戦いの中で最初に攻撃を行ったのは、ゲルググの1機だった。
手に持つマシンガンを撃ったのだ。
普通ならゲルググが持つのはビームライフルだろう。
ビームライフルではなくマシンガンを装備しているのは、やはりここがコロニー内だからか。
にしても、このマシンガンは初めて見るな。
ゲルググだけではなくザクも持ってるってことは、ザクマシンガンじゃないのか?
そんな俺の疑問をよそに、最初のゲルググが攻撃を始めると、それを契機に他のMSも攻撃を行ってくる。
ザクが1機に、ゲルググが2機。それぞれがマシンガンを撃ち続けていた。
そんな3機のMSの攻撃を、俺はアレックスの高い機動性と運動性で回避する。
けど、未確認MSの方はマシンガンを持っていないのか、こっちに攻撃してくる様子がない。
ただし、こちらに近付こうとタイミングを計っているように思える。
……一応射撃武器は持ってるから、遠距離から攻撃をしてもいいと思うんだが。
数の差からくる余裕なのか、それとも何か別の理由があるのか。
その辺りの理由は俺には分からなかったが、ともあれ敵が全力を出せないというのなら、こっちはその隙を突かせて貰うだけだ。
幸い、敵の中には1機だけ明らかに腕の劣るMSパイロットがいる。
それが、ザクのパイロット。
最初にアレックスを見た時にも、ザクの挙動が一瞬おかしかった。
そしてこうしてアレックスを狙っている最中であっても、ザクの狙いは明らかに甘い。
……それでいながら、時々ちょっと予想外なくらいに高精度の攻撃をしてくる辺り、恐らくはまだ新人だがMSパイロットとしての才能はあるんだろう。
ゲルググに乗っているMSパイロット達は現状で高い技術を持っているが、ザクのパイロットは将来性に期待といったところか。
敵の攻撃を掻い潜りつつ、ザクとの間合いを詰めるべく動こうとしたその時、不意に今まではタイミングを見計らっていただけだった未確認MSがスラスターを全開にしてこっちに近付いてくる。
その速度は、かなり速い。
なるほど、機動性に長けたMSか。
そして間合いを詰めながら、手にしていた銃……ショットガンと思われる銃口をこちらに向け、それを見た瞬間に俺はスラスターを全開にしてその場から退避する。
次の瞬間、ショットガンが発射されて近くにあった工場――アレックスを開発していたのとは別の工場――に命中し、かなりの被害を出していた。
不幸中の幸いなのは、工場は電気の類が点いておらず、従業員はいなかった事だろう。
その一撃を回避し、敵も俺がザクに攻撃しようとしているのを理解したのか、アレックスがザクに近づけないように攻撃をしてくる。
なるほど。仲間思いの一面もあるのか。
その様子に納得しつつ、現状ではどう行動したものかと悩みつつ……それでも、アレックスの動きを止めるようなことはしない。
また、こっちが一方的に攻撃されているのもなんなので、頭部バルカンでゲルググを狙い……
「おお」
俺にとってもちょっと予想外だったことに、放たれた頭部バルカンの弾丸はゲルググの頭部に命中し、結構な被害を与える。
当たり所が悪かったのだろう。
この辺は、俺の射撃の数値やガンファイト、これまでの戦いの経験からの一撃だろう。
ゲルググのパイロットも、まさか頭部バルカンでそこまで被害が出るとは思っていなかったのか、動揺した様子を見せる。
ここだ。
そう判断し、アレックスにビームサーベルを装備させ、敵に……まだ頭部が無事なゲルググに向かって間合いを詰める。
ザクはパイロットの技量で論外、ゲルググは1機が頭部を損傷している。
そうなると、万全の状態でアレックスの脅威になるべき相手は、未確認MSともう1機のゲルググだけだ。
……どっちを優先して攻撃すればいいのか若干迷ったのは事実だったが。
未確認MSは未確認であるが故に、どんな性能を持つか分からない。
取りあえず今まで戦ってみた感じでは、高い機動力を持っているらしい強襲用MSといったところか。
それに対して、ゲルググの方はある程度性能を理解している。
ゲルググの性能は、通常のものですらガンダム級だ。
そんなゲルググの改修機、もしくは派生機ともなれば、厄介なのは間違いない。
ましてや、そのパイロットが腕利きなら余計に。
この場合、どちらを先に対処した方がいいのかは人によって違うだろうが、俺の場合は無傷のゲルググを先に対処した方がいいというものだった。
そんなゲルググは、当然のようにやられる訳にはいかないと、マシンガンを撃ってくるが……俺はそれを、アレックスの運動性を活かして回避していく。
未確認MSとザクが俺の狙いを察したのか、ゲルググに近づけないようにとマシンガンやショットガンで攻撃してくるが、その攻撃はアレックスなら回避するのは難しくはないし、何よりゲルググに近付けば向こうも同士討ちを避けたいのか、攻撃が止む。
ただし、それはあくまでも今だけの話だ。
俺がゲルググに近付けば、他の2機も射撃武器ではなく近接武装でこちらを攻撃しようとしてくるだろう。
ザクはともかく、他の3機は連携が取れているな。
それでいて、俺はアレックスの限界性能がどこまでなのかというのが分からない。
ここで下手にアレックスを俺の思うがままに動かして、その結果としてアレックスが俺の反応に追いつけず壊れる……といったような事になったりしたら困るしな。
最初はここでジオン軍のMSを全機撃破してしまおうかと考えていたんだが……周囲の工場に被害を出すのもなんだし、アレックスに何かがあればクリスも困る。
そうなると、今はジオン軍のMSを撃破するのではなく、敵を撤退させる方がいい。
それに……これザクはともかく、他の3機のMSパイロットはどれもが腕利きだ。
何故ソロモンを無視してここにいるのか、分からない程に。
ザクのパイロットも、現在の操縦技術は劣っているが、将来性があるというのは何となく理解出来た。
そんな腕利きのパイロットだが、ソロモンではなくこのサイド6に派遣されるというのは……正直なところ、どう考えればいいのか迷うところだ。
この部隊の技量を信頼しているから任せたのか、それとも捨て駒として使われたのか。
何となく……本当に何となくだが、後者のように思えるんだよな。
だとすれば、可能ならこのMS部隊をルナ・ジオン軍に引き入れたい。
「っと!」
考え事に夢中になりすぎたのか、未確認MSが間合いを詰めようとしているのに気が付き、後方に跳躍する。
次の瞬間アレックスのあった場所をショットガンの弾丸が貫いていく。
そして、ショットガンを撃つ為に間合いを詰めてきた相手は、こちらにとって反撃する絶好のチャンスだった。
ビームサーベルを構えたまま、スラスターを全開にして未確認MSとの距離を詰める。
当然のようにゲルググの1機とザクがそれを防ごうとしたが、一定以上間合いを詰めてしまえば、この状況で向こうが対処するのは難しい。
そうして間合いを詰め、ビームサーベルを振るい……それに対抗するように、未確認MSもビームサーベルを引き抜き、こちらの一撃を受け止める。
へぇ。ビームライフルは持っていなかったが、ビームサーベルは持っているのか。
ビームライフルはコロニーに致命的な被害を与えかねないが、ビームサーベルの場合はその攻撃範囲が決まっている以上、持っていてもおかしくはない。
それにヒートホークと違って、ビームサーベルを展開していない場合は、柄の部分だけだし。
ともあれ、ビームサーベル同士がぶつかった瞬間、接触回線が開いたのか向こうの顔は見えないが、声だけが聞こえてきた。
『ちぃっ、このケンプファーと互角だと? 連邦軍も厄介なMSを作ってくれる!』
それは、別に俺に話し掛けてきた訳ではなく、純粋に独り言だったのだろう。
それが接触通信で聞こえてきたのだ。
どうやら、この未確認MSはケンプファーとかいう名前らしい。
とはいえ……その名前が分かったからといって、どうということはないが。
ビームサーベルを振るうタイミングや軌道から考えて、恐らくこのケンプファーに乗っているパイロットが、この部隊のエースだ。
それだけに、今はこのMSを撃破……するのは向こうを退けない状態にするだろうから、撤退出来る程度の小破から中破といったダメージを与える必要がある。
とはいえ、この状況で向こうが撤退しようとしても一体どこに撤退するのかは疑問だが。
元々どんな手段を使ってか、いきなりコロニーの中に姿を現したらしい。
その辺の事情を考えれば、恐らくどこかに拠点があるんだろうが……それでもこうして堂々と前に出てきてしまった以上、その拠点は使えない。
そうなると、コロニーの外に脱出する事になるんだろうが……まぁ、サイド6の戦力を考えれば、問題なく可能だろう。
唯一の不安要素は連邦軍の部隊だが……この部隊は研究者の男から聞いた話だと、機体の性能はともかく、パイロットの能力は二線級だって話だし、問題はない筈だ。
「そんな訳で、大人しく帰って貰うぞ!」
その言葉と共に、アレックスと鍔迫り合いをやっていたケンプファーのビームサーベルが吹き飛ぶ。
ケンプファーが一瞬驚いたように動きを止め……その瞬間を見逃さず、再度ビームサーベルを振るう。
次の瞬間、ケンプファーの右腕が肩から切断され、地面に落ちる。
今の動きは、機体の性能差だけで行った訳でない。
いや、勿論連邦軍の最新鋭機……それもアムロ用に開発されただろうアレックスだけに、その性能は非常に高い。
だが、それでもジオン軍の最新鋭MSと思われるケンプファーを相手に、ここまで圧倒出来る程ではない。
ビームサーベルを振るう時のタイミングと軌道、そして力の入れ具合をコントロールする事によって可能になった攻撃だった。
そんなケンプファーを助けようと、ザクがマシンガンを投げ捨て、ヒートホークを手に走り寄ってくる。
マシンガンを使わなかったのは、右腕を失ったケンプファーがアレックスのすぐ側にいるからだろう。
そんなザクに向かい、頭部バルカンを撃つ。
連射性能は非常に高い頭部バルカンだが、威力そのものはそこまで高くはない。
少なくても、アレックスに向かってくるザクを撃破する……などといった真似は出来なかった。
それでもザクのパイロットは、この部隊にいるのが疑問を抱いてしまうくらいに腕が悪い。もしくは新人だ。
予想通り、頭部バルカンの連射を受けていると思った瞬間に動揺したのか、ザクの挙動が乱れ……
「そっちもお見通しだよ!」
MSは別に人間という訳ではないし、痛覚の類がパイロットと繋がっている訳でもない。
そうである以上、右腕を失ったからといってMSがそれで無力化された訳ではない。
どこから出したのか、丸い何かが繋がっている……鞭とは言えないが、そんな武器をこちらに向かって振るおうとしているところだった。
そんな鞭の一撃に、ビームサーベルを振るい……
轟っ!
瞬間、そんな爆発が周囲に響き渡る。
何だ?
一瞬そんな動揺をしたが、恐らく……本当に恐らくだが、あの丸い何かは爆弾、もしくは地雷とかそういうのだったと理解する。
そして間近で爆発した結果、アレックスのチョバムアーマーに幾らかに被害が出る。
……ただし、被害を受けたのはアレックスだけではない。
ケンプファーは左手に爆発する武器を持っていた状態でそれが爆発した結果、左腕を失い、頭部や胴体にも結構なダメージがあった。
取りあえずここまでダメージを受ければ、もう戦力として数えなくてもいいだろう。
そう思いつつ振り返ると、そこにはヒートホークをこちらに振り下ろそうとしているザクの姿。
へぇ。あの状況から立て直して攻撃してきたのか。
その辺りのセンスは素直に感心するが……今はまだ甘い。
スラスターを使いながら横に移動し、ヒートホークの一撃を回避。
返す一撃でザクにチョバムアーマーを使って体当たりしようとした瞬間……再びスラスターを使ってその場から退避する。
次の瞬間、ザクのすぐ側を唯一無事だったゲルググの放ったマシンガンの弾丸が通りすぎていく。
そしてアレックスと敵との距離が開いた瞬間、手榴弾のような物を地面に叩きつける。
すると次の瞬間、煙幕が猛烈に周囲に広がっていく。
煙幕か。
だとすると、勝ち目がないと判断して撤退したのか。……判断力が高いな。
凡庸な指揮官なら、まだやれる。もう少しやれると判断し、素直に撤退という選択肢を選ぶような真似は出来ない。
だが、あのゲルググのパイロットは、4対1で俺と戦っても勝ち目がないと判断して撤退した。
これは、やっぱりあの部隊が凄腕であるという事の証拠だろう。
「どうする? 追撃するか? 今ならまだ追いつける。ただし……他にも戦力がある場合、この工場は全滅するが」
一応といった様子で研究者の男にそう尋ねるが……返ってきた言葉は否だった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1190
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1617