転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0257話

 高畑の授業! と意気込んでみたものの、内容的には極普通の中学生の英語の授業だった。……いや、まぁ、魔法使いが教師でもそれはそれ、これはこれ、という事なのだろう。

 

「では、これで授業を終わります。僕はこの後、出張で出かけなければならないので何かあったらしずな先生に相談するように。……あー、それと。アクセル君に対しては程々にしてあげてくれると嬉しい」

 

 ……俺に程々? 何の事だ? と思ったのも束の間。高畑が教室を出て行くや否や、教室にいた殆どの生徒が俺のいた場所へと突貫してくる。

 

「うおっ!」

 

 その様子を見て、咄嗟に教室を離脱しようとした俺は悪くないだろう。実際、そのまま逃げ切れる筈だったのだ。

 

「おいおい、クラスの連中とのコミュニケーションは大事だぞ?」

 

 いつの間にかドアの前に意地悪く笑ったエヴァンジェリンが立ち塞がり、退路を断っていなければ。

 

「勝負するアル!」

 

 褐色の肌をした少女が何やら構えながらそう言ってくる。

 

「拙者も手合わせを希望するでござる」

 

 背の高い忍者っぽい喋り方をする少女もまた、そう言ってくる。

 取りあえず……

 

「却下だ」

「何故アルか!?」

「これ以上のゴタゴタは御免だからだ」

「む。ではどうすれば手合わせをして貰えるでござるか?」

 

 さて、どうしたものか……そう悩む俺に救いの手をさしのべてくれたのは、これもまたいつの間にか近くに来ていた釘宮だった。

 

「ほらほら、くーちゃんも楓ちゃんも余り無茶言わない。と言うか、こんな子供に勝負を挑むなんて端から見ると苛めにしか見えないよ?」

「むぅ……そうアルか」

「残念でござるな」

 

 苛めというのが堪えたのか、大人しく引き下がる2人。そんな様子を眺めながら助けてくれた釘宮へと礼を言う。

 

「クギミーとか言ったか。助かった」

「クギミー言わない!」

 

 があああああ! とばかりにそう叫んでくるクギミー……もとい、釘宮。

 だがそれもすぐに落ち着き、改めて俺の方へと視線を向けてくる。

 

「えっと、ちょっと遅くなったけど昨日はありがとう」

「そうそう、私も助かったよー。ありがとう、アクセル君」

「2人共どしたの?」

 

 釘宮の会話に割り込んできたのは、昨日一緒にいた柿崎美砂と、どこか脳天気そうな印象を受ける少女だった。

 

「ほら、昨日桜子が用事があるって言って、結局円と2人で出掛ける事になったでしょ? その時、悪質なナンパ男に絡まれていた所をアクセル君に助けて貰ったのよ」

「そうそう。あの時は本気で参ったよね。断っても断ってもしつこくて。で、最終的には半ば脅すような感じになって来た所でアクセル君が登場してパパッと片付けてくれたのよ」

「にゃはは、アクセル君凄いねぇ。この2人を助けてくれてどうもありがとうね。あ、私は椎名桜子って言うんだ」

「あらあら。アクセル君ったら色んな所で人助けをしているのね」

「千鶴さんっ!」

「……そうだったわね」

「どうしたの、ちづ姉?」

「フフフ、何でもないのよ夏美ちゃん」

 

 危うく一昨日の出来事を匂わせるような発言をした千鶴を、あやかが止める。それに不思議そうな顔をした夏美だったが、笑って誤魔化す千鶴だった。

 

「むぅ。やっぱり強いアルか。……アクセルといったアルな。今度うちの部活に来ないアルか?」

「部活?」

「うむ。中国武術研究会という部活アル」

「あ、それなら私達の部活とかも!」

「……美砂、チアリーディング部にアクセル君を招待してどうするつもりよ」

「そこはほれ、アレよ。綺麗なお姉さん達のサービスシーンで……」

「にゃはは。面白そうだから、私もそれには賛成かな」

「桜子、あんたまで……」

 

 中国武術研究会にチアリーディング部ねぇ。チアリーディング部の方に関しては純粋に演技を見るという意味でありかもしれないが、問題は中国武術研究会の方だな。俺の使える格闘術というのは、基本的に士官学校で習った軍隊格闘術をより俺向きにカスタマイズしていったものだ。ぶっちゃけ格闘技というよりは殺す技術と言った方が正しいだろう。だが、それを言っても目の前にいるくーちゃんと呼ばれた少女が諦めるとも思えない。となると、そうだな……

 

「まぁ、機会があったら」

 

 取りあえずは誤魔化す事にする。

 

「本当アルね!?」

 

 だが、目の前の少女は何を勘違いしたのか喜色満面の様子で妙な踊りを踊っている。

 

「あーあ。くーちゃんに難しく言っても通用しないよ? 何せバカレンジャーなんだから」

 

 と、どこか呆れたような様子で釘宮が呟く。

 

「バカレンジャー?」

「簡単に言えば、クラスで成績の悪い5人組だね」

「……美砂、私達の成績から言えばバカレンジャー予備軍だったりするって分かってる?」

「うぐっ! ……いいのよ。私は恋に生きる女なんだから!」

「さすが2-Aで唯一恋人がいる女は言う事が違うわね。……でも、結局お試し感覚で付き合った感じなんでしょ?」

「……まぁ、それを否定するには吝かではないという感じではある、かな?」

 

 話がどんどんずれていってるような気がするが……まぁ、曖昧に出来たんだし良しとするか。

 

「はいはい、皆さん。そろそろ次の授業が始まりますわよ。ご自分の席に戻って下さいな」

「はーい。いいんちょはやっぱりいいんちょだねぇ」

 

 俺の周囲に集まって来ていた少女達も、それぞれが自分の席へと戻っていく。

 

「悪い、あやか。助かった」

「いえいえ、アクセル君の事ですもの。この雪広あやか、全力で支援させて頂きますわ!」

 

 何と言うか、これが若さ故の勢いとかなんだろうな。ぐいぐいと迫ってくる勢いに対抗しきれないと言うか、流されると言うか……

 

「ちっ、つまらん展開だ。もっとお前があたふたするのを見たかったんだがな」

 

 エヴァンジェリンが期待外れだ、とでもいうような表情で自分の席へと着く。

 

「……お前は一体何がしたかったんだ?」

「何、今も言ったが、お前があたふたする場面というのを見てみたかっただけだよ。……それより、昨日言っていた別荘の発掘が完了した。今日の放課後にでもうちに来い。昨日の約束通りにお互い全開で戦うとしよう」

 

 ニヤリとした笑みを浮かべるエヴァンジェリンの言葉に、苦笑しながら頷く。

 

「吸血鬼と言う割には、妙に知的好奇心が……って、教室でこんな話をしてもいいのか?」

 

 エヴァンジェリンが特に隠す様子も無く戦うとか言っていたのでこちらも普通に返していたのだが、この世界では魔法やら何やらに関しては基本的に秘匿されてるらしいというのは高畑から聞いて知っている。

 

「何、学園の連中に知られたとしても奴等にお前をどうこうする事なんか出来ないさ。それに……見ろ」

 

 エヴァンジェリンの言葉に周囲を見回すと、特に誰かがこちらへと注意を払っている様子は見えない。

 

「この年頃のガキ共は注意力散漫だからな。特にこのクラスではそれが顕著だ。何か目立つ真似でもしてれば話は別だが、ただこうして話しているだけでは注目を集める事は無いのさ」

「……まぁ、エヴァンジェリンがそう言うのなら、それでいいが」

「エヴァで構わん」

「ん?」

「毎回、エヴァンジェリンでは呼びにくいだろうからな。エヴァで構わん」

 

 確かに毎回エヴァンジェリンと呼び掛けるよりはエヴァと呼んだ方が呼びやすいのは確かだ。

 

「どうしてまた急に?」

「ふん、お前はある意味で私と似たような存在だからな。ある程度の親近感は持っているんだよ。それに私が吸血鬼であると知っても態度を変えないという奴は珍しいからな」

「吸血鬼と知って態度を変える、ねぇ。異星人やら遺伝子を改造して生まれた新人類やら、そしてなにより植物状だったり骨状態だったりする分身を無数に作り出して執拗に俺を狙ってくる化け物に比べると正直、吸血鬼? それが何? って感じなんだがな」

「……お前もまた、随分と波瀾万丈な人生を送ってきているらしいな」

 

 俺の台詞に、どこか呆れたような目でこちらを見るエヴァ。

 そんな状態でこの日の授業は過ぎていった。

 ……昼食に関してはまた一騒動あったのだが、それは置いておく事にする。

 

 

 

 

 

 授業も全て終わり、早速エヴァの別荘に行く為に寮へ荷物を置くべく教室を出ようとしたその時、背後から声を掛けられる。

 

「アクセル君、この後ちょっといいかしら?」

 

 その声の主は、千鶴だった。いつものように、夏美を脇に控えさせている。

 

「この後はちょっと用事があるんだが……」

「用事?」

「ああ。エヴァと約束があってな」

「へぇー。アクセル君ってエヴァちゃんみたいな子が好みなんだ?」

「いや、それは無い」

 

 取りあえず、ロリコン疑惑はきっぱりと否定しておく。

 ……千鶴やあやかの部屋で同居している身としては、そこを突かれると言葉に詰まるんだが。

 

「フフフ。取りあえずアクセル君は私達と一緒に来て貰いたいんだけど構わないでしょう?」

「いや、だからこれから約束が……」

「まぁまぁ。それはそれ。これはこれって奴よ。……それに、この状態のちづ姉に逆らうのはちょっと無謀だよ?」

「……確かに」

 

 これまでのやり取りが脳裏に過ぎり、思わず溜息を吐く。

 別にそれ程強引という訳でも無いのだが、何故か最終的には自分の思い通りの流れにしてしまうという妙な力を持っているのだ。

 逆らいにくい不思議な雰囲気を醸し出しているというのもあるが。

 

「分かった。何があるのか知らないが、なるべく手早く頼む」

 

 苦笑しながら千鶴と夏美に連行される。

 そして案内されたのは一つの教室。中では静かにしているがかなりの人数の気配を感じる。

 

「さぁ、どうぞ」

 

 千鶴の言葉に従い、ドアを開けると……

 パァーンッ!

 銃声のような音が周囲へと響き渡った。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376

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