転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2623話

「なぁ……俺が言うのもなんだけど、あの男は一体何者だ? 中古とはいえ、こんな宇宙船を入手するともなれば、相当の金額だぞ?」

 

 貨物船の類ではなく、パイロットも合わせて10人も乗れないような小型の宇宙船。

 だが、空間倉庫の中にMSやら何やらが入っている以上、ぶっちゃけ移動する際に必要なのは人間の移動手段だけだ。

 そういう意味では、この小型の宇宙船……いや、小型のクルーザー? 連絡船?

 ともあれ、そんな感じの小型の宇宙船で十分なんだが、それでも宇宙船である以上は当然のように高い。

 中古であっても、そう簡単に入手出来る訳ではないし、何より今回の件が終われば破壊される可能性も高いのだ。

 用意してくれと言われて、はいそうですかと用意出来る物ではない。

 

「協力者だよ。俺の古い友人でもあるがな。リボーが気に入ったらしく、上からは避難するように言われているのにまだ残っているらしい。それで、リボーが救われるならという事で協力してくれた」

 

 そう告げるシュナイダーは、どこか得意げだ。

 リボーでは俺に色々と驚かされたから、俺を驚かすという事を嬉しく思っているのだろう。

 実際、助かったのは間違いないので、突っ込んだりはしないが。

 

「そうか。……いい友人を持ったな」

「ああ。それで作戦だが……今回の一件で出て来る戦力は相応に多い」

「だろうな。それはリボーの周囲で戦いが行われた件で理解している」

 

 元々俺がこのリボーにやって来る事になったのは、リボー周辺で戦いが起きた為だ。

 

「ああ、MSの部品とかを運び込む為の陽動の……」

 

 ガルシアが俺の言葉にそう告げる。

 なるほど。今更……本当に今更の話だが、どうやらそういう理由だったらしい。

 陽動だからこそ、ジオン軍は本気で戦っておらず、現在も戦力は相応に残っているのだろう。

 厄介ではある。

 

「ともあれ、敵の数が多い以上はこっちもかなり無理をする必要がある。そうなると、アクセルのアレックスが主力になる訳だ」

「だろうな」

 

 シュタイナーの言葉に頷く。

 バーニィが若干不満そうな様子を見せてはいるが、それでも俺がアレックスで……それもコロニー内部だった為にビームライフルを使う事も出来ず、バルカンとビームサーベルだけで4機のMSと互角に戦ったというのは理解しているのか、不満を口にする事もない。

 実際、バーニィはともかくそれ以外のサイクロプス隊は全員が精鋭と呼ぶに相応しいだけの実力を持っている。

 そうである以上、不満を口にする事は出来ないのだろう。

 

「そうなると部隊は2つに分けるのか? ……そもそも、色々と疑問だったんだが、なんでサイクロプス隊は4人なんだ? ジオン軍のMS小隊は、基本的に3機で1小隊だろ?」

「上から睨まれていたからな。色々とあるんだよ。それに、決して基本が全てという訳じゃない」

 

 シュタイナーのその意見には、取りあえず納得しておく。

 実際、3機で1小隊というのはジオン軍がMSの戦術を考える上で最善と判断した数だ。

 だとすれば、サイクロプス隊のような精鋭部隊……そして特殊部隊ともなれば、色々と特殊な組み合わせであってもおかしくはない。

 

「アクセル、言っておくけど連邦軍も基本的に3機1小隊よ」

「だろうな。基本的にMSに関する戦術はジオン軍に習っている以上、ジオン軍と同じになるのは当然だろ」

 

 もっと時間があれば、4機1小隊、もしくは2機1小隊といったようになったかもしれないが、連邦軍はMSの運用やら何やらではどうしても時間を掛けて蓄積されたデータの存在するジオン軍には劣ってしまう。

 それを考えれば、ジオン軍と同じようにするというのは当然だろう。

 これで国力が大差なければ、二番煎じという感じで連邦軍が不利になるのかもしれないが……ジオンと連邦だと、その国力差は10倍とも30倍とも、もしくは何百倍とも言われてるしな。

 少しくらい後追いだったり二番煎じだったりしても、そのくらいの国力差があれば物量でどうとでもなるという事だろう。

 

「ともあれ、部隊は……俺とクリスで1部隊、サイクロプス隊でもう1部隊という感じでいいか?」

「それで構わんよ。……だが、アクセルの方は人数が足りないが大丈夫なのか? バーニィを貸してもいいが」

 

 シュタイナーのその言葉に、バーニィが微妙な……嬉しそうでありながら残念そうな、そんな表情を浮かべる。

 バーニィにしてみれば、自分が俺達と一緒に行動するという事は、サイクロプス隊の中で腕が劣るから外されるといった感じがするのだろう。

 また、その好意が友情なのか、男女間の好意なのかは分からないが、クリスを見る目は熱い。

 ぶっちゃけ、俺から見てもクリスに対して好意を持っているのは丸分かりだ。

 ……その辺をガルシアにからかわれていたのを見たし。

 とはいえ、クリスの方はバーニィに対して特に何も思っていないらしいが。

 

「私とアクセルだけでいいわ。アクセルだけなら、乗り慣れないジムスナイパーⅡであっても援護に専念出来るけど、人数が増えると……1発だけでも誤射は怖いでしょう?」

 

 そう告げるクリスだったが、実際にはアレックスのテストパイロットをやってくらいなんだから、ジムスナイパーⅡも十分に乗りこなせるような気がするんだが。

 そんなクリスとは裏腹に、バーニィの方は少しショックを受けた様子を見せている。

 男女的なものかどうかはともかくとして、好意を抱いている相手から自分はいらないと言われてしまえば、そのように思うのも当然だろう。

 実際には、クリスはそういう意味で断った訳ではなく、あくまでも冷静に現在の状況を考えて断ったと思うのだが……この辺、エリートな為か男心をあまり理解出来ていないんだよな。

 とはいえ、それで悔しければバーニィがクリスにそんな事を言われないようになればいい訳で……バーニィがクリスを振り向かせる事が出来るかどうかは、それこそこれからの行動次第といったところか。

 

「なら、俺とクリスで1部隊、サイクロプス隊で1部隊。それでいいな? ただし、補給用の推進剤とかは殆どないから、その辺には気をつけろよ」

 

 正確には、連邦軍から奪ってきた推進剤の類はあるし、弾薬の類もある。

 ただ、それがあるのはあくまでも俺の空間倉庫の中なのだ。

 母艦か何かがあれば、これをどうにか出来たのだろうが……用意されたのは、俺達がこうして乗ってるだけで結構ギリギリといった大きさの宇宙船だ。

 それこそ、多分これは実際には宇宙艦同士の連絡船として使われているような、そんな宇宙船なのだろう。

 当然のようにMSの整備や補給が出来るような余裕もないので、俺の空間倉庫から推進剤や弾薬の類を出しても意味はない。

 どうしてもというのなら、宇宙空間に浮かべておくとか、どこかにデブリが浮いてればそれを目印に置いておくとかも出来るんだが……それがジオン軍の連中に見つかれば、補給しているところを狙われたり、最悪奪われたりとかしそうだし。

 そうなったら、こっちの利益にならないだけじゃなくて敵の利益になってしまう。

 そうならないようにする為には、やはり最初から使わない方がよかった。

 ……アレックスのビームライフルの方は、まだ予備が幾つかあるし。

 正確にはEパックという名称らしいが、それも相応にある。

 また、ビームライフル以外にバズーカもあるので、取りあえず攻撃力という点では心配いらない。

 クリスの話を聞く限りでは、このバズーカもアレックス専用に開発された物で、ジムとかが使っている物とは違うらしい。

 具体的には敵を狙うためのスコープ部分に防御力を高める為の装甲板が装備されているのが、外見では大きく違う。

 外見で違うのはそれだけだが、内部でもそれなりに改良はされていて、使い勝手がよくなっているらしい。

 とはいえ、ぶっちゃけ俺は基本的にバズーカ系はあまり使わないしな。

 今回は色々と武器に制限があるから、使える武器はどれも使うつもりだが。

 

「っと、どうやら向こうに発見されたようだぞ。停止命令が出されている」

 

 ガルシアのその声に、皆が緊張する。

 停止命令が来たという事は、当然のようにこの宇宙船がジオン軍の艦隊に向かって近付いているという事を意味しているのだ。

 ……ある意味、レーダーとかで確認しなくてもいいだけ、マシだろう。

 

「ミノフスキー粒子は?」

「たっぷりと撒かれてるよ。それこそ、ここからリボーに通信しようとしても届かないくらいにな」

 

 それは運がいいのか、悪いのか。

 ともあれ、ぶっちゃけミノフスキー粒子散布領域内にいるジオン軍を全て倒してしまえば、援軍を要請するような真似も出来ない。

 また、このジオン軍の件がリボーや……サイド6に知られないというのは、大きい。

 恩を着せるという意味では、この戦闘を見せた方がいいんだろうが……何しろ、アレックスやジムスナイパーⅡといったような連邦軍の最新鋭機が、ジオン軍の最新鋭機と協力して戦うのだ。

 それを第三者に見られるのは、色々と不味い。

 いやまぁ、最悪ルナ・ジオン所属という風にすれば、そこまで大きな騒ぎになったりはしないんだろうが。

 実際、ルナ・ジオン軍は基本的にはジオン軍系のMSを運用しているものの、連邦軍系のMSも現在研究中だし。

 そう考えれば、今回の一件においても誤魔化せる。

 ……クリス達もこの一件が終わったら月に行くので、誤魔化すという表現は微妙に違うのかもしれないが。

 

「ともあれ、そろそろ準備開始だ。ジオン軍からの通信が入ったって事は、すぐここにやって来るだろうし」

 

 そんな俺の言葉に従い、全員が――俺も含めて――パイロットスーツのヘルメットを被り、宇宙船から出る。

 本来なら、混沌精霊の俺はパイロットスーツの類がない状態で宇宙に出ても、全く問題はない。

 だが、取りあえず今はその件を隠しておいた方がいいと判断し、こうしてパイロットスーツを着ていた。

 まぁ、俺が人間ではないと知って混乱して、疑心暗鬼に陥ってこっちに攻撃をしてくるといったような真似をするよりは、多少動きにくくてもパイロットスーツを着ておいた方がいいという判断だ。

 そうして全員で避難用の扉から出ると、俺はすぐに空間倉庫からザク改、ゲルググイェーガー2機、ケンプファー、ジムスナイパーⅡ、アレックスを取り出す。

 クリスやシュタイナー達が気が付いたかどうかは分からなかったが、宇宙船に近付いてきた光が一瞬動揺したように動いたのが見えた。

 あれが、先程こちらに停止するようにと命令を出していたMSだろう。

 ジオン軍の艦隊に近付いてくる宇宙船がいるからという事で近付いてきてみれば、何故かいきなりMSが姿を現したのだから混乱して当然だろう。

 おまけに、俺達が乗っていた宇宙船はとてもではないがMSを搭載出来るような大きさではないのに、MSが6機……更にはそのMSがジオン軍と連邦軍の双方の物であるとなれば、それで混乱するなという方が無理だった。

 

「急げ。敵はこっちに近付いてきているぞ。幾ら高性能MSがあっても、パイロットが乗らないと意味はない」

 

 通信でそう告げながら、俺もアレックスのある方に向かう。

 そうしながら周囲の様子を見ると、やはりと言うべきか宇宙空間の中で一番動きがよかったのはサイクロプス隊の面々だ。……ただし、バーニィ除く。

 クリスもエリートだけあって、かなり動きはスムーズだったが、それでもやっぱり経験には敵わないという事だろう。シュタイナー達サイクロプス隊の面々には及ばない。

 そして予想はしていたが、一行の中で一番動きが鈍かったのはバーニィ。

 だが、高校を卒業してすぐにパイロットとして招集されたらしいから、ろくな訓練も受けていないと考えれば……寧ろこれは健闘している方だろう。

 ともあれ、俺はアレックスに乗り込むと機体を起動させていく。

 リボーでも乗った事があるし、なによりMSの操縦はジオン系も連邦系もそう変わらない。

 ガンダム7号機のように多機能だったりすれば、色々と独自の操作系があったりしてもおかしくはないが、幸いにしてアレックスは特殊なシステムはないオーソドックスなMSだ。

 ……敢えて特殊な場所となるとチョバムアーマーだが、このアレックスはチョバムアーマーを着ていないし。

 あ、前腕部のガトリング砲は一応特殊な武器に入るか?

 そう思っていると、こちらに近付いてくるジオン軍のMSの速度が急激に上がったのが見て取れる。

 最初は何故ここにMSがいるのかが分からなかったのだろうが、ともあれMSを撃破してしまおうと、そう考えての行動なのだろう。

 

「敵が来るぞ、急げ、急げ、急げ!」

 

 まだコックピットに取り付いたばかりのバーニィを、通信で急かす。

 急かしながら他の面々の様子を見ると、幸いにしてバーニィ以外はもう全員がMSに乗り込む事に成功していた。

 そして、バーニィもようやくコックピットに乗り込み……

 

「よし、出撃する」

 

 バーニィのザクはまだ完全に起動はしていなかったが、そう告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1190
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1617

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