「は? えっと……そこまでやっていいのか? ツィマッド社は、仮にもジオン公国の兵器メーカーだろ? そこまで露骨にこっちに手を貸したりしたら……」
ヤンマ級にて、高機動型ギャンの模擬戦について話しておこうとディアナに通信を入れたのだが、そこでディアナの技術者から聞いたのは俺にとっても完全に予想外の事だった。
つまり、ツィマッド社からドム系MSが多数送られてきたし、それ以外にも統合整備計画とかいう計画についての詳細が送られてきたという事だった。
個人的にはドム系MSの方が嬉しいのだが、通信に出た技術者によると、統合整備計画の詳細の方がかなり大きいらしい。
まぁ、その辺は月に戻った時にでも聞くとして……問題なのは、ツィマッド社が何だってそこまで急にこちらに協力的な態度を取る事になったのかだろう。
『恐らくですが、この戦争はジオン軍が負けると思ってるんじゃないでしょうか? そして、もしジオン軍が負ければ、ツィマッド社は……いや、他の兵器メーカーもどんな処遇になるのかは分からない。だからこそ、今のうちに月ともっと深い繋がりを作っておきたいと思ったのでは?』
「……なるほど」
確かにその説明には強い説得力がある。
ジオン軍は地球からほぼ追い出された格好となっており、現在連邦軍はソロモンを攻略する為のチェンバロ作戦を行おうとしているのだ。
ツィマッド社から見て、現状では連邦軍とジオン軍では、ジオン軍の方が不利に思えるのだろう。
自分の所属している国が不利である以上、いざという時の事を考えて行動するのは当然と言えた。
……普通に考えれば、もしジオン公国が降伏するなりなんなりした場合、連邦軍としてはジオン公国の技術を得る為に兵器メーカーを吸収する。
だが……それはあくまでも普通に考えればの話だ。
ジオン軍が地球に対してコロニー落としといった真似をしている以上、連邦軍にとっては理屈の有無も関係なく、ただひたすらにジオン公国が憎いと思う者がいても当然だろう。
その最有力候補が、連邦軍に未だに存在する強硬派だ。
強硬派にしてみれば、ジオン公国の技術を吸収するよりも殲滅してしまいたいと考えてもおかしくはない。
「分かった。なら、そういう意味ではちょうどいい。今のうちに、出来るだけ多くの技術者を脱出させるように……それと、MSの実物や開発データも持ってくるように伝えてくれ」
今まで、何気にルナ・ジオン軍にはドムの類が存在していなかった。
その辺りの実機や設計データを入手出来たというのは、こちらにとっても嬉しい誤算だ。
尚、今回入手したドム系MSは、ドム、寒冷地仕様のドム、熱帯仕様のドム、ドムキャノン、ドムトローペン、ドワッジ、リックドム、リックドムⅡ。それとゴッグとハイゴッグ。
この中で特に注目したいのは、砂漠と熱帯用に改良されたドムトローペンと、ドムの最終仕様とも言うべきドワッジ、それと先程も話に出て来た統合整備計画で開発された、リックドムⅡか。
ルナ・ジオン軍で採用されはしないだろうが、資料的な価値という意味では結構大きい。
それとゴッグとハイゴッグもハワイがルナ・ジオンの領土であると考えると、非常にありがたい。
他にも、まだ来ていないがその統合整備計画に適応された機体も、出来るだけ入手するという事になってるらしい。
『分かりました。その辺は上に伝えておきます。それにしても……そうですか、高機動型ギャンは、ガンダムに勝てましたか』
嬉しそうにそう言ってくるのは、やはり高機動型ギャンについてかなり期待していたということなのだろう。
『そうなると、やはり現在開発予定の機体は、高機動型ギャンをベースにした方がいいですね。また、統合整備計画の方にも適応させるべきでしょう』
「……その統合整備計画だったか? それは役に立つのか? 言ってみれば……そうだな、基本的には現在ジオン軍で使っているMSの間で部品の共有をするんだろう? だとすれば、ルナ・ジオン軍ではそんなに使えないと思うが」
現在ジオン軍が使っているMSの中で、ルナ・ジオン軍が使っているMSと言えば……それこそ、グフ系のMSだけだろう。
一応今度ツィマッド社がドム系統のMSやその生産ラインもこっちに持ってくるらしいが、だからといってドムを主力量産機として使うような事はない。
ギャンは……うーん、この辺はどうなってるんだろうな。
一応これもツィマッド社で開発されたMSである以上、統合整備計画が適応されているというのは分かるが……言ってみればそれだけだ。
『ですが、統合整備計画を適応すると、部品の関係でMSの性能が上がったりもしますよ? それに……これからの事を考えると、やはりその辺は重要になると思います』
具体的には何を言ってるのかはっきりとはしないが、その技術者が戦後に関しての話をしているというのは、容易に想像出来る。
特にジオン軍の敗北が既定路線となっている以上、連邦軍を弱める為にはジオン軍のゲリラ活動に協力した方がいいと、そう暗に匂わせているのだろう。
その気持ちは分かる。分かるが……恐らくセイラ辺りはそれに反対する筈だ。
俺としても、ルナ・ジオンに亡命している連中を受け入れるのならともかく、ゲリラ活動に手を貸すというのは……難しいところだ。
これでゲリラが連邦軍だけを攻撃対象とするのなら、俺もそれに特に反対するつもりはない。
だが大抵の場合、そういうゲリラは何の罪もない一般人に対しても危害を加える可能性が高いのだ。
そうなると、それこそ後味が悪いし……何より、その一件が連邦軍に知られたら、色々と面倒な事になる。
戦後に連邦軍の戦力をある程度減らしたいし、その意識を月ではなく他の場所に向けるのも悪くはないというのは……分からないでもないんだが。
「その辺については、俺の意見を聞くよりもルナ・ジオン上層部が判断するべきだろうな。何だかんだと俺はお前達に協力しているが、結局のところは部外者……精々がアドバイザーってところでしかないんだから」
『あ……そうですね。分かりました。ただ、統合整備計画はルナ・ジオン軍にとっても有益なものであるというのだけは、覚えておいて下さい』
「分かった。その辺については覚えておく」
とはいえ、シャドウミラーもそうだが、ルナ・ジオンも統合整備計画というのはそこまで気にする必要があるとは思えない。
いやまぁ、それによってMSの性能が上がるとなれば、興味が出て来るところではあるが。
ただ……ぶっちゃけ、シャドウミラーの場合はそこまで部品の共有について心配しなくてもいいんだよな。
元々が、シャドウミラーは多種多様な機体が運用されている。
PTがあれば、MSもあり、特機もあるし……中には、俺のニーズヘッグのように既に機種的にどれに入れればいいのか分からないといった機体もある。
……まぁ、取りあえずニーズヘッグは分類上はPTという事になっているのだが。
説明を受けた統合整備計画というのは、あくまでもMSという分類の兵器だけの話だ。
そういう意味でも、色々と厳しいのは間違いない。
あ、でも精霊の卵が使っているMSは基本的にSEED系のMSで運用されているので、そこでなら統合整備計画も使い道があるかも?
『では、この辺で失礼します。……統合整備計画のMSも近いうちに送られてくるかと。絶対にとは言えませんが』
その言葉と共に通信が切れる。
にしても……統合整備計画のMSか。
色々と複雑な思いはあるが、ルナ・ジオン軍の中で考えたら……もしかしたら採用した方がいいのかもしれないな。
ただし、それはジオン軍に合わせる訳ではなく、あくまでもルナ・ジオン軍が使う、ディアナの開発するMSについてのものだが。
とはいえ、ディアナはジオン公国とは違ってあくまで兵器メーカーは1つしか存在しない。
ただし、そのディアナには複数の兵器メーカーの出身者が多くいるので、その中で新しいMSを開発するとなると、難しくなりそうだが。
ヅダの件は、基本的にもうほぼ開発している状況で、更にはツィマッド社が主力となって開発……改修? した。
ギャンの方も、基本的にはツィマッド社で開発したのをそのまま生産した形だ。
高機動型ギャンは、ツィマッド社の開発プランの1つ、ギャンのバリエーションの1つだったらしいし。
だが、次からは色々なメーカー出身の技術者が協力して新たなMSを開発するという事になる訳で、その辺りからそれぞれのメーカーでのMSの独自部品とかが問題になってくる可能性はあるな。
ディアナにはその辺りの摺り合わせはしっかりとやるように言っておいた方がいいかもな。
ディアナはこれから、ジオン軍と連邦軍双方の技術が混ざった新型のMSを開発していく事になる。
その辺を考えると、やはり色々と考える必要がある。
そうして少しの時間考えていると、不意に通信の着信が聞こえてきた。
誰だ?
そう思って通信のスイッチを入れると、空中に浮かび上がった映像スクリーンにノリスが姿を現した。
『アクセル代表、サラブレッド隊から連絡がありました。この宙域から離れるそうです』
「ここを? まぁ、ここは特に何かやる事もないし、当然だろうな」
サラブレッド隊も、ソロモンにいる敵を誘き出す為に行動を起こす必要がある。
取りあえずルナ・ジオン軍から派遣されてきた俺達の実力は、サラブレッド隊にも分かって貰えた筈だ。
向こうにしてみれば、2隻のサラミスには俺達を怪しみ……不審を抱いている者もいる。
いや、それはサラミスだけではなくサラブレッドにいるガンキャノン隊の中にもこちらを怪しんでいる者もいたな。
だが、そんな視線もルースとフォルドを相手に勝った事により、完全にではないが、取りあえず一緒に行動してみるかといった様子が正しいのか?
『はい。まずはソロモン方面に一度向かうと。……とはいえ、正確にはソロモンの手前までというのが正しいようですが』
「だろうな。サラブレッド隊の目的を考えれば、そうなるのは間違いない。……とはいえ、実際にどれくらいジオン軍を誘き寄せられるかは微妙なところだが。ノリスはどう思う? 元ジオン軍としての見識を聞かせてくれ」
『ドズル中将の性格を考えれば、連邦軍の戦力は潰せる時に潰そうとするのではと思いますが。ドズル中将は猛将として名高いですし、軍事的な観点から見てもこれはそう間違ってはいません』
ドズルに対するノリスの評価が、思っていたよりも高いようだ。
これがガトーなら、以前はドズル率いる宇宙攻撃軍に所属していたのだから、ドズルを高く評価してもおかしくはないのだが。
ノリスはジオン軍に所属しているという形式を取っていても、実質的にはサハリン家の武官という扱いだった
そんなノリスがドズルを高く評価してるとは……いや、これはもしかしてガトーと一緒にいたから、そのガトーからドズルについての話を色々と聞いて、そう判断したのか?
ともあれ、ガルマからもドズルは軍事的な才能という意味では、ザビ家の中でも群を抜いているという話だった。
とはいえ……ガルマから聞いた印象だと、そのドズルの才能というのは、あくまでも前線指揮官としての才能であって、軍全体を見るという意味では高くないらしいが。
「そうなると、ソロモンからは結構な敵が出て来る可能性が高いな。ただ……そうなると、問題なのはどうやって数を減らすか、か」
『はい。こちらが全力を出せば、出撃してきた敵を殲滅するのは難しくはないでしょう。ですが、当然ながらそうなってしまえば、ソロモンはこちらを警戒して防衛に徹するでしょう。それこそ、亀のように手足や首を引っ込めて』
「それは……ちょっと面倒な事になりそうだな」
そう答えるも、実際に現在サラブレッド隊が擁する戦力を考えると、ソロモンは防衛に徹しかねないのは理解出来る。
ガンダム4号機のメガビームランチャーの方はまだ調整が上手くいっていないらしいが、ガンダム5号機のジャイアントガトリング砲は、ジオン軍のMSを相手にしても十分に強力な効果を発揮する。
これが連邦軍の中でも幾つかあるような、ルナ・チタニウム製の装甲を持つMSなら、恐らくジャイアントガトリング砲でも殆ど無力化出来るだろうが。
だが、ジオン軍のMSの装甲は超硬スチール合金だ。
ジャイアントガトリング砲で、十分な程に威力を発揮するのは間違いないだろう。
『はい。なので、その辺の調整が必要となります。キルスティン艦長はベテランの艦長らしいので、その辺の心配はいらないと思いますが』
ノリスの言葉に頷く。
俺から見ても、キルスティン艦長はベテランといった様子だった。
実際、艦長としての活動も結構長いらしく、妙な命令を出したりといったような事は、心配しなくてもいいだろう。
「分かった。ともあれ、今回の作戦の指揮はキルスティンに任せてるんだ。向こうが妙な行動をしない限りは、大人しく従うとするさ」
『は!』
俺の言葉に、ノリスは敬礼を返すのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1060
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1591