捕まったゲドのパイロットに関しては、結局ビショットとガラリアの間で何らかの交渉が成立したらしい。
あのパイロットを捕まえたのは俺とマーベルなのだから、こっちにも何か利益があってもいいと思うんだが……残念ながら、そういうのはなかった。
いやまぁ、ガラリアが言うにはルフト領に戻ったらドレイクに報告して、何らかの報酬を出して貰うといった感じにはなっていたが。
ビショットの方は、取りあえず次回に期待といったところか。
個人的には、ゲドをベースにし開発するという新型のオーラバトラーを貰いたいところだ。
そんな訳で、取引そのものは終わったのだが……
「どうだろう、アクセル王。彼の頼みを聞いて貰えないだろうか?」
ビショットがそう言い、俺に視線を向けてくる。
商談が成立した祝いのパーティで、何故か俺はビショットの部下の1人にオーラバトラーを使った模擬戦を挑まれたのだ。
正確には、模擬戦ではなく俺に訓練をして欲しいといった表現だったが、その内容が模擬戦なのは間違いない。
「そう言われてもな。ここで模擬戦をする必要があるか?」
「勿論あるとも。ガラミティはこのクの国の中でもゲドを操縦出来る腕利きの騎士だ。その実力は、ドレイク殿の同盟者として見ておいた方がいいのではないかね?」
自信満々といった様子でガラミティと呼ばれた男を見るビショット。
ちなみにこのガラミティ。
UC世界に存在する黒い三連星のリーダー格たるガイアと似ている奴だ。
俺が初めてビショットと会った時に、敵意を向けてきた人物。
そういう意味では、バーンと似ているのかもしれないな。
とはいえ、ゲドを自由に操縦出来るという点ではバーンよりも上なのか。
バーンはオーラ力の問題でゲドを使いこなす事は出来ないし。
だとすれば、確かにビショットの言ってるようにガラミティという人物の操縦技術を見ておいた方がいいのかもしれないな。
ただし、幾ら何でも何の見返りもなく模擬戦をして、サーバインの性能を見せるのはどうかと思う。
「見ておいた方がいいかと言われれば、見ておいた方がいいだろう。だが、それでもどうしてもって訳じゃない。……そうだな、ケミ城に来る途中で遭遇したゲドの件もある。そのパイロットを無事に捕らえた件も含めて、クの国で開発する事になるだろう新型のオーラバトラーを1機俺に渡す。それでどうだ?」
「それは、少しそちらに利益が多きすぎるのではないか?」
「そうか? 俺はそうは思わないけど。だが、そうだな。なら、こうしよう。俺がガラミティとの模擬戦を行って勝利したら、新型のオーラバトラーを2機貰う」
「……1機増えてるのだが」
不満そうに言ってくるビショットの言葉を受け流し、俺は言葉を続ける。
「その変わり、もし俺が負けたらサーバインを解析させてもいい。どうする? 俺のサーバインは、ダンバインのプロトタイプと言ってもいい機体だけに、新型機の開発に役立つのは間違いないが」
その言葉に、ビショットは悩む。
新型のオーラバトラーを開発しようとしている以上、少しでも多くの機体を参考にしたいと考えるのは当然だろう。
おまけに、クの国が目指すのはドラムロのような重装甲型の機体ではなく、ダンバインのような高機動型の機体だ。
そして俺のサーバインはダンバインのプロトタイプ。
そういう意味でも、ビショットは是非とも俺のサーバインを解析したいと思う筈だった。
あるいは、ビショットがただの国王であれば、俺が口に出した賭けに乗ってこない可能性もある。
だが、ビショットは国王であると同時にオーラバトラー……いや、オーラマシンの開発者でもある。
そういう意味では、ここで俺の賭けに乗ってこないという選択肢はなく……
「分かった。その条件でいい」
予想通り、そう言ってくる。
ガラミティの方も、ビショットがここでそのように言うというのは予想していたのか、不満そうな様子を見せつつも、口を開く事はない。
自分が勝てばいいと、そう思っているのだろう。
よし、これでクの国が開発したオーラバトラーを2機入手出来る事になったな。
そう思いながら、俺は模擬戦を引き受けると告げるのだった。
ケミ城の練兵場で、俺はサーバインに乗ってガラミティの乗るゲドと向かい合っていた。
サーバインは半ばショットやゼットが調子に乗って開発したようなオーラバトラーであった為か、各所にダンバインにはないような精緻な飾りが刻まれている。
それを見た見物人達は赤いサーバインに目を奪われ、感嘆の声を上げていた。
こうしたサーバインを見れば、とてもではないがダンバインのプロトタイプって感じはしないよな。
寧ろダンバインの上位機種と表現した方がいい。
実際にその性能は上位機種なのは間違いないんだが。
それにしても、ゲドでこのサーバインと戦うというのは、とてもではないが勝つつもりがあるとは思えない。
単純にダンバインやサーバインの性能を知らないからこそ、そんな真似が出来るのかもしれないが。
『では、お互いこれが模擬戦であるというのを忘れないように。……始め!』
ビショットの声が周囲に響くと同時に、ガラミティのゲドと俺のサーバインはお互いに距離を詰めていく。
本来なら、相手を牽制する意味でもオーラショットを撃ったりするんだが、この模擬戦においては飛び道具を使うのは禁止されている。
ゲドの武器がオーラソードだけしかない以上、その判断もしょうがないとは思うが。
いや、それよりもここがケミ城にある訓練場であるというのも大きいだろう。
もしここでオーラショットを使って、それをゲドが回避した場合、どうなるのか。
当然の話だが、これはシミュレータでも何でもなく、現実だ。
オーラショットの砲弾が命中すれば、建物程度は容易に壊れる。
まさかケミ城を壊す訳にはいかないので、オーラショットを使わないのは俺にも納得出来た。
あるいはペイント弾の類があれば、その辺の心配をする必要もなくなるのだが……ルフト領に戻ったら、ショットやゼットに頼んでみるか?
そんな風に思いつつ、ガラミティの操縦するゲドが振るうオーラソードを待ち受ける。
模擬戦だが、当然オーラバトラーが使うオーラソードに模擬戦用に刃を潰しているようなものはない。
つまり、命中すれば間違いなくダメージを受ける訳だ。
模擬戦といっても、バイストン・ウェルにおいては相手を本当に殺さないという程度のものなのだろう。
死んだら死んだでしょうがないといった感じで。
ガラミティの場合は、最初から俺を殺そうという思いがあるような気もするが。
ともあれ、そんな一撃はサーバインの運動性があればあっさりと回避する事に成功する。
そのままの流れでオーラソードを突きつけて終わらせても構わなかったのだが、将来的な事を考えると、お互いの実力差をはっきりとさせておいた方がいいのは間違いない。
そんな訳で、オーラソードの刃を使うのではなく柄の部分でゲドを殴る。
とはいえ、サーバインは俺の魔力をたっぷりと使って動いているだけに、オーラコンバータから得られる出力はかなり高い。
それこそ、柄の部分で殴ったとしても、下手をすれば一撃でゲドの装甲を破壊するといったような事にもなりかねない。
だからこそ、今回の一撃は出来るだけ手加減をした状態で、ゲドの装甲を破壊しないように注意して放ったのだが、慣れない事だけに手加減をしすぎたらしく、柄で殴るというよりは軽く接触するといった程度の一撃しか与えられなかった。
もう少し加減を弱くする必要があるな。
とはいえ、今の一撃で大体のところは分かった。
まぁ、オーラバトラーを使って戦う上で、どこまで加減をするのかといった意味があるが。
ガラミティのゲドは、俺の放った一撃で多少はバランスを崩したものの、それでもすぐに足で踏ん張り、体勢を立て直す。
だが、今の一撃の意味は向こうでも理解していたのか、即座に襲い掛かってくるといったような真似はしなかった。
結果として、模擬戦が始まった時の俺とガラミティの場所が正反対になったといったような形になる。
さて、どうする? ショットクロー辺りを使って牽制するか?
そう思わないでもなかったが、力量差を教え込もうとしている以上、相手が持っていないショットクローを使うというのは、どうかと思わないでもない。
「そんな訳で、行くぞ」
向こうに聞こえるように外部スピーカーで告げると同時に、地面を蹴って走り出す。
オーラバトラーというのは、空を飛んでこそという思いがあるのだが、今回は飛び道具以外に空を飛ぶのも禁止されている。
そういう意味では、本当の意味でオーラバトラーの模擬戦とは言えないし、この戦い方でガラミティに実力を知らしめるといった事も難しいのかもしれないが……まぁ、それはそれ、これはこれといったところだろう。
真っ直ぐゲドに向かって突っ込むサーバインに対し、向こうもここで逃げるといった選択肢は存在しない――これが模擬戦である以上は当然だが――のか、こちらに向かって走り出す。
そしてお互いに接近したところで、双方共にオーラソードを振るい……ギィンッという甲高い金属音がすると同時に、ゲドが持っていたオーラソードは手の中から弾かれ、空中を回転して吹き飛んでいく。
一瞬、ガラミティは何が起きたのか分からないといった様子で動きを止めるが、模擬戦とはいえ戦闘の中でこうして動きを止めるというのは自殺行為でしかない。
その一瞬の隙を逃すような真似はせず、次の瞬間にはサーバインの持つオーラソードの切っ先がゲドの顔面の前に突きつけられていた。
『勝負あり! そこまで!』
ビショットの声が聞こえてくる。
どうやら、これで模擬戦は終わりらしい。
ゲドは……正確にはそれを操縦しているガラミティは、まだ自分が負けたというのに納得出来なかったのか、それとも何が起きたのか分からなかったのか、模擬戦が終わっても動くといったようなことはない。
このままにはしていられないので、取りあえず突きつけていたオーラソードを外す。
さて、どう出る?
自分が負けたのが気にくわないと、このまま襲ってくるか。
いや、その可能性は少ないだろう。
見た感じでは、ガラミティはビショットに忠誠を誓っているように思える。
そうである以上、ここで自分の負けを認めずに見苦しい真似をするとは思えない。
本人のプライドが高くて、それがビショットへの忠誠心よりも勝っているといった可能性は十分にあるのだが。
どう出る?
そんな風に思っていると、ゲドは大人しく俺から離れていく。
どうやら素直に負けを認める事にしたらしい。
こうして、模擬戦は無事に終わるのだった。
「今回は俺の負けだ。だが、次に戦う時はゲドではなくビショット王が開発した新型のオーラバトラーを使って戦うといった事になる筈だ。そうなれば、そう簡単には負けない」
「だろうな」
今回は素直に負けを認めつつも、機体性能に違いがあったというガラミティの言葉は決して大袈裟なものではない。
実際、ゲドとサーバインの間にある性能差は圧倒的だ。
ゲドとダンバインですら、性能差は高いのだ。
サーバインは、そんなダンバインと比べてもコスト度外視でリの国から入手した非常に希少な恐獣の素材を使われて開発されたのだから。
そういう意味では、今度クの国に来た時に開発されているだろうオーラバトラーが楽しみなのは間違いないな。
「双方とも、素晴らしい戦いだった。ガラミティも、ゲドでアクセル王のサーバインと見事に渡り合ってくれた。その事を誇りに思う。約束通り、新型のオーラバトラーを開発したら2機そちらに譲渡しよう」
ビショットの言葉に、一礼するガラミティ。
本人としては、出来れば勝利の報告をしたかったのだろうが。
ともあれ、模擬戦が無事に終わったのは何よりだった。
「ビショット、ガラミティが言っていたように、今度クの国に来た時は運動性を重視した、クの国独自のオーラバトラーを見られる事を期待している」
「任せて欲しい。アの国からは、今回ドラムロも1機だけだが購入させて貰った。これを解析して、より魅力的なオーラバトラーを開発してみせよう」
ドラムロ?
ドレイクの奴、ドラムロもビショットに売ったのか?
というか、最初に俺と会った時はビショットはドラムロについて知らないみたいだった
だとすれば……なるほど。ドレイクの隠し球というか、目玉商品的な感じで持ってきていたのか。
まぁ、ビショットに売る商品を詰んでいるナムワンには顔を出していなかったから、それが分からなくてもおかしくはない。
「ドラムロは重装甲の機体だから、ビショットが目指す運動性や機動性の高い新型機に参考に出来る部分は多くないと思うけどな」
「そうかもしれない。だが、オーラ力が低くても操縦出来るというのは、非常に魅力的だ。クの国のオーラバトラーである以上、その辺は重要だよ」
そう告げるビショットの言葉に、俺はなるほどと頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1650