俺はパイロットのいなくなったオーラバトラー……ダーナ・オシーという名前らしいその機体をショットクローで捕らえたまま、森に下りる。
そうして地面に下りると、まずはダーナ・オシーの確認をする。
時限式の自爆装置とか、そういうのがある可能性があると判断した為だ。
先程、折りたたみ式のグライダーらしいのでコックピットから脱出したのは、その髪の色と声からほぼ間違いなくギブン家の次期当主たるニー・ギブンだった。
顔はヘルメットで隠されていたので、実は人違いですと言われれば、断言をすることは出来ない。
しかし、ギブン家の領地に向かって真っ直ぐに逃げていった事から、恐らくほぼ間違いないと思われた。
また、それ以外にも幾つかそうだと思える事情があった。
以前あった、ムーラの一件。
ゲドやオーラバトラーの部品……それに、ダンバインの設計にも関わっていた技術者達が逃げ出した件がある。
その一件があってからまだそんなに長い時間が経っている訳ではないが、それでもダンバインの開発にも参加している技術者がいる以上、新型のオーラバトラーを開発出来てもおかしくはない。
とはいえ、そんな短時間で開発されただけに、ダーナ・オシーの性能は決して高くはない。
ゲド以上ドラムロ以下といったところか。
当然だが、聖戦士用のダンバインだったり、そのプロトタイプとして予算度外視で開発されたサーバインとは比べものにならないだろう。
「まぁ、それでも新型のオーラバトラーというだけで価値はあるけど。……ミサイルランチャーを見つけるのは難しそうだな」
掌のフレイボムを使ってこちらに攻撃する時、当然だがダーナ・オシーが左手に持っていたミサイルランチャーは森の中に捨てている。
とはいえ、ミサイルランチャーそのものはそこまで珍しい代物ではないので、なければないで別に構わない。
そんな風に考えつつ、改めてダーナ・オシーの姿を確認する。
まず珍しい……というか、ゲドと違うのは、足の関節が二重構造になっていることだろう。
また、指も普通の5本指という訳ではなく、相対する2対の指といった感じになっている。
とはいえ、ドラムロと同時期……いや、まだ量産が始まったばかりなのに、このダーナ・オシーはもうフレイボムを装備してるのか。
この情報の出所は、やっぱりムーラの一件だろうな。
そうなると、もしかしてオーラ増幅器も装備されていたりするのか?
いや、それともドラムロのようにオーラ力が低いバイストン・ウェルの人間でも操縦出来るようになっているのか。
どっちでも普通にありそうだな。
ともあれ、この機体をほぼ無傷のまま入手出来たのは嬉しい。
ギブン家で開発された、オリジナルのオーラバトラーという事で、価値は高いし。
とはいえ、ここでニー・ギブン……いや、もうニーでいいか。そのニーが俺に襲い掛かってきたというのは、色々と深い意味がありそうだな。
そもそも、サーバインの運用試験をこの場所でやった方がいいと勧めてきたのは、バーンだ。正確にはショットを経由してるんだが。
ともあれ、そのバーンからの提案に従ってこの森にやって来てみれば、そこではギブン家のニーがダーナ・オシーに乗ってこっちを待ち受けていた。
普通に考えれば、ニーとバーンは繋がってるのか?
だが、それはそれで疑問が残る。
今の状況において、ギブン家とルフト家の関係はかなり険悪なものだ。
それこそ、まだ交戦状態に陥っていないのが不思議なくらいに。
そんな2つの勢力のうち、ドレイクの側近とも言うべきバーンと、ルフト家の次期当主たるニーが手を組むというのは……少し考えられない。
だが、その割にはこうして俺がサーバインの運用試験をしに来た場所でニーがダーナ・オシーで待っているというのは、疑問ではある。
だとすれば……手を組んだんじゃなくて、一方的に利用しているとかか?
バーンにしてみれば、出来れば俺を殺したいところだろうし、ギブン家のニーが死んでも、それはそれで構わない。
その為に、俺がここに来るという情報を何らかの手段でギブン家に流していた、と。
とはいえ、それで俺が本当にここに来るかどうかというのは、正直微妙なところだったと思うが。
今回はショットの提案でもあったので、その言葉に素直に従った。
だが、少しでも何かが違っていたら、俺はこの森に来るという事はなかったのだ。
であれば、もしかしたらニーはダーナ・オシーに乗ったまま、ずっとこの森で待ちぼうけになっていた可能性もある訳で……
取りあえずそれはいいか。
問題なのは、このダーナ・オシーをどうするかといったところか。
本来なら、ショットやゼットに見せるといった風にした方がいいのかもしれないが、そうなると俺の下に戻ってこない可能性が高い。
ショットやゼットにしても、自分達が開発に関わっていないオーラバトラーというのは興味深いだろうし。
そうだな。このダーナ・オシーはホワイトスターに戻った時のお土産として空間倉庫に確保しておいた方がいい。
「さて、そうなると……いつまでもここにいても意味はないだろうし、そろそろ戻った方がいいか」
ダーナ・オシーからショットクローを解き、空間倉庫に収納する。
そう言えば、このショットクローもスラッシュハーケン的な使い方だけじゃなくて、ニーズヘッグの尻尾のように色々な機能を加えられるといいんだけどな。
輻射波動はギアス世界の技術だから無理だろうけど、オーラコンバータは言ってみればオーラ力を電気に変えてるのだから、電気を流すといったような事は出来てもいいんじゃないか?
この辺はショットやゼットに聞いてみてもいいな。
現状でその手の武器がない以上、もしやるとすればまた開発にそれなりの時間が掛かりそうだが。
ともあれ、ダーナ・オシーを空間倉庫に収納すると俺は再びサーバインに乗る。
結果として、今回の森での一件は俺にとって利益の方が圧倒的に多かったと言えるだろう。
サーバインの運用試験という点では全く問題なく出来たし、ギブン家でダーナ・オシーという独自のオーラバトラーを開発しているのを知れたし、そのダーナ・オシーもほぼ無傷のまま入手が出来た。
また、ダーナ・オシーを操縦しているのがニーであると理解出来たのも大きい。
これは、ギブン家でオーラバトラーを操縦出来る者が少ないという事を意味している。
もしくは、他にもいるがニーが一番操縦技術が高いのか。
あ、でも一番操縦技術が高くてあの程度なら、それはそれで戦う時は楽なのか。
そしてバーンがギブン家と繋がっている可能性があるという事。
ただし、こちらは本当の意味で繋がっているのか、今回の一件でギブン家の動きを利用しただけなのか、その辺は判断出来ないが。
それでも利用したということは、何らかの手段で連絡を取ることが出来るというのは間違いない。
あるいは噂という形で情報を流した可能性もないではないが。
ともあれ、そんな繋がりがあるかもしれないと判断出来ただけで、十分な収穫だろう。
そんな風に考えつつ、俺はサーバインでラース・ワウに戻るのだった。
「アクセル、サーバインはどうだった?」
ラース・ワウの機械の館に戻ってくると、ショットがそう尋ねてくる。
この様子を見ると、バーンと共に俺を罠に嵌めようとした訳ではないのか?
勿論、俺を罠に嵌めた事を隠しているといった可能性もあるが……どうだろうな。
取りあえず、今のところはその辺をはっきりとさせる必要はない。
そうなったらそうなったで、こっちも相応の対処をすればいいだけだし。
「ああ、こっちが思った通りに動いてくれた」
反応速度の件は相変わらずあるのだが、イメージで動かすといったような操縦形式の為か、MSと比べればそれなりにマシだ。
だが、T-LINKシステム対応機のニーズヘッグに比べれば、やはり劣る。
この辺は、俺という存在をしっかりと理解し、それに合わせた操縦システムを開発したレモンと、オーラバトラーという元からある機体に俺が乗ったという違いがあるのだろう。
「そうか。では、改修作業はこれで完了したと、そう判断してもいいのだな?」
「ああ、それで構わない」
その言葉に、ショットは安堵した様子を見せる。
ショットにしてみれば、サーバインの改修作業というのは大変だったといったところか。
それでもショット達が開発したのだから、何の手掛かりもなく改修した訳じゃない。
もしそうなら、この短時間で改修作業は出来なかっただろうし。
「そうか。では、サーバインの整備を行うが、構わないか? アクセルが乗ったことによって、どれくらい機体に負荷が掛かったのかを確認したい。それに、オーラコンバータの様子もみたいしな」
ショット達にサーバインの整備を任せるか。
もしショットがバーンと繋がっていて今日の一件が起きたとすれば、そんなショットにサーバインの整備を任せるというのは不安がある。
それこそ、整備にかこつけて設定を妙な感じにされたりしたら……いや、それどころか時限爆弾的な仕掛けでもされたら、洒落にならないし。
普通なら、その辺はそこまで気にするような事ではないのだが。
物理攻撃とかで、俺にダメージを与えるのは無理だし。
しかし、ここはバイストン・ウェルで、オーラ力というのが存在している。
そしてオーラバトラーもオーラ力で動いている以上、そのオーラバトラーの爆発によって俺がダメージを受けるといった可能性も、否定は出来ない。
とはいえ、オーラバトラーも兵器である以上、整備は必須だ。
いや、生体兵器である以上、普通の科学的な人型機動兵器よりも整備はしっかりとやる必要がある筈だった。
「分かった。なら、任せる。取りあえずそこまで激しい動きはしていないから、問題はないと思うが」
ダーナ・オシーとの戦いでは、そこまで派手な動きをしていた訳ではない。
そうである以上、機体の状況……特に俺が操縦する際には気を遣わなければならない関節部分にはそこまで被害が出ているとは思わない。
オーラコンバータの方だけは、どうにも出来ないが。
……何気に、オーラコンバータに魔力を最大限に注ぎ込むといったような真似が出来ないのは、痛いよな。
もしそんな真似をした場合、今のオーラコンバータでは俺の魔力を受け止めきれず、最初に操縦したゲドと同じように燃えてしまいかねない。
サーバインは特殊で入手に金の掛かる恐獣の素材を使って作られている以上、もしゲドと同じように燃えてしまったら、同じ機体を作るのは無理……とはいかないが、かなり難しいだろう。
ましてや、俺が自力で金を集めるといった真似をするのならともかく、ドレイクから金を借りて……もしくは何らかの行動の報酬といった形でサーバインを再度製造するのは……うん。まぁ、考えないでおこう。
「ああ、任せておけ。私やゼットが指導した者達は優秀だ。それで、ショットクローの使い勝手はどうだった? 特に問題はないと思ったんだが、こういうのは実際に使ってみなければ何とも言えんしな」
「そうだな。そう悪いものではなかった。ああ、そうだ。そのショットクローだが、相手に巻き付けた後で電撃を流すといった真似は出来ないか?」
「電撃を?」
「そうだ。俺が知っているショットクローに似ている武器で、そういうのがあった」
ショットクローのベースとなったのは、KMFのスラッシュハーケンだ。
だが、UC世界のMSにもグフカスタムのように、似た武器はある。
そしてグフカスタムの武器……ヒートロッドは、スラッシュハーケンに似ている武器ではあるが、先端が触れた相手に電撃を流すといった機能がある。
ショットクローにも同じような機能があれば、オーラバトラーと戦う上で色々と役立つ。
いや、別にオーラバトラーだけではなく、恐獣との戦いでも同様に役立つだろう。
そういう意味で、出来れば俺の希望通りにして欲しいのだが……
「電撃を? ……ふむ。可能かどうかと言われれば、恐らくは可能であるだろうが……」
少し考え込むショット。
頭の中で色々と打算を働かせているといったところか。
まぁ、サーバインの件で色々と無理をさせたのは間違いない。
そして1分程が経過し……
「今の状況では、悪いがそこまで余裕はない。もしどうしても希望するのなら、ドレイク殿の方から許可を貰って欲しい」
「何でそこまで忙しいんだ? ダンバインもドラムロも、開発は終わっただろ? そうなると、もしかしてもう次の後継機種を考えてるのか?」
「さて、どうだろうな」
俺の言葉にそう誤魔化すショットだったが、口元には不敵な笑みが浮かんでいる。
そうである以上、恐らく後継機を開発中なんだろうが……こうして短期間に次々と新機種を開発していくってのは、どうなんだ?
そんな風に思いながらも、取りあえずドレイクに話を通すという事に頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1400
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1648