転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0263話

「へぇ、本当にあの別荘の中と外では時間の流れが違うんですのね」

 

 別荘で一晩過ごし、エヴァのログハウスから外に出たあやかの一言がそれだった。

 ちなみに、何故か……そう、何故か俺と一緒のベッドで眠ろうとしたあやかだったが、さすがに千鶴的にもそれはアウトだったのか、ホホホと笑いながら自分達に宛がわれた寝室に連れて行かれたりとちょっとした騒動もあったが、その他には特に何事も無く一晩が経過してこうして無事別荘から出て来た訳だ。

 

「時間が必要な時とかに別荘を使えるというのは便利そうですわね」

 

 あやかの台詞に、エヴァがニヤリと笑って口を開く。

 

「貸すのは構わんが、別荘で時間を使えばそれだけお前達も歳を取るから余り勧めんぞ? ただでさえお前達2人は他の奴等より老けて……いや、なんでもない」

 

 『老けて』という単語が出た瞬間、千鶴の目がキュピーンとばかりに光ってエヴァを貫いたような気がした。エヴァ本人もそれを感じたのか口を濁す。

 

「まぁ、とにかくこの別荘は私のように時間の外にいる者にとっては便利な代物だが、お前達人間にとってはデメリットもあるという事だ。それでも構わないのなら貸すのは構わんが……どうする?」

「他の方よりも早く年を取るというのは問題ですわね。解決策とかはありませんの?」

 

 あやかの質問に、何かを思い出すようにエヴァが目を瞑る。

 

「確か魔法世界には装着した者の時を止める、という装飾品があった筈だが……それにしたって相当にレアな品であるのは間違い無いし、少なくてもここにいる私達がそうほいほい入手出来る代物でもない。トレジャーハンターとかなら遺跡でアイテムを入手出来る可能性もあるが、今のお前達では無理だろう。……いや、アクセルなら何とでもなりそうな気はするが」

 

 時を止める装飾品か。こう何度も他の世界に飛ばされるとなるとホワイトスター側との時間のずれに関しても考えないといけないし、そういう意味ではその装飾品は是非欲しい代物だ。

 

「さて、では私達はそろそろ失礼させて貰います。エヴァンジェリンさん、今日はありがとうございました」

 

 千鶴がそう礼を言い、頭を下げる。

 その様子を見ていたエヴァが苦笑しながら手を振る。

 

「気にするな。アクセルとの模擬戦は私が望んだ事でもあるんだからな」

「では、アクセルさん、雪広さん、那波さん。また明日教室でお会いしましょう」

「ケケケ。マタ殺シ合イガ出来ルノヲ楽シミニシテルゼ」

 

 エヴァ、茶々丸、チャチャゼロの3人(?)に見送られ、俺達は女子寮へと向かう。

 冬特有の澄んだ空気に既に沈みかけている夕日の赤い色が何ともなしに郷愁を誘う中を3人で歩く。

 

「アクセル君は強かったわね」

「ええ。あの凛々しい戦いぶりは映像に残しておきたいくらいでしたわ。……この雪広あやかともあろう者が、何たる不覚」

「あらあら。でも映像に残したら何かの拍子に夏美ちゃんやクラスの皆に見られる可能性もあるのよ? そしたら秘密に出来ないでしょうに」

「……はっ!? それは確かに。それにあのアクセル君を皆が見たら惚れ込むのは一目瞭然! あぁっ、でもアクセル君の勇姿をいつでも見る事が出来るという誘惑には勝てません!」

 

 例の如くハイテンションになっているあやかに苦笑しながら、俺の手を握ってくる千鶴へと視線を向ける。

 

「余りからかうなよ」

「あらあら、でも戦ってる時のアクセル君が格好良かったというのは本当よ? 私も思わず熱中してしまったもの」

「……」

 

 千鶴の台詞に思わず黙り込んで視線を逸らす。

 千鶴にしてみればあくまでも子供に接しているつもりなのだろうが、そこまで明け透けに褒められるとさすがに照れる。

 レモン達と付き合う事になってそれなりに女慣れをしてきた筈なんだがな。

 と言うか、本当にずっとこのままだったりしたらどうすればいいのやら。ホワイトスターに戻ってレモンやムウに笑われたりするのは御免だぞ。

 

「そうねぇ。ご褒美に今日はアクセル君の好きな料理を作ってあげる。何がいい?」

「千鶴の作る料理は何でも美味いからな。特にこれといったものは……いや、そうだな。折角日本にいるんだし蕎麦を食べてみたいな」

「お蕎麦ねぇ。この季節なんだから暖かいお蕎麦よね?」

「そうだな。エビの天ぷらやかき揚げなんかがあれば大歓迎だ」

「ちょっと、千鶴さん! 貴方またそうやって抜け駆けを!」

「あやか、アクセル君が今日はお蕎麦を食べたいそうだけど構わないかしら?」

 

 さすがに扱い慣れていると言うか何と言うか。絶妙の呼吸であやかへと声を掛ける千鶴。あやかはそれを聞いて反射的に頷く。

 

「え、ええ。構いません。でしたら私が家の方に言って最高級の料理をご馳走させて貰いますわ」

「それもいいけど、今から用意して、配達してとなるとお料理が冷めてしまうわよ」

「それもそうですわね。……はっ、もしかして千鶴さん。貴方ここぞとばかりに料理上手な所をアクセル君にアピールしようと!?」

 

 いや、今まで既に何回も千鶴の料理は食べてその腕前は知ってるし今更だと思うが。

 そんな風に思っていると、今まで食べてきた千鶴の料理や蕎麦、天ぷらといった単語に反応して俺の腹がぐーっとばかりに自己主張する。

 

「あらあら。帰りに商店街に寄ってお買い物をしていかないといけないわね。天ぷらの材料はともかく、お蕎麦は部屋に無かった筈だし」

「……しょうがありませんわね。今日の所はアクセル君に免じて譲って差し上げますわ」

 

 話もどうにかまとまり、千鶴行きつけの店で蕎麦を購入し女子寮へと帰る。

 ちなみに、蕎麦に関しては正月過ぎという関係もあるのか生タイプのものがまだそれなりに店に並べられていた。

 

 

 

 

 

「あ、ちづ姉、いいんちょ、アクセル君、お帰り。こんな時間まで出掛けてたなんて珍しいね。どこ行ってたの?」

 

 女子寮近くで部活帰りの夏美と遭遇する。

 夏美の近くには数人の生徒もおり、恐らく演劇部の部員だと思われた。

 

「アクセル君が今日の夕食にお蕎麦を食べたいっていうから買い物に行ってたのよ」

 

 千鶴が微笑みながら夏美にそう言うが、夏美の周辺にいる生徒達は当然の如く子供である俺に興味津々の様子だった。

 

「ちょっと夏美。あの子は?」

「うわっ、マジ可愛い。ね。ね。お持ち帰りしてもいい?」

「あ、ちょっと、駄目だよ……」

 

 そう夏美が注意するが、少しばかり遅かったらしい。

 

「ちょっと、皆さん。アクセル君はうちでお預かりしているのです。それをお持ち帰りしたいだの、一緒に寝たいだの、お風呂に入れたいだのと、よくもまぁご自分の欲望に正直な事を言えますわね」

「……いいんちょ、寝るとか風呂とかは誰も言ってないかから」

 

 苦笑を浮かべながら夏美が突っ込み、その友人達もまたそーだそーだと声を揃えてあやかに対抗している。

 

「ほら、夏美ちゃん。あやかも。アクセル君がお腹を減らしているんだから部屋に戻りましょう。貴方達もあまりやんちゃしちゃ駄目よ?」

「あー、ちづ姉にそう言われちゃねぇ」

「そうそう。千鶴さんにはいつも差し入れとかでお世話になってるし」

「……それに怒らせると怖いし」

「ホホホ、何か言ったかしら?」

 

 ボソッと呟いた最後の言葉に反応し、笑顔でプレッシャーを発しながら迫る千鶴。

 そんな千鶴に恐れをなしたのか、夏美の友達は悲鳴を上げながら寮の中へと逃げ込んでいく。……そう、その場に夏美一人を残して。

 

「夏美ちゃん、演劇部での私の評判はどんな風になっているのか教えてくれるかしら?」

「ちづ姉はいつも大人気だよほら差し入れとかも持ってきてくれるし優しいし」

「そう?」

「もちろん!」

 

 息継ぎをする事もなくワンブレスで語り、コクコクと何度も頷く夏美にようやく気が晴れたのか発していたプレッシャーを収めてこちらへと振り返る。

 

「さて、じゃあ部屋に戻りましょうか」

「そうですわね。アクセル君もお腹を減らしているでしょうし」

 

 そんな千鶴相手に普通に対応出来るあやかはやはり大物なのだろう。

 

「えー? アクセル君、もうお腹減ってるの? 歓迎会であんなに食べたのに」

「……そ、それはですわね。アクセル君は育ち盛りですからしょうがないのですわ。それにほら、歓迎会で出されたのは結局お菓子とジュースでしたから」

「あー、なるほど。そう言えば子供の頃ってそんな感じ……だったっけ?」

 

 首を傾げている夏美を千鶴が引っ張りながら女子寮の中へと入っていく。

 

「あ、アクセル君。お帰りー」

 

 寮の中に入るや否や声を掛けられた。声の方へと視線を向けると、そこには教室で俺の前に座っている明石の姿があった。他にも数人見覚えのある人物達がその周囲にいる。

 

「や。お帰り」

 

 その中でも背の高めなポニーテールの少女がそう言って何故か頭を撫でてくる。

 見覚えはあるんだが……さすがに一度に30人近い人数の顔と名前を覚えられる訳も無く、そのどこか優しそうな顔へと視線を向ける。

 その視線に気が付いたのか、数秒不思議そうに小首を傾げていたがすぐに頷いて口を開く。

 

「そうだね。ゆーなから君の話は聞いてたけどさすがに転入初日にクラス全員は覚えられないか。えっと、私は大河内アキラって言うんだ。よろしくね」

「あ、そしたら私も自己紹介しておこか。えっと、私は和泉亜子いうんや。よろしくな」

 

 大河内の隣にいた、青みがかったショートカットの少女がそう言って軽く手を振ってくる。

 

「あ、それじゃあ私も。私は佐々木まき絵。新体操部所属だよ。よろしくね」

 

 と言ってきたのは大河内の後ろから顔を出した少女。桃色のショートカットヘアを頭の両端で結んでいる。いわゆるツインテールという奴か?

 

「アクセル君、彼女達は運動部に所属しているので普段から仲がいいのですわ」

 

 あやかがそう言いながらこちらへと近付いてくる。

 

「あ、お帰りー、いいんちょ。いないと思ったらやっぱりアクセル君と一緒だったんだ」

 

 佐々木のその言葉に小首を傾げるあやか。

 

「あら、どうかなさいまして?」

「いや、アスナがいいんちょを探してたんだけど、見つからないーって学校中を走り回ってたから」

「アスナさんが? 何か用でもあったのかしら?」

「さぁ? 私が体育館で部活やってる時にちょっと話したくらいだから詳しい話は聞いてないけど」

「アスナの事だからきっと高畑先生関係じゃないかにゃー?」

 

 にしし、とでも表現できそうな笑顔を浮かべながら明石が言う。

 

「全く、アスナさんったら……」

 

 そう言いながらも、どこか嬉しそうな様子のあやか。何だかんだでやっぱり仲のいい喧嘩友達なのだろう。

 結局その日は運動部4人組も含めて8人で夕食を取る事になり、全員で蕎麦と天ぷらを味わった。エビの天ぷらがプリプリのサクサクで非常に美味だった。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376

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