転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2662話

 灰色のパーソナルカラーを許された、カスペン機の撃破。

 それは当然のように、この戦場にいる者達……特にカスペンと同じ部隊に所属していると思われるゲルググ達の動きを、ショックから鈍らせるには十分だった。

 そして、更に追撃とばかりにルナ・ジオン軍と連邦軍のサラミス3隻が姿を現す。

 俺が来るまではカスペンの能力もあって連邦軍を圧倒していたジオン軍だったが、今はその戦力が逆転した形だ。

 そんな様子を見ながら、ガンダム7号機のスラスターを使って動かす。

 すると、次の瞬間にはガンダム7号機のあった場所を弾丸が貫いていく。

 敵の攻撃。

 そう判断して攻撃をしてきた方に視線を向けると、そこには俺が初めて見る敵がいた。

 あり合わせの部品をくっつけて、何とかそういう形にしましたといったような感じのそれが、恐らくジオン軍で開発された戦闘ポッドだろう。

 連邦軍の戦闘ポッドたるボールは、まだ何となくそういう形になるように、最初から計画されて開発されたのが分かるのだが……あの戦闘ポッドは、そういうようには見えない。

 機能美? そういうのにも思えないが……ともあれ、あの戦闘ポッドが俺が欲していたジオン軍の新型であることに、変わりはない。

 なら、確保するとするか。

 そう判断し、敵の攻撃を回避しながら、どう攻撃をすればいいのか迷う。

 あの戦闘ポッドがボールと同じような性能であれば、それこそビームライフルやビームサーベルの類は論外。

 ビーム系の攻撃が命中すれば、戦闘ポッドどころかMSですら撃墜してしまう。

 そうなると、こういう時に便利なのは頭部バルカンか。

 MSを撃破する事は出来ない威力だが、戦闘ポッドを相手なら……いや、どうだろう。

 頭部バルカンは確かにMSを撃破は出来ない。

 だが、戦闘機や戦闘車両の類は普通に撃破出来る威力を持つ。

 場合によっては、戦車すら撃破出来るのだ。

 そう考えると、あの戦闘ポッドも普通に撃破してしまいかねないような気が、しないでもない。

 そうなると、接近して蹴りとかでパイロットを気絶させるという手段か……もしくは、ビームサーベルを突きつけ、降伏させるといったような方法もありか。

 よし、まずは戦闘ポッドを出来るだけ無傷で入手する為に、ビームサーベルで敵を降伏させるか。

 そう判断し、スラスターを使って戦闘ポッドとの間合いを詰める。

 当然のように、向こうは俺を近づければ対処のしようがないと判断しているのか、武器で……というか、あれってもしかしてザクマシンガンか? ともあれ、そのザクマシンガンを連射してくる。

 だが……その攻撃は、必ずしも正確とは言えない。

 いや、正確云々どころか、全く見当違いの方に撃っている者も多い。

 それが、あまりにもわざとらしく、もしかして何かの罠ではないか? と疑問を抱き、動きを止める。

 

『アクセル、どうしたのだ?』

 

 ラルの操る青いヅダが、ちょうど俺からそう遠くない場所を通ろうとしたのだが、ガンダム7号機の動きが止まったことに疑問を抱いたのだろう。そんな風に通信を送ってくる。

 

「いや、この戦闘ポッド……妙だと思わないか?」

 

 そう言いながらも、偶然こっちに飛んできたザクマシンガンの攻撃を回避しつつ、ラルにそう返す。

 

『妙?』

「ああ、幾ら何でも、敵の腕が悪すぎる」

『それは……言われてみると、そうかもしれんな』

 

 ラルも、戦闘ポッドの様子から俺の言いたい事が分かったのか、納得した様子で呟く。

 もしかしたら無人機か何かなのでは? とも思ったのだが……そもそも、ビットのような例外を除いて、このUC世界ではミノフスキー粒子のせいで無線装置の類は使えない。

 そうなると、元々戦闘するプログラムを組んで……とも考えたが、こちらもUC世界においてはかなり難しい。

 ただ、戦闘ポッドである以上、動かすプログラムを組むのはMSよりも楽かもしれないが。

 

『どうなっていると思う?』

「さて、それが分からないから、俺も迂闊に近付くのを止めたんだよ。出来れば、あの戦闘ポッドは入手しておきたいところだが、もし無人機の類だったりした場合、近付いた瞬間自爆するなんて可能性も否定は出来ないし」

 

 あまりにも拙い操縦技術から、そういう心配もしないといけない。

 実際にパイロットが乗っていてあんな調子なのだとすれば、それはあまりにも腕が未熟すぎるのだ。

 

『では、どうする? 遠くから撃破するか?』

「……いや、一旦俺が近付いてみる。もし人が乗っていたとすれば、パイロットの技量があまりに未熟すぎる。そうなると、もしかしたら学徒兵が乗っている可能性もある」

 

 戦闘ポッドであれば、学徒兵が操縦出来てもおかしくはない。

 MSと比べると、操縦方法はそこまで複雑ではないのだから。

 そして、もし戦闘ポッドに乗っているのが学徒兵だとすると、子供……それこそ、中学生、高校生といったような者達の可能性があった。

 ……さすがに小学生が乗ってるとか、そういう事はないよな?

 ともあれ、そんな子供達が乗っている場合、容易に殺すというのはあまり面白い出来事ではない。

 それに、そういう子供が乗っているのであれば、目の前に銃口を突きつけられたら、即座に降伏する可能性は高い。……子供ならではの意地で、最後まで降伏しないといったような奴もいる可能性があるが。

 だが、可能性という点で考えれば、それこそ何も出来なくなる。

 何しろ、可能性というだけなら今すぐにでもこのUC世界に宇宙怪獣とかがやって来て、地球を占領しようとしたりする可能性だって有り得るのだから。

 

『そうか。死ぬなよ。……いや、アクセルに言うべき事ではないか』

 

 そう告げ、ラルは他の部下達を引き連れて戦場になっている場所に向かう。

 よく見てみれば、俺達と一緒にやって来たサラミスからも、ジムとボールが出て来て攻撃に参加している。

 評判の悪い部隊って話だったが、見た感じではそこまで問題があるようには思えないな。

 そうなると、評判の悪さは……誰か他の者によって意図的に流された噂か?

 そんな疑問を抱きつつ、俺は再び戦闘ポッドとの間合いを詰める。

 すると、戦闘ポッド側でもこちらを近づけないようにと攻撃をしてくるのだが……やはり、その狙っている方向はガンダム7号機とは違う。

 ここまで来ると、それこそ意図的にそんな攻撃をしているのではないか? とすら思ってしまう。

 ともあれ、あの戦闘ポッドには誰かが乗っているのか、それとも無人機なのか。

 その辺りの確認は、俺が直接やればいい。

 そうして戦闘ポッドに近付くと、やがて戦闘ポッドの左側からミサイルが発射されるが……頭部バルカンで迎撃し、空中に爆発が生まれ……俺はその中に突っ込む。

 もし戦闘ポッドのパイロットが腕利きであれば、爆発の中を突っ込んでくるような真似をするくらいは読むだろう。

 無人機の類であっても、AIがそう判断すれば攻撃してきてもおかしくはない。

 だが……戦闘ポッドに乗っているのが俺の予想通り学徒兵、それも殆ど訓練をしていないような素人に近い存在だったら……

 そんな予想は見事に的中する。

 まさか、爆発の中を突っ込んでくるような真似をするとは思っておらず……それどころか、頭部バルカンでミサイルを迎撃したのが、実はミサイルがガンダム7号機に命中して生まれた爆発だとでも思ったのか、爆発を抜けた先にいた戦闘ポッドは完全に油断していた。

 そうして呆けている状況で、いきなり姿を現したガンダム7号機に反応出来る筈もなく……次の瞬間、俺は一番近くにいた戦闘ポッドの動きを左手で固定し、右手のビームライフルの銃口を突きつけ、接触通信を送る。

 

「動くな……って奴だ」

『なっ、何で……』

 

 戦闘ポッドから返ってきたその言葉は、完全に動揺していた。

 こうして声が返ってくる以上、無人機という線は消えたか。

 そうなると、やっぱり学徒兵なのか?

 正直なところ、そうじゃないかとは思っていたのだが、その予想が当たるとは思わなかった。

 それこそ、出来れば予想が外れていて欲しかった。

 

「学徒兵だな? そんな技量で戦いに出て来るとはな」

『う……うるさい! ジオン公国を守る為なんだ! それくらいは当然だろ!』

 

 そう叫ぶ男。……いや、少年と呼ぶべきか?

 ともあれ、そんな様子を見せる相手に、どう反応すればいいのか迷う。

 この子供は、自分の故郷たるサイド3を守る為にこうして戦場に出て来たのだろう。

 強制されたという可能性も考えたが、その場合は今のような言葉を返してきたりとかはしなかっただろうし。

 

「学徒兵なら、まだ若いだろ。……ここで降伏しろ。そうすれば、命は奪わない。捕虜としてそれなりの待遇を与えることも約束しよう」

『ふざけるな! 俺は、ジオン公国を守る為にこうして戦場に出て来たんだ! それが、そう簡単に降伏なんか出来るものか!』

 

 そう叫ぶ学徒兵。

 カスペンと同じような事を言ってるな。

 いや、行動を一緒にしていたと考えれば、そこはおかしくないのか?

 とはいえ、カスペンはパーソナルカラーを許されるエースだったのに対し、こっちは意気込みはともかく、実際には操縦技術は未熟極まりない。

 カスペンが言ったら納得出来るような事であっても、この学徒兵が言ったのでは圧倒的なまでに説得力が足りなかった。

 

「そうか。なら……死ぬか?」

 

 そう言い、ビームライフルの銃口で戦闘ポッドを小突くが……それでも、返ってきた通信は自分の意思を決して曲げないといったようなものだ。

 

『このオッゴと共に、サイド3の為に死ねるのなら、それは名誉だ!』

 

 そう叫び、戦闘ポッド……オッゴという名前らしいが、そのオッゴの右側に装備しているザクマシンガンの銃口をこちらに向けてこようとするのを、受け止める。

 頭部バルカンでなら、右腕……腕? ともあれ、その部分を破壊出来たとは思うのだが、出来ればこのオッゴは可能な限り完全な形で確保したかった為だ。

 

「そうか。なら……取りあえず、死ぬなよ」

 

 そう言い、一旦突きつけ付けたビームライフルから手を離すと、代わりにビームライフルを握っていた手でオッゴの機体を掴むと、機体を激しく揺らす。

 

『なっ、何を……ぐがっ!』

 

 その悲鳴と共に、通信から応じる声はなくなった。

 激しく機体を揺らした事により、パイロットは頭をぶつけたか何かして、気絶したといったところか。

 俺にとっては、幸運だったと言ってもいいだろう。……狙い通りではあるが。

 結局のところ、この戦闘ポッドを完全な形で確保する為には、パイロットを気絶させるのが一番いい。

 もしくは、相手が降伏するような事にでもなれば、更に問題はないのだが。

 折角気絶させたのだから、このパイロットの目が覚めるよりも前に、早いところカトンボに戻る必要がある。

 オッゴのパイロットがどう思うのかは別として、取りあえずこの戦いで死なずに捕虜になった……それもジオン軍に対しては強い恨みを抱いている連邦軍ではなく、もう1つのジオンの血脈たる、ルナ・ジオン軍の捕虜となった事は、このパイロットにとっては幸いだっただろう。

 そうしてオッゴを掴んでカトンボまで移動しながら、周囲の戦況を確認する。

 連邦軍はジオン軍に押されている格好だったが、そこにルナ・ジオン軍が戦力を投入した事により、この辺りの戦況は逆転する。

 とはいえ、それはあくまでもこの辺りであって、ア・バオア・クー全体……もしくは、もっと狭くなってEフィールド全体で見ても、そこまで大きく戦況は変化していない。

 Eフィールドに派遣された俺達だが、基本的に手薄な場所とはいえ、それでも戦力は俺達だけではない。

 だからといって、戦闘で手を抜くといったような事は全く考えていないのだが。

 数機のヅダが纏まって移動し、ザクに射撃戦を挑んでいるのが見える。

 また、ヅダとリックドムⅡがそれぞれ動き回りながら戦っている光景も見えた。

 ヅダもリックドムⅡも、ツィマッド社のMSだけあって、双方共に機動力が高い。

 その上、リックドムⅡは統合整備計画によってリックドム改修したMSで、ヅダはザクとのコンペで負けた機体をベースに、月で改修されたMSだ。

 そういう意味では、ヅダとリックドムⅡは驚く程に似ているMSなのだろう。

 そんな風に考えていると……やがてヅダの放った弾丸がリックドムⅡを貫き、爆散させる。

 ……リックドムⅡはドムの系譜だけあって、厚い装甲をしていて、高い防御力を持ってるんだが。

 ビームライフルを装備しているならともかく、ヅダはビームライフルを使用出来ないのに、よく撃破出来たな。

 多分、あのヅダが使っていた射撃武器はノーマルのものではなく、改良されて威力を高めた代物なんだろう。

 そうなると、あのヅダに乗ってるパイロットはルナ・ジオン軍の中でも腕利きの連中か。

 そんな風に思いながら、俺は見えてきたカトンボに通信を入れ、格納庫に向かうのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1265
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1632

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