こちらに向かって放たれるジャイアントバズの砲弾を、スラスターを使って回避する。
普通のMSに比べれば、どうしても動きが鈍い重装フルアーマーガンダムだが、それでもバズーカの砲弾を回避するのは難しい話ではない。
砲弾を回避しつつ、腰のビーム砲のトリガーを引く。
瞬間、放たれたビームはジャイアントバズを撃ってすぐに離脱……一撃離脱をしていたリックドムの胴体を貫き、爆散する。
「これで1機。……とはいえ、技量の方は未熟だな」
元々リックドムは、技量の未熟なパイロットが乗ってもいいようにと開発された一面がある。
重装甲で高い防御力を持ち、推進力も非常に高く、ジャイアントバズは命中すれば非常に高い攻撃力を誇る。
まさに一撃離脱用の機体としてはうってつけだろう。
だが……今こちらに向かって攻撃をしてきたリックドムは、一撃離脱をするタイミングやMSの操縦方法がかなり未熟なように思えた。
それこそ、まるで新人パイロットのような。
ソロモンに駐留するMS隊という事は、ドズルの部下だ。
宇宙攻撃軍である以上、技量という点ではそこまで低い者がいるとは思えないんだが。
勿論、中にはMSの操縦技術が未熟な者もいるだろう。
だがそれでも……そう。それでも、俺が知ってる限りでは、一定のラインにも届いてないように思えたのだ。
新米パイロット未満という表現が正しいか?
「ガトー、ノリス、聞こえるか?」
そう通信を送ると、少し離れた場所で戦っていた高機動型ギャンが、ビームランスでリックドムとザクをそれぞれ貫いた状況からこちらに近付いてくる。
『何でしょう?』
映像モニタに表示されたのは、ガトー。
「この部隊、弱すぎないか? ソロモンの戦力はこの程度のものなのか?」
『いえ、そんな事はないかと。攻撃してきた敵の技量は明らかに低いかと』
「なら、この敵の弱さは何だと思う?」
『考えられる可能性としては、新人だけで構成された部隊だったのかと。ですが……』
最後まで言わず、言葉を濁すガトー。
その理由は、俺にも納得出来る。
もし新人だけで構成されていたとしても、最低でもベテランが1人くらいは混ざっていてもおかしくはない。
だが、今こうして倒した敵は、そのような事は全くなく、全機が全て倒されたのだ。
「……フォルド、ルース」
『何だ?』
『どうした?』
次に通信を送った2人は、俺の声を聞いてすぐに通信を返してくる。
当然の話だが、フォルド達もここから少し離れた場所で戦っていたので、ミノフスキー粒子散布下であっても普通に通信が通じた。
ちなみに、ガンキャノン隊は後方から低反動キャノンを使って援護射撃を行っているので、通信は通じない。
「今回の敵、妙に弱いと思わないか?」
『そうだな。ジオン軍も戦力がつきたか?』
フォルドのその言葉は、俺も考えていた可能性の1つではある。
だが、現在は後方となっているア・バオア・クーとかなら、新人を配置してもそこまで問題はない。
それに比べると、ソロモンは文字通りの意味で最前線だ。
そんな場所に新人を配属するか?
いや、新人の中でも見込みのある奴や、即戦力として期待出来る奴を派遣するのなら、俺も理解出来る。
だが、さっき撃破した相手は、とてもではないがそのような相手に思えなかった。
ガルマから聞いている限り、ドズルは部下を大事にする。
その辺を考えても、新人だけでこの辺りに偵察に出るような真似をするように命令するとは思えない。
……ジオン軍に何かあったのか?
「戦力がつきたってのは、多分ないだろ。資源とかがかなりあるし、オデッサからも相当な量を打ち上げているのが判明しているしな」
この一件については誰から聞いたのか忘れたが、オデッサの調査で相当量の資源が宇宙に打ち上げられていたことが判明している。
とはいえ、キシリアが打ち上げた資源の全てをサイド3に渡したとは限らないが。
何しろ、現在キシリア率いる突撃宇宙軍はグラナダから拠点を移しつつある。
そして新たな拠点がどこかは判明していない以上、そこにオデッサから打ち上げられた資源の類があっても、おかしくはない。
……まぁ、突撃宇宙軍の新たな拠点が分からないのは、あくまでも俺達だからであって、ギレンなら当然のようにその場所を把握してるだろうが。
それに、ここで公言出来る事ではないが、ルナ・ジオンから販売されている資源も当然のように存在している。
敵対している相手に資源を売るというのは、正直どうかと思うが……ただ、当然のように連邦軍に売るよりもかなり割高で売っているので、ジオン公国から搾り取るという意味では、これもまた攻撃手段の1つではあるのだろう。
多少無理があるのは承知だが。
『MSはそうでも、パイロットの方は少なくなってるんじゃないか? ただでさえ、ジオン公国は国力の差で連邦軍に圧倒されているのに、その上で……』
フォルドに代わって映像モニタに顔を映したルースが、そう言って俺の方に意味ありげな視線を向けてくる。
その視線の意味は、それこそ考えなくても明らかだ。
月でルナ・ジオンを建国する際に、ジオン公国から結構な人材を引き抜いていったと、そう言いたいのだろう。
とはいえ、実は今となってはジオン公国から引き抜いた人材よりも、サイド3以外のコロニーや、地球からやって来た移住者の方が多くなっているのだが。
勿論、月から一番近いサイドはサイド3なのは間違いなく、それを思えばサイド3からの移住や亡命が多くなるのは当然だ。
当然だが……それでも、サイド3以外の全てのサイドや地球も入れるとなれば、そちらの人数が多くなるのは当然の話だろう。
「言いたい事は分かるけど……っと、どうやらおかわりが来たな」
重装フルアーマーガンダムのレーダーに幾つかのMSの反応が現れたのを見て、そう告げる。
どうやらソロモンからの援軍が来たらしい。
ミノフスキー粒子で通信が出来ないのを心配に思ったのか、それとも新人だけで構成されていた部隊だったから、それを心配になって追加の人員を送ってきたのか。
ともあれ、援軍が来たのは間違いない以上、いつまでもこうして話している訳にいかないのは、間違いのない事実だった。
『来たか。なら、さっさと行くぜ。ルース!』
フォルドがそう叫ぶと、通信を切る。
ルースはしょうがないといった様子で溜息と共に、こちらに小さく頭を下げてから通信を切る。
フォルドのフォローに向かったのだろう。
『アクセル代表、私達はどうしますか?』
「当然、俺達も出るぞ。敵が一体何を考えてこんな真似をしてるのかは分からないが、それでもソロモンの戦力を減らすのが優先だからな。……ただ、ここで長時間暴れていれば、当然のようにソロモンからも次々と戦力を出してくる筈だ。そうならない為にも、敵が今以上に大量の援軍を出して来たらこっちもすぐに撤退する」
今回の援軍程度の数を出してきてくれるのなら、こちらとしては全く問題はない。
それこそ、向こうが戦力の逐次投入をしてくれるのだから、敵の各個撃破のチャンス以外でしかない。
……もっとも、ソロモンにいるドズルやその側近がそれを理解出来ないとは思えないが。
ただ、あくまでもここにいるのが少数の戦力であると判断して、いつまで油断してくれているかというのが、一番大きな問題だな。
『了解しました』
ガトーがやる気に満ちた様子で頷く。
これを見れば、以前は同じ軍だったからといって、手を抜いたりといったような真似をするといったようなことは考えなくてもいいだろう。
……今までの戦いを思えば、その状況で全く何の問題もなかったのは事実なのだが。
「ノリスも問題はないな?」
『は! 問題ありません』
双方共に問題はないという事で、俺達もまた出撃する。
フォルド達にばかり活躍をされると、こっちとしても色々と不味いしな。
『何っ!』
敵との間合いを詰めようとしていた中で、不意に聞こえてきた驚きの声。
今の声は一体何だ?
そう思いながら周囲の様子を確認すると、映像モニタにゲルググと戦っているガンダム5号機の姿があった。
ビームナギナタとビームサーベルが斬り合う様子。
ガンダム5号機の最大の武器たるジャイアントガトリング砲は、宇宙空間を漂っている。
不幸中の幸いなのは、ジャイアントガトリング砲は別に破壊された訳ではないといったところか。
ジャイアントガトリング砲は、サラブレッドに予備の武器が……もしかしたらあるのかもしれないが、俺は見た事がない。
もしあってもそんなに数はない以上、ジャイアントガトリング砲を破壊されるといったような事は避けたいのがフォルドの正直なところで、実際それを避ける為にジャイアントガトリング砲を手放したのだろう。
にしても、さっきフォルドは通信を切ったと思うんだが……いや、戦いの中で偶然また繋がったのか?
ともあれ、ガンダム5号機と戦っているゲルググは結構な腕利きなのは間違いなく、そちらに助けに行こうとする。
サラブレッド隊において、ガンダム5号機というのはかなりの戦力だ。
本人の性格的に若干問題はあるが、ここで負ける訳にはいかない。
そんな訳で、俺は重装フルアーマーガンダムの腰のビーム砲のトリガーを引く。
メガビームキャノンを撃ってもよかったのだが、ゲルググとガンダム5号機が斬り合いをやっている今となっては、それに対処するのは難しい。
いや、やってやれない事はないんだろうが、もしそのような真似をした場合、慎重に狙いを定める必要があった
メガビームキャノンの効果範囲にガンダム5号機が入らないように調整するといったように。
そんな事にならないように選択したのが、腰のビーム砲。
これは威力は弱い――あくまでもメガビームキャノンと比べて――が、敵に致命傷を与えるという点では全く問題ない威力を持つ。
それこそ、ガンダム4号機や5号機が使っているビームライフルと比べると、その威力が上なのは間違いない。
であれば、ここで使うには十分な威力を持っているのは明らかだった。
そして事実、放たれたビームはゲルググの胴体を貫き、次の瞬間には爆発を巻き起こす。
「無事か、フォルド。……って、向こうもか!」
リックドムと戦っているガンダム4号機に気が付くと、ミサイルを一斉に発射する。
リックドムのパイロットは、基本に忠実に高機動力を活かし、素早く戦場の中を飛び回りながら、ガンダム4号機に向けてジャイアントバズを発射している。
それも腕の未熟な者ではなく、相応に技術のある者が使っているらしく、リックドムの挙動はかなり複雑な代物となっていた。
もしこれで新人だったり、操縦技術の低い相手がパイロットなら、リックドムの高機動に迷わされ、それこそ動き回る軌道は直線になってしまうだろう。
そうなれば、ルースなら相手の軌道を先読みしてそこにビームライフルを撃ち込む程度の事は全く問題ない。
だが……リックドムのパイロットがベテランのように高い技術を持っていれば、それこそ宇宙空間を飛び回る軌道を自由自在に変えられるだろう。
そうなれば、狙いを付けるのは非常に厄介だ。
特にUC世界におけるビームライフルは、基本的にビームライフルを充電するという行為が必要になる為に、戦場で一度全弾発射してエネルギー切れになれば、その戦闘でビームライフルはもう使い物にならない。
だからこそ、今のルースは連続してビームライフルを発射出来ないのだろう。
この辺、ジオン軍の水陸両用MSとかは動力炉直結型のビーム砲なので、エネルギーを気にする必要はないんだが。
……ただし、そちらはそちらで動力炉の冷却問題というのが出て来るのだが。
ともあれ、自由自在に動き回っていたリックドムだったが……次の瞬間、重装フルアーマーガンダムの放ったミサイルが次々と命中し、やがて撃破される。
小型ミサイルだけに、一撃の威力はそこまで大きくはない、
だが、そのような威力の小さいミサイルであっても、次々に命中するとなれば、話は変わってくる。
ミノフスキー粒子散布下での戦闘である以上、本来ならこのような事は起こらない。
だが……それはあくまでも本来ならの話だ。
PPによって非常に高い数値になっている、俺の命中や射撃の能力。
そしてガンファイトも影響した結果として、小型ミサイルはリックドムに次々と命中したのだ。
とはいえ、ミノフスキー粒子散布下ではミサイルの誘導は不可能。
その結果として、リックドムに命中しなかったミサイルも結構な数がある。
ともあれ、幾ら攻撃が外れても敵を撃破したのは間違いない。
そうである以上、問題はないだろう。
『すまない、アクセル。助かった!』
ルースからの通信に、構わないと首を横に振る。
「それよりもまだ敵がこっちに向かってくるから、撃破するぞ」
ノリスとガトーの操縦する高機動型ギャンが、ビームランスで敵を貫くのを見ながら、俺はそう指示するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1075
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1594