転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2640話

「ゲルググか」

 

 ビームライフルの攻撃を回避しながら、映像モニタに表示された敵の姿を確認する。

 ゲルググは、言うまでもなくジオン軍の最新鋭機だ。

 ……いや、最新鋭機という点なら、それこそゲルググJとかあるから、本当の意味で最新鋭機と呼ぶ事は出来ないと思うんだが。

 

「クリス、援護頼む」

 

 本来なら、MSというのは3機で1小隊だ。

 だが、カトンボに乗っているのは俺、クリス、ガトー、ノリスの4人である以上、2機ずつで組む必要があった。

 いやまぁ、俺は基本的に単独行動をしているので、俺1人とクリス、ガトー、ノリスの3人でもよかったんだが。

 ただ、クリスからの要望もあって2機ずつになった訳だ。

 

『分かったわ。こっちはSP型だから、援護は任せておいて』

 

 クリスが選んだのは、高機動狙撃型のSP型。

 そういう意味でも、援護には丁度いいのだろう。

 ガトーとノリスは高機動型ギャンで近接戦闘向けなんだから、それこそSP型のヅダにしてみれば小隊を組むのに丁度いいと思うんだが。

 ともあれ、クリスがそれでいいと言ったんだから、こっちとしてもそれに合わせるか。

 背後から飛んできた狙撃銃の弾丸が、ゲルググのすぐ近くを通りすぎる。

 それに驚きつつも、ゲルググは再度ビームライフルの銃口をこちらに向けてきた。

 襲ってきた敵の数は、予想外に多い。

 いやまぁ、最後尾を脅かせば、それだけ連邦軍にも被害が出るのは事実だが。

 そうなると……多分、さっき連邦軍に襲い掛かったのも、陽動の一種だったのかもしれないな。

 そんな風に思いながら、ビームライフルでゲルググ……ではなく、その隣にいたリックドムⅡを撃破する。

 ゲルググは統合整備計画が適応されていない普通のゲルググなのに、リックドムはⅡなんだな。

 ちなみに、俺が現在乗っているガンダム7号機はフルアーマーガンダム7号機でも重装フルアーマーガンダムでもなく、素の状態のガンダム7号機だったりする。

 ファーストアーマーとセカンドアーマーは、現在調整中なのがその原因だ。

 それに、小回りが利くガンダム7号機は、俺にとっても使い易い機体なのは間違いない。

 攻撃力も、ガンダム7号機のビームライフルは何だかんだと結構強力だし。

 

『1機目!』

 

 クリスのその言葉と共に、SP型の狙撃銃によってゲルググが撃破される。

 リックドムⅡが撃破された事に驚き、一瞬動きが止まった隙を見逃さなかった辺り、クリスの技量の高さを示している。

 短時間とはいえ、シーマに鍛えられた成果が出ているのだろう。

 次の敵を探すが……ガンダム7号機の映像モニタには、ガトーの操縦する高機動型ギャンのビームランスに貫かれて爆散するザクの姿だったり、シーマや黒い三連星、ラルといった面々の操縦するヅダによって翻弄されているジオン軍のMSの姿がそこかしこに映し出されていた。

 また、ケリィの操縦するビグロマイヤーやビグロ、それにニュータイプ部隊の面々といったような者達に掛かれば、ジオン軍のMSで相手をするのは難しい。

 それこそ、映像モニタに表示されているのは、まさに蹂躙といった言葉がこれ以上ないくらい似合っていた。

 

「これは……俺が戦う獲物はいないな」

 

 それこそ、ここで自分が勝手に手を出せば、手を出された方は面白くないだろうというのは、容易に予想出来た。

 いやまぁ、マリオンのような優しい性格をしていれば、横から手を出されても特に不満を口にしたりはしないだろうが。

 ……マリオンが言わなくても、オルテガが言ってくるか。

 これでマリオンがピンチのところを助ければ、それこそオルテガも喜びこそすれ、怒ったりはしないだろうけど。

 ただ、そもそもそのような状況になるかという問題がある。

 マリオンはニュータイプなのだから。

 ニュータイプ能力そのものは、そこまで強いという訳ではない。

 だが、それでもニュータイプ能力を持ち、ルナ・ジオン軍でしっかりと鍛えられているマリオンは、それこそパーソナルカラー持ちのエースパイロットや、場合によっては異名持ちにすら匹敵するだけの実力を持っている。

 それを考えると、取りあえずその辺は心配する必要はないのも事実だった。

 

「クリス、ヅダの扱いは随分と慣れたみたいだな」

 

 結局、これ以上俺が手を出す必要はないと判断し、ヅダで敵を撃破したクリスに通信を送る。

 

『え? そう? ……ヅダはそれなりに操縦がしやすい機体だから、使いやすいというのはあるんでしょうね』

 

 褒められたのが嬉しかったのか、クリスは映像モニタの向こう側で笑みを浮かべてそう告げてくる。

 それは謙遜が入ってるのは間違いないが、同時に事実でもあった。

 ヅダを再設計する上で、操縦システムは出来るだけシンプルになるようにされているのだから。

 これからヅダに乗るのは、ジオン軍の中でもエースパイロットや異名持ち、ベテランといった者が多いのは事実。

 だが……それ以上に多いのが、シーマの件だったり、それ以外にもセイラに心酔していたり、ダイクン派の思想に共感したり……といったような感じでルナ・ジオン軍に入隊した者達だ。

 全く訓練を受けていない者達だけに、ヅダの操縦システムが複雑だと、実際に兵士として使えるようになるまで、かなりの時間が掛かる。

 そうである以上、今の状況においては主力量産MSたるヅダは、出来るだけシンプルな操縦方法の方がよかったのだ。

 設定によって操縦システムを変える事も出来るので、より自由度の高い操縦を好む者達にとっても満足は出来るのだが。

 ともあれ、ルナ・ジオン軍のMSの基本はヅダになり、これから入隊してくるような者達が操縦の基本を勉強するのは、ヅダということになるだろう。

 もっとも、MSの発展と共に操縦システムというのは進化していくのが普通だ。

 だとすれば、いずれヅダがMSの基礎から外れる可能性も否定は出来ないが。

 

「そう言って貰えると、ヅダを開発した技術者達も喜ぶだろうな」

 

 このヅダの開発チームが、ディアナの基礎となった面は否定出来ない事実だ。

 ツィマッド社内部でも、ヅダがコンペでザクに負けたのに納得出来なかった技術者やテストパイロット達が半ば厄介払いといった感じでこちらに送られてきたのだ。

 だが……今では、その者達が主力となっているのだから、世の中というのは一体何が起きるのか分からない。

 勿論、今ではジオニック社、MIP社といった面々や、それ以外の者達も多くがディアナにやって来ているので、必ずしもツィマッド社だけが優遇されているといった訳ではないのだが。

 

「ともあれ、ヅダの操縦感覚はともかく……俺達がこれ以上ここでやるべき事は、もうないな。他の連中の援護に回るにしても、寧ろこっちが圧倒している現状では、そんな援護とかはいらないだろうし」

 

 クリスのSP型なら、ある程度援護するような真似も出来るかもしれない。

 だが、俺の操縦するガンダム7号機は、遠距離狙撃とかには向いてないんだよな。

 ……やろうと思えば、やれなくもないんだが。

 とはいえ、遠距離から援護をするという時は、実は実弾の方が向いてたりするんだよな。

 ビームだと、攻撃距離が長くなればそれだけ威力が減衰する。

 それに比べると、実弾の方は威力が減衰する事なく飛び続ける。

 これが地球上であれば、重力によって実弾兵器も射程距離が決まってしまうんだが。

 とはいえ、それはいい事ばかりではない。

 ビームと違って自然と減衰しないということは、何かに命中するまで延々と飛び続けるという事になる。

 そんな弾丸が、宇宙船だったり……場合によってはコロニーに命中したらどうなるか。

 この1年程の間に宇宙で行われてきた戦いを思えば、今は一体どれだけの弾丸が宇宙にあるのやら。

 この辺、これから色々と大変な事になりそうな気がするな。

 ジオンの独立戦争が終わっても、それこそ事故というか、流れ弾に当たって被害を受ける者が出て来かねない。

 

『アクセル、随分とゆっくりしてるようだけど、いいご身分だねぇ』

 

 と、シーマのヅダから通信が入ってくる。

 ちなみにシーマのヅダは強襲型のA型をベースにカスタム化されており、性能はかなり高い。

 もっとも、シーマのヅダの性能は俺よりもシーマと何度も模擬戦を繰り返したクリスの方がよく知ってるだろうが。

 

「そう言ってもな。俺が倒すべき敵は倒したし。……かといって、シーマ達の方に手を出せば、怒るだろう?」

『当然だよ。あたしの上がりを掠め取ろうって奴には、容赦しないに決まってるだろう?』

「その状況で、俺にどうしろと? ジオン軍にとっては、この後方に対する奇襲が奥の手だったんだろうが……その奥の手も、今となっては殆ど意味がないしな」

 

 戦場を見てみれば、既に戦局はこちらの勝利と断言してもいいだろう光景が広がっている。

 ジオン軍にしてみれば、連邦軍の最後尾にこれだけの戦力が集まっているのは完全に予想外だったのだろう。

 ましてや、ジオン軍が全力で奇襲をしてきたのならまだしも、実際に奇襲してきた戦力は多くはない。

 月から派遣されたルナ・ジオン軍に対しては、とてもではないが勝利するのは難しいだろう。

 もっとも、ジオン軍にしてもこの奇襲で勝負を決めるなどとは思っていなかった筈だ。

 恐らく、ここで奇襲をしてきた戦力は半ば捨て駒に近い扱いだったのだろう。

 ……今のジオン軍に、そんな捨て駒を使うだけの余裕があるかと言われれば、正直どうかと思わないでもなかったが。

 

『まぁ、そう言われるとそうかもしれないね。……とはいえ、こっちも無傷って訳じゃない』

 

 シーマの口調には若干の苦々しさがある。

 その言葉通り、ルナ・ジオン軍の圧勝という結果は変わらなかったが、ルナ・ジオン軍も無傷という訳ではない。

 小破くらいの被害を受けているヅダはそれなりに確認出来るし、中破や大破をしている機体も多い。

 また、撃破されてしまった機体も皆無という訳ではないだろう。

 だからこそ、シーマの口調の中には苦々しさがあるのだ。

 これがシャドウミラーなら、撃破されるとしてもメギロートやバッタのように無人機となるので、被害は被害としてあっさりと受け止める事が出来る。

 だが、ルナ・ジオン軍においてMSは当然のように有人機である以上、それが撃破されれば……よっぽど運のいい者でない限り、死ぬ。

 そして今回撃破された者達は、そういう意味で運が悪かったのだろう。

 

「一応、今回連れてきたのは、それなりに腕利きが多い筈だろ?」

『そうだね。けど、結局のところ本当の意味でMSの操縦技術を磨くには、実戦を経験するしかないのさ。そういうつもりで、新人の中でもそれなりに技術の高い奴を連れて来たんだけどね』

 

 はぁ、と。

 そんな溜息を吐くシーマ。

 シーマにしてみれば、出来れば生き残って欲しかったのだろう。

 基本的に人に対して厳しい――自分に対してはそれ以上に厳しいのだが――シーマだけに、連れて来た者達が予想以上の被害を受けたということにショックを受けているといったところか。

 正直なところ、その気持ちは分からないでもない。

 だが……それでも、多くの戦いを経験してきた身としては、その辺の割り切りは自然と出来てしまうのだ。

 これは俺が、撃墜した面々についてそこまで詳しくないから、というのもあるのだろうが。

 これでクリスが撃破されていれば、俺もここまで冷静ではいられなかっただろう。

 

「とにかく、こうして見た限りではもう敵は撃破されたか、撤退したみたいだ。追撃は必要ないから、俺達も前に進むぞ」

『追撃はしないのかい?』

「ああ。ここで奇襲を仕掛けてくるような連中だ。場合によっては、逃げ込む先に何らかの罠を仕掛けているという可能性も否定は出来ないしな」

 

 一度派手に負け、逃げ出した先で待ち伏せをする。

 いわゆる、釣り野伏せと言われる戦術。

 日本の戦国時代に使われた戦術だ。

 ……あれ? 戦国時代だったか?

 まぁ、ともあれ日本で過去に生きた武将が使った戦術として有名だ。

 普通に考えれば、そんな単純な戦術に引っ掛かるのはおかしいと、そう思わないでもないのだが……戦闘の中で敵に勝っている状況というのは、正常な判断が出来ない者も多い。

 だからこそ、戦いの流れによってそのまま引きずられ……敵が逃げたと知っても、それを追ってしまうという事をしてしまう。

 

『ふーん、……まぁ、アクセルがそう判断したら、それでいいけどね』

「一応言っておくけど、派遣されているルナ・ジオン軍の指揮を執るのは、俺じゃなくてシーマだからな?」

 

 俺とガトー、ノリス、それとクリスの4人は、一応指揮系統という点ではシーマ率いるルナ・ジオン軍とは別という事になっている。

 ……こうして一緒に活動している時点で、今更って感じがしないでもなかったが。

 

『今頃何を言ってるんだい。……とにかく、アクセルの勘を信じて、今はこれ以上追撃しないことにするよ』

 

 シーマのその言葉に、俺は若干呆れながらも頷くのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1210
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1621

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