転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2658話

「アクセルさん……ちょっといいですか?」

 

 G-3ガンダムの整備や補給をメカニックに頼んだアムロが、俺の方に近付いてくるとそう言ってくる。

 こうして見ると、最初にアムロに会った時のトラウマはもう完全に克服したみたいだな。

 そう思うのは、アムロから少しだけではあるがララァの話を聞いたからか。

 

「構わない。ララァだったか。その女の話だよな?」

「……はい」

「そもそも、ジオン軍の女と連邦軍のアムロが、一体どうやって知り合ったんだ? 普通なら、とてもじゃないが知り合うような機会はない筈だろ?」

「以前……サイド6で、ちょっとした事情があって……」

「サイド6か」

 

 はぁ、と。

 思わずそんな言葉が出る。

 フラナガン機関、アレックスの開発、そしてアムロとララァの出会い。

 それ以外にも、宇宙海賊がサイド6の近くに巣くっていた事もあったし……サイド6って、実は何かに呪われてるんじゃないか?

 そう思わないでもなかったが、考えてみれば現在はジオンと連邦で戦争中なのだから、その辺で何らかの問題が起きるのは、おかしくはない。

 ……いや、寧ろ中立のサイド6だからこそ、そういう事が起きやすいのだろう。

 

「そうですけど。……サイド6が何か?」

「いや、クリスの件もあってサイド6とは色々と縁があってな」

 

 そう告げ……待て、と少し思う。

 ララァはニュータイプ。そのニュータイプがいたのがサイド6となると……もしかして、またサイド6のどこかにフラナガン機関の研究所が新しくあったりしないだろうな?

 そもそもの話、サイド6は俺達が一度襲撃している。

 その結果としてフラナガン機関の研究所は壊滅したが、逆に言えば一度襲撃した場所だけに、こちらの盲点になっていた可能性もある。

 とはいえ……こっちには、つい先日までフラナガン機関にいたシムスがいる。

 セイラと話した時に、知っている情報は話している筈だ。

 となると、アムロとララァがサイド6で会ったというのは、本当にただの偶然でしかないのか?

 まぁ、いい。ただ、これは後で聞いておいた方がいいだろうな。

 

「ああ、そう言えばそんな事を言ってましたね」

 

 その辺には特に興味がないのか、軽い感じで言ってくる。

 とはいえ、本来ならクリスが開発していたアレックスはアムロの専用機になる筈だったのだが……まぁ、アムロにとってはG-3ガンダムがあればそれでいいのか。

 

「そんな訳で、俺もサイド6には何だかんだと結構縁があるんだよ。……まぁ、その件はそれでいいとして、問題なのはララァか。サイド6で会った時は、どんな様子だったんだ?」

「……シャアと一緒にいました」

 

 シャアと一緒に、か。

 先程の戦いでも、シャアとララァは一緒にいた。

 これは、シャアがララァの担当というか、一緒のチームにいるから、そんな風になっているのか、それとももっと別の理由……かなりの邪推ではあるが、男女の関係であると考えるべきか。

 セイラから聞いてる話が正しければ、シャアの今の年齢は20歳。

 俺はララァという女が具体的に何歳なのかは分からないが、ビット越しに接触した感じだと、今の俺と同年代か少し上といった感じがした。

 つまり……シャアとそう年齢は変わらない以上、そういう関係になっていてもおかしくはない。

 そしてアムロの状況を考えると……恐らく、アムロはそのララァに……

 

「一目惚れでもしたか?」

「っ!? それは……」

 

 言葉に詰まる様子のアムロを見れば、俺の予想は当たっているのだろう。

 もっとも、アムロは元々惚れやすい。

 今までにも、何人にも好意を抱いては、それが叶わない……といった事があった。

 俺がホワイトベースにいる限りであってもそうなのだから、俺がホワイトベースを下りた後で一体どんな出会いがあったのやら。

 とはいえ、その惚れたララァとの別れが悲劇的なものになったのは……無念と言うしかないだろう。

 

「それで、他に何を聞きたい? そのララァという女については、俺よりもアムロの方がよっぽど知ってると思うが? そもそも俺とララァの接点は、それこそソロモンの戦いであったビット越しのものくらいだったし」

 

 後はキマイラ隊と戦う前に俺が姿を現したところで、こちらに向かって攻撃をしてきた……というのは大きいか?

 とはいえ、あの戦いにおいては何かがあった訳でもないので、あの件で話せるような事はないのだが。

 

「そうですね。ただ……さっき通信でも聞きましたけど、これだけは改めて聞かせて下さい。本当に、あの戦いでこっちに援軍に来る事は出来なかったんですか?」

「無理だな」

 

 アムロの言葉に、きっぱりとそう告げる。

 そんな俺に対して何かを言おうとしたアムロだったが、機先を制するように口を開く。

 

「俺が戦っていたのは、キマイラ隊。ジオン軍の中でも、エースパイロットだけを集めた部隊だ。特にその部隊を率いているのは、真紅の稲妻の異名を持つジョニー・ライデン。シャアと同じくらいの能力を持っていると思ってもいい」

 

 実際には同じ赤系の異名を持っているとはいえ、その戦闘スタイルとかは色々と違うのだろうが……双方と戦った印象からすると、双方共に実力にほぼ差はない。

 どうしても優劣をとなると、僅差でシャアの方が上かもしれないが。

 ただし……ジョニーとシャアでは、決定的に違うところがある。それが……

 

「シャアは個人としては強いし、指揮もそれなりに出来るかもしれないが、結局のところそれなり程度だ。それに対して、ジョニーの方は部下を……それもエース級の部下複数を、自由自在に指揮している」

 

 個人として戦う場合はシャアが僅差で上かもしれないが、部隊を率いてとなるとその優劣は逆転する。……こっちもやっぱりそこまでの大差という訳ではないのだが。

 

「そんな連中と、俺1人で戦っていたんだ。それを考えれば、お前の援軍に行けたかどうかは分かると思うが?」

 

 それは事実ではあったし、実際にもし俺がキマイラ隊を引き連れてアムロの戦いに乱入した場合、間違いなく混乱した状況になっていただろう。

 客観的に見ても明らかだったが……その戦いの中にいて、更には自分が一目惚れした相手を自分の手で殺す事になってしまったアムロにとっては、到底受け入れることが出来なかった……といったところか。

 これでもし俺が実はそこまで強くはなく、乗っているMSもガンダム7号機のような高性能機でなかったら、アムロもそこまで今の俺に思うところはなかっただろう。

 だが、生憎と俺はMSの操縦技術という点ではアムロを上回り、乗っているMSも現在アムロが乗っているG-3ガンダムに勝るとも劣らない高性能機のガンダム7号機だ。

 それだけに、アムロとしては素直に俺の言葉に納得出来るといったような真似が出来なかったのだろう。

 

「それは……でも!」

「落ち着け。お前はホワイトベースのエースなんだから、そんなお前が取り乱すような真似をして、どうする?」

「ぐっ……」

 

 ホワイトベースのエースという言葉に、不満そうにしながらも何とか不満を口にするのを我慢するアムロ。

 自分がエースであるという自覚はあるのだろう。

 ……ただ、アムロの年齢から、素直に納得出来るようなことではないのだろうが。

 いや、別にアムロじゃなくても、一目惚れした相手を自分の手で殺したとなれば、落ち着くような真似は出来ないだろう。

 出来ればエルメスの残骸とかそういうのが欲しかったんだが……今のアムロには、そんな事を聞けるような状態じゃない、か。

 

「ともあれ、今はそのララァという相手の事を考えていられるような余裕はないだろ。まずは、この戦争に勝つ事を最優先にしないとな」

「それは……」

 

 アムロが渋々と俺の言葉に頷いたところで、不意にメカニックの1人がこっちに視線を向けてくる。

 

「おーい、アクセル! ブリッジから通信だ!」

「ブリッジから? 悪いな、取りあえずこの話はここまでだ。これ以上何か詳しい話がしたかったら、この戦いが終わった後でな」

「あ、はい。分かりました」

 

 完全に納得したといった様子ではなかったが、それも当然だろう。

 一目惚れした相手を自分の手で殺したのだから。

 だが……だからこそ、一時的にであってもその一件を忘れる必要があるのも、事実だった。

 戦場で戦い以外のことに気を取られていた場合、それは呆気なく自分を死へと導くのだから。

 それは、アムロであっても関係はない。

 ニュータイプである以上、他のパイロットよりは生き残る可能性が高いが、それでもビームライフルをまともに食らったりした場合は、呆気なく死んでしまう。

 俺のように、乗っているMSが爆発したり、生身でビームライフルを受けても平気といったような、特殊な身体をしている訳でもないのだから。

 ……あ、でもニュータイプという存在が将来的にパワーアップしていけば、もしかしたら……本当にもしかしたらだが、精神生命体的な存在になってビームがまともに命中しても物理攻撃だから無意味といったような事になる可能性も……ないか。

 ともあれ、アムロはこの世界の重要なキーパーソンである以上、死んで貰っては困るし、何だかんだと俺とアムロの付き合いも長いのだから、多少なりとも情が移るのは事実だ。

 そんな風に考えつつ、メカニックの側まで行く。

 

『アクセル、ルナ・ジオン軍から連絡が来た。そちらに回して構わないか?』

 

 ブライトの言葉に頷く。

 俺がホワイトベースにいるというのはどうやって知ったのかは分からないが、それでも俺に連絡をしてきたという事は、何か重要な連絡があるのだろう。

 

「分かった、繋いでくれ」

 

 ブライトがその言葉に頷くと、通信が中継される。

 こうして中継されている以上、ホワイトベースのブリッジでもこの通信を聞く事は出来るだろう。

 だが、こうしてわざわざホワイトベースにまで通信を送ってくるという事は、例え聞かれても問題はない話をする為なのだろう。

 

『アクセル、ちょっといいかい?』

 

 そうして映像モニタに表示されたのは、シーマ。

 派遣されてきたルナ・ジオン軍を指揮しているシーマが通信を送ってくるということは、それこそよっぽどの何かがあったのか?

 

「ああ、構わない。どうした?」

『実は連邦軍から要請があってね。ルナ・ジオン軍にはEフィールドを攻めて欲しいらしい』

 

 Eフィールドというのは、ア・バオア・クーにおける区分けだ。

 ア・バオア・クーを中心に、Nフィールドがサイド3側、Eフィールドが月側、WフィールドがEフィールドの反対側、Sフィールドが地球側。

 つまり、シーマが言ってきたのは、ア・バオア・クーの月側を俺達で攻めて欲しいと、そういう事か。

 

「Eフィールドを攻める戦力は俺達だけか?」

『いや、連邦軍からも幾つか部隊を回すらしいね。……ただ、あまり評判のいい部隊じゃないらしい』

 

 評判のいい部隊じゃない、か。

 だが、連邦軍がそんな部隊を俺達と一緒に行動させる理由は何だ?

 レビルがいなくなったとはいえ、現在この星一号作戦を動かしている者達なら、ルナ・ジオン軍がどれだけの戦力を持っているのかは、容易に理解出来る筈だ。

 また、ルナ・ジオン軍がいるからこそ、星一号作戦での連邦軍は全体で見れば有利になっている筈。

 そうなると、この状況でこっちにちょっかいを出してくるという事は、とてもではないが考えられない。

 だとすれば、その評判のよくない部隊というのは、あくまでも偶然……もしくは、戦力的にこっちと一緒に行動するのに相応しいからこそ、一緒に行動する事になったのか?

 パイロットの性格とMSの操縦技術は、必ずしも比例しない。

 それは、黒い三連星の性格や……このホワイトベースでは、ヤザンとかを見れば明らかだろう。

 いや、寧ろ粗野な性格をしている者が、攻撃的なだけに敵を倒す事に向いているといったような事も珍しくはない。

 であれば、やはり今回の一件は偶然と考えるべきか。

 戦力的な面を心配しているのなら、単艦でも強力な攻撃力を持ち、ルナ・ジオン軍とも行動した経験のあるホワイトベースやサラブレッドを回してくれれば、こちらとしてもやりやすいんだが。

 

『どうする? これは命令じゃなくて要請だから、一応断る事も出来るけど』

「いや、引き受ける。ただし、あくまでも俺達は連邦軍に協力していて、命令権は連邦軍にないことを強調しておいてくれ。それが許容出来るのなら、今回の依頼を引き受けると」

 

 いざという時、指揮系統が実は連邦軍の方にある……なんて風になった場合、妙な事になりかねない。

 そうならない為にも、その辺はしっかりと確認しておく必要があった。

 

『分かった。じゃあ、それを確認して問題ないようなら、引き受けるよ。アクセル達もこっちに合流してくれるかい?』

「ああ、クリスとレコアを連れて、すぐそっちに向かう」

『頼んだよ』

 

 その言葉と共に、通信は切れるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1260
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1631

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