クリスから聞いたスカーレット隊の待機している場所……言うまでもなく、それはリボーにある宇宙港だった。
いやまぁ、実際問題リボーにグレイファントムが堂々と待機しているのを見つかれば、色々と問題になる。
俺がサイクロプス隊と戦った後で、堂々とコロニーの中に姿を現した時点で、色々と問題ではないかと思わないでもなかったが……ともあれ、それでも表向きの態度というのは必要なのだろう。
その結果として、現在は宇宙港にいるという事か。
あるいは、もし俺がスカーレット隊に捕まっていれば、そのまま俺を捕虜にしてリボーから出ていた可能性もあるが……結局のところ、可能性は可能性でしかない。
そんな訳で、現在俺はリボーの宇宙港にいた。
クリスとサイクロプス隊との打ち合わせを終え、取りあえずアレックスは置いておくとして、ジムスナイパーⅡや各種部品を入手してくるという結論になったのだ。
個人的にはアレックスも今のうちに入手しておいた方がいいと思うんだが、クリスの話によると現在は最終調整中らしい。
本来なら俺が乗った時点で最終調整も終わっていたらしいのだが……俺が乗った事により、結果として再度最終調整を行う事になったとか。
つまり、俺の操縦によってもっと最適なパラメータを見つけたと、そういう事なのだろう。
クリスから聞いた話によると、アレックスは確かに連邦軍の誇る最新鋭高性能機だが、リボーに運び込まれてから行っていたのはもっぱらシミュレータを使った調整であって、実機を動かしての調整とかはなかったらしいし。
そういう意味では、俺が実際にアレックスに乗って操縦をしたというのは大きかったのだろう。
なので、アレックスは取りあえず後回しになった訳だ。
……正直なところ、ジムスナイパーⅡを始めとした諸々が盗まれたりしたら、スカーレット隊の方でも問題になってアレックスを搭載してさっさとソロモンに向かうのでは? という思いがない訳でもなかったのだが。
だが、クリスが言うにはアレックスの調整はあの工場にある機器がないと不可能……とまではいかないらしいが、色々と難しいらしい。
また、スカーレット隊の方でもまさかMSを奪われた件を表沙汰にしたりといったような真似は出来ず……それを考えれば、やはりアレックスを早期に収容するといった事はないらしい。
絶対確実にという訳ではないが、それでも結果としてそうなったのは事実だ。
そんな訳で現在の俺はグレイファントムの格納庫の中に影のゲートで入り込んでいる。
真っ先に収納するのは、ジムスナイパーⅡ……ではなく、予備部品の方だ。
ジムスナイパーⅡがなくなれば、MSである以上は当然のように大きな騒動になるだろう。
そして騒ぎになれば、他の補充部品諸々を収納するような真似も出来なくなる。
そんな訳で、まず最初に入手するのは推進剤。
これはぶっちゃけ、どのMSでも使えるので大量にあって、奪っても見つかりにくい。
……もっとも、当然の話だが見つかりにくいのは今だけであって、しっかりと残量とか数を確認するようになれば、当然のように足りなくなっているのは知られてしまうが。
とはいえ、ようは今すぐに見つからなければ問題はない訳で……推進剤の入ったタンクを空間倉庫に収納する。
さて、ここからは時間との勝負だ。
多分大丈夫だとはいえ、素早く終わらせるのに越した事はないのだから。
格納庫の中で、MS用の予備部品が置かれている場所に移動して手当たり次第に収納する。
もしサイクロプス隊で使わない部品があっても、ディアナの技術者ならそんな部品であっても色々と使い道を探してくれるだろうから、無駄になるような事がないのは助かる。
本当にどうしようもないのがあったら、それはキブツの材料として使えばいいだけなんだが。
予備部品を根こそぎ奪うと、次にジムスナイパーⅡの持つ武装や弾薬各種。
……この頃になると、格納庫の中が微妙に騒がしくなり始めた。
どうやら何らかの部品が必要になったメカニックが、予備部品のある場所に行ってしまったらしい。
タイミングを知っていれば、予備部品を奪うのをもう少し待っていたんだが……いやまぁ、ジムスナイパーⅡのビームライフルを始めとして各種ライフル系を奪った事で、騒動になるのは確実だっただろうけど。
そうして騒ぎになってしまった以上、もう遠慮する事はない。
影のゲートを使って移動し、ジムスナイパーⅡを2機、そしてついでに量産型ガンキャノンも2機空間倉庫に収納する。
本来ならジムスナイパーⅡを1機だけの筈だったのだが、ジオン軍と戦っている時に邪魔をされたりしたら、面白くないしな。
そんな訳で、グレイファントムから必要な物資を各種奪うと、俺は誰にも見つからないまま影のゲートでサイクロプス隊が拠点にしている工場に戻るのだった
「ふぅ」
イザークと名乗っている時に使っている仮面を外し、20代の身体から10代の身体に戻り、工場の中に入る。
工場の中では、現在サイクロプス隊の面々やクリス……そしてアルまでもが協力して、MSの修理を行っているところだった。
「戻ったぞ!」
俺の声が工場に響くと、その声を聞いていた者達全員の視線がこちらに向けられる。
……そんな中で、シュタイナーを始めとするサイクロプス隊の面々は、俺が特に何かを持っているように見えない事から、落胆の視線を向けてくる。
補充部品の類を持ってくると、そう自信満々に言っていた俺が、結局手ぶらで戻ってきた事に不満を抱いてるのだろう。
「アクセル、部品は?」
バーナード……いや、バーニィが俺にそう聞いてきた。
これは別にサイクロプス隊の面々を代表して……とかそういった気持ちからではなく、単純に疑問に思って聞いてきたのだろう。
「持ってきたぞ。推進剤とかMSとか、そういうのも一通りな」
「……どこに?」
疑問の視線を向けてくるバーニィに、俺は工場の中でも空いている場所まで移動してから口を開く。
「取りあえず、推進剤だ」
そう告げ、そこに推進剤がたっぷりと入ったタンクを空間倉庫から出す。
「うおっ!」
バーニィの驚く声が周囲に響く。
いや、バーニィだけではない。
見ていた者達全員の驚愕の視線が俺に向けられていた。
それは俺の能力を多少は知っているクリスですらも同然で、目を大きく見開いてこちらに視線を向けていた。
「推進剤は、連邦軍でもジオン軍でも変わらないから、取りあえずこのままでも問題はないだろ」
MSが動き回る為に必要な推進剤。
これは俺が言ったように、連邦軍でもジオン軍でも同じ物を使っている。
そういう意味では、MSの部品と比べても非常に流用しやすいと言ってもいいだろう。
そして推進剤のタンクから少し離れた場所に、これまたグレイファントムから奪ってきたMS用の補充部品の類を次々と出していく。
こちらは連邦軍製MSの物なので、そのまま流用出来る物もあれば、少し弄って流用する物だったり、ジオン軍のMSには完全に使えない物もある。
この辺、判断するのは色々と難しい。
サイクロプス隊の面々も、ある程度メカニックとしての知識を持っているとはいえ、あくまでもそれはある程度でしかなく、本職には遠く及ばない。
そんな時、役に立つのがクリスだったりする。
勿論クリスも本格的な意味でのメカニックではなかったが、それでもMSのテストパイロットとしてジオン軍のザクとかについても詳しいし、連邦軍の最新鋭MSについても詳しい。
サイクロプス隊の面々よりも、メカニックとしての腕は上だった。
そんなクリスからの指示や、シュタイナー達との意見を組み合わせて、MSの修理をしていく。
個人的に驚いたのは、それらの行為によって微妙にではあるがMSの性能が上がるという計算結果が出た事だろう。
連邦軍製MSの部品の精度がそれだけ高いという事の証だろう。
基本的にMSの技術ではジオン軍が10年先をいっているという話を聞く事があるが、これを見ると……一概にそうとは言えないんだよな。
ニュータイプ研究という意味では、ジオン軍の方が進んでるのは間違いないが。
とはいえ、そのジオン軍のニュータイプ研究も、ジオンの独立戦争が終われば連邦軍に接収されるのは間違いない。
そう考えれば、結果として連邦軍は実った果実を収穫するといった事になるんだろう。
当然のように、月としてもその辺りの研究データは得ておく必要がある。
元々月は、セイラ……いや、アルテイシアという強大なニュータイプが建国した国だ。
そうである以上、当然のようにニュータイプ研究においては最先端を行く必要がある。
2番目では駄目なのだ。
また、同時にフラナガン機関がやっていたように、被検者に対する虐待についても否定する必要がある。
……被検者が自分から望んでとまではいかないが、それでも気持ちよく研究に参加するのなら、それはニュータイプ研究がもっとスムーズに進められるのではないかと、そう思うんだが。
その辺はシーマやラルといった抜け目ない連中に任せておけば、多分大丈夫だろう。
あるいはニュータイプ研究をしている場所には、当然ニュータイプが……もしくはその候補がいる筈だ。
そうである以上、クスコ、マリオン、シャリアといったニュータイプ部隊の面々を連れていけば、ニュータイプ能力で相手の存在を察知出来る可能性も否定は出来ない。
ともあれ、それについてはまず今回の核ミサイルの一件をどうにかしてからだな。
そんな事を考えながらMSの修理を手伝い続け……ふと気が付けば、既に時間は夕方近い。
何だかんだと他の皆が作業に熱中してるのを見て、取りあえず夕食でも用意しようと判断する。
「クリス! ……ああ、悪い。話の途中だったか?」
クリスに呼び掛けようとすると、そこではバーニィがクリスと一緒にいるところだった。
何だかバーニィの顔が赤いんだが……もしかして、風邪とか言わないよな?
バーニィは現在の戦力という点では、この中で一番下だ。……アルを抜かせばだが。
ともあれ、そんなバーニィであってもMSを操縦出来るし、操縦の才能という点ではサイクロプス隊の者達すら上回る。
才能があるのだから、それを伸ばすには戦いを経験させる必要がある。
そんな訳で、バーニィが風邪を引いて今回の戦いに参加出来なくなるというのは……正直なところ、厳しい。
将来的なルナ・ジオン軍の利益の為にも。
「アクセル? どうしたの? ……私じゃなくてバーニィに用事?」
少しだけ不満そうな様子でそう告げるクリス。
クリスにしてみれば、自分の名前を呼ばれたのに俺の視線がバーニィに向けられているのが面白くないのだろう。
「いや、バーニィの調子が悪そうだからな。明日の出撃前に風邪でも引かれたら困ると思って」
「え? ……そうね。言われてみればちょっと顔が赤いかしら。大丈夫なの?」
「あ、うん。その……問題ないよ」
クリスの言葉にしどろもどろになるバーニィ。
本当に大丈夫なんだろうな?
そんな風にも思うが、それは今の状況で聞いても意味がないか。
「取りあえず、もう夕方近いし昼食……それと夜食も買ってくるよ」
正直なところ、本来なら明日には核ミサイルを阻止する為の行動に出る以上、今日はゆっくりと眠って体力を十分に回復して欲しい。
だが、そのような真似をするには、MSの修理を終わらせる必要があった。
……MSの修理が終わっても、部品を色々と変えた事によって調整の類もする必要がある。
特に連邦軍MSの部品を流用している以上、その辺りを疎かにすれば最悪の結果が待っている可能性があった。
だからこそ、その時の為の夜食だ。
ここは工場とかがある地域だけに、周辺に店とかはないんだよな。
スーパーの一軒くらいあれば、工場で働いている作業員とかが弁当を買ったりして儲けられると思うんだが。
もしくは、移動販売車とかが来るとかか?
「あ、本当? そろそろお腹が減ってきてたのよね」
クリスの場合、最後に食べたのは俺と一緒に店でだろうし。
……あ、でもあれから家に帰った後で何かを食べたり飲んだりした可能性はあるのか。
まぁ、クリスの場合は軍人として鍛えられている以上、太りにくいというのがあってこそ、こうして気軽に頼んでくるのだろうが。
ともあれ、俺はクリスに頷きシュタイナーにも声を掛けてから影のゲートを使ってその場から転移するのだった。
「まぁ、取りあえずこういうのでいいだろ」
購入したのは、ハンバーガーやフライドポテト、チキンナゲット等々のファーストフードの代名詞。
実際、気軽に食べることが出来るこれは、空腹を癒やすという意味では大きな意味を持つ。
そうして街中を歩いていると……連邦軍の軍人達の姿を多数見る。
それもかなり真剣な表情で、中立のサイド6の中だというのに、この様子だ。
これは恐らく……いや、ほぼ間違いなく俺がグレイファントムからジムスナイパーⅡやそれ以外にも諸々を奪った為なのだろう。
そんな連邦軍の軍人の様子を見ながら、俺は建物の陰に入って影のゲートで工場に戻るのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1190
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1617