取りあえず諜報部の面々に情報収集を頼んだ後、俺は街中に出る。
……とはいえ、まだ昼前だ。
クリスと一緒に喫茶店でモーニングセットやパフェを食べてから、リボーにおいて諜報部の拠点となっている場所に行き、そして話が終わったばかりなのだから、当然だろう。
街中を歩けば、当然ながらその話題はサイクロプス隊の一件が大半となっている。
街頭TVとかで流されているのも、その関係だ。
ただし、必要な情報は特に何もないというのが……痛いんだよな。
結局のところ、街中で話されているのは俺が知っているような内容なのだから。
それでも、こういう場所で話されている情報の中には、時々俺も知らない情報が入っていたりするので、それを考えれば情報収集の場としては悪くない。
中には見当違いの予想を、さも事実であるといったように口にしている者もいるが。
「多分、昨日の襲撃を裏で操っていたのは、月だろうな。連中にしてみれば、月に攻撃してきた事がある連邦軍が許せなかったんだろ。だからこそ、連邦軍に被害を与える為にこんな真似をしたんだ」
そう、例えばこんな風にさも事情通ですといったような奴とかが。
とはいえ、月としては戦後に自分達にちょっかいを掛けてくるのを出来るだけ遅らせる為に、連邦軍がジオン軍との戦争で消耗して欲しいというのは事実なんだよな。
ただ、月を攻められた件で恨んでいるのかと言われれば……その答えは否だ。
中にはまだ恨みを忘れていない奴もいるだろうから、絶対にという訳ではないが。
それでも、今の状況を考えれば恨んではいないと言ってもいいだろう。
ルナツーを占拠した事で、意趣返しという点ではもう完全に終わってるんだし。
それを考えれば、連邦軍側に月を恨んでいる奴はいるかもしれないが、逆は少ない。
とはいえ……そうやって話している奴の言葉を聞くと、それらしく聞こえているのは間違いない。
話している奴は、こういう話をするのに慣れてるんだろう。
そんな風に思いながら街中を歩いていると、不意に周囲の様子も何も気にせず、走っているアルの姿を見る。
この時間……昼が近いがまだ午前中にアルが?
そう思ったが、学校も休校になっている以上、街中にアルがいてもおかしくはないだろう。
それでも、何をそんなに必死になって走っているのかといったようなことは、疑問だったが。
一瞬アルを追い掛けようかとも思ったが、現在はMSをどうやって確保するかと考えている最中だ。
本当にどうしようもなくなったら、空間倉庫の中にある俺の機体を使ってもいいし、最悪一度月なりソロモンなりに戻って、MSを用立ててくるという方法もある。
システムXNで転移出来る俺だからこそ、出来る方法だが。
ともあれ、採れる手段が少ないのは事実だが、それでも何だかんだと選べる手段が多いのは得だよな。
情報を集めるのなら、ゲームとかなら酒場に行くんだろうけど……こんな日中からバーや居酒屋の類が開いてる訳がないし、もし開いていてもアルコールに極端に弱い俺が行くかと言われれば、その答えは当然のように否だろう。
そうなると、情報屋?
問題なのは、一体どうやって情報屋に接触するかだろう。
基本的に本当の意味での情報屋というのは、そう簡単に接触は出来ない。
簡単に接触出来る情報屋というのは、モグリか、実力がないか……はたまた自称情報屋といった程度となる。
だからこそ、今の俺がそう簡単に接触は出来ないのだ。
……そう、あくまでも俺はだが。
ようは、情報屋に接触出来る相手に接触して貰えばいい。
それも手っ取り早くとなると、ギャングやスラム街の顔役とか、そういう連中が最善だった。
そして……そういう連中に辿り着くのは、そう難しくはない。
大通りから裏道に入りながら、俺は自分のやるべきことを行うのだった。
「わ……分かった。情報屋だな? すぐに連絡する!」
俺の前にいる、30代後半と思われる男は顔を恐怖で青く染めながらそう告げてくる。
……まぁ、金属で出来てる机を千切り取るといったような真似をすれば、普通はそうなるか。
ちなみにここは、リボーの中でも裏通りというか、スラム街というか、そんな中にある建物の一室。
ここまで来るのは、そう難しい事ではなかった。
何しろ、今の俺は10代半ばにしか見えない。
そんな俺が、治安の悪い裏通りを歩いていれば、当然のようにカツアゲだったり、苛立ちをぶつける相手だったりといったように、絡んでくる奴が出て来る。
そんな相手を倒し、そこから繋がりを辿っていき……そして辿り着いたのが、この男だった訳だ。
正直なところ、この男よりもう少し上に行かないと情報屋には辿り着けないとは思っていたが、そういう意味ではラッキーだったな。
諜報部の面々でも知らない情報を、情報屋なら持っていてもおかしくはない。
そういう意味で、俺はラッキーだったのかもしれないな。
どこかに電話をしている男を眺め、その電話が終わったところで口を開く。
「それで? 情報屋はいつくらいになったら来る?」
俺のその言葉に、男は悲鳴を呑み込みながら口を開く。
「10分もしないうちに来る筈だ。だから、もう少し待っていてくれ」
「分かった。ただし……俺を嵌めようなんて考えたら、どうなるか……分かってるな?」
そう言い、男の肩を軽く叩く。
だが、男に変な事を考えさせないようにするには、それで十分だった。
金属の机の端を千切り取ることが出来る俺の手が、その肩に乗せられたのだから。
男の肩の筋肉が金属製……言ってみれば金肉であっても、俺の手から逃げられる事はない。
「わ、分かっている。分かっている。分かっているから、手を離してくれ!」
見苦しく叫ぶ男。
……まぁ、自分の肩の肉を毟り取られると考えれば、恐怖を抱くのも当然なのだろう。
それに実際、この事務所の中にいる他の者達……特に護衛の者達は、全員が気絶して床に倒れているのだから。
取りあえず護衛は死んでいない以上、今のところ問題はないと思う。
そうして10分が経過し……やがて、恐る恐るといった様子で1人の男が扉から顔を出す。
その顔に強い緊張と恐怖を抱いているのは、ここに来るまでに何人もの護衛が床に倒れていたからだろう。
今の状況で情報屋が顔を出すとなれば、床に倒れていた者達を気絶させた者が自分を呼びつけたのだと、そう考えてもおかしくはない。
多分、情報屋としては逃げたいと思っているんだろうが、呼びつけた人物が裏の世界でも実力者であると知っているので、渋々やってきたといったところか。
「きたか、ジョン!」
俺の手が肩に置かれて怯えていた男は、姿を現した男を見て嬉しそうに……いや、そんな表現では足りないか。地獄で仏といったような声で告げる。
だが、ジョンと呼ばれた情報屋の方はそんな男の言葉に引き攣った様子で口を開く。
「その……何の用件でしょう?」
「この男の知りたい情報を話してくれ。料金は俺が出すから、最大限の情報をだ」
へぇ、と。
情報料まで支払うという男に、俺は少しだけ驚く。
情報屋と繋ぎを取って貰う為に色々とあくどい事をしているこの組織に乗り込んだんだが……まさか、情報料を出すと言うとは思わなかった。
実際には、俺の強さを理解したので、少しでも被害を受けないようにしようと、そう考えての事だろう。
「は、はぁ。情報料を貰えるのなら、こちらとしては何でも構いませんが。ただし……知ってると思いますが、重要な情報は高くなりますよ?」
「それで構わん。……ただし、ジョンには世話になってるから、一応忠告しておく。こいつから金を巻き上げる為に、嘘の情報を流したりといったような事はするなよ? でないと……」
そう言い、男が視線を向けたのは俺が毟り取った金属の机。
それを見た情報屋は、一体何がどうなってこうなったのかは分からなかった様子だったが、それでも俺の力が並ではないというのは理解したのだろう。真剣な表情になって男に頷く。
「……一体、どんな情報を知りたいんですか?」
ジョンと呼ばれた男は20代くらいで、クリスよりも若干年上といった感じか。
それでも丁寧な言葉遣いで俺に聞いてくるのは、普段は情報屋の男よりも圧倒的に上の存在たる男が、俺に完全に屈してるように見えるからか。
「ジオン軍の情報が知りたい。昨日の一件は知ってるな?」
「勿論知ってます」
「昨日襲撃してきたジオン軍のMS部隊は、どうやらまだコロニーから出ていないらしい。どこに潜んでいるのかという情報は持っているか?」
その言葉に、情報屋は緊張した様子で首を横に振る。
「いえ、こちらでも色々と手を伸ばしているのですが、残念ながらその辺の情報はまだ何も……」
そうか。その辺の情報を知っていれば、こっちとしても話は早かったんだがな。
「なら、次だ。現在リボーの周辺にジオン軍の艦隊がまだいるのは知ってるか?」
「はい。この前戦闘になったばかりですし」
「その艦隊だが……リボーに核ミサイルを撃ち込もうとしてるって情報がある。それについて何か知ってるか?」
「っ!? ……いえ、その辺りの情報は全く何も。ですが、その……本当なんですか、それ。もし本当なら、中立のサイド6に向かって……それも南極条約違反をする事になるんですよ?」
息を呑んだ様子からすると、どうやらその件については知らなかったらしい。
もっとも、核ミサイルを撃ち込むかもしれないというのは、あくまでも俺の予想でしかない。
リボーの周辺にいる艦隊を率いている人物が冷静であれば、そのような真似はしないだろう。
だが……余裕がなく、追い詰められているような者であった場合、核ミサイルを撃ってもおかしくはないのだ。
「どうだろうな。あくまでもそれは予想だ。ただ……必ずしも出鱈目って訳じゃないと思うがな」
そんな俺の言葉に、情報屋のジョンは真剣な……いや、引き攣った表情で口を開く。
「その根拠を教えて貰っても?」
根拠か。
まさか、アレックスの事を言う訳にはいかないしな。
そもそも、あの戦闘はあくまでも連邦軍の秘密工場の辺りで行われたものである以上、リボーで連邦軍の最新鋭MSが開発されていたというのを知っている者は非常に少ない。
この様子を見ると、情報屋もその辺については知らないようだし。
となると、わざわざこっちからその情報を与える必要もないか。
「ジオン軍がリボーの周辺にいて、連邦軍と戦ったんだぞ? そして昨日の一件。それにソロモンも攻略された。それを考えれば、外にいるジオン軍が追い詰められても不思議はない」
ソロモン攻略について説明したが、それについて驚いている様子はない。
どうやらその件については知っていたのだろう。
まぁ、連邦軍が大々的に流しているし、中立の筈のサイド6においてもそのニュースは入ってくる。
連邦軍にしてみれば、ジオン軍を追い詰めているという風潮を作りたいのだろう。
そして、ジオン軍よりも連邦軍に協力した方が利益になると、そう知らしめたいのだ。
この辺はレビルじゃなくてゴップの考えだろうな。
「でも、だからって核ミサイルを撃ち込むなんて……」
「だから、あくまでも可能性だよ」
そう告げるが、ジョンやこの部屋の主たる男が真剣な表情で俺の方を見ていた。
これが地球なら、最悪核ミサイルを撃たれても走って逃げる……のは無理でも、爆心地から離れていたり、地下シェルターとかに避難していれば、何とかやりすごすことが出来てもおかしくはない。
だが……ここは宇宙にあるコロニーだ。
こんな場所で核ミサイルを使われれば、生き残る事はまず不可能だろう。
本当に運がよければ……シャトルか何かで移動している時にコロニーが爆発したとかなら、もしかしたらまだ生き残れる可能性はあるかもしれないが、地球で生き残れる確率に比べると絶望的だ。
地球でも核ミサイルから生き残れる可能性は非常に低いのだが。
「ともあれ、そんな可能性があるとして……何かそれらしい情報は知らないか?」
「いえ、残念ながら。ただ、関係あるのかどうかは分かりませんが、今日ジオン軍と繋がりがあると噂されていた何人かががリボーを出て行ったとか……てっきり、もっと別の理由だと思っていたのですが……」
自分で言っていて、その言葉の意味を理解したのだろう。
ジョンの顔が引き攣っていく。
にしても……なるほど。連邦軍が大々的に部隊を派遣しているし、月からも人を送り込んでいる。であれば、ジオン軍の手の者がいても不思議ではないんだろう。
そしてその人物が既にリボーから出ているとなると、核ミサイル説は一段と真実味を増してくる。
「可能性は高まったな」
俺の言葉に、最初に反応したのはジョン……ではなく、この部屋の本来の主だった。
「それ、本当なのか? 本当にこのリボーに核ミサイルを撃ち込むってのか?」
「正確にはどうなるのか分からない。ただ、今も言ったように可能性は高まったと思う」
そう、告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1190
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1617