転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2559話

「さて、アジトの場所を話して貰うか」

 

 貨物室の一室。それもかなり高級な家具が揃っている部屋で、俺は捕えた海賊達に尋ねる。

 ちなみにこの部屋を用意したのは、貨物船の艦長だ。

 最初は俺をかなり邪魔者扱いしていたのだが、ザクや旧ザク、リックドムを空間倉庫に入れるのを見た船員から話を聞いたのか……もしくは、ブリッジの映像モニタでしっかりとその辺について見ていたのかは分からないが、船長の態度はすぐに変わった。

 魔法をその目で見て、俺と親しくしておいた方がいいと、そう思ったのだろう。

 もっとも、実際には空間倉庫は俺が生まれ持ったスキルの1つであって、魔法ではないのだが。

 ともあれ、そんな艦長の判断によってこの部屋……恐らく立場のある人間を乗せた時に使われる客室を用意されたのだ。

 にしても、こういう部屋で尋問をするというのも、ちょっと……いや、かなり違和感があるな。

 そんな風に思っていると、海賊の1人……リックドムのパイロットが口を開く。

 どうやら、この男が海賊達……MSを運用している中ではリーダー格なのだろう。

 海賊達が使っている中では一番新しいリックドムを操縦していたのだから、ある意味予想通りではあったが。

 

「その前に1つ約束してくれ。本当に俺達や、アジトにいる連中も助けてくれるんだな?」

「ああ。約束は守る。……もっとも、あくまでも抵抗しないで降伏した場合だけどな」

 

 他にも、例えば海賊になる前に庇いきれないような大きな事件を引き起こしたような奴がいたりすれば、その辺はどうなるか分からない。

 一応、助けるつもりではいるが……

 

「そうか。なら……素直にアジトの場所を教える」

 

 そう言い、素直にアジトの場所を教える男。

 ここからそう離れていないのは……いやまぁ、MSを使って襲撃するにしても、推進剤とかが必要になるし、そう考えればおかしくはないのか?

 ともあれ、アジトの場所も分かった以上、そこに向かう必要があり……艦長に話をしたところ、あっさりと頷かれた。

 少し意外だったが、この客室を俺に貸した件を思えば、そこまでおかしくはないのか?

 貨物船の艦長として、俺と少しでも友好的になれば、月との取引が出来る可能性もある。

 現状、月は外部との貿易というのはそこまで大きくはない。

 勿論、アナハイムのように大企業であれば、その取引の規模も大きくなるが、そういう大手は、基本的に仕事を依頼する相手は決まっている。

 何か飛び入りの仕事とかであれば、話はまた別なのだろうが。

 ともあれ、貨物船はアジトの場所……スペースデブリが集まって、比較的小規模だがデブリ帯を形成している場所に向かうのだった。

 

 

 

 

 

「これは、また……随分な場所にアジトを構えてたんだな」

 

 案内された場所は、小惑星……と言っても、ソロモンやア・バオア・クー、ルナツーといった物に比べると遙かに小さいが、そんな小惑星を掘ってアジトとしている場所だった。

 

「こういう場所でないと、見つかるからな。それを思えば、このくらいの用心は絶対に必要となる。……とはいえ、この貨物船が入れるような場所はないけどな」

「まぁ、この貨物船は大きいからな」

 

 重装フルアーマーガンダムを運用出来る……格納庫に収納出来る貨物船という事で、ハモンが用意してくれたのが、この貨物船だ。

 コロニーのように、きちんとした港湾施設ならともかく、小惑星に無理矢理作ったアジトであれば、この貨物船のような大型の船が入れるような場所がある筈もない。

 とはいえ、それはそれで非常に困るのだが。

 元々、このアジトに残っている海賊達は全員この貨物船で連れていくつもりだったのだから、こちらに移って貰う必要がある。

 ……それだけではなく、アジトにある各種お宝の類も俺が没収する必要があった。

 まぁ、お宝の没収という点なら空間倉庫を使えばそれで問題ないのだが。

 

「お前達が海賊をする為に移動する時はどうしてたんだ?」

「かなり昔に作られた、年代物の船があっから、それを使って移動していた。……もっとも、アクセルとの戦闘で壊れたけどな」

「ああ、だからMSだけしか持ってこなかったのか。海賊として船を襲っても、その物資とかをどうやって運ぶのかと疑問に思ってたんだが」

 

 しくじったな。

 出来ればその船の残骸も回収しておくべきだった。

 直して使うといったような真似は出来ないかもしれないが、最悪キブツに突っ込めば資源の原料としては使えるのだから。

 ……まぁ、取りあえずその辺はおいておくか。

 MSとかもこの連中が使っていた奴の残骸をそっちに回してもいいだろうし。

 ともあれ、この貨物船では移動出来ないという事で、小さめのシャトルを出して貰う事にした。

 大きな貨物船であるという事もあり、以前からこういう事はあったのだろう。

 艦長もあっさりとそう提案してきた。

 俺だけなら、貨物船から生身のままで出て行くような真似も出来る。

 だが、他の者達がそのような真似が出来ないのであれば、それは意味がない。

 そんな訳で、俺は……そして海賊の面々と、何かあった時の為にという事で貨物船の方からも警備員か何人かでシャトルに乗ってアジトに向かう。

 警備員をつけたのは……艦長が俺に多少なりとも恩を売っておきたかったり、更には最初の態度がマイナスだった分、それを少しでも取り返そうとしているのだろう。

 ぶっちゃけ、俺に護衛の警備兵は必要ないのだが。

 それでも連れていくのを許容したのは、何かあった時に手足のように使える人材はいればいいと、そう思った為だ。

 そんな訳で海賊のアジトに向かったのだが……当然、見ず知らずのシャトルが近付いて来るのを警戒しており、それぞれが武器を持ってこっちを迎えていた。

 

「これは……」

 

 だが、声を出した警備員が驚いたのは、向こうがこっちを攻撃する気満々で待っていたから……という訳ではなく、武器を構えている者の中には、まだ10歳くらいではないかと思える程度の子供までいたからだろう。

 

「落ち着け、俺だ」

 

 リックドムのパイロットをしていた男が顔を見せてそう告げると、武器を構えていた者達も安堵した様子を浮かべる。

 そんなアジトの面々に視線を向けながら、リックドムのパイロットは俺を見て口を開く。

 

「ここにいるのは、ジオン軍の攻撃で故郷のコロニーから追い出された者達だ」

 

 その言葉には、強い説得力があった。

 同時に、疑問も抱く。

 

「月に来なかったのか? ルナ・ジオンを建国した時、移住希望者は大々的に募集したんだが」

 

 実際、クレイドルには戦争によって両親を失った孤児達が暮らす孤児院の類も結構な数ある。

 海賊なんて真似をして、いつ捕まるか……それこそいつ死んでもおかしくないような真似をするよりも、クレイドルに来ればもっと安定した生活が出来た筈だ。

 なのに、何故?

 そんな俺の疑問に答えたのは、銃を持ってアジトにいた20代程の男の1人だった。

 

「勿論それは知っていたさ。けど……俺達もこの子達も、故郷を焼かれたのはジオン軍によってだ。幾らジオン公国とは違う国であっても、ルナ・ジオンとジオンが国名にある国を信じられると思うのか!?」

 

 ……なるほど。

 その理由は納得出来るものがあった。

 だが同時に、セイラの建国宣言を聞いていればジオン公国とルナ・ジオンが全く違う国家であるというのが分かったと思うんだが。

 その辺は、やっぱり感情の問題といったところか。

 とはいえ、その感情の問題で安定して安全な生活を送る機会を棒に振ったというのはどうかと思うが。

 結果として、そのような生活が出来ずに罪人としてクレイドルで暮らす事になる。

 ただ、情状酌量の余地はあるので、食料に関してはマブラヴ世界の合成食ではなく、しっかりとしたのを食べさせてもいいかもしれないな。

 

「気持ちは分かる。だが、お前達はこれから月に移住して貰う事になる」

「な……」

 

 その言葉に、俺と話していた男はリックドムのパイロットに視線を向け、叫ぶ。

 

「どういう事だ、ダリミア!」

 

 ……あ、そう言えば名前をまだ聞いてなかったな。

 リックドムのパイロットはダリミアって名前だったのか。

 本当に今更だが、そんな事を知る。

 

「落ち着け。俺達は負けたんだ。それこそ、圧倒的にな。……だが、この男は素直に降伏すれば、誰も殺さないと言った」

「それを信じるのか!?」

「信じる。今も言ったが、俺達はこいつ1人に圧倒された。それこそ、この男が本気であれば、俺達は間違いなく死んでいただろう。だが、この男は俺達全員を助けた」

「それは……ここを知る為に、そういう演技をしたのかもしれないだろ!」

「何の為に? このアジトにどんなお宝がある?」

「……」

 

 ダリミアの言葉に、男は何も言い返せなくなる。

 いやまぁ、ぶっちゃけこのアジトに何のお宝がなくても、小惑星自体がキブツの材料として有用に使えるから、お宝という事で決して間違っている訳ではないのだが。

 ただ、今それを言えば面倒な事になるのは確実なので、何も言うつもりはない。

 

「分かっただろう? この男に従えば、もう海賊なんて真似をしなくてもよくなる。あのくそったれのジオン軍に所属していた俺達が行くべき場所は……行ける場所は、もうない。月だけが受け入れてくれるんだ」

 

 なるほど。何でザクや旧ザクはともかく、リックドムなんて結構な新型機を持っているのかと思っていたが、元々はジオン軍所属だったのか。

 それでも、色々と矛盾というか、疑問はあるが。

 この連中の話を聞いてる限り、ジオン軍を抜けたのは結構初期……それこそ1週間戦争やルウム戦役といた頃の筈だ。

 コロニーを攻撃云々って言ってたし。

 だが、当然そんな戦争の初期にはザクと旧ザクはともかく、リックドムなんて存在していない。

 だとすれば、やはり横流しされたMSか……もしくはジオン軍の中に協力者がいるのか。

 その辺りの事情は正確には分からないが、ともあれ何らかの理由があるのは間違いにあ。

 その後、10分程ダリミアが他の面々を説得して、それでようやく話は纏まった。

 他の連中にしてみれば、今の時点で俺を完全に信じるといったような真似は出来ないだろう。

 だが、信じられなくてもこの海賊達にとって頼みの綱だったMSは既に使い物にならない。……というか、俺の空間倉庫に収納されてしまっている以上、海賊をやるのも不可能なのだから、素直にこちらの要望に従うことしか出来ないのだ。

 

「すまない、時間を掛けた」

「いや、それで納得するのなら、俺としては問題ない」

 

 実際、ここで適当に言いくるめるような真似をして、その結果として後々月で面倒な真似をされるといった事は、面白くはない。

 それなら多少なりともここで時間を使っても、月に行くというのをしっかりと納得して貰った方が、こっちとしては助かるのだ。

 

「じゃあ、取りあえずこのアジトにいる連中を全員集めてくれ。シャトルで船まで運ぶ。それと、このアジトの案内を頼む」

 

 多分何もないとは思うが、もしその中に何かがあれば、俺としても助かるし。

 旧ザクとかは、ある意味で重要なMSだったのは間違いないが。

 

「分かった」

 

 ダリミアがそう言い、アジトの中を案内している。

 だが、やはりと言うべきか、特に何か目を引く物はなかった。

 いざという時の護衛用なのか、ガトルが2機存在したのは少し驚いたが。

 多分、いざという時の為の脱出用……兼、このアジトを守る為の兵器といったところか。

 そういう意味では、貨物船が近付いてきた時によく出撃しなかったなという思いがあるが。

 ともあれ、ガトルは何かに使えるだろうし、空間倉庫の中に収納していく。

 それ以外にも、機械部品の類や生活物資の類、食料、燃料……ありとあらゆる物を、次々と収納していく。

 ぶっちゃけた話、この小惑星をそのまま収納すれば手っ取り早かったのかもしれないが。

 ともあれ、全てを収納し終わると……やがて、海賊をやっていた面々も全員がシャトルと貨物船の行き来をして、このアジトには誰もいなくなる。

 何だかんだと、このアジトには40人近くもいたのが、かなり驚きだった

 それも30人近くが子供という……そういう意味では、海賊をやっていた面々は面倒見がよかったという事なのだろう。

 ともあれ、そうして全ての準備が終わると、俺とダリミアも最後のシャトルに乗って移動する事になる。

 

「じゃあ……ちょっと待っててくれ」

「え?」

 

 全員がシャトルに乗ったところで、俺は影のゲートを使ってシャトルの外に出る。

 そしてアジトとなっていた小惑星に触れ……次の瞬間、小惑星は姿を消す。

 もしかししたら、誰か隠れているかもしれないと思っていたが、幸いにもそんな事はなかったらしい。

 この小惑星を置いておけば、また誰かがアジトとして使う可能性もある。

 そうである以上、俺が貰っておいた方がいいだろうと判断したんだが……それは、決して間違ってはいなかったのだろう。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1591

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