「あれが、奇跡の子供達か」
俺は空中に浮かぶ映像スクリーンに表示されている3人の子供達を見て、そう呟く。
子供達に直接接触すると、一体何が起きるか分からない。
かといって、離れた場所から見ていても、高いニュータイプ能力を持っているのなら、それを察知する可能性がある。
あるいは、気配遮断を使えば誤魔化せるかもしれないが……相手がニュータイプとなると、その辺をどうにかしてしまう可能性があった。
そんな訳で、俺は現在映像モニタに表示されている奇跡の子供達を見ていたのだ。
3人の子供達の様子を映像スクリーンで見ている男。
それだけを考えると、正直なところ犯罪的な一面が強いように思ってしまう。
とはいえ……ここはホワイトスターである以上、その辺の常識は通用しなかったが
「あら、何を見てるの?」
ホワイトスターにある家のリビングで奇跡の子供達を眺めていると、そんな声を掛けられる。
声のした方に視線を向けると、そこにはストロベリーブロンドの髪を持つ、シェリルの姿。
運動していたのか、かなり露出度の高い動きやすい格好をしており、シェリルの魅惑的な肢体を露わにしている。
シェリルも俺に自分の身体を見られているのは分かっているのだろうが、毎晩のようにもっと凄い姿を見せている為か、薄らと頬を赤く染めながらも不満を口に出すような事はなかった。
「奇跡の子供達だよ。何度か話したことがあっただろ?」
「ああ、UC世界の。……そう、この子達が……」
シェリルは映像モニタに表示されている3人の子供達をじっと見る。
その目には何か強い感情があるように思えた。
シェリルも子供の頃はストリートチルドレンをやっていたらしいし、あの3人に何か思うところがあるのだろう。
とはいえ、あの3人はクレイドルにある施設で他の子供達と一緒にすごしているので、子供の頃のシェリルよりは恵まれているが。
あ、でもコロニー落としを体験したという意味では、シェリルの方がまだマシ……なのか?
「安心しろ。取りあえず月にいれば、この子供達はこれ以上戦争に巻き込まれるような事はない」
もっとも、フラナガン機関から助けられた者の中には大きくなったらルナ・ジオン軍に入隊したいと言ってる者もいる。
……とはいえ、ジオン公国の独立戦争はもう終盤だ。
ここからジオン公国が逆転する方法は……正直、ない訳ではないがかなり厳しい。
だとすれば、子供達が大人になる頃には戦争のない世界に変わっているという可能性は高かった。
アムロが主人公のこの世界の原作が、一体どこまで続くのかは俺にも分からないが。
意外とこの独立戦争が第1部といったような感じだったり……妙な事を考えるのは止めておこう。
「だと、いいわね。子供達には幸せな未来があって欲しいもの」
「そうだな。それより、シェリルはこれからどうするんだ? 何も用事がないのなら、少し話さないか?」
「そう、ね。……30分くらいなら余裕があるわ。シャワーを浴びたりしてPVを撮る時間までを考えると、そのくらいが限界よ」
「PVか。どの世界で流す奴だ?」
「色々な世界で流すけど……一番早く流すのはネギま世界よ」
多数の世界で活動しているシェリルだけに、色々と忙しいのだろう。
それでも嫌な顔をしないのは、プロ意識って奴か。
特にネギま世界は、シェリルが力を入れている世界の1つでもある。
何しろ、雪広財閥や那波重工といった後ろ盾がある関係で、かなり大々的に……それこそ日本だけではなく、全世界的に活躍している世界だ。
当然のように、ネギま世界であってもシェリルが表に直接出るような事はない。
具体的には、インタビューとか。
今回のように、PVとかは結構作ってるんだけどな。
インタビューの類をしないというのは、結果としてそれがシェリルに対する神秘性を増すといった結果になっていた。
やはり人というのは、ミステリアスな存在に惹き付けられるのだ。
……実際には、幾つもの世界で活動している関係上、インタビューの類を受けるのは色々と大変だからというのもあるが。
とはいえ、もっとしっかりとシャドウミラーという存在を認識している世界なら、シャドウミラーの広告塔という意味でシェリルの事を知っている者も多いのだが。
その辺は、それこそ世界によって大きく変わってくるのだが。
「シェリルのPVか。完成を楽しみにしてるよ」
「あら、そう? ふふっ、アクセルが期待してるのなら、いつも以上に頑張らないといけないわね」
嬉しそうに笑うシェリル。
表向きだけの笑みではなく、心の底からそう思っているかのような笑みだ。
そんなシェリルと少し話し……いい雰囲気になり、その肩を抱き寄せ、唇を重ねようとした瞬間、通信の音が周囲に鳴り響く。
「もう」
不満そうに唇を尖らせるシェリルの頬にキスをしてから、通信のスイッチを入れる。
……今のシェリルの姿は、男にしてみればちょっと……いや、かなり刺激的すぎるので、映らないように調整して。
『アクセル代表、現在高機動型ギャンの模擬戦を行っていますが、そちらにも流しましょうか?』
空中に浮かんだ映像スクリーンに表示されたのは、ディアナの技術者……それも俺に高機動型ギャンについて説明した人物だった。
だからこそ、俺が模擬戦に興味があると思って、こうして連絡してきたのだろう。
……もう10分……いや、5分くらい後で連絡してきてくれれば、俺としても嬉しかったのにな。
そう思いながらも、それを表情に出さないようにしながら頷く。
「分かった。こっちにも映像を流してくれ。……一応聞いておくけど、その模擬戦を行っているのは、ガトーとノリスでいいんだよな?」
『はい。それで間違っていません。2人揃って、かなり気合いが入っていましたよ』
だろうな。
ガトーにしてみれば、ソロモン攻略戦で活躍出来ればアイナとの未来は明るい。
かつての同胞を攻撃するという躊躇はあるかもしれないが、ジオン軍が行ってきた諸々を知ってしまった今となっては、その躊躇も全くないという訳ではないだろうが、かなり少ない筈だ。
ノリスも、ジオン軍に対しては色々と思うところはあるかもしれないが、ノリスの忠誠心はジオン軍よりもサハリン家に向けられている。
その上でガトーと同様にジオン軍の行ってきた諸々を知っている以上、ジオン軍を相手にするという抵抗感はガトーよりも低い筈だ。
「映像を見せてくれ」
『どうぞ』
その言葉と共に、映像スクリーンが切り替わる。
……少しだけ興味深そうな様子を見せていたシェリルだったが、今の格好を俺以外の男に見せるつもりはないのか、軽く手を振ると部屋から出ていく。
そんなシェリルを見送ってから、俺は改めて模擬戦の映像に視線を向ける。
そこでは、2機の高機動型ギャンが主力武器のビームランスを激しく振るっている。
当然の話だが、模擬戦である以上はビームランスの出力も低く設定されており、装甲に触れても被害が出るような事はないだろう。
ビームランスの攻撃に紛れるようにして、盾を使ってそこからミサイルや機雷を発射してもいるんだが……うん、やっぱり盾は盾として使っていないな。
寧ろ武器の1つとして使っている。
高機動型ギャンの持つビームランスの威力は強力だし、それを考えれば寧ろ当然の事かもしれないが。
そのまま数分ビームランスを主力にした戦いが続き……最後の一撃を放ったビームランス同士がぶつかった後は、2機の高機動型ギャンはお互いに距離をとって速射砲を使い始める。
速射砲そのものはそこまで強力ではない。
特に今回は模擬戦なのでペイント弾だから余計にその辺を心配する必要はないだろう。
映像の中では、2機のギャンがそれそれ素早く動きながら、射撃戦を繰り広げていた。
特に通常のギャンにはなく、高機動型ギャンにだけある両肩のスラスターを上手い具合に使っており、近接戦闘向けのギャンであっても、宇宙の戦闘に十分対応出来ている。
そうして射撃戦を繰り広げていたものの、やがて速射砲の弾丸がなくなったのか、再びビームランスを使っての近接戦闘に移っていく。
そして数合交えた後、ノリスのビームランスがガトーの高機動型ギャンの頭部を、そしてガトーのビームランスがノリスの高機動型ギャンのコックピットに命中し、模擬戦は終わる。
「ガトーの勝利、か」
MSの操縦技術という点では、ノリスとガトーは大差がない。
性格もお互いに軍人……というよりは武人と呼ぶべき性格だ。
それでも俺が知ってる限りでは、MS戦において勝率が高いのはノリスだ。
年の功と言うべきか、駆け引きという点ではノリスの方が上なんだよな。
勿論それはほんの些細なものでしかなく、模擬戦でガトーが勝つというのも珍しい話ではない。
それでも今回こうして勝利したのは、ガトーがそれだけ今回のソロモン攻略に強い思いを持っているという事だろう。
『どうします? 2人に何か声を掛けますか?』
「いや、それはいい。俺がアドバイスするまでもなく、2人は一流のパイロットだ。すぐに今よりも高機動型ギャンを使いこなすだろうしな」
『そうですか? アクセル代表に声を掛けて貰えば喜ぶと思いますけど』
不思議そうな表情を浮かべている技術者と短く言葉を交わし、通信を切る。
取りあえず、今の模擬戦を見る限りではガトーとノリスの準備は万端だろう。
俺の重装フルアーマーガンダムも、調整の方は問題ない。
今回の母船もカトンボ……いや、ヤンマか? ともあれ、どちらも問題なく用意出来る。
後の問題は、いつセイラが連邦軍と話をつけるかといったところだが……出来れば急いで欲しいところだな。
あまり時間を掛けすぎると、連邦軍が先に行動を起こしかねない。
ともあれ……今の俺には特にやるべき事はないんだし、ホワイトスターの中でも適当に見て回るか。
そう判断すると、影のゲートに身体を沈めていくのだった。
「あーっ! ちょっと、アクセル! 料理を食べに来るって言ってたでしょ! いつ来るのよ!」
生活区画の中を歩いていると、不意に後ろからそんな声が聞こえてくる。
声のした方に視線を向けると、そこでは明日菜が怒ってますと言わんばかりの表情で俺を睨み付けていた。
黙ってれば、美人なんだけどな。
「ちょっと、今何か失礼な事を考えなかった?」
「いや、そんなことはない」
「……なら、何で視線を逸らすのよ」
そう言うと、やがて呆れたようにしながらも近付いてきて、俺の手を握る。
「ほら、行くわよ」
「行く? どこにだ?」
「超包子に決まってるでしょ。私の料理を食べさせてあげるから」
明日菜の手を振り払おうと思えば、それは難しくはない。
咸卦法を使える明日菜だが、今は別にそのような事はしておらず、普通に俺の手を引っ張ってるだけだ。
……手を引っ張りながらも耳まで赤くなっているのは、何だかんだと男と手を繋ぐという事に慣れていないからだろう。
とはいえ、明日菜はホワイトスターの中では人気が高く、噂によれば何人もから告白されているらしい。
まぁ、分からないではない。
さっきも思ったが、明日菜は間違いなく美人と呼ぶに相応しい顔立ちをしているし、その性格も快活で話しやすい。
また、中学生の頃も結構大人びた身体付きだったが、大人となったら見て分かる程に圧倒的な起伏を持っている。
それだけに、男と手を繋ぐという程度でここまで照れるというのは、正直疑問なのだが……
「ほら、入って」
そうして俺が疑問を抱いている間に超包子に到着すると、俺を引き連れてさっさと店の中に入る。
店の中には結構な人数が客として入っていたが、昼をすぎたくらいだからか、店の前に行列は出来ていなかった。
今は昼の急がしい時間が終わって一段落といったところなのだろう。
……寧ろ、そのような時間帯にも関わらず、まだ客がいるというのが凄いのかもしれないが。
俺に気が付いたのだろう。店の中にいた四葉が小さく頭を下げてくる。
それに軽く手を振り、近くにある椅子に座った。
「ちょっと待ってなさい。すぐに料理を作ってくるから!」
そう宣言し、厨房に向かう明日菜。
昼の忙しい時間が終わった直後だけに、材料はもう殆ど残ってないんじゃないか?
そんな疑問を抱くが、四葉は明日菜を止めるような事はせず、好きにさせている。
それが少し意外だったが……客達の視線が俺に向けられているのは……うん、嫉妬だな。
明日菜は生活班担当という事で、色々な場所で働いているが、その中でもやはり超包子で働く事が多い。
その美貌と接しやすい性格から、看板娘と言ってもいいだろう。
そんな明日菜が俺を連れて来たのだから、そんな視線を向けられるのも理解出来た。
もっとも、俺が誰なのかを知ってる者も多いので、嫉妬の視線を向けられはしたが、特に絡まれるといったことはなかったが。
そして10分も経過しないうちに、明日菜は皿を持って厨房から出て来る。
「はい、どうぞ」
そう言って出されたのは、黄金の炒飯。
具材は白米と長ネギと卵だけという非常にシンプルな炒飯だったが、卵が全て白米をコーティングしており、食欲を刺激する香りを漂わせている。
明日菜からレンゲを受け取り、炒飯を口に運び……
「美味い」
俺の口から出たその一言に、明日菜は満面の笑みを浮かべるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1591