転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2558話

 リックドム。

 それは、ジオン軍の中でも現在主力の宇宙用MSだ。

 正確にはゲルググがギャンとのコンペに勝って主力量産MSとなったのだが、何しろ主力量産MSになったからといって、勝手に次々とMSが出来る訳ではない。

 いやまぁ、シャドウミラーならバッタや量産型Wとかによって俺が知らないうちに新しい機体が完成してもおかしくはないのだが。

 ともあれ、地上で高い性能を誇ったドムを宇宙用に改造したMSがリックドム。

 以前高機動型ザクとの間で行われたコンペには、俺も参加しているのでよく覚えている。

 個人的には、高機動型ザク……それもR2型の方が性能はかなり勝っていたので、そちらを量産した方がいいと思ったんだが、コストの理由でリックドムが採用されたのだ。

 もしあのコンペがルナ・ジオンのものだったら……恐らく高機動型ザクが採用されていただろう。

 あ、でも月ではツィマッド社の技術者達が大きな影響力を持っているので、ザクを採用するのは難しいか?

 それにリックドムもツィマッド社のMSだし。

 ともあれ、様々な事情からリックドムはジオン軍の宇宙用主力MSとなった訳だ。

 そんなリックドムが、現在こちらに向かって突っ込んできていた。

 タイミングから考えて、恐らくは海賊の一味。

 仲間達が圧倒されている状況を見て、それを助ける為に……ってところか。

 ぶっちゃけ、判断を間違っている。

 こっちに向かうのではなく、母艦となる貨物船の方に攻撃をしていれば、俺もそっちを守る必要があったのに。

 だが、仲間がいきなり撃破された事に驚き、こちらに攻撃してきた。

 これは、どうしようもないミスであると言ってもいいだろう。

 リックドムは、ジャイアントバズを撃ちながらこちらとの間合いを詰める。

 そして間合いが近付くとジャイアントバズを俺に向かって投擲し、それを目眩まし代わりにしながら、ヒートサーベルを引き抜く。

 そんな相手に対し、俺はスラスターを使って移動しながらミサイルを撃つ。

 ビームサーベルで対抗してもよかったんだが、重装フルアーマーガンダムでの近接戦闘は、慣れないと大変だ。

 それこそ、下手をすればメガビームキャノンの砲身や腰の左右から延びているビーム砲の砲身を切断してしまいかねない。

 また、俺が砲身を切断しなくても、リックドムの持つヒートサーベルによってダメージを受ける危険もあった。

 ……一応ビームサーベルが使えるけど、やっぱり近接戦闘には向いてないんだよな。

 MA的な性能を持つ機体なんだから、敵が接近してきた時に対応出来るといった程度に考えておいた方がいいのかもしれない。

 ついでにこれもだ。

 頭部バルカンから発射される弾丸。

 とはいえ、リックドムの基本はドムだ。

 重MSと言われるように装甲は厚く、その防御力は高い。

 それだけに、頭部バルカン程度でどうにかはならない。ならないが……それは、あくまでも頭部バルカン単体での威力の話だ。

 次の瞬間、先程発射したミサイルに頭部バルカンの弾丸が命中し、ドムの周囲に大量の爆発が生み出される。

 こっちに突っ込んできていたリックドムは、その爆発の中にまともに突っ込んだ。

 向こうにしても、今の爆発は完全に予想外だったのだろう。

 動揺し、動きを止めたところを狙って……腰のビーム砲のトリガーを引く。

 腰のビーム砲から放たれたビームは、リックドムの下半身を貫く。

 メガビームキャノンに比べれば、威力は低い。

 だがそれでも、重MSと言われるリックドムの装甲を貫くだけの威力は十分にあった。

 ……まぁ、ビーム砲という名前であっても、その威力は普通のビームライフルよりも高いしな。

 これこそ、まさにMA的な存在の本領発揮といったところか。

 ともあれ、ジャイアントバズがあらぬ方に飛んでいったのを確認しながら、俺は改めてリックドムに視線を向ける。

 幸い破壊されたのは下半身だけである以上、コックピットのパイロットは無事な筈だ。

 後は、このパイロットから海賊の本拠地がどこにあるのかを聞いて、そこにあるお宝を奪いたいところだ。

 リックドムなんてMSを使っていたのを考えると、何気にかなりの規模を持つ海賊であってもおかしくはない。

 ザクや旧ザクはともかく、リックドムはそう簡単に入手出来るようなMSではないのだから。

 ……数そのものがザクに比べれば少ないから、どうしても入手するのは厳しくなるのだ。

 とはいえ、それを入手している以上、何かがあったのは間違いないのだろうが。

 

「降伏しろ。そうすれば、取りあえず命だけは助けてやる」

 

 オープンチャンネルを使い、海賊達にそう通信を送る。

 まだ敵は戦力の全てを失った訳ではない。

 リックドムも下半身を失ったが、上半身はまだ問題ないし、ザクや旧ザクの方も戦おうと思えば戦える。

 だがそれは、あくまでも戦えるつもりがあればの話であって、パイロットが戦うだけの気持ちを持っていなければ意味はない。

 だが、その気持ちがこの場合は問題なのだ。

 敵にしてみれば、重装フルアーマーガンダム1機にいいようにやられたのだから。

 戦闘前の最善の状態であっても、その有様だった。

 だというのに、今の戦力が大きく減っている状況で戦いを挑んでも、その結果は考えるまでもなく明らかだ。

 だからこそ……

 

『本当に命は助けて貰えるんだな?』

 

 オープンチャンネルでそう通信を送ってくるのは、ある意味で予想通りだった訳だ。

 

「本当だ。ただし、本当に降伏して、お前達のアジトをこっちに知らせたらの話だがな」

 

 その言葉に、数秒の沈黙の後でやがて了承したといった言葉が返ってくる。

 向こうにしてみれば、このままでは俺が操縦する重装フルアーマーガンダムによって、死ぬかもしれない。

 であれば、まだ生き残る道を選んだとしても、間違いではないだろう。

 重装フルアーマーガンダムの実戦テストという事で考えれば、少し物足りない思いがあるのは間違いない。

 だが、海賊を生け捕りにしたというのは大きい筈だ。

 何より、クレイドルでは人が足りないからな。

 特に農作業関係。

 北海道と同じくらいの広さを持つクレイドルだけに、農作地として使える場所は幾らでもある。

 だが……実際に農作業をやる奴がいない。

 いやまぁ、本当にどうしようもなくなれば、バッタやコバッタ、メギロート、イルメヤ、量産型Wといった具合に、手段はいくらでもあるのだが。

 ただ、人というのはどうしても人が作った野菜の方を好む。

 そういう訳で、罪人には農作業を……それも少しでも商品価値が上がるように、無農薬野菜を作ってもらう事になっている。

 ちなみに、無農薬だからといって農薬を使わない訳じゃない。

 色々とややこしいが、正確には無農薬農薬とでも呼ぶべき農薬を使っている。

 具体的には、唐辛子とかをお湯で煮出して、それを薄めて虫除けに使ったりとか、そんな具合に。

 そんな訳で、無農薬でも農薬は使える訳だが……それでもきちんとした農薬を使う訳ではない以上、どうしても普通の農業よりは手間も掛かる。

 それでも取りあえず仕事をしている以上、食べ物には困らないんだから、悪い話じゃない。

 ただ、その食べ物もマブラヴ世界から貰った合成食……それも味が改良される前の奴だが。

 非常に不味い合成食ではあるが、これもきちんと調理をすれば食べられない訳じゃない。

 ただし、あくまでもきちんと調理すればの話であって、犯罪者の中に調理技術を持っているのがどれくらいいるのかは分からないが。

 実際、幾つかある犯罪者用の農場の中でも、合成食を美味く調理出来る技術がある者は他の犯罪者達から色々と優遇されてるらしい、という話を以前聞いた覚えがある。

 

『……分かった。全てを話す。その代わり、俺達だけじゃなくて、アジトにいる連中の命も絶対に助けると約束してくれ』

 

 へぇ。海賊をやってるから、仲間の命は気にしないような奴なのかと思ったが……どうやら仲間を大切にするタイプの海賊らしい。

 そういうタイプの海賊がいるのも、特に珍しくはない……のか?

 少しだけそんな疑問を抱くも、大人しく降伏してくれるのなら問題はない。

 それどころか、アジトにいる連中も犯罪者として捕らえる事が出来れば、農作業の人員が増えるという点で嬉しい限りだ。

 

「いいだろう。お前達が素直に降伏するのなら、お前達だけではなくアジトにいる他の連中についても命の保証はする。それどころか、食料も……味はともかく、量は困らないくらいにはしてやる」

 

 その言葉を完全に信じた……という訳ではないのだろうが、それでも今の状況を考えれば、ここで逆らってもどうしようもないというのは分かっているのか、大人しく降伏を選択した。

 

「聞こえるか? この連中は降伏したから、今から貨物船に戻る。格納庫の方で受け入れ体勢を頼む」

『無茶をいわないでくれ! あんたのMSだけで、格納庫は一杯だろ! それなのに、他にもMSを積み込むなんてのは……精々1機か2機が限界だよ!』

 

 貨物船からはそんな声が返ってくる。

 いやまぁ……それは無理もないか。

 重装フルアーマーガンダムはMA的な存在だけあって、かなりの大きさを持つ。

 普通の貨物船にこの機体を積み込むだけでも色々と大変なのに、そこに更にMSを追加でとなると確かに難しいだろう。

 ただし、それはあくまでも普通ならではの話だ。

 

「その辺は心配するな。俺の方で何とかするから」

『何とかって、一体何をするつもりだよ!』

 

 納得出来ないといった様子で叫ばれるが、空間倉庫について分からなければ、それも当然だろう。

 

「忘れたのか? 俺は月の人間だぞ。異世界と接触して魔法を習う事も出来たんだ」

 

 その言葉にどれだけの説得力があったのかは分からないが、無理なら即座にMSを捨てるという約束をした事で、取りあえず俺の指示に従う事になるのだった。

 

 

 

 

 

「嘘……だろ……」

 

 貨物船の格納庫に、そんな声が響く。

 俺の言葉が真実かどうか分からない以上、何かがあった時にすぐにでも対処出来るようにと、ブリッジから派遣された人員だ。

 その声が驚きに満ちているのは、ザクがいきなり目の前から消えたからだろう。

 一応魔法が使えると言ってはおいたのだが、向こうも本気で信じてる訳ではなかったといったところか。

 いやまぁ、UC世界の常識で考えれば、それは分からないでもないが。

 それでも一応という事で俺の要請に応じたのは、俺が月の人間であるというのもあるが……ぶっちゃけ、ハモンが交渉した相手だったからだろう。

 交渉の席で、ハモンの凄さをこれでもかと思い知らされたからこそ、取りあえず俺の言葉に従い……それでMSをどうにか出来ないのなら、即座に捨てると、そう考えたとしてもおかしくはない。

 だが、実際には空間倉庫によってMSは収納され、目の前から消えた。

 それに対して、信じられないといった驚きの声を上げるのは当然だ。

 ……重装フルアーマーガンダムの整備を担当する為に一緒に来たメカニックの面々は、空間倉庫にそこまで驚くような様子も見せずに自分のやるべき事をやっている。

 実戦を行った重装フルアーマーガンダムのどこかに異常がないかと。

 そんな調査をしているのだ。

 俺が使ってみた限りでは、特に何も問題がなかったような気がするが……それはあくまでも俺の感覚だ。

 実際にMSを調べてみなければ、その辺は分からないだろうし、何よりメカニック達が納得出来ないだろう。

 そんな訳で、次々と海賊のMSを空間倉庫に収納していく。

 

「驚いたな」

「何がだ? 俺が魔法を使えるってのは、そんなに驚く事じゃないと思うが?」

「いや、違う」

 

 俺の言葉にそう答えたのは、リックドムのパイロットをしていた海賊だ。

 ジオン軍のパイロットスーツを着ているのは……所属を隠すつもりがないのか、それとも単純にパイロットスーツが必要だからジオン軍の物をそのまま使っているのか。

 普通に考えれば、後者だろうな。

 俺の場合は宇宙空間に生身で出ても全く問題はない。

 だが、普通の人間の場合はそんな真似は出来ない。

 だからこそMSに乗る時は宇宙服にもなるパイロットスーツを着ているのだ。

 MSに乗る者にとって、パイロットスーツは最後の生命線でもある。

 その辺の事情を考えれば、ジオン軍のパイロットスーツは必須だろう。

 一応連邦軍にもパイロットスーツはあるのだが……現在の宇宙でどちらが入手しやすいのかと言われれば、やはりジオン軍の物だろう。

 

「俺が驚いたのは、自分のMSをさっさと整備させたという事だ。俺達は大人しく従ったが、もしここで暴れでもしたらどうするつもりだったんだ?」

「ああ、そっちか。それならそれで問題ない。そうなったら生身で鎮圧するだけだしな」

「生身で……?」

 

 信じられないといった様子で俺を見る海賊の男だったが、やがて俺が本気で言っていると理解したのか、唖然とした視線を俺に向けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1591

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