転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2638話

『武器の名前がビットか。それと、ビットを使っている時はMA本体の方はそこまで集中してコントロール出来ない。……結局分かったのはそれだけか? 例えば、そのエルメスに乗っているパイロットについてとかはどうだ?』

 

 ブライトの言葉に、首を横に振る。

 これは隠している訳でも何でもなく、純粋にそれについての情報をシムスが知らなかった為だ。

 研究一筋だったシムスは、同じフラナガン機関の研究者であっても、親しく付き合っている相手はいなかった。

 これは女として付き合っている相手がいないという訳ではなく、単純に友人としても付き合っている相手は少なかったらしい。

 そうである以上、俺が欲している情報は持っていなかった。

 これでシムスがもっと社交的な性格をしているのなら、色々と深い情報を入手出来たのかもしれないが……いや、その辺は今更の話か。

 もしシムスが社交的な性格をしていれば、それこそシャリアとの実験で他にも協力者がいて鹵獲出来たとは限らないし。

 そう考えれば、寧ろシムスが社交的ではなかった事を喜んだ方がいい。

 

「いや、そっちの情報はないな。それでも情報が入手出来たのは、そっちにとっても利益になったんじゃないか?」

『利益になったのは事実だ。MAや武器の名前を知る事が出来たのも大きい。だが……それでもやはり、出来ればもっと色々な情報を欲しかったというのが、正直なところだな』

 

 ブライトにしてみれば、もっと色々な情報が欲しかったという事か。

 ホワイトベースの艦長としては当然だろう。

 エルメスは軍艦にとってはかなり相性の悪い相手だ。

 その上で、ホワイトベースはアムロがエルメスを見つけた件もあって、またエルメスが出て来た場合は、出撃する事になるだろう。

 だからこそ、ブライトとしては少しでも多くの情報を欲していたという事だろう。

 

「悪いが、こっちも出せる情報は全て出した。……実際に戦う上での役には……」

『待って下さいアクセルさん! 本当に、その……エルメスのパイロットについての情報はないんですか!?』

 

 そう言って俺の言葉に割って入ったのは、アムロ。

 それこそ、ブライトを押しのけるような形で割って入ってきたのだ。

 ……ブライトが眉を顰めているが、それに気が付いているような様子もない。

 何を思ってこんな真似をしたのかは分からないが。

 それだけエルメスのパイロットに対して、何か思うところがあったりするのか?

 そう思わないでもなかったが、アムロの真剣な様子を見る限りではからかうような真似は出来ないな。

 

「ああ、こっちの情報源も限られている。……考えてみれば当然の話なんだが、エルメスやそのパイロットというのは、ジオン軍にとっても重要機密だ。それを思えば、簡単にその手の情報を入手する方が難しいだろ」

『それは……』

「ともあれ、ビットを使っている間はエルメス本体の操縦はどうしても疎かになってしまう。今はそう思って対処してくれ」

『……分かりました』

 

 言葉では分かりましたと言ってくるアムロだが、実際にその言葉に本当に納得しているのかと言われれば、正直微妙だろう。

 とはいえ、アムロも現状ではこれ以上食い下がるような事は出来ないと理解しているのか、大人しく下がる。

 ブライトの様子を見る限りだと、この通信が終わった後で叱られるのは、ほぼ間違いないだろう。

 始末書辺りが妥当なところか?

 

「それで、どうする? 相手の正体は分かったが、俺もまたそっちに向かうか?」

 

 個人的には、ビットはもう幾つか入手したいので、出来ればまたホワイトべースの方に回りたい。

 だが……問題なのは、エルメスが次にまたいつやって来るのか分からないという点なんだよな。

 ビットを通して俺と接触した以上、向こうのパイロットが受けた衝撃はかなり大きい筈だ。

 それを克服するのに、一体どれくらいの時間が掛かるか……

 アムロの様子を考えれば、そう簡単にはどうこう出来ない筈だと思う。

 ただ、それはあくまでも俺の予想であって、実際にどうなるのかはそれこそ個人差があるだろうけど。

 

『いや……アクセルには、そっちにいてくれ。こっちはこっちでやる』

「……いいのか?」

 

 エルメスが出て来れば、アムロはそれに対処する必要がある。

 だがそうなると、ビットに関しては誰が対処するのか。

 勿論、ホワイトベースにはユウのような腕利きで高性能なMSに乗ってる奴もいるが……ビットがファントムと同系統の武器だとすれば、それこそ多数存在してもおかしくはないし、実際に俺がビットを確保した時の戦闘で、多数の存在を確認している。

 そうである以上、ユウだけでどうにかなるかと言われれば……正直、難しい。

 MSが攻撃している間に、ホワイトベースに向かってビットが攻撃をしてくれば、それで撃沈される可能性が高いのだから。

 

『ああ。敵の正体が知れた以上。それに対抗する手段を探すことも出来る。上の方でも色々と考えるだろうし』

 

 そう断言するブライトを見る限り、本気で俺がいなくても何とかなると思っているらしい。

 自分達でどうにか出来るという考えもそうだが、やはりこれはあまり俺達から手を借りたくないという思いもあるんだろうな。

 エルメスに関する情報についても、結局俺が教えたんだし。

 

「分かった。そっちがそれでいいのなら、俺もそれで構わない」

 

 連邦軍側が手柄を奪われたくないと言うのなら、それに協力しているこちらとしても、それに反論は出来ない。

 いざとなったら……それこそ、何かあったらまたこっちに話を持ってくるだろうし、こっちはそれを待っていればいい。

 ホワイトベースだけでエルメスを倒せるのなら、それはそれで構わないが。

 

『任せて貰おう』

 

 自分に言い聞かせるようなブライトの言葉と共に、通信が切れる。

 ブライトにしてみれば、本当に自分達だけで倒せるのかといったような心配もあるのだろう。

 まぁ……エルメス本体にはアムロがいるし、ビットの方はユウを始めとした腕利きのMSパイロットがいるから、何とかなりそうな気はするのだが。

 ただし、それはあくまでもエルメスが単機で……それこそ、他にMSがいるとしても、エルメスの護衛のMSが数機程度ならの話だが。

 その上で、エルメスの護衛をしているMSパイロットの技量がそこそこ程度なら、アムロがいれば何とかなるだろう。

 最初はエルメスのパイロットはシャアかもしれないと思っていたが、ビットを通じて接触した感じでは、ニュータイプはシャアではなく女だというのがはっきりとしている。

 ……護衛のMSがシャアだったりしないだろうな?

 それにしても、ニュータイプというのは女の方が多いのか?

 いやまぁ、アムロ、シャア、シャリアといった男の面々もいるし、奇跡の子供達の3人の中の1人も男だ。

 だが……逆に言えば、それ以外の大半は女のニュータイプなのだ。

 フラナガン機関の研究所から救助した子供達も含めて、ニュータイプの素養を持っている男女比は……3:7、もしくは2:8といった感じに思える。

 あくまでも俺の印象だったり、現時点で判明している限りなので、もしかしたら正確には違うかもしれないが。

 まぁ、ニュータイプに関しては興味深いけど、その辺の研究はニュータイプ研究所に任せておけばいい。

 ディアナで生み出された技術もそうだが、ニュータイプ研究所で得られたデータに関しても、それは当然シャドウミラーに提供される事になる。

 これは、シャドウミラーがルナ・ジオンの後ろ盾である以上、当然の事だった。

 個人的にはそこまで気にしてはいないんだが、シャドウミラーがルナ・ジオンの後ろ盾になる以上、相応の利益が必要となるのも事実だ。

 そうでなければ、他の世界の諸々の勢力が不公平だと思うと、そう政治班の面々に言われてしまえば、俺としてもそれに否は言えない。

 いや、無理に言おうとすればどうにかなっただろうが、客観的に見た場合そっちの方がいいのは、間違いのない事実だったのだ。

 

「さて、後は……」

 

 これからどうするべきか。

 そう考え……そう言えば、クリスの模擬戦はどうなっているのかと、そう疑問に思う。

 クリスと一緒にソロモンに戻ってきてから、ずっとシーマに任せっぱなしだった。

 そろそろ一度どんな感じなのか様子を見に行こうと判断し……ルナ・ジオン軍の中でもエース級と呼ばれる面々が溜まり場にしてる会議室に向かうのだった。

 

 

 

 

 

「おう、アクセル。お前の連れて来たお嬢ちゃん、凄いな」

 

 ラルが俺の顔を見ると、感心したようにそう言ってくる。

 それだけではなく、黒い三連星の面々だったり、ガトーとその仲間達だったり、シャリア、マリオン、クスコの3人だったりと、多くの者達が会議室の中にいて、そこにある映像モニタを眺めている。

 ……捕虜の筈のマツナガまでいるのは……いやまぁ、コバッタもいるし、ここにいるのはルナ・ジオン軍の面々だけなので、問題はないと思うのだが。

 

「クリスの事か?」

「ああ。見るといい」

 

 そう言い、ラルは映像モニタの前という特等席を俺の為に空ける。

 顔見知りの面々に挨拶をしながらその場所に座ると、映像モニタでは数機のヅダがジムと模擬戦を行っていた。

 

「……って、ジム? 連邦軍か?」

 

 てっきりヅダ同士、ルナ・ジオン軍同士で模擬戦を行っていると思っていただけに、この展開はかなり予想外だ。

 

「あのクリスとかいうお嬢ちゃんは、かなりの腕利きだったらしくてな。エース級とまではいかないが、ベテランくらいの実力は持っていたんだ」

「あー……だろうな」

 

 元々、クリスはアレックスのテストパイロットをやっていただけあって、MSの操縦技術は高い。

 ヅダというツィマッド社系のMSの操縦に少し苦戦したかもしれないが、それに慣れれば……それこそ、シーマに憧れて入隊した連中は勿論、ジオン軍から連邦軍に亡命なり移住なりしてきたMSパイロットでも、クリスと互角の技量を持つ者はそんなに多くはないだろう。

 勿論、そこに異名持ちだったり、パーソナルカラーを許されていたエースパイロットだったりが入ってくれば、話は別だが。

 

「そんな訳で、海兵隊の中でもお嬢ちゃん……いや、クリスと互角に戦える奴はあまりいなくてな。折角だからということで、連邦軍のMS隊に模擬戦を申し込んだ訳だ」

 

 ラルの説明で、何故こうなっているのかは普通に理解した。

 それこそ、連邦軍にとってこの申し出は渡りに船だっただろう。

 元々連邦軍のMSパイロットの技量は、平均してジオン軍よりも低い。

 そういう意味で、MSの模擬戦を行うというのは、練度を上げる為に丁度いいのだ。

 同時に、ルナ・ジオン軍の現在の主力量産機たるヅダの性能を把握出来るという意味でも、この模擬戦は意味がある。

 まぁ、実は次期量産機が開発中だというのは……取りあえず置いておくとして。

 

「殆ど一方的だな」

 

 その言葉通り、模擬戦は一方的にルナ・ジオン軍の方が押していた。

 クリスと他の2機のヅダという、普通の3機1個小隊が、ジム6機という倍の相手と模擬戦をしているにも関わらず、だ。

 クリスと小隊を組んでいる2人は、決して腕利きという訳ではない。

 いや、ジムのパイロット達に比べれば腕は上だが、それでも数の差を覆す程ではない。

 そんな状況で互角に戦えているのは、クリス本人の操縦技術もあるが……それよりも、クリスが味方の指揮を上手い具合にとっているからというのが大きい。

 結果として、クリスの技量と指揮能力が上手い具合に嵌まり……自分達の倍の6機を相手に、ヅダが圧倒していた。

 にしても……クリスも元連邦軍だというのが向こうに知られると、色々と不味いと思うんだが……その辺はいいのか?

 いやまぁ、レビルに話を通してあるので、規則的には何の問題もないんだが。

 それでも、連邦軍の面々にしてみれば、クリスの存在を面白く思わない奴も多い筈だ。

 ……まぁ、何だかんだとクリスは芯が強い。

 それを表に出すような事はあまりないが……いや、俺と接してる時は妙に気が強いような気がしないでもないが。

 ともあれ、自分というのをしっかりと持っているクリスだけに、その辺心配はあまりしなくてもいい……と、そう思いたい。

 

「だろう? ちなみに、最初は3機ずつで戦ってたんだが、連戦連勝で話し合った結果連邦軍側が数を増やすということにしたんだが……見ての通りだ。いい拾いものだったな」

 

 ラルの言葉に、それを聞いていた者の多くが頷く。

 オルテガはマリオンと話していて、ラルの話を聞いてるようには見えなかったが。

 

「青い巨星にそう言って貰えるのなら、クリスも喜ぶだろ。……ただ、個人的にはクリスはルナ・ジオン軍じゃなくて、ディアナに入れたいんだよな」

「何?」

 

 ラルが意外といった様子で俺の方を見てくるが、パイロットとしての技量も確かで、コンピュータに詳しく、MSの開発についても知識がある。

 それこそ、ディアナにとってはこれ以上ないくらいのテストパイロットだろう。

 そんな風に思う俺の視線の先で……クリスの操縦するヅダが撃ったペイント弾がジムの胴体に黄色い花を咲かせるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1205
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1620

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