襲撃者が用意した、2機のゲド。
さて、そのゲドを前にどうしたものか。
出来ればダーナ・オシーのように確保したいところだが。
ゲドはそれなりに量産されたオーラバトラーだが、それでも俺が確保出来るのならそれは多い方がいい。
ホワイトスターに戻った時、土産として技術班に渡した場合、オーラバトラーの取り合いになるのは間違いないのだから。
これがMSなら、技術班の面々もそこまで大袈裟に騒ぐような真似はしないだろう。
だが、これはMSのような科学技術とは全く違う理論で開発されたオーラバトラーだ。
恐獣の素材を使っている。生体兵器と言ってもいい。
それだけに、科学技術という意味では既知の存在に近いMSとは違い、これはシャドウミラーにとっても完全に未知の技術なのだ。
オーラ力……気や魔力をオーラコンバータで電気に変えて、機体を動かす。
これは技術班にとっては決して見逃すような真似は出来ない技術だろう。
言ってみれば、オーラコンバータがあれば動力炉がいらないようなものなのだから。
とはいえ、オーラコンバータはオーラ力がないと動かない。
そういう意味では、俺のように大量の魔力を持ち、その上で時間経過と共に魔力を回復する手段を持っているといったような特殊な例でもなければ、動力炉としては使い物にならないだろう。
ただし、オーラコンバータはかなり小さい。
少なくても、シャドウの動力炉たるブラックホールエンジンとかに比べれば。
ゲドの大きさがシャドウの3分の1程度というのが、それを表している。
だとすれば、予備……もしくはブースター的な役割として装備するのはおかしな話ではない。
ともあれ、今はゲドの有効活用についてよりも、こっちに迫ってきているゲドをどうするか、というのが問題だろう。
ゲドの性能は決して高いとは言えない。
それこそサーバインやダンバインに比べれば、圧倒的に下だろう。
だが、それでもゲドがオーラバトラーであるというのは変わらない事実だし、オーラソードの一撃を受ければダメージを受けるのは間違いない。
オーラバトラーは、基本的に攻撃を受け止めるよりも回避するといったような運用を前提としているのだから。
サーバインの場合は特殊な素材を使っているので、もしかしたら大丈夫かもしれないが、それでも試す気にはなれない。
「マーベル、ゲドが相手だ。……出来るか?」
『やれるわ』
そう返事が聞こえてくるが、本当にゲドを相手に出来るかどうかは、実際にその光景を見てから決めるしかないか。
ゲドは外見こそオーラバトラーで人間ではないが、そのコックピットには人が乗っている。
これが恐獣なら、もうマーベルも躊躇することなく殺すといった行為が出来るのだが、相手が人となると微妙だろう。
地上にいるガロウ・ランを相手にするよりはマシかもしれないが、それでも下手をすれば人を殺してしまいかねないというプレッシャーはある筈だ。
とはいえ、相手が生身ではなくオーラバトラーに乗っているのなら、それこそ四肢切断してオーラコンバータを破壊してしまえば、ゲドは身動き出来なくなるだろうが。
そうなると、捕獲するといった気分にはならないけど。
五体満足とまではいかずとも、手足の1本や2本は残っていて欲しいし、何よりもオーラコンバータが壊れているというのは痛い。
そうなると、マーベルが戦うゲドの入手は諦めた方がいいな。
そう判断し、再度マーベルに声を掛ける。
「取り合えず、マーベルは敵を倒す事だけを考えろ。自分が生き残るのを最優先にするんだ。こんな場所で聖戦士が死ぬなんて事になるのは、とてもじゃないが許せないからな」
『ええ。アクセルも気をつけて』
そう短く言葉を発すると、マーベルのダンバインはオーラショットをゲドに向けて発射する。
ゲドは慌てたように、回避する。
オーラショットの速度は、そこまで高いものではない。
それにオーラバトラーはイメージで操縦する以上、反射的な動きでオーラショットの一撃を回避するといった事も出来る。
それでも回避出来たのは事実だ。
ゲドは、2機が揃ってマーベルのダンバインに向かおうとするのを、牽制するようにサーバインのオーラショットを撃つ。
1機のゲドが、そんな攻撃を回避し……次の瞬間にはマーベルに攻撃をするのではなく、こちらに向かって突っ込んでくる。
どうやら今の一撃で頭に血が上ってしまったらしい。
それとも、乗っている者の性格か?
ともあれ、これで1対1で戦える事になる訳だ。
こちらにとっては最初の予定通りとなる。
あるいはゲドに乗っているのは騎士で、プライドが高いのか。
自分が攻撃されたのが許せないと、こちらに攻撃してきたという可能性も否定は出来ない。
そんな風に考えながら、ゲドの振るうオーラソードの一撃を回避する。
オーラ力不足の影響か、ゲドの性能を十分には発揮出来ていない。
大量のオーラ力を必要とするゲドを操縦出来ている点で感心出来るところだが。
けど……甘かったな。
オーラソードで連続して攻撃してくるゲドだったが、その隙を突くようにショットクローを放つ。
手首の辺りに装備されているショットクローは、サーバインの場合は片手につき2つずつある。
つまり、サーバインは合計で4つのショットクローを持っているのだ。
とはいえ、ショットクローはT-LINKシステムでコントロールするといったような真似も出来ず、放った後にはオーラバトラーの動きでコントロールするしかない。
そういう意味では使いにくい武装であるのは間違いないのだが、それでも有効な武器なのは事実だった。
そう、それこそ今の一撃でゲドの身体に巻き付いて手足を自由に動かせなくなるといったような事が出来るのだから。
勿論、ワイヤーの部分はダンバインに使われているショットクローと同じ素材だ。
普通に巻き付けただけでも、ゲドであればその拘束から抜け出すのは難しい。
……あるいは、ゲドはダンバイン程ではないにしろ、乗っているパイロットのオーラ力をダイレクトにパワーとして発揮出来る一面があるので、地上人がゲドに乗っていたのなら拘束から抜け出せた可能性はある。
だが、こうして見たところ、ゲドに乗っているのはバイストン・ウェルの中でも特にオーラ力が強いような奴なのは間違いない。
バイストン・ウェルの人間と地上人……聖戦士との間には、かなり大きな差がある。
ゲドが性能を最大限に発揮出来ていないのは、そのような理由もあるのだろう。
「さて、これ以上は無意味だ。降伏しろ。取り合えず命までは取らないから、安心しろ」
ショットクローのワイヤーは、関節部分を中心にして絡まっている。
そうである以上。このゲドにはこれ以上はどうする事も出来ない筈だ。
あるいは、これがオーラショットやフレイボムのような遠距離攻撃の手段でもあれば、話は別だったのだろうが。
生憎とゲドの武器はオーラソードだけだ。
ダンバインやサーバインが使っているオーラショットは外装式の武器である以上、ゲドも装備しようと思えば出来るんだろうが、オーラショットはドレイク軍の中でも最新鋭の武器だしな。
クの国でオーラバトラーがどういう風に流通しているのかは、俺にも分からない。
だが、それでも最新鋭の武器が流通するといったことは、まずないのだろう。
あるいは、このゲドを使っている勢力で独自に飛び道具を開発する可能性もある。
フレイボムやオーラショットのようなものはともかく、クロスボウとかそういう武器であれば、人間が使っているのをそのまま大きくすればいいだろうし。
いや、正確にはただ大きくしてもそのまま使うといったことはまず出来ないだろうから、色々と調整をしたりといったような事は必要なんだろうが。
ともあれ、動けなくなったゲドは俺の声が聞こえたのかどうかは分からないが、必死になって暴れる。
命までは取らないって言ってるのに暴れるのは、正直どうかと思わないでもないんだが。
それとも、捕らえられた相手に情けを掛けられるのが許せなかったのか?
それはそれで正直見苦しいと思わないでもないが。
まぁ、こっちはともかくマーベルの方はと思って視線を向けると、そこではゲドとダンバインがオーラソードを使って戦い続けていた。
パイロットの技量やオーラ力、機体の性能……あらゆる面で、マーベルとダンバインの方が上なのは間違いない。
にも関わらずまだ勝負がついてないのは、やっぱりまだ恐獣ではなく人型の敵を相手にするのに慣れていないといったところか。
それでもまだ戦えているのは、地上にいるガロウ・ランではなくゲドというオーラバトラーを相手にしているからか。
取りあえず戦う事が出来ている以上、後は慣れだな。
もっとも、ゲドを操縦出来るパイロットそのものが少ない以上、ゲドとの戦闘は期待出来ないが。
いっそ俺がサーバインで模擬戦の相手をしてもいいのだが、その場合はあくまで模擬戦で、命懸けの戦いといった感じじゃないしな。
そんな訳で、マーベルには大人しくゲドとの戦闘をして貰おう。
……あ、でもギブン家がダーナ・オシーを使って派手に襲ってくるといったような真似をするようになれば、戦闘相手に困るといった事はないか?
そんな風に思っている間にも戦闘は進み、ダンバインのオーラソードがゲドの右腕を切断する。
これでゲドは武器がなくなった訳だ。
一応、足の爪とかも武器としては使えるんだろうが、この様子を見る限りではどうだろうな。
あのパイロットでは、少し難しそうな気がする。
ゲドはいきなり右腕を失った事で動揺した様子を見せ、一瞬動きを止めてしまう。
マーベルはその隙を逃さず、素早くオーラソードを振るった。
そして左腕と左足も切断されてしまい、最終的に残ったのは右足と頭部と胴体だけになってしまう。
そして残った右足を切断すると、もうゲドにはどうしようもなくなってしまった。
『アクセル、これでいいかしら?』
「あー……うん。まさか四肢切断にするとは思わなかったが」
『そう言っても、抵抗出来ないようにする必要があるでしょ? なら、これが一番手っ取り早いじゃない』
「そうだな。それは否定しない」
ただ、個人的な希望を言わせて貰えばゲドは出来るだけ無傷で捕らえて欲しかった。
いやまぁ、こんな状況であってもそれなりに使い道があるのは間違いないけど。
元々俺が入手したオーラバトラーの絶対数が少ない以上、数は大いに越した事はないのだから。
その辺の事情を考えると、今回の件も決して最悪といった事ではない。
『それで、ゲドのパイロット達はどうするの?』
「その辺はガラリア任せだな。俺達が下手に何かをするよりも、そっちの方がいい。クの国との商売にも関係してくるだろうし」
個人的な事を言えば、ガラリアに手柄を立てさせて恩を売っておきたいという気持ちもない訳ではない。
元々俺が捕虜を捕まえても使い道はない以上、それこそ殺すか解放するかといったような選択肢しかないのだ。
あ、でも説得して仲間にするというのは、ありなのか?
ただし、向こうがそれに素直に応じるかと言えば、それはまた別の話だが。
ともあれ、オーラバトラーとの戦いは無事終わった。
ガラリアの方はと地上を見ると、そこでも戦いは終わっている。
襲ってきたガロウ・ランの盗賊は、当然だが地上で行動しているのだ。
空を飛んで地上に向かってフレイボムを発射出来るドロを相手にした場合、とてもではないが勝ち目がない。
元々、ドロはガロウ・ランとの戦いを前提にして開発された機体だ。
こういう戦いは、ドロにとって一番得意な場面なのだ。
「マーベル、ナムワンに戻るぞ。向こうも終わったみたいだし、ガラリアに捕虜を引き渡す必要もあるしな」
『そうね。こっちの被害は少ないみたいだけど、運がよかったのかしら』
「俺達がいたという点で、運がよかったのは間違いないな」
正直なところ、もしここに俺達がいなければ、ゲド2機を相手にした時点でナムワンが占領されるなり、撃破されるなりしていただろう。
そういう意味では、やはり俺とマーベルがここにいたのはガラリア達にとって運がよかったな。
いや、それともドレイクが俺達に一緒にクの国に行くように言ったのは、この件を掴んでいたからだったりするのか?
ドレイクなら、それも普通にありそうなんだよな。
「まずは戻るぞ」
そう言い、俺とマーベルはナムワンに向かう。
さて、この件をクの国の国王たるビショットはどう判断するんだろうな。
ビショットにしてみれば、今回の一件を起こした相手は自分に思い切り恥を掻かせたようなものだ。
捕虜の引き渡しを要求するのか、それとももっと別の手段をとるのか。
具体的には、死人に口なしを狙って暗殺するのか。
ビショットにしてみれば、それが最善の結果なのは間違いないだろうし。
とはいえ、そのような真似をすれば確実にドレイクとの関係は悪くなる。
いや、その辺は俺が考えるべき事じゃないか。
そう判断し、俺はマーベルと共にナムワンに向かうのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1650