転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0256話

「君、昨日の!」

「そうそう、ナンパ男達から助けてくれた!」

 

 黒髪のショートカットと、桃色のロングヘアー。どこか見覚えのある2人組だったが、その言葉で俺も思い出す。

 そう言えば、昨日エヴァンジェリンの家に行く途中で確かに悪質なナンパをされていたのから助けたな。

 

「ほほぅ。この2-Aの誇るチアリーダー部所属の2人はその嗅覚で委員長好みの少年に先に唾をつけておいた、と。柿崎、釘宮。これ明日のまほら新聞に載せてもいいかな?」

「駄目に決まってるでしょーが! 何さらっと捏造してんのよ! そんなんだからパパラッチって呼ばれてるのよ」

「ちょっと、柿崎さん、釘宮さん。朝倉さんの今のお話をじっくりと聞かせて貰えませんこと?」

「うわぁっ、いいんちょが信じた!」

「クギミー、あの子の事を知ってるですかー?」

「クギミー言うなぁっ!」

 

 何と言うか、うん。女3人寄れば姦しいとは言うが30人近く寄ればそれは既に騒音と言ってもいいな。

 そんな風に思っていると、先程パパラッチ呼ばわりされていた女がこちらへと素早く近寄ってくる。

 

「ねね、高畑先生。皆を代表して質問したいと思うけどいいかな?」

「うーん、確かにこのままだと授業にもならないし……アクセル君、構わないかな?」

「断れない雰囲気が作られてるんだが……了解した」

「おや? 随分と口達者な子供だね。……要注意、と。えっと、まず名前は?」

「アクセル・アルマー」

「年齢は?」

「10歳」

「若っ! 何で10歳の少年がこの麻帆良女子中に?」

「一応、飛び級と共学に関してのテストケースという事になっている」

「出身は?」

 

 ……しまった。その辺は考えてなかったな。ここは無難にアメリカやらイギリスやらにしておくべきか? だが、そんな俺に救いの手をさしのべてくれたのはあやかだった。

 

「はいはい、朝倉さんもあまり無理強いしないで下さいな。アクセル君の出身はアメリカです」

「あれ? 何で委員長が知ってるの?」

「それはアクセル君を私達の部屋で預かる事になっているからですわ」

『ええええっっっっ!』

 

 再び悲鳴とも歓声ともつかない声が教室に響き渡る。

 

「なーなー、アスナー、あの子いんちょの部屋で暮らすんやて。大丈夫かな?」

「何がよ。私はガキは嫌いだからどうでもいいわ」

「それは、ほら、貞操的にやなー」

「……委員長なら微妙にありそうで怖いわね」

 

 クラスの後ろの方でそういう風に話している声が聞こえて来る。

 ちなみにチラリとエヴァンジェリンと茶々丸の方を見ると、エヴァンジェリンは面白そうに、茶々丸はどこか心配そうにおろおろとしながらこちらを眺めていた。

 おのれ、茶々丸はともかくエヴァンジェリンは俺で遊ぶ気満々だな。

 昨日助けた2人――黒髪の方が釘宮、桃色の髪の方が柿崎というらしい――は好奇心に目を輝かせて朝倉とかいう女の質問に集中している。

 千鶴はあらあらと笑いながら。夏美はしょうがないなぁ、とばかりに苦笑を浮かべ。あやかに関してはすまなさそうに俺に目で謝ってきている。

 その様子を見るに、これがこのクラスの平常運転の状態なのだろう。

 そしてそんな風にしている間も、朝倉とかいう相手からのインタビューは続いていた。

 

「好きな食べ物は?」

「最近はエビのプリッとした食感が気に入っている」

「いやー、にしても喋り方がとても子供とは思えないけど年齢誤魔化していない?」

「さて、どうだろうな」

「それじゃあ、大体の質問もしたし……最後に2つ程。まず、好みのタイプは?」

「好みのタイプ……?」

 

 好みのタイプと言われて、俺の頭に浮かんでくるのは当然レモン、コーネリア、マリューという3人の恋人達の事だ。だが、その3人にしても特に共通している点は……

 

「そうだな、自立心がある人は好きになりやすいと思う」

 

 知的とかプライドと実力が釣り合ってるとか、包み込むような優しさとか他にも色々とあるが……まず最初に思いついたのだがソレだった。

 

「へぇ、自立心ねぇ……ちなみに、このクラスでは誰が好み?」

 

 朝倉の言葉に、クラスを見回す。その時、ふと思いつきステータス表示をしてみるが……いるわいるわ。

 神鳴流、半烏族、魔族、半魔族、甲賀忍法、魔法、中国拳法、呪紋回路、魔法無効化能力等々。多種多様なスキルが目に付く。

 スキル覧に表示されているのだけでもざっとこのくらいだ。そしてスキル覧には特に何も表示されていなくても、SPが300オーバーというこの世界的には化け物クラスの魔力を持った人物もいた。

 見た感じだとほんわか系の人物に見えるんだが。

 恐らく、このクラスには2年で事情のある人物達を監視するなり、護衛するなり色々な目的で一纏めにしてあるのだろう。

 

「ねね。それで好みは?」

 

 急かす朝倉に、溜息を吐きながらあやかと千鶴の方へと視線を向ける。

 

「まだ、このクラスの誰がどういう性格かは分からないが……敢えて言うのならあやかと千鶴だな。少し離れて、夏美と昨日助けた2人って所か」

『キャアアアアアアアアアアアアっっっっっっ』

 

 そして再び広がる絶叫染みた歓声。

 

「アクセル君の気持ち、しかと受け取りましたわ! これはもう、式を挙げるしか!」

「落ち着けーーーーっっ!」

 

 予想通りにハイテンションになったあやかの頭を、素早く後ろに現れた人物がどこからか出したハリセンで叩き付ける。

 スパーンっ、という気持ちのいい音が教室へと響き渡った。

 

「ア、アアアアアアアアスナさん! 一体何をしますの!? ……はっ!? もしかして自分の報われないオジン趣味に見切りを付けてアクセル君に興味が!? 許しませんわよ!」

「んな訳あるかぁっ!」

 

 再度ハリセンで叩かれるあやかの頭。

 そしてそれが切っ掛けで、2人の喧嘩――じゃれ合い――が始まる。

 周囲では『いんちょに食券5枚』『アスナに食券3枚』とばかりに何故かトトカルチョが開かれていた。

 

「賑やかなクラスだろう?」

 

 その様子を呆れて眺めていた俺に対し、高畑が苦笑を浮かべながらそう話し掛けてくる。

 

「……賑やかと言うか、五月蠅いって言うんじゃないのか?」

「フフっ、だがお前も今日からはその五月蠅いクラスの一員な訳だ」

 

 いつの間にか近付いてきていたのか、俺と高畑の近くにエヴァンジェリンと茶々丸の姿があった。

 

「まぁ、退屈はしなくて済みそうだよな」

 

 この賑やかさの中で退屈するとしたら、それは余程の事だろう。

 

「それよりも、昨日は寮に帰ってから魔法の練習をしたか?」

「いや。あやかと千鶴だけならまだしも、3人部屋だったからな」

「そうか、そう言えばお前の部屋には村上夏美もいたか」

 

 基本的には魔法に関しては一般人に秘密にしないといけないというのは既に聞いている。個人的にその説明に違和感があるのは、念動力という能力が一般的……とまでは言わないまでも特に隠す必要も無いスパロボOGsの世界が俺の故郷だからだろうか。

 

「ただ、一般人がお前の部屋にいるとなると……魔法の練習は難しいかもしれないな」

「だろうな」

 

 エヴァンジェリンの言葉に軽く頷く。

 

「ん? それ程残念そうには見えないな」

「いや、残念かどうかと言われれば確かに残念だが……それ程急いで魔法を覚えたい訳でも無いからな。あくまでも俺の好奇心故だし」

「そう言えばそうだったな。お前は魔法を使わないままでも私と互角以上にやり合う事が出来たんだしな。……だが、お前にはその馬鹿魔力があるんだ。どうせなら魔法を覚えた方がいいと思うぞ。何せ魔力というのは基本的に修行とかでは増やせない、一種の先天的な資質と言ってもいいんだ」

「……何?」

 

 エヴァンジェリンの言葉に、ピクリとする。

 魔力……すなわち、俺のステータスで表示するとSPとなっているそれだ。それが修行とかでは増やせない? 俺の場合は、PPを消費して増やす事も可能だし、何よりレベルが上がるとガンガン上がっていくんだが……

 

「さて、エヴァもアクセル君も話はそのくらいにしておいてくれ。さすがに教室で堂々と魔法がどうこうと話しているのを他の関係者に見つかったら言い訳出来ないからね」

 

 軽く肩を竦めた高畑が、未だにじゃれ合いを続けるあやか達の方へと近付いていく。

 

「明日菜君も雪広君も、それくらいにしておくんだ。あまり騒ぐとまた新田先生に怒られるぞ?」

「た、高畑先生! すみません、ちょっと委員長がいつものように馬鹿な真似をしてたので、つい……」

「ちょっと、アスナさん!? 人のせいにしないで下さいます!?」

 

 あわや2回戦勃発か!? とも思ったが、幸いそれは高畑が上手い具合に沈静化してくれた。

 

「ほらほら、英語の授業を始めるから席に着くように。いつも出張ばかりで悪いが、折角今日はこうして授業が出来るんだから真面目に聞いてくれよ。あぁ、アクセル君の席はエヴァンジェリン君の隣にあるからあそこに座ってくれ」

「分かった」

 

 高畑の言葉に従ってエヴァンジェリンの隣にある空席へと向かっていると、その途中でふと呟きが聞こえてきた。

 

「いや、そもそも何でそんなに出張が多いんだよ。と言うか、飛び級に共学化のテストケースってなんなんだよ。……駄目だ、このままだと私の堅実な現実感が……」

 

 ボソッと呟いたつもりだったのだろうが、既に人外と言ってもいい身体能力や五感を持っている俺に取っては筒抜けだったりする。

 チラリとそちらを振り向くと、そこにいたのはメガネを掛けた少女の姿があった。

 

「……ん?」

 

 俺が視線を向けているのに気が付いたのか、一瞬焦った様子をしながらも軽く頭を下げてきたのでこっちも返しておく。

 

「あれ? アクセル君ってもしかして千雨ちゃんが好みなのかにゃー?」

 

 俺の席の前に座っていた人物が、後ろを振り向くや否や素早く俺と千雨と呼ばれた少女へと視線を走らせて意味あり気に笑う。

 

「いや、特にそういうつもりはないんだが……」

「ありゃりゃ、違ったか。にしても、綺麗なお姉さん達に囲まれてテンパってるかと思いきや、随分と普通だねぇ。っと、私は明石裕奈って言うんだ。よろしくね。何か分からない事があったら何でも聞いていいよ。人呼んで、ゆーな☆キッド。いつでもお助けに参上するからね」

 

 ゆーな☆キッドとは、また随分と愉快な通り名もあったものだ。

 

「ねね。バスケットって興味ある?」

「知ってはいるが、やった事は殆どないな」

「ありゃ、珍しい。アメリカ出身なのにバスケ未経験? なら今度うちに体験入部でもしにおいでよ。やってみたら絶対に面白いからさ」

「……いや。この場合俺が体験入部するにしても、それは男子バスケ部になるんじゃないのか?」

「あー……そっかぁ。残念。アクセル君にお姉さんの格好良い所を見せられると思ったんだけどにゃー」

「ほらほら、明石君にアクセル君。そろそろ授業を始めるからこっちに集中してくれないかな」

「っと、高畑先生の授業ってだけでレアなんだから、ここは頑張らないとね」

 

 明石はそう言って前へと向き直り、黒板に英文を書いている高畑へと集中する。

 

「……授業、ねぇ」

 

 まさかこの歳になってから中学校で授業を受ける事になった自分に苦笑を浮かべつつも、取りあえずバッグから教科書を取り出して授業に専念する事にした。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376

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