転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2637話

「うーん……これは普通のMAじゃないですね」

 

 カトンボにいるメカニック……ディアナの技術者にエルメスの映像を見せてみたが、返ってきた言葉はそれだった。

 

「普通じゃないと言ってもな。MAはそもそも普通じゃない姿をしてるだろ?」

「そうなんですけどね。それにしても、大きすぎます。リックドムⅡとの比較を見れば……これは、MAというよりは宇宙用の艦艇と言ってもいいくらいの大きさですよ?」

「まぁ、それは否定しない」

 

 実際、エルメスはかなりの大きさを持つ。

 それこそ、ルナ・ジオン軍で量産されているMAのビグロと比べても、圧倒的なまでの大きさを持っている。

 

「普通に考えれば、ここまでMAを大きくする必要はない筈です」

「それを言うなら、チェンバロ作戦の時に出て来たビグ・ザムはどうなんだ? それこそ、このエルメスよりも巨大だと思うけど」

「ビグ・ザムとこのMAでは、コンセプトが違いますよ。ビグ・ザムは、基本的に拠点防衛用……もしくは、拠点攻撃用です。ですが、このMAは明らかに普通の戦闘に使うような代物です」

 

 その言葉には、強い説得力がある。

 実際、エルメスが使っていたビーム砲は、サラミスやマゼランといった軍艦を破壊するだけの威力はあったが、ビグ・ザムが持っていた圧倒的なまでの……それこそ、アプサラスⅢを上回る威力を持つメガ粒子砲に比べれば、貧弱と言うしかないのだから。

 

「そうなると、やっぱり特殊なシステム……ニュータイプ用のシステムを搭載していて、それを小さく出来なかったから、エルメスは巨大になったのか?」

「多分、そうなるのでは? 残念ながら、私は技術者であってもニュータイプ研究については詳しくないので何とも言えませんが。アクセル代表が確保したというビーム砲を調べれば、何か分かるかもしれませんが」

「それは……止めておいた方がいいだろうな」

 

 個人的には調べて欲しいとは思う。

 だが、ここはソロモンなのだ。

 エルメスを操縦していたニュータイプの攻撃範囲内である以上、ここで迂闊に空間倉庫からビーム砲を出せば、最悪この中で好き放題に暴れるといった可能性も否定は出来ない。

 ニュータイプが撤退した以上、その可能性は低いと思う。思うが……低いというのは、絶対であるという訳でもないのだ。

 そうである以上、俺はここでビーム砲を出すような真似はしたくなかった。

 

「そうでしょうね」

 

 俺と同じ結論にいたったのか、残念そうに呟く男。

 ニュータイプ研究について詳しくなくても、技術者として未知の技術は知りたいと、そう思うのは当然だろう。

 ディアナで働いていれば、未知の技術に携わることは珍しくない。

 俺が持ち込んだ連邦軍の最新鋭機とか……もしくはジオン軍の最新鋭機とか。

 今回の例で言えば、アレックスが持っていたビームライフルがそんな感じだろう。

 Eパックを使う事により、ビームライフルがエネルギー切れになっても充電をする必要がなくなるというのは、大きな意味を持つ。

 俺としては、シャドウミラーで使われているような、動力炉から直接エネルギーを貰う方が便利だと思うが。

 ルナ・ジオン軍には、ギニアスというゾックの動力炉を小型化して水冷式ではなく空冷式にしてアプサラスⅢで運用可能にした人物もいるんだし。

 とはいえ、動力炉だけでどうにか出来る訳ではない以上、他にも色々と技術が必要なのだろう。

 

「ともあれ、そうなると……ニュータイプ用のMAの件なんだし、月にいるニュータイプ研究所の連中に聞いた方が手っ取り早いか」

「そうした方がいいかと」

 

 そう言いながらも、技術者は俺から離れるような真似はしない。

 自分の知らない技術を知る事が出来るのだから、ここで自分も話を聞かないという選択肢はないのだろう。

 ……それでいながら、他の技術者達を呼ばないのは、その技術についての話を聞く時に、他の者達がいれば邪魔になるからと判断した為か。

 ともあれ、技術者に若干引っ張られるようにして、格納庫の端まで移動すると、通信機を取り出す。

 

『あら、アクセル。何かあったの?』

 

 空中に浮かんだ映像スクリーンに表示されたセイラが、紅茶を飲みながらそう尋ねてくる。

 どうやら、お茶の時間だったらしい。

 

「ジオン軍がニュータイプ用のMAを出してきてな。それでソロモンにいる連邦軍は結構な被害を受けている。それで、このMAについてニュータイプ研究所に聞こうと思って。……セイラも興味はあるだろ?」

 

 セイラは、現在このUC世界において最高のニュータイプだ。

 ……セイラに匹敵するかもしれないニュータイプもいるが、それでも今はまだセイラの方が上だ。

 そんなセイラだけに、ニュータイプ用MAには興味があるだろうし……何より、自分がニュータイプであるだけに、この辺の話はセイラにもしておいた方がいい。

 それに、以前セイラは自分が戦場に出る事も考えているといったように言っていた。

 だとすれば、MSよりも性能が上のニュータイプ用MAの方が安全性は高い筈だ。

 ビグ・ザムのバリアを採用出来れば、文句はないな。

 

『興味深いわね。……ちょっと待ってちょうだい。ニュータイプ研究所の方に通信を回すわ』

 

 そう言い、映像スクリーンに映し出される映像が変わり……やがて、シムスが姿を現す。

 またシムスか。

 別にニュータイプ研究所には、シムス以外に人がいない訳ではない。

 だが、それでも何故かシムスがこうして俺に説明する為に出て来るのは……それだけシムスが有能だからか、それとも俺と顔見知りだから押しつけられているのか。

 何となく後者な気がするな。

 ニュータイプ研究所の研究者の大半は、サイド6のフラナガン機関の研究所で確保した中で、子供達に虐待をしていないか、していても比較的軽い相手が主だ。

 シムスも、俺に対しては決して友好的な感情を抱いてるとは思えないんだけどな。

 それに、以前少し話を聞いた時、シムスは自分の研究に熱心で他の事にはあまり興味を持っていなかったという風な話も聞いている。

 だとすれば、エルメスについても知らない可能性の方は強いと思うんだが……まぁ、聞くだけ聞いてみるか。

 

「久しぶり……という程には時間は空いてないな」

『そうですね。それで、今日は一体? 私に何か聞きたい事があるとの話でしたが』

「正確には、シムスという訳じゃなくて、ニュータイプの研究者だな。……これを見てくれ」

 

 そう言い、アムロから貰ってきたエルメスの映像を表示する。

 

『これは……』

「ニュータイプ用のMAだ。多分、以前聞いたエルメスだと思う。ブラウ・ブロは有線のビーム砲を使っていたが、こちらのエルメスはこれまた以前聞いたように無線のビーム砲台を使って攻撃をしてきた。有線じゃないからこそ攻撃可能範囲もかなり長い。ソロモンのシステムでは確認出来ないくらい遠くから、何隻もの軍艦を撃破するだけの戦果を挙げている」

 

 その言葉に、シムスの表情は厳しいものになる。

 ……当然か。シムスが開発していたブラウ・ブロは、有線のビーム砲を使うMAだったが、まだ完全に完成したとは言い切れない様子だった。

 その最終調整中に、俺と遭遇したといった感じだったのだ。

 だというのに、エルメスは有線ではなく無線と、明らかにブラウ・ブロよりも進んだ技術を持っていながら、その機体は完成していたのだ。

 それを考えれば、ブラウ・ブロの開発者たるシムスがエルメスというMAを見て、色々と思うところがあるのは当然の話だった。

 ……これが果たして吉と出るか、凶と出るか。

 その辺は、俺にとっても正直微妙なところだろう。

 

「このエルメスについて、以前聞いた話よりも何か詳しい話は知ってるか?」

『いえ。以前も言ったと思いますが、私は自分の研究に集中していたので、他の研究者との接点があまりありませんので』

 

 なるほど。他の研究者とほぼ繋がりのなかったシムスですら知ってるとなると……エルメスは、フラナガン機関ではそれなりに有名だったという事か。

 実際、今までの戦果を考えれば、納得出来るものがある。

 

「研究に熱中してるとなると、それもしょうがないか。……ああ、それとこのエルメスが使っている無線のビーム砲台を確保したんだが……」

『ビットをですか!?』

「……なるほど。あのビーム砲台はビットと言うのか。取りあえず、今度からはそちらの名称を使わせて貰う」

 

 エルメスという名前しか知らない筈なのに、何故ビットという名称を知っているんだ? と疑問に思ったが、取りあえずそれはいい。

 シムスにも、色々と言えないような何かがあっても、おかしくはないのだから。

 

「で、そのビットだが……現在、俺がブラウ・ブロを収納した空間倉庫の中に入れてあるんだが、それをソロモンで出すのは危険か?」

『それは……どうでしょう。正確なところまでは分かりませんが、それでもソロモンに攻撃をしてきたというのであれば、止めておいた方がいいかと』

 

 どうやら、シムスの意見も俺と同じらしい。

 俺の近くにいたディアナの技術者が、心の底から残念そうな表情を浮かべていたが……まぁ、この件はシムスの言葉に従った方がいいだろう。

 

「なるほど、分かった。なら俺が確保したビットに関しては、月に帰ってから研究して貰うとして……このビットで、どういう技術が入手出来るか、予想出来るか?」

『そうですね。やはりミノフスキー粒子散布下の中、無線がない状態でどうやってビットを動かしているのかが気になります。恐らくビットを調べれば、その辺の技術を完全にとは言いませんが、幾らかは入手出来るかと』

「幾らか、か。完全には無理か?」

『ビットにあるのは受信機だと思われます。勿論、こちらの技術も必要ですが、この場合より重要なのは発信器の方ですので。それに……ビットは敵を攻撃するという関係上、敵に近付きます。だとすれば、そこで相手に鹵獲されるという危険はあるかと』

 

 なるほど。この辺りもシムスは俺と同じ考えな訳か。

 まぁ、普通に考えて敵に鹵獲される危険を考えれば、そこに重要機密を使ったりはしないよな。

 もしその場合は自爆装置……待て。

 俺の場合は空間倉庫にそのまま収納したから、もし自爆装置の類があっても問題はないが、それはあくまでも時間の流れが止まっている空間倉庫の中に入っているからの話であって、もし空間倉庫から出したりしたら……その場で爆発するという可能性は否定出来ないのではないか?

 

「ビットに自爆装置があるかどうかは、分かるか?」

『え? ……その可能性は、ないとは言えませんね……』

 

 これはシムスにとっても予想外だったのか、戸惑ったようにそう告げる。

 今まで気が付かなかった俺もそうだが、ジオン軍にとって最先端技術がそこにある場合、自爆するといったようなことは、あってもおかしくはないのだ。

 ……それをシムスが想像出来なかったのは、性格的なものだろう。

 研究者だからという事であれば、それこそ自爆装置はロマンだと思ってるような奴もいたりするし。……いや、それは置いておこう。

 

「そうなると、もし月で研究する場合でも、一旦どこか別の場所で取り出してみて、自爆しないかどうかを確認する必要があるか。……面倒だが」

『そうですね。その方がいいかと』

 

 シムスも俺の言葉に同意する。

 

「なら、ビットの件はそれでいいとして……ニュータイプ研究者として、エルメスと戦う時に何らかの注意点はあるか?」

『エルメスについては、殆ど何も知らないので、何とも言えません。ただ、ビットをコントロールしているとなると、そちらに意識を割く必要があると思います。そうなると、エルメス本体の操縦は決して簡単なものではない筈です』

 

 そうなのか、と。

 シムスの言葉にそんな疑問を抱く。

 だが……考えてみれば、そこまでおかしな話ではないのか?

 俺の場合は、同じような武器のファントム48基全てを自由に使いながら、普通にニーズヘッグで戦闘が出来る。

 だが、これはあくまでもT-LINKシステムと俺の相性がいいし、その上でシャドウミラーの技術力が高いからこそ出来る事だ。

 この手の武装の研究が始まったばかりと言ってもいいUC世界においては、寧ろビットを使えるようになっている時点で凄いのかもしれないな。

 つまり、それだけエルメスを操縦しているニュータイプは優秀だという事だろう。ニュータイプだけではなく、MAのパイロットとしても。

 そういう奴こそ、出来ればこちらで確保したいところなんだが……それもまた、難しいだろうな。

 フラナガン機関でも、裏切る可能性があるニュータイプを戦場に出してきたりはしないだろうし。

 あ、でも護衛と思っていたMSは、実は護衛であると同時に見張りでもあるのか?

 そんな風に考えながら、俺はシムスとの話を暫く続けるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1205
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1620

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