転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2775話

 マーベルとガラリアが魔法の練習を始めてから数日……もう少しでクの国の首都たるケミ城に到着するといった頃、2隻のナムワンは野営をする為に平地に停泊していた。

 幸いにして、魔法の練習の件もあってか俺とガラリアは以前よりも友好的な関係になっていたのだが、それでもマイナスがゼロになったといったところか?

 いや、ガラリアの様子を見ると以前よりはよくなったが、それでもまだゼロには届いていないといったところか。

 

「このガッターのお肉、美味しいわね。何か特別な調理でもしてるの?」

 

 ナムワンの食堂で、ガッターの肉の炒め物を食べながら、マーベルが驚く。

 この料理は今日初めて出て来た料理だったのだが、その辺の事情を考えてもかなり美味い料理なのは間違いない。

 もしかして、もう一息でケミ城に到着するというのを考えて、こういう料理を出してきたのか?

 まぁ、実際に美味い以上、それに文句を言うつもりはないが。

 

「うむ。私も聞いた話でしかないが色々と手間が掛かるのは間違いないらしい。……とはいえ、料理人の腕の見せ所という点もあるのだろうが」

 

 ガラリアの言葉に、マーベルは納得したように頷き……

 

『敵襲! 敵襲! 敵襲だ!』

 

 と、不意に外からそんな叫び声が聞こえてくる。

 敵?

 この状況で敵ってことは、クの国の領主か?

 ビショットは有能な国王らしいが、有能だからこそ疎んでいる者も少なくない。

 特に権力の中枢にいるような奴の場合は、特にその傾向が強いだろう。

 ビショットが有能ではなく、自分の操り人形に出来たらと、そんなように思う者は多い筈だ。

 ケミ城の近くである以上、この辺りの領主がそんな事を考えていてもおかしくはない。

 とはいえ、敵襲となればまずやる事は決まっている。

 

「マーベル、俺達も出る準備をするぞ」

「ガラリア、構わないわよね?」

「好きにしろ」

 

 マーベルの言葉に不満そうな様子を見せるガラリアだったが、俺のサーバインとマーベルのダンバインは、このナムワンにおいて最大戦力なのは間違いない。

 ガラリアとしては、出来れば襲ってきた敵を撃退する手柄は自分のものにしたかったのだろうが、それでナムワンが被害を受けてしまえば意味はない。

 ガラリアもそれを理解しているからこそ、今回の出撃では俺達が出撃するようなことになっても構わないと判断したのだろう。

 そんなガラリアの言葉を聞き、俺とマーベルは格納庫に向かう。

 先程の叫び声は他の乗組員達にも聞こえていたのだろう。

 多くの者がナムワンの通路を走り回っていた。

 まだ慣れていないせいか、混乱して意味もなく走り回ってる奴も多いな。

 今回の旅で初めて襲ってきた相手だけに、そんな感想を覚える。

 

「ええいっ! どけ! 邪魔だ!」

 

 ガラリアが通路を走ってくる者達の姿に、苛立ちを覚えたように叫ぶ。

 自分の乗機たるドロに乗りに行こうとしても、それを邪魔する者達が多数いるのだ。

 ガラリアにしてみれば、これから敵の迎撃をする自分の邪魔をするなと、叫びたくなるのも当然だろう。

 

「しょうがない。少し乱暴だけど、突っ切るぞ。マーベル、ガラリア、遅れるなよ!」

 

 そう言い、通路の中を強引に進む。

 途中で何人かにぶつかるといったようなことにもなったのだが、そのぶつかった兵士達は吹き飛ばされはしたものの、大怪我はしていない。

 多少の打撲や捻挫、切り傷といった怪我はしているように見えたが、その辺は緊急事態という事で勘弁して貰うとしよう。

 そうして真っ直ぐに突き進み、やがて格納庫に到着する。

 本当に幸いなことだったが、格納庫の中までは大きな騒動になっていたりはしない。

 技術者達は、自分の仕事をしっかりと行っており、兵士達も既に到着していた者達は自分の乗るドロの前で待機している者もいる。

 へぇ……格納庫の中だけではあるが、かなり訓練された動きだな。

 この辺はガラリアが頑張ったおかげといったところか。

 

「皆、揃っているな!」

『は!』

 

 ガラリアの声に、兵士達の声が格納庫に響く。

 そしてガラリアの指示に従って、それぞれのドロに乗っていく。

 ドロはオーラバトラーと違って、複数人が乗るような機体だ。

 これには理由があり、単純にバイストン・ウェルの人間では1人だとオーラ力が足りない。

 だからこそ、多数乗せているのだ。

 それこそ、量で質を補うといった考え方に近い。

 ぶっちゃけ、オーラバトラーももっと巨大化させれば同じような真似も出来ると思うんだが。

 勿論、そうなればオーラバトラーを作るのに今以上の素材が必要となるが。

 それにオーラ増幅器が開発中だという話を考えれば、わざわざ人を多く乗せなくてもいいのか。

 

「アクセル、私達も出撃の準備をしましょう」

 

 マーベルの言葉に頷き、サーバインのある方に向かう。

 

「サーバインの状況は?」

「何も問題はありません。万全の状態です。ただ、アクセル王には言うまでもないでしょうが、使われている恐獣の素材はかなり希少な物です。可能な限りダメージを受けないで戦ってください」

「分かってる」

 

 サーバインは、性能が高いのと引き換えに整備性とか補充部品とかがかなり少ない。

 いやまぁ、リの国からまた買おうと思えば買えるのかもしれないが、そのような真似をした場合は当然代金が掛かる。

 ドレイクに借りを作るのも面白くはないし、それ以外にも希少な素材である以上、購入しようとしてもすぐにそれを手に入れられるとは限らない。

 その辺の事情を考えると、やはりサーバインは可能な限りダメージを受けないで戦うのが最善の結果だった。

 そもそも、俺も機体に無理をさせないように動いて戦う必要があるし、サーバインにダメージを与えるようなつもりはない。

 技術者に見送られ、サーバインのコックピットに入って起動させる。

 瞬間、機体に吸収される大量の魔力。

 とはいえ、以前と同様にそこまで大量に魔力を奪われるといったことはない。

 最初に起動させてからも何度か動かしてはいるのだが、サーバインに吸収される魔力はかなり少ない。

 それでもSPが莫大な数値となっている俺だからこそ、問題ないと言えるのだが。

 

「マーベル、出るぞ。大丈夫か?」

『こちらは問題ないわ』

 

 その言葉に頷き、俺はナムワンから出撃する。

 俺のすぐ後をマーベルのダンバインがついてきており、それから少し遅れてガラリア率いるドロが出撃してくる。

 そうしてナムワンの外に出た俺が見たのは、地上を走っているガロウ・ランの姿。

 それも1人や2人ではなく、数十人といった規模だ。

 なるほど。襲ってきたのはこの辺りの領主ではなく、ガロウ・ランの盗賊達だった訳か。

 とはいえ、疑問も残る。

 

「ガラリア、ここはもうケミ城の近くなんだよな? なのに、こんなにガロウ・ランの集団が出るのはおかしいと思うが?」

『それに関しては何とも言えません。お館様の治める領地は、ドロなどを使うことが出来るので、ガロウ・ランの数は少ないですが、他の領地ではガロウ・ランがかなり進出しているという話ですし。それを思えば、ケミ城の近くであってもガロウ・ランの盗賊団がいてもおかしくはないかと』

 

 そう言えば、ドロが空を飛んで地上にフレイボムを撃つような仕様になっているのは、ガロウ・ラン対策の為だって話を以前聞いた覚えがあるな。

 だとすれば、ここの領主がガロウ・ランを使ってちょっかいを掛けてきたというのは疑いすぎか?

 もし領主がナムワンを奪おうとしたり、もしくはビショットと俺達の接触を望まないとなれば、ガロウ・ランを雇うなり、何らかの情報を流すなりしていたとしても、おかしくはないと思ったのだが。

 ともあれ、ナムワンの周囲にいるガロウ・ランの集団は既にこちらの部隊との戦闘に入っている。

 ガラリア率いるドロの部隊は、そんな敵に向かって攻撃を行う。

 触手の先端から発射されたフレイボムが、ユニコンに乗っていたガロウ・ランに命中する。

 また、戦っているのは空中にいる戦力だけではない。

 ナムワンの周囲には歩兵や騎兵の類もある程度いたのだが、そちらもガロウ・ランと戦っている。

 ガロウ・ランは盗賊とはいえ、それなりに高い練度を誇る。

 元々俺が知っているガロウ・ランは、身体能力が非常に高い。

 勿論、ホワイトスターにいるシャドウミラーの実働班とかに比べれば劣っているが、バイストン・ウェルの人間にしてみれば明らかに上だ。

 その上で、盗賊をしている関係上、実戦経験という意味でもかなり豊富だ。

 ドレイクの部下達は、専業の兵士や騎士である以上、毎日のように戦闘訓練を行っている。

 特に騎士の面々は俺との模擬戦をやっている為か、ガロウ・ラン数人を一度に相手にしても、かなりの優勢に戦況が運んでいた。

 

「さて、なら取りあえず俺も……」

 

 フレイボムの類はないサーバインだったが、その代わりに左手にはオーラショットが装備されている。

 とはいえ、オーラショットは滑腔砲でフレイボムとは使い方が違ったりするんだが。

 こういう時、バルカンの類があると助かるんだけどな。

 ドラムロの設計でオーラバルカンってのを装備する案もあるとか何とか。

 それと似た感じで、サーバインにもオーラバルカンを装備させて欲しいところだ。

 放たれたオーラショットが、走り回って短剣を投擲するといった攻撃をしていたガロウ・ランの胴体に命中し、一撃で殺す。

 明らかに威力が強すぎるんだよな。

 出来れば、もう少し威力が弱くても……それこそガロウ・ランを殺せるだけの威力があればそれでいいから、装弾数を増やして欲しい。

 とはいえ、オーラボムのドロがガロウ・ランを相手にする為に開発されたのに比べると、オーラバトラーは恐獣やドロ、もしくはオーラバトラーに対処する為に開発された機体であり、ガロウ・ランのような小さな相手を攻撃する為に開発された訳ではない。

 そういう意味では、俺のサーバインやマーベルのダンバインでガロウ・ランの相手をするのは間違っているんだろう。

 

「マーベル、敵は小さい。オーラバトラーだと少し戦いにくいだろうから、無理をする必要はない。ガロウ・ランが恐獣を出してきたら、そっちと戦え」

『了解』

 

 どこかほっとした様子のマーベルの声。

 マーベルに声を掛けておいて正解だったな。

 恐獣との戦いでは躊躇することがなくなったマーベルだが、その相手がガロウ・ランであれば、人型という事で変わってくる。

 この辺は、どうしても時間を掛けて慣らすしかない。

 マーベルが元軍人であったりすれば、相手が人であっても殺す覚悟くらいは出来ていてもおかしくはないんだが。

 元々がただの女子大生だしな。

 いや、マーベルから聞いた話だと、成績の類とかはそれなりに上位だったらしいが。

 それも相応に有名な大学で。

 しかし……それでも学生でしかない以上、この戦いの中でその実力を存分に発揮しろというのは難しい。

 とはいえ、今はそれでいいとしても、このバイストン・ウェルで生きていく以上、人を殺すといった行為にも慣れて貰う必要があるのだが。

 聖戦士として期待されている以上、いずれその辺は絶対に通らなければならない道だ。

 その辺、どうしたものか。

 そう思いながら、俺はサーバインを地上に向けて飛ばし……オーラソードを振るう。

 ユニコンに乗っていたガロウ・ランが、左右二つに切断された。

 手間が掛かる割には、あまり効果的じゃないな。

 

『アクセル王、ここは私達にお任せを!』

 

 ドロからガラリアが叫ぶ声が聞こえてくる。

 そうだな、敵がガロウ・ランだけなら、ここはガラリア達に任せた方がいい。

 こういう連中を相手にしても、ガラリアの手柄となるのは間違いない。

 分かった。

 そういう意味でサーバインを頷かせると、俺は空中に戻る。

 すると、サーバインのすぐ側までダンバインがやってきて、声を掛けてきた。

 

『アクセル、これからどうするの?』

「どうするのと言われてもな。特に何かやる必要はないだろ? こうして見ている感じだと、ガロウ・ランはガラリア達だけで片付けてしまえるだろうし。そうなると、今の状況で俺達がやれるべき事は何かあった時に……いや、あったな」

 

 何かあった時に俺達が出ればいい。

 そう言おうとしたのだが……まるでそのタイミングを待っていたかのように、2機のゲドが姿を現した。

 敵の数が2機なのは、こちらに合わせているからか。

 それとも単純に、ゲドを動かせるパイロットが2人しか用意出来なかったのか。

 元々ゲドは操縦するのに高いオーラ力を必要とする。

 オーラ増幅器が実用化されればともかく、今の時点では乗れる者は決して多くない。

 ダンバインのように聖戦士並みのオーラ力が必要という訳ではないが、それでもバイストン・ウェルの人間で操縦する事が出来るのは非常に少ない筈だった。

 

「マーベル、どうやら俺達の敵が来たらしい。俺達はゲドを相手にするぞ」

『了解』

 

 にしても、ゲドを用意出来るってことは、当然だがこの一件はガロウ・ランの仕業ではない筈だ。

 この辺りの貴族が関わっているという俺の予想は、そう的外れなものではないだろうと思えた。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1650

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