればそうなったで、色々と問題があるのも事実。

 

「まぁ、使うか使わないかは分からないけど、連邦軍に接収されたりジオン軍に使われたりするよりは、アクセルが持っていった方がいいだろ」

「いや、ジオン軍に使われるってのは本来の目的だと思うけど。……ともあれ」

 

 そう言い、アッザムオルガの着陸脚に触れると、次の瞬間その巨体は姿を消す。

 空間倉庫の中に収納されたのだ。

 何度か空間倉庫の収納の光景を見ていたニッキだったが、それでもやはり思うところはあったのか、驚きの表情を浮かべていた。

 そんなニッキに構わず、ライノサラスも続けて空間倉庫に収納する。

 こうして、格納庫の近くで場所をとっていた2機のMAは、あっという間にその姿を消したのだった。

 やがてMAが突然消えたという事に気が付いた者がいるのか、周囲からは色々と驚きの声が聞こえてくる。

 何らかの輸送手段だったり、もしくはMA自体が移動した訳ではないのに、いきなりその巨体が消えたのだから、驚くのも当然か。

 

「さて、取りあえずこれで俺がオーストラリアに来た用事は済んだな。後はマヤがまだ準備しているコンテナを収納するだけか。……あ、そうだ。荒野の迅雷は? 出来れば会ってみたいんだけど」

「あー……ヴィッシュ中尉は現在ここにいない。少し離れた場所にある基地に行ってる」

「そうなのか? 何でまた?」

「知り合いとかがそっちにも何人かいるらしいんだが、亡命を拒否してるんだってよ。だから、それを説得に行った」

「それは、また……」

 

 ヴィッシュとしては、亡命する以上は出来るだけ仲間と一緒に行きたいという思いがあったのだろう。

 あるいは、もっと別の理由があるのか。

 ともあれ、個人的に荒野の迅雷という異名を持つヴィッシュとは会ってみたかっただけに、会えないのは残念だった。

 

「アクセルはいつまでハワイにいるんだ? 俺達が帰った時にまだハワイにいれば、会うことも出来ると思うけど」

「難しいな。数日したら月に戻る」

「あれ? 連邦軍の方は?」

 

 どうやらニッキは連邦軍の方で俺が暇になったので、ハワイに戻ってきて、そのついでにゲラートからの要望でここに来た……と、そういう認識だったらしい。

 間違っていない場所もあるが、間違っている場所も多い。

 

「もう連邦軍での仕事は終わったから、後は月に戻るだけだ。……何だかんだと、3ヶ月近く月を留守にしていたから、仕事も溜まってるだろうし」

「大変そうだな」

 

 ニッキは少尉という立場であり、闇夜のフェンリル隊の中でも下っ端とも言うべき立場である以上、書類仕事がない訳ではないが、その数はそこまで多くはない。

 これで階級が上がれば、また話は別だったのだろうが。

 そんな訳で、ニッキからしてみれば書類仕事の本当の大変さというのが分からないのだろう。

 ……俺も書類仕事の大半は政治班に任せてあり、俺が処理する書類はどうしても俺でなければならない書類だけとなる。

 それでも、何だかんだとそれなりの数になったりはするのだが。

 

「ニッキも、そのうちそうは言ってられなくなると思うけどな」

「え? どういう事だ?」

「今は少尉で、そこまで書類仕事が多くはないだろうが、この先も軍にいれば当然のように階級は上がっていく。そうなれば、書類仕事も増えていく筈だ」

「うげ」

 

 よっぽど嫌だったのか、ニッキの口から奇妙な声が漏れる。

 まぁ、軍人として上に行けば行く程に書類仕事が増えていくのはどうしようもない。

 ニッキも年齢が上がれば書類仕事に慣れていく事だろう。

 

「ニッキも昇進したいのなら、そのくらいには慣れておいた方がいい」

 

 うげ、と。

 再びニッキの口から同じような言葉が上がる。

 ニッキは闇夜のフェンリル隊にいるのだから、MSパイロットとしての技量は高いんだろうが……上官としてはどうなんだろうな。

 まぁ、今はともかく、時間が経てばその能力も上がってくるだろうし。

 ……中には階級が上がっても全く書類の処理をしなさそうな奴もいるので、絶対とは言えないが。

 俺が知ってる限りでは、ヤザンとか。

 ヤザンが真面目に書類を処理しているような光景は、どうしても思い浮かばない。

 ダンケルとラムサスに投げるといったような事しそうだが。

 そんな風に思いつつ、ニッキとの会話を続けていると……

 

「ちょっと、そっちの用事が終わったらこっちに来てよね! コンテナ、かなり溜まってるんだから!」

 

 そんなマヤの声が周囲に響く。

 どうやら、さっきコンテナの収納が終わったばかりだというのに、新しいコンテナに詰めるという作業がもう終わってしまったらしい。

 こうして見る限り、マヤはかなり有能なんだよな。

 そういう人物がハワイに……ルナ・ジオンに来るというのは、大きな利益だろう。

 マヤを引き抜かれたジオン軍にしてみれば、大きな損失と言ってもいいのかもしれないが。

 ルナ・ジオンは俺達が後ろ盾になっている事もあってかなりの国力を持っているが、それでも新興国家であるのは間違いない。

 セイラのおかげでダイクン派の多くを取り込む事が出来たが、それでも人材は十分という訳ではない。

 月面都市の中でも有能な者は結構雇われているのだが、それでもやはり人材というのは多ければ多い程にいい。

 その人材が有能であれば、更に言うことはない。

 あるいは、荒野の迅雷よりもマヤを引き入れることが出来たのが、今回の一番の収穫かもしれないな。

 そんな風に思いながら、倉庫の中に行く。

 すると、当然ながらそこには再びコンテナが大量に積まれていた。

 どうやら、先程俺が収納してなくなったコンテナがすぐにまた補充されたらしい。

 それにしても……本当にこんなに大量の物資の類を持っていってもいいのか?

 いやまぁ、それがニッキに案内して貰った倉庫にあった兵器の類なら、分からないでもない。

 だが、それ以外に生活に必要な物資は……まぁ、ここに置いていってもジオン軍に使われるだけだというのも分かるが、ならいっそ住人に配るとか。

 あ、でも物資が住人全員に行き渡るだけの量がなければ、それはそれで大きな問題になるのか。

 だとすれば、やはり今回の一件においてはマヤの判断が正しいのか。

 

「扉が閉まっているコンテナは、全部収納していいんだな?」

「ええ、構わないわ。それよりも、これが終わってもまだ他にも幾つもコンテナがあるんだから、そのつもりでいてね」

 

 そう満面の笑みを浮かべるマヤは、不思議な程に魅力的だった。

 ……ハワイに行けば行ったで、また色々と騒動が起きるかもしれないな。

 そんな風に思った俺は、決して間違ってはいなかったのだろう。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1591

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。