「あれだな」
リュウ達と別れてから少しして、俺はアムロが戦っている場所を発見する。
予想通り、リュウが示した場所ではなかったが……かなり動き回りながら戦っているのを見れば、それはしょうがない事だろう。
『アクセル、じゃあ私とレコアは後ろに下がるわ』
「ああ。ただ、エルメスには無線で動かせるビットがあるから、それについては気をつけろよ」
サラミスやマゼランといった軍艦を容易に撃破するだけの威力を持ったビームを放てるのだ。
機動力を重視する為に装甲が薄いヅダなら、それこそ一撃で撃破されてしまうだろう。
一応ヅダは関節部分にルナ・チタニウムを使っているのだが、実弾には強い防御力を発揮するルナ・チタニウムでも、ビームが相手だと全くの無意味だからな。
ビグ・ザムのIフィールドを装備出来れば、ビームに対しての防御は十分なんだろうが……あれだけの巨大MAが使っていたのを考えると、MSが装備するのはまず不可能だろう。
将来的に、その辺の技術力が上がってくれば、MSにも装備出来るようになるかもしれないが。
2機のヅダをその場に残し、アムロが操縦するG-3ガンダムの方に近付いていく。
アムロは、周辺を飛び回るビットからのビームを回避しつつ、シャアの乗る赤いゲルググが放つビームライフルも回避していた。
異名持ちとニュータイプの攻撃を回避してるのは素直に凄いと思うが、アムロだって結局のところ1人の人間でしかない。
幾らニュータイプとして高い能力を持っていても、こうまで連携して攻撃をされ続ければ……何とか回避は出来ても、反撃をする隙はないのだ。
シャアのゲルググのビームライフルは、恐らく連邦軍と同じ技術である以上、エネルギーを全て使ってしまえば、一度ア・バオア・クーなり、充電の為の機器がある場所まで移動する必要があった。
もしくは、充電済みのビームライフルを誰か他の仲間に持ってきて貰うか。
ただし、このア・バオア・クーでの戦いはジオン軍にとっても後がない戦いだ。
エネルギーの充電が完了して、誰も使っていないビームライフルがあるのなら、それこそすぐにでも誰かに持たせて戦場に出すだろう。
……あるいは、シャアのように異名持ちなら特別扱いされる可能性も否定出来ないが。
ただ、当然のようにシャアもその辺については考えているらしく、ビームライフルの射撃は可能な限り少なくしている。
……そんなシャアに比べると、エルメスのビットは核融合炉を内蔵しているので、エネルギー切れの心配はない。
もしかしたら、他にも何らかの制限がある可能性はあるが……こうして外から見ている限りでは、特に制限があるようには思えなかった。
そんな中……
「そこ！」
G-3ガンダムに近付き、射程圏内に入った瞬間にビームライフルのトリガーを引く。
放たれたビームは、G-3ガンダムの下に回り込もうとしていたビットを貫き、爆散する。
一瞬……本当に一瞬だったが、戦場にいた3機の動きが止まった。
まさか、この3機の戦いに入ってこられる奴がいるとは、思わなかったのだろう。
ユウが無事だったらこの戦闘に参加出来たかもしれないが、残念ながらユウのブルーデスティニー3号機は損傷を受けて、この戦いに参加する事は出来ない。
だからこそ、アムロも自分がシャアとエルメスに乗っているニュータイプは自分が倒さなければならないと、そう思っていたのだろうが……そこに乱入してきたのが俺だった。
アムロが、シャアが、そしてエルメスに乗っているニュータイプの女が驚くのは当然だろう。
……今更の話だが、エルメスに乗っているニュータイプは、ソロモンで戦った時に俺とビット越しに接触した、あの女だよな？
実は違うニュータイプだったりしたら……そう思ったが、無線のビットを自由に動かせるだけのニュータイプが複数いるとは、考えられない。
もしそうだったら、それこそエルメスが2機で襲ってきたりとか、そういう真似をしてもおかしくはないだろう。
もしくは、ここにはいないだけで、ア・バオア・クーで行われている他の戦場で戦っている可能性も、否定は出来なかったが。
『アクセルさん！？』
「カイとリュウに頼まれてな。援軍に来たぞ。それと、俺だけじゃなくてルナ・ジオン軍からも2人引っ張ってきたから、援護はそっちに任せろ」
アムロからの驚きの声が籠もった通信にそう返し……ふと、しょうもないことに気が付く。
俺が知ってる限り、アムロはかなりの女好きだ。
それも年上の綺麗なお姉さんタイプを好む。
そして、今の俺と同年代……つまり、アムロとも同年代のレコアはともかく、20歳前後のクリスはまさにそんなアムロの好みにピタリと合う。
勿論、シャアやエルメスと戦っているこの状況で、アムロがクリスにどうこういったような事はないと思うが……戦いが終わった後であれば、もしかしたらアムロがクリスを口説くといった可能性は十分にあった。
まぁ、今はそんな事を考えていられるような余裕はないか。
『頼みます！』
アムロは短くそう告げると、俺の射撃によって出来た隙を突くかのように、ビームライフルを撃つ。
エルメスとシャアの2人で、ようやくアムロと互角に戦っていたのが、そこに俺が乱入したのだ。
何とか拮抗状態だった戦闘は、俺という存在によって一気にアムロに傾いた。
そうして、アムロはビットを1つ、2つと撃破していき……
「っと！」
エルメスがビット……ではなく、MAに装備されているメガ粒子砲を、こちらに向けて撃ってくる。
半ば反射的にエルメスの攻撃を回避するが、何故ここで俺に向かってエルメスが攻撃してくるのかが、分からなかった。
いやまぁ、ビットを最初に破壊したし、俺が乱入してきた事によって戦闘の流れが変わってしまったのだから、俺を排除したいという気持ちは理解出来ないでもない。
だが、それでも今は自分よりも側にいるアムロを倒す方が先だと思うんだが……それとも、ソロモンで接触した時にアムロと同じようにトラウマを与えてしまったのが原因か？
何度も繰り返し……それこそ、俺を近寄らせないようにと、メガ粒子砲を連射してくるエルメスを眺めながら、何となくそれが正解のような気がする。
ただし、エルメスの攻撃が俺に集中すれば、どうなるか。
当然のように、今まではシャアのゲルググとエルメスの2機で相手をしていたアムロに、シャアだけで相手をしなければならなくなる。
……普通に考えれば、赤い彗星のシャアだけで十分すぎるだけの戦力ではあるんだが、アムロは俺がホワイトベースにいる時に繰り返しシミュレータで模擬戦を行い、その結果として腕を上げている。
そして俺がホワイトベースから離れた後も、多くの戦いを潜り抜けてきたのだ。
結果として、今のアムロはシャアに負けないだけの……場合によっては、上回るだけの技量を得ているのだ。
「ともあれ、俺に攻撃をしてくる以上、こちらとしても相応の対応をさせて貰うから……な！」
その言葉と共に、ビームライフルを撃つ。
放たれたビームは、そのまま真っ直ぐにエルメスの方に向かい……
「は！？」
エルメスに命中するかと思ったビームだったが、エルメスのパイロットはビットを動かし、自分の盾とする。
いやまぁ、エルメスは機動力こそ高いが、瞬発力という点では決して高くはない。
それを考えれば、ビットを盾代わりにするというのは、納得は出来る。
だが、それでもビットはエルメスにとって非常に大きな意味を持つ武器だ。
何しろ、本体にはメガ粒子砲しか残っていないのだから。
ともあれ、向こうがビットを自分から盾にしてくれるというのであれば、こちらとしても文句はない。
とにかく、アムロを少しでも楽にする為に……そう思った瞬間、半ば反射的にスラスターを全開にして、その場から退避する。
一瞬後、ガンダム7号機のあった場所を通り抜けていくビーム。
だが、そのビームはエルメスから撃たれたものでも、ましてやアムロと戦っているシャアから放たれたものではなく……全く別の場所から放たれたビームだった。
「援軍か？ 厄介な」
俺がアムロの援軍に来たんだから、ジオン軍からシャアの援軍に来る奴がいてもおかしくはない。
ただ、問題なのは……
「1機じゃないだと！？」
最初のビームが放たれ、それからすぐに多数のビームが放たれてきたのを、次々と回避していく。
その上で、攻撃してきた向こうの戦力はしっかりと纏まって攻撃しており、アムロ達が戦闘をしている場所に攻撃が集中し、敵の攻撃を回避すると自然とアムロ達から離れた場所に移動していく事になる。
その数は、かなり多い。
1機や2機、1小隊や2小隊ではなく、その数はそれこそ中隊が複数……場合によっては大隊規模でないかと、そう思える程の敵の数。だ。
というか、こっちを狙ってきている全てのMSパイロットの技量が、明らかに高い。
それこそ、全員がエースに近いだけの腕前の持ち主。
中には何人かまだ技量が未熟な者もいるようだったが、それも他のメンバーと比べればの話であって、一般的に見れば準エース級と言ってもいいような技量の持ち主だ。
……大隊や中隊、小隊の中に1人だけエースがいるというのであれば、まだ納得も出来る。
だが、エースだけで構成されている部隊？
そう考えた瞬間、1つの結論が俺の中に生まれ……そして、映像モニタに表示されたその機体によって、俺の予想が正しかったことが証明される。
全天周囲モニタに表示されたのは、赤のパーソルなるカラーを持ったゲルググ。
ただし、赤は赤でもシャアのパーソナルカラーの赤ではなく、紅。
そして、俺はそんなシャアと誤認されそうなパーソナルカラーを持つ異名持ちを知っていた。
「ジョニー・ライデン……か」
そんな俺の言葉が聞こえた訳ではないだろうが、紅のゲルググはこちらにビームライフルの銃口を向けるや否や、トリガーを引く。
銃口を向けてからトリガーを引くまでの素早さというのは、それこそ熟練度が大きく影響してくる。
だが、ジョニーはこちらにビームライフルを向けた瞬間には、既にトリガーを引いていたのだ。
それこそ、狙いを付けるといったような事は、全く考えていないような射撃。
それでいながら、放たれたビームは一瞬前までガンダム7号機のいた場所を貫いていた。
厄介だな。深紅の稲妻の異名を持つジョニーだけでも厄介なのに、更に厄介さを増しているのは、そんなジョニーの仲間が一緒に襲ってきている事だ。
普通なら、エースパイロットというのは我が強い。
だというのに、この部隊はジョニーを中心に、しっかり1つの部隊として纏まっているのだ。
ただでさえ個人ではエースなのに、それがしっかり部隊としても連携してくるのだから、厄介以外のなにものでもない。
「クリス、レコアを連れて退避しろ！」
ジョニーのゲルググから放たれるビームを回避しながら、クリスに向かってそう叫ぶ。
相手が一般のMSパイロット程度の技量なら、クリスとレコアでもどうとでもなる。
だが……ジョニーが率いるエースパイロットだけで構成された部隊……キマイラ隊が相手となると、レコアは勿論、クリスであっても技量は足りない。
アレックスのテストパイロットをしていただけあって、クリスの技量は連邦軍の中では高い。
だが、MSパイロットの質という点では連邦軍を上回っているジオン軍……そんなジオン軍の中でもエースだけを集めたキマイラ隊を相手にするには、クリスでも難しい。
まだ新兵のレコアにしてみれば、言わずもがなといったところだ。
この戦いは、あくまでもジオンと連邦の戦いであって、俺達ルナ・ジオン軍は助っ人という立場でしかない。
そうである以上、この戦いで死ぬという可能性は限りなく低くしたいと思うのは当然の事だった。
『待って下さい、ここまで来て逃げろと言うんですか！？』
俺の言葉にクリスが何かを言うよりも前に、レコアがそう不満を口にする。
レコアにしてみれば、ここまで来て何もしないで戻るというのが我慢出来なかったんだろうが……
「足手纏いだ！」
ジョニーを追ってきた別のゲルググが、こちらに向かって撃ってきたビームライフルの一撃を回避しながらレコアに叫び……反撃にビームライフルを撃つ。
こちらの挙動に気が付いたのか、ジョニーと同じ高機動型のゲルググ……B型のそのゲルググは回避しようとするが、このパイロットは技量的にキマイラ隊の中でも低い方らしく、行動が遅れた。
それでもキマイラ隊のパイロットらしく、ビームによって撃ち抜かれたのがコックピットではなく右足だったのは、さすがと言うべきだろう。
ただし、その一撃では致命傷にならないのは事実だが、動きが鈍ったのは間違いない。
ジョニーが撃ってきたビームライフルをスラスターで回避しながら、ビームライフルの銃口を向け……
「ちぃっ！」
後方が光ったかと思った瞬間、ガンダム7号機のスラスターを全開にしてビームの一撃を回避する。
狙撃が得意な奴もいるのか。
本当に……厄介な相手だな。
そう考えつつ、俺はキマイラ隊を相手に戦いを続けるのだった。
アクセル・アルマー
LV：43
PP：1260
格闘：305
射撃：325
技量：315
防御：315
回避：345
命中：365
SP：1987
エースボーナス：SPブースト（SPを消費してスライムの性能をアップする）
成長タイプ：万能・特殊
空：S
陸：S
海：S
宇：S
精神：加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル：EXPアップ
SPブースト（SPアップLv.9&SP回復&集中力）
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法（炎）
魔法（影）
魔法（召喚）
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数：1631