「ちょっ、何でこんな物をつけるんだよ!」
不満そうに叫んだのは、ショウ。
ガラリアからバイストン・ウェルについての一般的な説明を聞き、それが終わったところで機械の館に行くという事になったのだが……その際、ショウを含めた地上人3人は、木で出来た手枷を嵌められる事になり、それにショウが不満を露わにしたのだ。
いやまぁ、普通に考えて手枷を嵌められるのが嬉しいなんて奴はいないだろうから、それも当然の事ではあるんだろうが。
「昨夜のように暴れられては困るからな」
バーンがそうショウに告げる。
機械の館に行くのは、ガラリアではなくバーンになった。
ガラリアの方は、色々と仕事があるらしい。
ガラリアもドレイクの騎士として有能な人物なのだから、仕事があるのはおかしくないと思うが。
「暴れるのが問題なら、いっそ影のゲートを使って転移するか? そうすれば、暴れるとか、そういうのも問題ないと思うが」
「いえ、結構です。地上人の方々にはバイストン・ウェルがどのような場所なのかをしっかりと見て貰いたいので」
即座にそう答えられる。
バーンにしてみれば、余計な事をするなといった感じなのか?
とはいえ、バイストン・ウェルの景色とかを直接見るというのは、そんなに悪い話ではない。
「手枷の件は、咄嗟の事とはいえ昨日ショウが暴れたのが原因だからな。取りあえず我慢しておけ」
「……分かったよ」
ショウが不満そうにしながらも、俺の言葉に頷く。
ショウにしてみれば、これは理不尽でしかないだろう。
何しろ、こっちの都合で勝手にこのバイストン・ウェルに召喚して、それでああだこうだといった感じで命令されているのだから。
とはいえ、その理不尽さもすぐになくなるだろうけど。
バーンにしてみれば、地上人の3人は聖戦士としてドレイクに協力して貰う必要があるのだ。
そうである以上、ここで理不尽な行動ばかりしていれば、いざという時に裏切られる可能性がある。
それを思えば、バーンとしてもそこまで理不尽な行動は出来ないだろう。
もっとも、バーンの場合は俺への態度を見れば分かる通り、自分の地位を脅かしかねない相手に対しては露骨に排除しようとする。
地上人達も、有能さを示すのはともかく、示しすぎるとバーンから排除されるべき相手と認識される可能性は十分にあったが。
そうして、結局地上人達3人は木の手枷を嵌められる。
その際、トッドとトカマクのショウに向ける視線が微妙に厳しかったのは、やはり昨夜ショウが暴れた事が原因だと、そう思っているのだろう。
不満そうな様子を見せたものの、結局それ以上は何も言わなかったのは、これが今だけだと理解しているからなのか、それともここで暴れてバーン達に不満を抱かせる事を避けたいと思ったのか。
その辺は俺にも分からなかったが。
ともあれ、手枷を嵌めた状況でユニコンの牽く馬車に乗って移動する。
ちなみに俺とマーベルは地上人3人と別の馬車だったが。
馬ではなく、ユニコンを見てユニコーンだと驚いていたトカマクが印象深い。
それ以外にも、ピグシーを見て驚くといった光景もあったが。
ちなみにこのピグシーは、本当の意味で一番始めに開発されたオーラマシンだ。
車やバイク的な使い方をするオーラマシン。
ピグシーという名前で妖精を思い浮かべれば、フェラリオを思い出してしまうが。
ちなみに、フェラリオといえば昨夜の地上人召喚の時に侵入してきた、ギブン家に協力しているフェラリオは結局逃がしたらしい。
ギブン家に協力しているというのは、証拠がない以上はギブン家を責める事は出来ない。
とはいえ、今の状況を思えばドレイクに対してギブン家は明確に敵対している。
俺がサーバインのテストをした時もニーがダーナ・オシーで攻めて来たしな。
個人的には、ダーナ・オシーを入手したいという意味でまた攻めて来てもいいと思うんだが。
そんな事を考えながらマーベルと話をしている間にも馬車は進み、機械の館に到着する。
「これが機械の館か」
トッドが興味深そうな様子で呟く。
地上では空軍にいたというだけあって、その辺には興味があるのだろう。
ショウもバイクに乗っていただけあってか、こういう機械には興味を持つらしい。
ちなみに、トカマクは元ソ連軍の軍人らしいとここに来る途中で言ってるのを聞いたのだが、そういう意味では恐らくトカマクも興味を持っているのだろう。
「地上人の方々、こちらに来て下さい。手枷を外しますので」
バーンの言葉に、機械の館に目を奪われていた地上人達は我に返る。
ショウはバーンの言葉に面白くなさそうな表情を浮かべていたが。
バーンに手枷を嵌められた理由が自分にあるというのは知ってるのだろうが、それでもやはり色々と気にくわない事が多いのだろう。
多分……本当に多分だが、ショウがこの世界の原作の主人公っぽい感じなんだよな。
唯一の日本人ってのもそれっぽいし。
「アクセル、ちょうどいいところに来てくれたな」
手枷を外されるショウ達を見ていると、不意にそんな声が掛けられる。
誰の声なのかというのは、考えるまでもなく明らかだ。
何だかんだと、バイストン・ウェルに来てからこの人物とはそれなりに話しているし。
「どうした、ショット」
「ショットクローの件、改修が終わったぞ」
どこか得意そうな様子で呟くショット。
その言葉に、何の事だ? と一瞬疑問に思ったものの、すぐにその言葉の意味を思い出す。
そうそう、そう言えばクの国に行く前にショットクローの改修を頼んでいたな。
具体的には、ショットクローから電撃を流すように出来ないかと。
「電撃の件か?」
「そうだ。とはいえ……この技術は残念なことにアクセルの機体の専用技術といった感じになりそうだが」
「何でだ?」
それを好むか好まないかは別にして、他のオーラバトラーであってもそれなりに使える武器になると思うんだが。
そう思ったのだが、ショットは残念そうに口を開く。
「ショットクローのワイヤーの部分が、普通のオーラバトラーでは耐えられない。サーバイン用の特別な素材だからこそ、耐えられるんだ」
「つまり、同じショットクローを持っているダンバインだったり、これから開発されるだろうオーラバトラーでは、ショットクローを使って相手に電撃を流すといった真似は出来ないのか?」
「出来ないな。どうしてもやるとなれば、それこそサーバインと同等かそれ以上の素材を使う必要がある」
それは難しい、か。
サーバインはショットやゼットが、それこそ採算度外視して開発したオーラバトラーだ。
その素材に関しては、リの国から何とか購入出来た物が多数存在し、同じ素材は金を積んだからといって購入出来るものではない。
そもそも、その素材がリの国になければ意味はないのだから。
サーバインの予備部品として多少はあるだろうが、それを使った場合はサーバインのショットクローが壊れたり、敵によって切断されるといったような事になった場合、修理出来なくなってしまう。
「分かった。なら、それはサーバインだけの特別な装備としよう」
サーバインだけが使えるとなると、それはそれで悪くない。
ショットクローは基本的に相手に巻き付けて使うので、それが巻き付いても致命傷にはならないと、意図的に腕で防ぐといった防御方法が一般化した場合、サーバインの電撃を流す事が出来るショットクローは切り札として大きな役割を持つ。
もっとも、それを何度も大っぴらに使うような真似をすれば、見ていた者から話が広まる可能性があるが。
「そうして貰えると、こちらとしても助かる。試してみるか?」
「試したいとは思うけど、サーバインの奥の手なのに堂々と見せるような真似をするのは不味くないか?」
「構わんよ。ここにいる者であれば、サーバインについて知っている者も多い。とはいえ、ドラムロを相手に使わせるといったような真似は出来んがな」
それはそうだろうな。
ドレイク軍にとって、初めての量産機だ。
それなりに数は揃ってきているが、だからといって使い捨てにしていいようなものではない。
それなら、ゲドにでも……いや、いっそ恐獣狩りにでも行って試してみるか?
「アクセル、言っておくけど恐獣狩りに行くのはなしよ」
俺の様子から考えを読んだのか、マーベルがそう言ってきた。
「そう言ってもな。ショットクローが実際に俺の思い通りに動くのかどうか、それに動いたとしてもどのくらいの威力があるのか、その辺を確認する必要があるだろ」
「それでも、今は止めておきなさい。地上人達の目もあるんだから」
「そこまで気にする必要はないと思うんだけどな」
俺が魔法を使えるというのは、既に知っている。
であれば、影のゲートを見せてもおかしくはないと思うんだが。
それこそ、オーラバトラーがどのような存在なのかを見せるには、それが最適だろう。
そう言うと、ショットは止めて欲しいと言う。
「実は今夜、バーンの乗ったドラムロがガッターと戦って地上人達にオーラバトラーがどのような存在なのかを見せつけるらしい」
「考えるのは同じか」
今の地上は1980年代で、とてもではないが人型機動兵器などというものは存在していない。
そうである以上、トッド達にオーラバトラーがどのような存在なのかを見せるのなら、やはり実際に動かして見せるのが一番早い。
勿論、オーラバトラーを見ただけでも驚くだろうが。
「にしても、ドラムロに乗るのはバーンなのか? ガラリアじゃなく?」
俺のサーバインやマーベルのダンバインと積極的にドラムロを使って模擬戦をしているガラリアの技量は、今ではバーンよりも上だ。
実際、バーンは俺やマーベルとは模擬戦をしないが、ガラリアとはそれなりに模擬戦をする事がある。
その勝敗は、最初こそバーンの方が上だったが、俺達がガラリアと模擬戦をする事によって勝率は5分くらいになり、最近では7割くらいの確率でガラリアが勝つようになっていた。
生身での戦いはともかく、オーラバトラーでの戦いとなれば今はガラリアの方が強い。
バーンもそれなりに訓練をしてはいるらしいのだが、それでもこういうのはやはり強者と戦ってこそ、実力も上がるというものだ。
バーンが幾ら1人で訓練をしたり、もしくは部下と戦ったりといったような事をしても、俺やマーベルと戦っているガラリアには及ばない。
「ああ、バーンはドレイク殿の筆頭騎士だからな。こういう場合は当然バーンの役目となる」
「なるほど、実力だけじゃなくて地位も重要な訳だ」
「そうだ。勿論、バーンとガラリアの間に見て分かる程に大きな実力差があるとなれば、話は別だが……今はまだガラリアの方が強いとはいえ、圧倒するといった程ではないだろう?」
模擬戦での勝率が10割……というにはさすがに難しいかもしれないが、それでも9割くらいになれば、その実力差も決定的なものになると言えるのかもしれないが。
「そうだな。なら、今夜の件はガラリアにとっては残念だっただろうな」
何よりも名誉を欲しているガラリアだ。
皆の前で実力を発揮してガッターと戦うといったような真似をするのは、それこそ出来れば是非自分がと、そのように思うのは当然だろう。
「今夜の園遊会は、ドレイク殿の領地の多くから人々が集まってくる。ガラリアは悔しがっていたらしい」
らしい? と若干疑問に思ったが、考えてみれば誰から聞いたのかは考えるまでもなく明らかだ。
ガラリアと友人以上恋人未満といったゼットからの情報だろう。
ショットの同僚たるゼットだけに、ガラリアについての情報を入手するのも難しくはないといったところか。
「今回はガラリアの技量不足である以上、しょうがないさ。次にそういう機会があったら、バーンとの間に圧倒的な力の差を見せつけてガラリアがその座を勝ち取ればいい」
とはいえ、ガラリアとバーン……ニャムヒー家とバニングス家では、同じ騎士であっても家格の差というものがある。
ましてや、ガラリアの父親が敵前逃亡したというのは、ガラリアにとっては後々までついて回るだろう。
その辺を逆転するには、それこそオーラバトラーの操縦技術だけではなく、もっと騎士としての力を身につける必要がある。
個人的には、手柄を求めるとはいえ、独断専行するのはガラリアにとっては大きな欠点だと思う。
とはいえ、それで手柄を立てているのも事実なんだよな。
「ゼットで無理なら、マーベルが話してみてもいいかもしれないな」
ガラリアにとって、マーベルは唯一の対等な女友達だ。
そんなマーベルの言葉なら、もしかしたらガラリアも聞く耳を持つかもしれない。
もっとも、そのような状況であってもガラリアの性格を考えると、決して許容出来るとは思わなかったが。
「そう、ね。言うだけ言ってみるわ。今までもそれとなく言っては来たんだけど。ガラリアが独断専行して死ぬような事になったら、目も当てられないし」
そう、マーベルは告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1650