転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2568話

「あれが……ルナ・ジオン軍のMSですか」

「ああ。高機動型ギャン。MS同士の戦いを重視して、近接戦闘に比重を置いた機体だ」

 

 キルスティンの言葉にそう返す。

 取りあえず正直に全てを言ってる訳じゃないが、それでも完全に嘘って訳でもない。

 

「何というか、随分とその……個性的な顔ですな」

「それは俺もそう思う」

 

 ザクやグフ、ドムといったMSは結構特徴的な顔をしているが、高機動型ギャンもまたかなり特徴的な顔をしている。

 ジオン系のMSと比べると、連邦軍系のMSは基本的に顔の種類は少ない。

 だからこそ、余計に高機動型ギャンを見て、キルスティンのように驚きの声が出るのだろう。

 ちなみに現在、サラブレッドのブリッジにはさっきのブリーフィングルームにいた者の大半が集まってきている。

 サラミス級2隻からやって来た面々は、自分達の艦に戻ったが。

 

「艦長。双方共に準備整いました。合図をお願いします」

 

 ミユの言葉に、キルスティンが頷く。

 一瞬俺の方に視線を向けてきたが、俺はそれに首を横に振る。

 キルスティンとしては、俺に模擬戦開始の合図をするかと視線で尋ねたのだが、それを拒否したのだ。

 キルスティン、少しこっちに気を遣いすぎじゃないか?

 

「では、模擬戦……開始せよ」

 

 その言葉と共に、映像モニタに表示されている4機のMSがそれぞれ動き出す。

 まず最初に動いたのは、やはりと言うべきか2機の高機動型ギャン。

 牽制として速射砲を発射しながら、2機のガンダムとの間合いを詰めていく。

 高機動型ギャンは速射砲という武器を持っているが、それでもやはり本領を発揮するのはビームランスを使った近接戦闘だ。

 速射砲を撃ってる方の左腕には、小型ミサイルや機雷を内蔵した盾も装備されているのだが、こちらは間合いが小さい為か、まだ使う様子はない。

 当然のように、2機のガンダムもそんな高機動型ギャンを黙って見ている訳ではなかった。

 フォルドの乗っているガンダム5号機が、その特徴的な武器であるジャイアントガトリング砲を放ったのだ。

 その威力は、それこそ普通のMSなら即座に撃破されてもおかしくはないだろう威力。

 ……高機動型ギャンも、その装甲はルナ・チタニウム製という訳でもないので、命中すれば撃破されるだろう。

 もっとも、今回は模擬戦なのでジャイアントガトリング砲に使われている弾丸も、ペイント弾だが。

 とはいえ……ガトーとノリスは、UC世界全体で見ても間違いなくトップクラスのエースだ。

 ガンダム5号機がそのような武器を持っているというのは、それこそ見れば分かる。

 高機動型ギャンという名前を見れば分かる通り、高い機動力を活かし、すぐに軌道を変える。

 結果として、ガンダム5号機のジャイアントガトリング砲の弾丸は、その全てがMSではなく空中を貫いていくことになる。

 とはいえ……フォルドの攻撃が回避されるというのは、相方のルースも最初から予想していたのだろう。

 ガンダム4号機の持つビームライフルから、ビームが放たれる。

 

「あれ? ガンダム4号機ってメガビームランチャーを装備してるんじゃなかったか?」

 

 ビームの一撃がくるのを読んでいたガトーが、前に進みながら攻撃を回避しているのを見て、そう告げる。

 ジャブローで聞いた話によると、ガンダム4号機と5号機は最初から連携して戦闘を行うというのを前提にして開発されたらしい。

 そういう意味では、4号機のメガビームランチャーを持ってきてもおかしくはないのだが……

 

「残念だが、メガビームランチャーは調整がまだでね」

 

 キルスティンが、俺の言葉にそう言ってくる。

 ガンダム4号機のメガビームランチャーと、重装フルアーマーガンダムのメガビームキャノンは、ある意味で似たような技術の武器だ。

 ぶっちゃけ、実際に使っている俺にしてみれば、名前が違うだけにしか思えないくらいに。

 そんな中で、重装フルアーマーガンダムのメガビームキャノンは普通に使えるんだから、ガンダム4号機のメガビームランチャーも普通に使えてもいいような……あ、でもそうか。ガンダム7号機のビームライフルが故障したのと、サラブレッド隊が宇宙に上がったのはほぼ同時期だったのか。

 だとすれば、それによってガンダム7号機のビームライフルの故障とかの情報が伝わっていない可能性もある……か?

 いや、けど今の状況を思えば、連邦軍にも結構な余裕はある。

 だからこそ、その辺の情報が伝わっていても、おかしくはないと思うんだが。

 そんな風に考えている間にも、模擬戦は続く。

 ジャイアントガトリング砲とビームライフルに対し、速射砲が2つ。

 撃ち合いという点では、普通に考えて2機のガンダムの方が有利だろう。

 だが、高機動型ギャンは、その名の通りの高機動でそんな射撃を回避しながら、間合いを詰めていく。

 そうして十分に間合いが詰まったところで……2機揃って盾を構え、そこに内蔵されている小型ミサイルを一斉に発射した。

 その攻撃は、本来なら敵にダメージを与えるような攻撃力はない。

 今回も実際には目眩ましとして放たれたもので、周囲に大量のペイントの花を咲かせる。

 当然のように、ルースやフォルドもその技量を見込まれてガンダムのパイロットになっただけあって、周囲にペイントの花が咲いたと同時に、その場から移動する。

 ルースやフォルドにしてみれば、高機動型ギャン2機が、ペイントの中を突っ込んでくると、そう思ったのだろう。

 実際、その反応は決して間違いという訳ではない。……あくまでも普通なら、だが。

 ガトーとノリスは、高機動型ギャンという名に相応しく、スラスターを全開にしてペイント弾の花を避けて移動する。

 ……それこそ、ペイント弾を撃てばそれを回避してここに移動すると、そう予想しての行動。

 この辺り、例えば才能は同じであっても経験が……実戦での経験が、ルースやフォルド達の方が劣っているという事なのだろう。

 連邦軍にMSが殆どなかったのを思えば、しょうがないが。

 ただし、今のような行動は……例えば、ホワイトベース隊のパイロットなら、アムロやユウは勿論、カイやヤザン達でもそこまで素直に動くような事はなかったと思う。

 だが、それはあくまでもサイド7からジャブローに到着するまでの短い間に幾多もの激戦を繰り広げてきたホワイトベース隊のパイロットだからこそ、出来る事だ。

 ルースやフォルドは、あるいはMSに乗る前には戦闘機とかのパイロットをやっていた可能性もあるが、MS戦はどうしても不慣れだ。

 ジャブローで会った時の感じだと、シミュレータではそれなりに訓練をしてるように思えたが、実機での模擬戦は俺のガンダム7号機が優先された事もあって殆ど行われていなかったらしい。

 宇宙に上がってからはどうなのか分からないが、サラブレッドに乗って移動しているとなると、実機を使った模擬戦をやるにしても、一歩劣ってしまうだろう。

 その辺の事情を考えると、やはり実機を使った戦いでは経験不足というのは間違いない。

 

「おお」

 

 と、サラブレッドのブリッジに感嘆の声が上がる。

 映像モニタに視線を向けると、ガンダム4号機と5号機が、それぞれビームサーベルでビームランスを受け止めていたのだ。

 同じビーム系の兵器だという事で、当然ながらビームサーベルでビームランスを受け止める事は出来る。だが……

 

「押し負ける!?」

 

 先程感嘆の声を上げたブリッジにいた男が、悲痛な声を口にする。

 当然だろう。ビームランスとビームサーベル。どちらの威力が強いのかというのは、それこそ外見からしても明らかだ。

 あるいは、実はそのビームサーベルがビームサーベルの中でも特に強力な特別製なら、話は別だ。

 だが、ガンダム4号機と5号機は、双方共にメガビームランチャーとジャイアントガトリング砲の運用を前提として開発されている機体だ。

 ガンキャノンのように近接攻撃の手段が全くないよりは、随分とマシなのは間違いない。

 だが、純粋にその実力という事を考えれば、やはり近接戦闘に特化しているに等しい高機動型ギャンのビームランスとまともに打ち合える筈がなかった。

 MSの性能差以外にも、パイロットの技量という点も大きい。

 結果として、ビームランスの鋭い連撃に耐えきれず、ルースは一旦後方に下がり……フォルドの方は前腕部に装備されているビーム砲を使って反撃に出る。

 この辺り、フォルドの我慢の足りなさというか、気の強さというか、負けず嫌いが大きな欠点となっているよな。

 ……一応、ジャブローの模擬戦でその辺りを注意はしたんだが、どうやら足りなかったらしい。

 ともあれ、フォルドの一撃を読んでいたのか、ガトーの高機動型ギャンは肩のスラスターを使って回避し、素早く手元に戻したビームランスでコックピットを突く。

 模擬戦用にビームの出力を最低限にしていたので、ガンダム5号機は致命的な被害を受けなかったが、それでもシステムの方で負けと判断した。

 もう一方の戦いはと視線を向けると、後方に下がりながらビームライフルを撃つガンダム4号機と、それを追いながら速射砲を撃つ高機動型ギャンといったようなやり取りとなり……ほぼ同時にお互いの弾が相手に命中して、引き分け扱いとなる。

 とはいえ、もしこれが実戦なら、ノリスの負けだった筈だ。

 ガンダム4号機も装甲はルナ・チタニウム製だ。

 つまり、今回は模擬戦という事でペイント弾が命中してダメージを与えた扱いになったが、もしこれが実戦なら速射砲の砲弾はルナ・チタニウム製の装甲を破ることは出来なかった筈だ。

 

「模擬戦を、これで終了する」

 

 通信でそう告げるキルスティンは冷静そうに見えたが、ショックを受けているのは分かった。

 まぁ、その気持ちも理解出来ない訳じゃない。

 何しろルースとフォルドが乗っているのは、ガンダムだ。

 連邦軍においてガンダムというのは、アムロを始めとして様々なエースパイロットの象徴とも言える機体になっている。

 ましてやガンダム4号機と5号機は、ガンダムの中でもセカンドロットで正真正銘、最新鋭機なのだ。

 それが模擬戦とはいえ負けたとなると、それに思うところがあるのは当然だろう。

 ましてや、ルナ・ジオン軍が使っているのは最新鋭とはいえ、量産機だ。

 ……実際には量産機でも何でもなく、ギャンについてより深く理解する為にディアナの技術者が生産した機体なのだが。

 それでも非常に高い性能を持っているのは間違いない以上、わざわざそれを言う必要もないだろう。

 連邦軍には、少しでもルナ・ジオン軍が強敵であり……迂闊にちょっかいを出すような事があれば痛い目に遭うと認識して貰った方がいい。

 

「さて」

 

 そんな俺の言葉で、驚きに静まり返っていたブリッジにいた者達の視線が俺に向けられる。

 特に印象的だったのは、ガンキャノン隊の中でも俺達の存在を面白くないと思っていたカークの視線が強烈な驚きに染まっていた事だろう。

 俺達だけではなく、フォルドの事も気に食わなさそうだったカークだったが、それでもフォルドの操縦技術については認めていたといったところか。

 

「ともあれ、これで俺達の実力は分かって貰えたと思う。ちなみに俺の実力に関しては、言うまでもないよな?」

 

 10代半ばの姿の俺は、ホワイトベース隊の傭兵として幾つもの激戦を潜り抜けてきた。

 それこそ、ジャブローではフォルドやルースとも模擬戦をして、勝利しているのだ。

 だからこそ、俺の実力が不明だといったようには、とてもではないが言う者はいないだろう。

 そして実際、サラブレッド隊の面々にもそのような者はいなかった。

 いたらいたで、重装フルアーマーガンダムを使って模擬戦をしてもよかったけどな。

 ぶっちゃけた話、重装フルアーマーガンダムはMA的な使い方をするMSなので、その性能はかなり高い。

 ……唯一の難点は、やはり装甲がルナ・チタニウム製であっても、ビーム兵器には無意味な事だろう。

 連邦軍もジオン軍も、少し遅れているが月でもビーム兵器が標準装備になる筈だ。

 そうなると、ビーム兵器用の防御方法を考える必要があるんだが……難しいんだよな。

 シャドウミラーなら、それこそ幾らでもバリアの類はあるので、それを譲渡すればいいかもしれない。

 だがそうなると、UC世界で本来発展するだろう技術が、月でだけ発展しないという事にもなりかねない。

 ……まぁ、他の世界のMSを提供している時点で、その辺をどうこう考えても意味はないんだが。

 

「うむ。アクセル殿の実力については、上から聞かされている。その実力は、間違いなく一流で……それこそ、ジオン軍の中でもトップエースとして名高い赤い彗星を相手にしても、決して負けるような事はないと」

 

 キルスティンの言葉に、ブリッジにいた他の面々は俺に向けて驚きの視線を向けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1591

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