転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2664話

 カトンボから出撃すると、俺は真っ直ぐにビグロの改修機が確認された方に向かって進む。

 あのビグロがいつまでも同じ場所にいるとは限らなかったが、それでも見た感じでは何らかのユニットを背負って……いや、引きずってか? ともかくビグロの後部に接続されており、ビグロの持つ突出した機動力を活かすといったような真似は、到底出来そうになかった。

 基本的にあのビグロは移動しながら戦うのではなく、どこか一ヶ所に留まって戦うといった性質に変わっている筈だ。

 つまり、今の時点でもまだ移動していない可能性が高く……

 

「ビンゴ」

 

 ガンダム7号機の映像モニタに、赤く塗られたビグロの姿がはっきりと確認出来る。

 向こうは一体何を考えてあんなに目立つような真似をしてるのかは分からない。分からないが……この状況で前線に出て来るという事は、連邦軍のMS……ビームライフルやビームスプレーガンといったような武器を持つ敵と戦っても、どうにか出来ると判断しての事なのだろう。

 

「さて、そうなると……これでどう出る?」

 

 ビグロの改修機……面倒だからビグロでいいか。そのビグロのパイロットに理解出来るよう、これ見よがしにビームライフルを構え……そして向こうが対処出来る余裕を作った後で、トリガーを引こうとし……次の瞬間、ビグロから……正確にはビグロの背負っている部位から何かが発射され、やがて爆発する。

 何だ? 迎撃を失敗したのか?

 そんな疑問を抱きつつ、ビームライフルのトリガーを引く。

 カトンボの格納庫で可能な限り充電はしたが、それでもフル充電までは出来なかった。

 だが、それでもか7割……いや、8割といったくらいまでは充電出来たので、今のこの状況で戦うのに不安な要素は全くない。

 そんな風に考えつつ、ビームライフルのトリガーが引かれ……銃口からビームが放たれるが……不意にそのビームが消失する。

 それはちょうど先程、あのビグロが撃ったミサイルが爆発した場所で……そこまで考えた時、先程のミサイルが何だったのかを理解する。

 

「ビーム攪乱膜かっ!?」

 

 ビーム攪乱膜というのは、ビーム系の兵器を無効化するという意味ではIフィールドと同じようなものだし、この技術そのものはジオンの独立戦争が始まった時から既に存在していた。

 だが、そのような技術であるにも関わらず使われる事が少ないのは、相応の理由がある。

 ビグ・ザムが使っていたIフィールドに比べると、欠点が多いのだ。

 まずミサイルを使って爆発させる必要があるのだが、このビーム攪乱膜は一定の時間が経つと消滅してしまう。

 また、Iフィールドは展開してるMAが好きな時に攻撃を出来るが、ビーム攪乱膜の場合は、そこに存在している以上、敵味方関係なくビーム兵器の使用が不可能になる。

 

「厄介な……ただ、Iフィールドじゃなかったのは残念だったけどな」

 

 個人的には、出来ればビグ・ザムと同じようにIフィールドを装備しているのなら、可能な限り確保しようと思っていたんだが……これは、正直なところちょっと予想外だったな。

 こうなると、確保する必要性が一気に失われた。

 とはいえ、ビグロが背負っているあの巨大なコンテナのようなパーツが気になるのは間違いない。

 そうである以上、出来ればここである程度確保しておきたいと思うのは、当然だろう。

 ビグロのような高い機動力を持つMAに、わざわざあのようなパーツをつけるのだ。

 それはつまり、ビグロの機動力を犠牲にしてでも、用意する必要がある何かだったという事なのだろう。

 であれば、最悪ビグロの方は撃破してでも、あの追加パーツは部位はこっちで何とか確保したい。

 

「そんな訳で……少し本気を出させて貰おうか。……っと!」

 

 向こうも、先程のビームライフルの一件で、こっちが近付いてくるのを理解したのか、方向転換をするとビグロのメガ粒子砲をこちらに撃ってくる。

 ビグロの特徴たる高い機動力は背後のパーツで犠牲になっているが、ビグロの持つメガ粒子砲は健在らしい。

 その威力は強力で、それこそルナ・チタニウム製の装甲を持つガンダム7号機であっても、まともに当たれば破壊されてしまうだろう。

 ……そう、あくまでも普通に命中すれば、の話だ。

 スラスターを全開にしながら、普通の人間には厳しいだろう回避機動をとる。

 そうしてメガ粒子砲を放ったビグロとの間合いを詰め……不意にレーダーが別の敵機の反応を捉える。

 

「ちぃ! やっぱりこいつだけじゃないのか!」

 

 再度スラスターを全開にして、半ば無理矢理進路を変える。

 すると次の瞬間、ガンダム7号機のあった場所を上からビームが貫く。

 それも普通のビームライフルのビームではなく、パレット状のビームだ。

 ビグロとの間合いを詰めるのを一旦諦め、距離を取りつつ攻撃してきた相手を見る。

 そこにいたのは、ゲルググ。

 それもただのゲルググではなく、統合整備計画によって性能が強化されたJ型だ。

 このビグロの護衛として残っていたのか、それとも単純に偶然ビグロに近付くガンダム7号機の姿を見つけて攻撃したのか。

 その辺りは分からなかったが……俺が距離を取ったのを確認したゲルググは、ビグロの側で待機しているのを見ると、恐らく前者なのだろう。

 ゲルググのJ型がいるというのは……しかもさっきの様子から考えて、相応の練度を持っているというのは、こちらにしてみれば非常に厄介な状況なのは間違いない。

 とはいえ……あれだけ巨大なビグロだ。

 動きが鈍い以上、護衛のMSがいるというのは最初に考えてもよかったのか。

 そう考えつつ、取りあえず一度ビグロから離れながら、様子を見る。

 そうして……ビグロと接続されているパーツの中から、オッゴが出撃してくるのを見て、それでようやくビグロと接続されている部分がどのような意味を持つのかを理解した。

 つまり、あの後ろのパーツはオッゴの補給や整備を行う場所なのではないのだろうかと。

 普通に考えれば、前線でそんな真似をするか? という思いもある。

 だが、オッゴは戦闘ポッドだけあって、どうしても数が多い。

 つまり、もし母艦……例えば、ムサイ級に戻っても、補給には時間が掛かる。

 ましてや、戦闘ポッドだけに推進剤の類もそこまで多くはなく、それを考えれば、前線で補給が出来るようにした方がいいのは間違いない。

 そして、ただの補給をする為の場所を作っても、それが連邦軍に見つかれば普通に撃破される。

 であれば、補給する場所が見つかっても撃破されないように、自衛の能力は必須となるだろう。

 ……それなら普通にあのゲルググJのように護衛のMSを配置すればいいと思うのだが、それで何故ビグロを持ってきたのか、という疑問はあるが。

 オッゴの補給をする場所……補給コンテナ? ちょっと違うが、取りあえずそう呼ぶとして、それを移動させるという意味では、機動力に優れたビグロを持ってくるのはおかしな話ではないのか。

 つまり、蜂の巣が自分で移動しているような、そんな認識でいいのか?

 

「それならそれで、対応のしようはある。……そもそも、働き蜂がオッゴって時点で敵としてはどうかと思うけどな」

 

 もっとも、それはあくまでも俺だから……もしくはルナ・ジオン軍という精鋭が多いからこそ、言える事だ。

 純粋に連邦軍を相手にするのであれば、オッゴという数で押すという戦術は決して間違っている訳ではない。

 オッゴの武器が、ザクマシンガン。

 連邦軍の主力たるジムとボールを相手にした場合、十分致命傷を与える事が出来る武器でもある。

 ルナ・チタニウム製の装甲を持つMSには通用しないが、そんなのは連邦軍の中でも本当に少数だろうし。

 そう考えれば、オッゴはMSと比べても小さいから、敵の攻撃が命中しにくいという効果もあり。悪い選択肢ではない。

 エースが来ても、本来ならカスペンのような精鋭や……現在ビグロを守っているゲルググのような連中が対処するんだろうし、ビグロのメガ粒子砲やビーム攪乱膜のような攻撃手段や防御手段もある。

 ……うん、こうして考えてみれば、やっぱりこのビグロは連邦軍を相手にしても十分対処出来るだけの力は持ってるんだな。

 連邦軍で指揮を執ってる奴は、それを理解して俺達をここに派遣したのか?

 だとすれば、レビルの後継者たる実力を発揮出来たと言ってもいいと思うが……偶然こんな形になったのだとしたら、さてどうなるだろうな。

 そんな風に思いつつ、機体を旋回して再びビグロと……その護衛をしているゲルググを全天周囲モニタに表示させる。

 向こうも、こっちが今の行動だけで諦めるとは思っていないのか、きっちりこっちを迎え撃つ準備は整えていた。

 

「っと!」

 

 牽制として放たれた、ビグロのメガ粒子砲。

 それを回避しながら、スラスターを全開にしながら敵との間合いを詰めていく。

 当然のように、向こうもこっちを間合いの内側に入れたくはないのだろう。ゲルググがJ型の武器として特徴的なビームマシンガンで、ビームのパレット弾を次々とこちらに向かって発射してくる。

 普通であれば、そんな細かいビームを全て回避するといった真似は、出来ない。

 出来るとしても、それはアムロやシャアといったエースを始めとして、一部の者だけだろう。

 そして、当然……俺もまた、そのエースの一部だ。

 ガンダム7号機の各所にあるスラスターを使いつつ、移動する場所を細かく変更しながら、細かいビームを次々と回避しながら、更に間合いを詰めていく。

 ゲルググのパイロット、操縦技術そのものは決して悪くはない。

 俺の感覚だと、ベテラン以上エース未満といったくらいか。

 だが……その技量の割に、実戦経験が足りない。

 恐らく、純粋に才能とシミュレータの訓練だけでここまでの技量を身につけたのだろう。

 そういう意味では、かなり有望なパイロットなのは間違いない。

 しかし……俺の前に出るには、まだ未熟。

 こちらも複雑な回避運動をしながら、ビームライフルを撃つ。

 普通ならこのような動きの中でビームライフルを撃っても、命中させることは困難だろう。

 だが、数え切れない戦場を渡り歩いてきて……その上でステータスの命中の数値も350オーバーの俺にとっては、この状況で命中させるのは、難しい話ではない。

 ただし……

 

「腕と足、頭部だけどな」

 

 連続してビームライフルから放たれたビームは、その言葉通りゲルググの両手両足、最後に頭部を貫き……あっという間に胴体を残すだけとなる。

 あのゲルググのパイロットは、一体何が起きたのか全く理解出来なかっただろう。

 気が付けば、コックピットは無事だが胴体以外の部位は破壊されていたのだから。

 そうして身動き出来なくなった――ランドセルがあるので移動は出来るかもしれないが、手足と頭部がない今の状況でそのような真似をした場合、下手をすれば爆発する可能性がある以上、ろくに身動きは出来ないだろう――との間合いを詰めていく。

 当然ながら、ビグロの方でも俺がゲルググの胴体に向かって近付いているのは知っている為に、それをさせまいとビグロと接続しているユニットから、ミサイルやガトリング砲といった武器で次々と攻撃してくる。

 ビグロと接触しているユニットから出て来たオッゴもザクマシンガンやミサイルでこちらを攻撃してくるが……そのような攻撃がそう簡単に通じる筈もなく、それらの攻撃を回避しながら間合いを詰め、やがてゲルググの胴体を接触する。

 そうなれば、ビグロもオッゴも、それ以上の攻撃は出来なくなる。

 この状況で下手に攻撃した場合、ゲルググの胴体に命中する可能性もあるのだから、当然だろう。

 そんな胴体を掴むと、そのままビグロとの間合いを詰めていく。

 ただし、今度はスラスターを全開にするような真似はせず、俺が胴体に乗っているだろうパイロットの命を握っていると、そう示すように。

 

『くっ、この……離しなさい!』

 

 接触回線でゲルググのパイロットの声が聞こえてくるが……映像は映らず、音声だけだが、それでも声からゲルググのパイロットが女であるというのは明らかだった。

 

「大人しくしていろ。お前はあのビグロを入手する為の人質になって貰うからな」

 

 護衛の1人と引き換えに、あのビグロを渡すかどうかは分からない。

 正直なところ、可能性は少ないと思っていたが……護衛をしていたゲルググのパイロットが女となれば……あのビグロのパイロットが男の可能性もあり、そう考えると大人しく降伏する可能性もない訳ではなかった。

 

『なっ! ……ふざけるな! 私と引き換えにビグ・ラングを渡せる筈がないでしょう!』

 

 そんな風に叫ぶ女の様子から、あのビグロの名前がビグ・ラングという名前だけは判明したが……取りあえず、その叫びはスルーしながら、ビグ・ラングに近付いていくのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1265
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1632

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