転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2607話

「これがアレックスか。……無骨だな」

 

 連邦軍の秘密研究所。

 そこにある格納庫で、俺はMS用のベッドに寝ているアレックスを見て、そう呟く。

 連邦軍がアムロ用――恐らくだが――に開発した、新型の高性能MS。

 そう思っていたのだが、俺の視線の先にあるMSは思わず口にしたように無骨という言葉が相応しいMSだった。

 実際には、アレックスにFSWS計画で開発されたチョバムアーマーを装備しているからこそ、無骨に見えるのだろう。

 あのチョバムアーマーの下には、恐らく他の部位から見えるように白や青をベースにした色の装甲があるんだろうが。

 

「おい、見てないでさっさと乗ってくれ! はぁ、はぁ……パイロットスーツは本当にいいんだな!?」

 

 息も絶え絶えになりながらそう叫ぶのは、俺をここまで案内してきた研究者の男だ。

 ジオン軍のMSに襲撃されているという緊張もあるのだろうが、俺が姿を現した研究室からここまで走ってくるだけで、息を切らしているのは……緊張よりも、寧ろ純粋に運動不足によるものだろう。

 

「ああ、パイロットスーツはいらない」

「アレックスの運動性を考えると、多少は対G性能のあるパイロットスーツを着た方がいいぞ。それに、ここはコロニーだ。いつ宇宙に放り出されるとも限らない」

「あの赤い彗星も、MSに乗る時はパイロットスーツを着ないらしいぞ?」

 

 そう言いながら、研究者の男に教えて貰ったコックピット――連邦軍のMSらしく胸部――に向かう。

 

「それは赤い彗星だからだろ!」

「なら問題ない」

 

 それだけを言い、開いたコックピットに入る。

 その瞬間、研究者は意味が分からないといったような表情をしているのに気が付いたが、その理由を教えてやるような必要もないだろう。

 まさか、俺が今まで何度もシャアと戦って勝ち越しているとか、そもそも俺は混沌精霊なのでGとかそういうのは全く関係ないとか、その辺はわざわざ説明する必要はない。

 アレックス……正確にはガンダムNT-1という名前らしいが、アレックスの方が分かりやすいし、区別しやすいのでそっちを使っておく。

 そのコックピットに乗り込み、機体を起動させていく。

 幸い、推進剤の類は入っている。

 恐らくだが、実機を動かして何らかのテストをする気だったのだろう。

 操縦システムそのものは、ガンダム7号機を始めとする連邦軍のMSとそう大差はない。

 全天周囲モニタも、普通なら初めて乗ったパイロットは驚くのだろうが、ガンダム7号機に乗っている俺にしてみれば既に慣れている。

 リニアシートは初めて乗るが……まぁ、乗ってみた感じでは特に何か問題はないな。

 若干違和感があるが、これも乗っていればそのうち慣れるだろう。

 俺にはそこまで必要はないが、ルナ・ジオン軍の一般的なパイロット……いや、それこそ精鋭であっても、このリニアシートは結構優秀な性能を持っている。

 アナハイムとの間で、契約をする必要はあるんだろうな。

 そんな風に考えつつ、MSベッドからアレックスを立ち上がらせる。

 ……なるほど。反応速度は結構速いな。

 けど、ガンダム7号機より若干上といった程度である以上、俺としてはこの程度かといった感想しか抱けないが。

 あ、でもチョバムアーマーを装備している事を考えれば、これはそこまでおかしな話でもないのか?

 ……いっそ、最初からチョバムアーマーを排除して出た方がいいような気がする。

 そもそも、ここがコロニーの中である以上、ビームライフルの類は使えない。

 ビームライフルに近い威力を持つハイパーバズーカも、当然使えないだろう。

 そうなると頼れる武器は頭部バルカンとビームサーベル、後は……一応シールドも武器として使えるか?

 腕部のガトリング砲が使えれば、それなりに有効な武器になると思うんだが、チョバムアーマーがあるから使えないし。

 それならいっそ、ジムが使っているマシンガンでもいいから用意しておいて欲しいというのが、正直なところだ。

 ……まぁ、この施設の者達も、まさかジオン軍のMSが襲ってくるなどとは考えていなかったのだろうが。

 

「なぁ、最初からこのチョバムアーマーを解除して出撃って訳にはいかないのか?」

 

 一応駄目だとは思うが、それでも通信でそう尋ねてみる。

 だが、当然ながら映像モニタに表示された研究者の男は、その言葉に首を横に振った。

 

『チョバムアーマーは防御力を高めるという意味で絶対に必要だ』

 

 そう言いたくなる気持ちも分かる。

 研究者にしてみれば、俺のような……それこそ仮面を被っている怪しい奴に新型機を貸しているのだ。

 そうである以上、アレックスに少しでも被害が及ばないようにするというのは、理解出来る。出来るんだが……

 

「そっちの希望は分かるけど、武器が頭部バルカンとビームサーベルしか使えないのは痛いぞ。FSWS計画の機体なら、せめてチョバムアーマーに武装を内蔵するくらいしろよ」

『……何? いやまぁ、あまり無茶を言うな。そもそもアレックスはまだ開発中のMSだ。そうである以上、コロニー内で使える武器が満足にないのは当然だろう』

 

 アレックスを開発していた者達にしてみれば、まさかコロニー内で戦う事になるとは思ってもいなかったのだろう。

 俺がこの工場に侵入して集めた情報によると、アレックスはア・バオア・クーの攻略戦……そしてその後に起きるだろうサイド3攻略戦において、現在連邦軍の中でもトップエースたるアムロが使うMSとして開発されているという話だった。

 サイド3はともかく、ア・バオア・クーで戦うとなれば、当然のようにそれは宇宙空間での戦いとなり、ビームライフルとかもコロニー内で使う事は想定していないんだろう。

 その辺が如実に表れているのが、ジムコマンドだ。

 ホワイトベースでもヤザンを始めとする面々が使っているジムコマンドだが、実は宇宙用とコロニー用で区別されている。

 特に武器だ。

 コロニー内で使うジムコマンドは実弾の武器だが、宇宙用ではビーム兵器だ。

 これはコロニー内部でビーム兵器を使うのがどれだけ危険なのかというのを、如実に示している。

 勿論コロニー用と宇宙用で違うのは武器だけではなく、他にも色々とあるのだろうが。

 

「ジム用のマシンガンでもないのか? 今のアレックスの装備だと、敵から一方的に射撃攻撃を受けるぞ」

 

 相手が素人……もしくは新人なら、そんな状況でも対処するのは難しい話ではないだろう。

 だが、どうやってかリボーの人間に気が付かせずにコロニー内部にMSを4機も運び込んだ相手だ。

 とてもではないが、新人などという事はないだろう。

 間違いなく精鋭と呼んでもいい筈だ。

勿論、現状のアレックスでも戦えない訳ではないが……そうなると、コロニー内の被害が大きくなる。

 

「今の状況で戦えば、コロニー内部の被害が大きくなる。それでもいいのか?」

『よくはない。だが、ない物を用意出来る筈はないだろう』

「そうなると……コロニーの被害は問題ないと?」

『いや、こちらに来ている情報によると、ジオン軍のMSは市街地に姿を現したが、特に街中を破壊したりといったような事はせずにこの工場に向かっているらしい』

「へぇ。向こうもいらない非難は浴びたくないといったところか」

 

 ジオン軍としても、中立のサイド6で暴れる事の危険さは十分に理解しているだろう。

 ……例え、その中立が表向きだけのものだとしても、それでも中立は中立なのだから。

 

『また、現在連邦軍のMS部隊が出撃準備をしている。敵の行動が思ったよりも早いので、先制するという訳にはいかないが、それでも時間が経てばこちらの戦力も増す筈だ』

「……援軍がいるのなら、俺が出る必要がないのでは?」

 

 勿論、俺としては実際にこうして出撃出来る方が、アレックスの実際の性能を確認出来たりもするので望むところだが。

 それでも連邦軍がいるのなら、わざわざ出撃する必要はない筈だった。

 

『無理だ。ここにいるMSパイロットはいいところ新人に毛が生えた程度の二線級、もしくは三線級の実力しかない。ジオン軍がアレックスの奪取か破壊を狙って出してくるMS部隊のパイロットに比べれば、その実力差は大きすぎる』

 

 なるほど。

 連邦の国力がジオンの30倍はあると言われていても、結局のところそれは30倍でしかない。

 そして兵器の類なら幾らでも量産出来るだろうが、人は……軍人は、そう簡単に用意する訳にはいかない。

 ましてや、戦争が始まった当初連邦軍は連戦連敗だった訳で、その後の戦いでも軍人は多く死んでいる。

 そしてMSパイロットとして鍛えられた者の大半は、現在ソロモンにいる筈だ。

 つまりここにいるのは、あの研究者の言葉通りMSパイロットとしての腕は立たない……あくまでも念の為って訳か。

 まぁ、月に攻めて来た連邦軍を撃破したり、ルナツーを占拠した戦いでも連邦軍の軍人はかなり死んでる筈だから、それが影響してないとも言えないが。

 

「分かった。……なら、せめて戦場はこの工場の周辺にするぞ。そうすれば、周辺の被害もそこまで大きくはない筈だ」

 

 この工場の周辺には住宅地の類はなく、あるのは他の工場とかだ。

 であれば、この辺りで戦闘を行えば、周囲の被害は少なくてすむ。

 ……個人的には、ビルとかがあった方が敵の射撃攻撃に対する盾だったり、接近する際の目眩ましとして使えるんだが……その辺りは俺の腕で何とかするしかないだろう。

 

『構わない、街中に被害が出るよりは、この工場が破壊された方がいいしな』

 

 どうやら研究者の男もその点では俺と同じ意見らしい。

 その事に安堵し……アレックスを地上に出す為……搬出用だろうエレベータに移動する。

 そして、エレベータが動き……アレックスは工場の外に出る。

 どうやらジオン軍のMS部隊はまだやって来ないらしく、周辺に敵影は存在しない。

 ……同様に、連邦軍のMS部隊もまだ存在しない。

 さて、そうなると次は一体どう動くべきか。

 いや、やるべき事は決まっている。

 アレックスの操縦方法はガンダム7号機と大きな差はないとはいえ、それでも差異はやはりある。

 その辺をしっかりと確認しておく必要があるだろう。……アレックスのデータを取る為にも。

 あ、そうだな。ついでだし。

 空間倉庫の中からハッキングツールを取りだし、アレックスのコンピュータに接続する。

 リニアシートになってる関係上、接続する場所を見つけるのに若干手間取ったが、それでもコックピットのレイアウトそのものはそこまで変わらないので、接続するのは難しくはない。

 戦闘が始まる前にこんな事をして、アレックスの挙動に妙なところが起きないとも限らないが……ぶっちゃけ、混沌精霊の俺は例えアレックスが撃破されたとしても、死ぬどころか怪我をするような事もない。

 出来れば実機を確保したいところだが……ただ、どうせなら専用に開発されたビームライフルとか、そういうのも欲しいしな。

 アレックスの各種データを引き出しながら、動きの癖を掴んでいく。

 さっきも感じた事だが、チョバムアーマーを装備しているせいで防御力は高くなっている。

 ただ、その辺はそういうものだと認識してしまえば、対処するのは難しい事ではない。

 そもそもの話、本当の意味で俺の反応速度についてこられる機体はニーズヘッグしかない。

 それ以外の機体の場合、どうしても手加減をしながら乗る必要があるので、不本意ながらこの手の作業には慣れていたりする。

 

『どうだ?』

「取りあえず問題なく動かす事は出来るな」

『……そうか。そのMSのテストパイロットをしていた人物は、反応が過敏すぎると言ってたんだが』

「最初に言っただろう? 俺は腕利きのMSパイロットだって。このくらいの事に対処するのは、難しい話じゃない」

 

 そう告げるが、あの時の俺の言葉を本当に信じていたのかどうかは、微妙なところだろう。

 だからこそ、実際に俺がその言葉通りクリスよりも上手くアレックスを操ってみせた事に驚いたといったところか。

 そして数分が経過し……アレックスのデータを抜き終わったそのタイミングで、レーダーに反応があった。

 来たな。

 そんな俺の予想通り、MSが4機姿を現す。

 聞いていた情報通り、ザクが1機にゲルググが2機に未確認MSが1機。

 ただし、ザクとゲルググは俺が知っている機体とはかなり違う。

 これはザクとゲルググの新型バリエーションなのか、それとも……ここまで揃って俺が知ってるMSと違うとなると、統合整備計画のMSか?

 ともあれ、アレックスの姿を見て動揺した様子を見せたのはザクだけ。

 ゲルググ2機と未確認MSは特に動揺した様子も見せない。

 向こうにしてみれば、この状況でアレックスが出て来るのは予想通りだったのだろう。

 勿論、MSが出て来ないで誰も乗っていないうちにアレックスを確保出来れば、それに越した事はなかったんだろうが。

 そうして、俺はアレックスに乗ったまま4機のジオン軍MSと向き合うのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1190
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1617

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