「ここが……月、か」
クレイドルの街並みを見て、ガルマの口から感嘆の声が上がる。
ちなみに、当然の話だがガルマはそのままの姿という訳ではなく、変装をしていた。
ホワイトベース隊との戦闘で死んだということになっているし、ギレンが大々的に国葬も行っている。
そうである以上、ガルマに似ている人物を見ても見間違いと思うか……もしくは世の中にはそっくりな者が何人かいるから、それと思われる可能性もある。
だが、それでも今回の一件に関しては不味いといったことになりかねないので、ガルマには変装をさせている。
とはいえ、そこまでしっかりとした変装という訳ではなく、帽子を被ってサングラスを掛けているだけなのだが。
髪型と目元を誤魔化すだけで、何気に結構な変装の役割はこなせたりする。
ガルマの場合は元々人気が高いという点が心配だったのだが、今のところ変装が見破られる様子はない。
ちなみに、ガルマだけではなくイセリナもまた変装している。
ガルマ程に有名ではなくても、イセリナはガルマが北米にいた頃に付き合っていたというのはそれなりに知られている。
それだけに、イセリナの事を知っている者も決して少なくはない。
……そんな2人から少し離れた場所にいるマツナガもまた、同じように変装中だ。
何気に月にやって来た4人の中で、変装していないのは俺だけだったりするんだよな。
まぁ、だからどうしたって訳でもないのだが。
「凄いですね。まさかこんなに広い月面都市なんて……」
ガルマからはぐれないよう、しっかりと腕を組んでイセリナが呟く。
まぁ、UC世界で建設された月面都市……有名所だとフォンブラウンやグラナダといった場所であれば、基本的には地下に広がっていく構造となっている。
だが、このクレイドルはマクロス世界で開発された超巨大移民船とも言うべき存在が、そのまま月に着陸した結果出来たものだ。
超巨大というだけあって、その広さは北海道と同等くらいの大きさを持つ。
そんなクレイドルだけに、わざわざ地下を掘り進めなくても全く問題なく暮らす事が出来る。……いや、それどころか人が足りなくて移住を希望する多くの者を集めているといった様子ですらある。
勿論、クレイドルとしてこうして月にある以上、将来的にもし人口が多くなりすぎた場合は他の月面都市と同様に地下を掘って居住区を広げるといったような真似も出来ない訳ではない。
そういう訳で、クレイドルはまだまだ大きな発展性を持つ。
また……これは万が一、本当に万が一の奥の手や最後の手といったようなものだが、もしどうしても月の崩壊とかが避けられなかったり、クレイドルに向けてコロニーが落下してきたりした場合……クレイドルは移民船としての機能も当然あるので、クレイドルだけで逃げるといったような真似も出来たりする。
勿論、そのような真似をすれば色々と大きな被害が出るので、本当に奥の手だが。
何しろクレイドルが動くということは、当然のようにクレイドルに設置されているゲートも動く訳で……そうなるとホワイトスターに移動する事も出来なくなるし、接続が途切れたという事で時間の流れが違ってくるといったような事にもなりかねない。
まぁ、俺の場合は最悪ニーズヘッグがあるので、それを使えばいつでもホワイトスターに戻れるのだが。
「さて、ルナ・ジオンを見物するのもいいけど、まずは政庁だな。ビグ・ザムの件はその後だ」
仮にも、ガルマ・ザビがルナ・ジオンにやって来たのだ。
そうである以上、当然のようにセイラには話を通しておく必要がある。
また……まずないと思うが、ガルマが何か妙な考えを持っていた場合も、セイラならニュータイプとしてそれを感じられる。
ガルマがサイド3を継承するかどうかというのは、まだガルマから返事を聞いていないので何とも言えないが。
「そうしてくれ」
ガルマがルナ・ジオンの街並みを眺めていた時とは全く違う表情を浮かべ、そう言ってくる。
ガルマとセイラはザビ家とダイクン家という事で色々と……本当に色々と因縁がある。
ましてや、この2人は年齢も近いことがあるから、恐らくセイラがまだサイド3にいた時に会っている筈だ。
ある意味で幼馴染みと言ってもいい……のか?
ともあれ、そんな相手と会うのだからガルマに緊張をするなという方が無理だろう。
それでいて、ジオン公国は実質的な敗戦国となっているというのも大きい。
「本来なら、堂々と政庁に入った方がいいんだろうが……今の状況でそういう真似は出来ないからな。影のゲートで転移するぞ」
正面から政庁に入るような真似をした場合、ガルマの正体が知られてしまう可能性がある。
ガルマ・ザビの生存というのを大々的に広めた後ならともかく、今の状況でガルマが生きているというのを知られるのは絶対に避けたい。
「う……影のゲートか……」
少しだけ嫌そうな様子のガルマ。
イセリナの方は、そこまで気にした様子を見せてないのだが。
2人共、別にこれが初めての影のゲートといった訳ではない。
それでもこういう風になるということは、やはりいざという時は女の方が度胸があるといったところか。
「ほら、そこで怖がっていてもしょうがないだろ。さっさと行くぞ。そろそろセイラとの約束の時間だし」
当然の話だが、俺だけがセイラと会うのなら、わざわざアポを取る必要はないのだが、ガルマやイセリナ、マツナガといった面々を連れていくとなると、前もって約束をしておく必要がある。
俺だけなら、セイラがまだ仕事中でも適当に待つといった真似も出来るのだから。
だが、俺以外の面々を連れていくとなれば、まさか連れていった先で待っていろといったような真似も出来ない。
いや、最悪そんな真似もやろうと思えば出来るかもしれないが、わざわざ前もってアポを取っておけば時間を無駄にしなくてもいいんだから、それをやらないという選択肢は存在しない。
そんな訳で、前もって通信機でセイラと連絡を取り合っていたのだ。
……ぶっちゃけ、顔合わせというだけなら通信機でガルマとセイラが話せば、それでいいんだが。
それでもやっぱり一度直接会うというのは、セイラにとってもガルマとは通信機の類ではなく、実際に会ってみたいと、そう思っていたからなのだろう。
そうしてガルマ達と共に俺は影のゲートで転移をし……
「ここが、政庁」
「ああ。それも政庁の中でもセイラが暮らしている場所だから、プライベートルームに近いな」
そんな俺の言葉を示すように、廊下はかなり静かで政庁にいるとは思えないくらいだ。
……実際、この辺りまで来る事が出来る者は本当に限られているしな。
「じゃあ、いつまでも廊下に突っ立っている訳にもいかないし、行くぞ」
ザビ家やニューヤークの元市長の娘、名家のマツナガ家といった出身の3人だけに、こういう場所には慣れていてもおかしくはないと思うんだが。
まぁ、建築様式とかはこの世界のものではなく、マクロス世界のものだしな。
何気にジオンと連邦では、建築様式とかそういうのが結構違っていたりする。
いや、連邦は標準的な……というか一般的な建築様式と言ってもいいのだが、ジオンの場合はどこか古式ゆかしいというか、前時代的な感じがする。
そういうのに比べると、マクロス世界で開発されたクレイドルの建築様式は、どちらかというと連邦に近い。
ただし、それはあくまでも近いであって実際に見た限りでは結構な違いがあったりもする。
ガルマ達が見て驚いているのは、その辺に気が付いたからだろう。
そんなガルマ達を引き連れ、俺はいつもセイラと一緒にお茶を飲む部屋に到着する。
すると、足音でも聞こえたのか、扉が開いて俺にも見覚えのあるメイドが姿を現す。
「どうぞ、アルテイシア様がお待ちです」
メイドは俺を見つけるとそう告げ、部屋の中に入るように促す。
ガルマ達はここで変装を解き……そして一目でガルマ、イセリナ、マツナガだと分かるようになってから、部屋の中に向かう。
メイドはガルマ達が来るのを知っていたのか、特に驚く様子はない。
そうして部屋の中に入ると、そこに広がっている光景はいつもと同じお茶を楽しむように準備されているといったものだった。
……ただし、ガルマ達の為だろう。いつもより広いテーブルが準備されており、椅子の数もそれに合わせたものとなっていた。
「ようこそ、月へ」
そう言い、椅子に座っていたセイラは笑みを浮かべながらこちらに向かって声を掛ける。
一瞬……そう、間違いなく一瞬ガルマはセイラという存在に目を奪われた。
勿論それは、美しさもそうだが、どちらかと言えばセイラという存在そのものに目を奪われた……といった方が正しいだろう。
それだけ、今のセイラという存在は月の女王として他を圧倒するだけの人間的な大きさを持っていた。
マツナガは以前セイラと会った事があるので、そこまでショックを受けた様子はなかったが。
それでもザビ家の者として、このような場には慣れている為か、ガルマはすぐに我に返って口を開く。
「アルテイシア女王、こうしてお目に掛かれて光栄です」
丁寧な口調で言ったのは、現在の状況においてガルマとセイラの間にある立場の違いからだろう。
それでいながら、ガルマにはへりくだった様子はない。
「そうですね。……では、お茶を楽しみましょう。難しい話は後で十分ですしね」
ガルマと同様、セイラも普段の言葉遣いとは違う。
よそ行きというか、女王らしいといったような、そんな感じ。
ともあれ、セイラに進められたこともあり、俺達はそれぞれ用意された椅子に座る。
それを見計らい、メイドがそれぞれの前に淹れた紅茶を置いていく。
「では、ガルマ・ザビとの出会いを祝して乾杯……と行きたいところですが、この時間からお酒を飲む訳にはいかないので、紅茶を楽しみましょう」
そう言い、お茶会が始まる。
とはいえ、部屋の中には緊張感が漂う。
ガルマにとっても、今この状況で何を話せばいいのか、迷っているのだろう。
「ガルマ、と呼んでも?」
「構いません」
「そうですか。では、そう呼ばせてもらうわね。ガルマとは一体どれくらいぶりに会うのかしら」
「そうですね。アルテイシア女王がまだ子供の頃だったので……それを思えば、随分と昔のように思えます。アルテイシア女王は、あの頃はまだお小さかったと思いますが、よく私のことを覚えていましたね」
「ふふっ、ラルのことも覚えていたもの。ガルマのことを覚えていても、そうおかしな話ではないでしょう? それにしても……お互いに、この短い間に随分と立場が変わりましたね」
「それをアルテイシア女王が仰いますか?」
少し呆れの色を込めて告げるガルマ。
まぁ、実際数ヶ月前までセイラは医者を目指して学生をしていたのだ。
それが俺と会った事で諸々と動き始め……気が付けば、女王になったのだから。
それに対して、ガルマも数ヶ月前まではザビ家の中でも特に人気のある人物として有名だった。
そんなガルマが、今では人目から避けるようにハワイでイセリナと隠遁生活――新婚生活と言い換えてもいいかもしれないが――をしているのだ。
お互いの立場は、大きく変わったのは間違いない。
「ふふっ、そうかもしれないわね」
セイラもまた、ガルマの言葉に思うところがあったのか、そう笑みを漏らす。
「さて、それで今回月に来たのは、ジオン公国の件……というだけじゃないのよね?」
「ええ。ドズル兄さんの件で」
「……ああ」
ドズル兄さんという名前が出ると、セイラは少しだけ物憂げな表情を浮かべる。
セイラにしてみれば、ルナ・ジオンを建国したのはシャアが小惑星を地球に落下させるというのを止める為である以上、ガルマの今の言葉に思うところがあったのだろう。
「その辺は聞いてるわ。……戦争だからとはいえ……」
「いえ」
セイラに最後まで言わせず、ガルマは首を横に振る。
戦争だというのを、ガルマもしっかりと理解しているのだろう。
もっとも、ガルマにしてみれば可能なら助けて欲しかったというのが、正直なところだったのだろうが。
そうして部屋の中が数分の沈黙に満ち……やがて、セイラが話題を変えるように口を開く。
「そう言えば、アクセルから聞いたかしら。ガルマの姉、キシリアはまだ生きてるわよ。現在どこにいるのかは、分からないけど」
「……マツナガから聞いています」
ああ、俺が言わなくてもマツナガと話している時に聞いたのか。
俺がハワイで色々と動き回っていた頃、どうやらそんな事も話していたらしい。
「そう。……もしガルマがジオンの後継者にならない場合、ジオンの生き残りはまだ確実に生きているキシリアを心の拠りどころとすると思うわ。……それを考えた上で、判断してね」
そう告げるセイラに、ガルマは厳しい表情で頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1290
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1637