転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0268話

 エヴァの別荘で過ごした翌日の朝。少し早めに寮を出た俺は学園長室へと向かっていた。千鶴やあやかもネギ・スプリングフィールドに興味はあったらしいが、さすがに今回呼ばれてるのは俺だけなので遠慮して貰った。あやかが非常に残念そうにしていたとだけ言っておく。

 

「ありゃ? アクセル君、今日は早いけどどうしたの?」

 

 昇降口の近くで俺へと声を掛けて来たのは、教室で俺のすぐ前に座っている明石だった。

 いつもと違うのは、制服ではなくバスケ用のユニフォームを着ている所か。

 

「いや、ちょっと用事があってな。明石は……朝練か?」

「そうなんだよね。うちのバスケ部って弱いから、少しでも練習しなくちゃいけなくて」

 

 てへへ、とばかりに笑う明石。

 

「けど、何で校舎に?」

「いや、ちょっと飲み物を教室に忘れちゃって。ほらこれこれ。一汗掻いたから水分補給しようと思ったらどこにも無くてさ。それで急いで教室まで戻って来たんだ」

 

 そう言いながらスポーツ飲料か何かが入っているのだろうバッグを見せてくる明石。

 

「さてっと。ここで時間を潰してたら監督に怒られちゃうからそろそろ行くね。じゃ、また後でねー」

「ああ、朝練頑張れよ」

 

 微かに汗の匂いをその場に残し、ユニフォーム姿のまま走っていく明石の後ろ姿を見送って学園長室へと向かう。

 その途中で俺と同じく早めに登校してきたのだろう数人の女子生徒を見掛けるが、特に知り合いな訳でもないので気にせず進む。……偶に俺の事を知らないのか不思議そうな顔でこちらを見ている生徒も数人いるが、この麻帆良女子中に転校させられてから約1ヶ月。その手の視線は日常茶飯事なので既に慣れた。

 そしてそのまま廊下を進んでいくと、やがて学園長室のドアが見えてくる。

 

「さて、そろそろ噂の子供先生とやらは到着してるかな?」

 

 深呼吸をし、ドアをノック。

 

「どなたかな?」

「俺だ、アクセル・アルマー」

「おお、アクセル君か。少し早いが……まぁ、いいじゃろ。入ってくれて構わんよ」

 

 今の言葉を聞く限りではまだ到着はしていないか。

 そう判断してドアを開けると、案の定学園長室の中には近右衛門の姿しかなかった。

 と言うか、ネギ・スプリングフィールドの友達だという高畑の姿も見えない。

 

「高畑は出迎えか?」

「いや、ちょっと用事があっての。そっちを済ませてからこっちに向かうそうじゃ。ネギ君の迎えには木乃香とアスナちゃんにお願いしておる」

「それは、この前言っていた?」

「うむ。婿殿には悪いが、木乃香程の魔力を持った者が何も知らないままでいるというのは危険極まりないからの。この機会に魔法に関して知って貰おうと思っておる」

「いいのか? その近衛の父親は近衛に平穏な日々をすごして欲しいんだろうに」

 

 俺の言葉に軽く眉を顰める近右衛門。

 

「確かにこの麻帆良にいる限りは儂が木乃香を全力で守ろう。じゃが、木乃香とてこれから高校、大学、就職という道がある。そうなった時にこの麻帆良にいるとは限るまい?」

「だから今のうちに魔法について教えて少しでも対応出来るようにする、か」

「うむ」

 

 確かに何も知らないままに麻帆良の外に出れば、その魔力を狙われた時に対抗しようもないだろう。護衛として桜咲がいるにしても、多勢に無勢……いや、離れた所からの護衛では隙を突かれる可能性も高いか。少なくても俺ならスライムを使ってあっさりと近衛を奪取出来そうだし。

 

「ま、それはいい。それよりも今日来るのがネギ・スプリングフィールドだというのをエヴァは知らなかったみたいだが?」

「……うむ。今朝方襲撃されてその辺を問い詰められたわい。ネギ君に関して教えればナギの事が好きな彼女じゃし動揺すると思って知らせなかったんじゃが、それが完全に裏目に出てしもうた。その件に関しては後日改めて話し合うという事になったんじゃが……アクセル君のおかげかの?」

「まぁな。何せ相手は英雄の子供だ。次代の英雄ともいえる人物をエヴァが襲ったとなると組織的には色々と拙いだろう?」

「うむ、確かにの。まぁ、その辺については多少考えがある。それで納得してくれればいいんじゃが……」

 

 そんな風に世間話とも言えない世間話をして時間を潰していると、やがてドタドタと乱暴に床を踏みしめるような音が聞こえてきた。

 

「む? 来たようじゃの」

「ああ。だが、妙に……」

 

 近右衛門もそれに気が付いたのか、ドアの方へと視線を向ける。

 同時にドバァッとばかりに勢いよく学園長室のドアが開かれ、まるで突っ込んでくるかのように数人が勢いよく学園長室の中へと入って来る。

 近衛と……何故か運動着の神楽坂、そして少し離れた所に高畑が。ネギ・スプリングフィールドは……と周囲を見回し、神楽坂が猫のようにして持っている存在に気が付く。

 鼻の上に小さなメガネ――いわゆる鼻メガネという奴――をかけており、赤毛に近い茶髪の少年だ。麻帆良に来てから真っ直ぐに学園長室に来た為か、その背中にはかなり大きめのリュックを背負っており、そして身長よりも長い杖を背負っている。

 ……と言うか、大きめのリュックや杖を背負っている子供を事も無げに持ち上げている所に神楽坂の身体能力の高さが窺い知れる。

 

「学園長先生! これは一体どういう事……あら? アクセル?」

 

 がーっとばかりの勢いで喚いた神楽坂だったが、学園長室のソファへと座りお茶を飲んでいる俺に気が付き不思議そうな表情でこちらを見てくる。

 

「アクセル君、何でここにおるんやー? あ、遅れたな。おはようさん」

 

 そして神楽坂とは対照的にマイペースの近衛。

 その後ろから苦笑しながら高畑が学園長室へと入ってくる。

 

「ああ、おはよう。俺に関しては学園長から説明があると思うからもう少し待ってくれ」

「……そう? って、それより学園長先生! なんでこんな子供が私達の先生になるんですか!?」

「まあまあアスナちゃんや、少し落ち着いておくれ。それでネギ君、話は聞いておるよ。修行の為に日本で学校の先生を……そりゃまた、大変な課題を貰ったのぅ」

「は、はい。よろしくお願いします」

 

 近右衛門の言葉に、ペコリと頭を下げるネギ・スプリングフィールド。イギリス育ちというのも関係しているのか、初めての異国である日本に若干緊張しているようにも見える。神楽坂と同じくチラリと俺の方を不思議そうな顔で見たが、すぐに近右衛門との会話へと戻った。

 

「だが、突然先生というのも難しいからのぅ。取りあえずは今日から3月までは教育実習という形にさせてもらうが構わんかな?」

「分かりました。教育実習生として頑張らせてもらいます」

「ちなみにネギ君には彼女がおるのかな? うちの孫娘である木乃香なんぞどうじゃな?」

「ややわー、お爺ちゃん」

 

 近右衛門のその言葉に対する近衛の反応は早かった。どこからともなく取り出した金槌で近右衛門の長い頭に突っ込みをいれたのだ。

 ガスッとでも表現できそうな音が学園長室へと響き渡る。これぞまさに鈍器というべき撲殺音だった。……殺してないが。

 

「木乃香……じゃなくて! 学園長先生! そもそも子供が先生なんてどう考えてもおかしいじゃないですか! えーっと、そう。労働なんとか法違反って奴」

 

 肝心の所を覚えてない辺りはまさにバカレンジャーのバカレッドらしい。正確には労働基準法な。

 近右衛門はいつもの如くフォフォフォと笑って神楽坂の話をスルーし、ネギへと向き直る。

 

「ネギ君、この修行は恐らく君が思ってる以上に大変な修行じゃぞ。駄目だったらイギリスへ帰らなければならず、二度とチャンスは無いじゃろう。その覚悟はあるのじゃろうな?」

「は、はい! やります! やらせて下さい!」

 

 ネギの心を確かめるかのように、じっと見つめる近右衛門。

 神楽坂も特に茶々を入れることなくその様子を見守っている。

 ……ガキが嫌いとか言う割には、やっぱりどこかお人好しな所が残ってるんだよな。

 

「……うむ、分かった! では今日から早速やってもらおうかの。その為に君に紹介したい人がおるので……タカミチ君、しずな君は?」

「しずなさんなら、少し遅れるそうです」

「ふむ、なるほど。ならまずは彼を紹介しようか。アクセル君」

 

 近右衛門に呼ばれ、ソファから立ち上がる。

 

「アクセル・アルマーだ。飛び級と男女共学化のテストケースという事でそこにいる神楽坂や近衛のクラスメイトをやっている。よろしく」

「え? でも、ここは女子校エリアだって聞いてるんだけど……」

 

 俺の説明にどこか戸惑った様子のネギ。……まぁ、良く考えればそれが普通なのか。

 そんなネギの様子に苦笑を浮かべながら再度口を開く。

 

「だから言っただろう? 共学化の為のテストケースだと。俺達のクラスで男子生徒は俺だけだよ。生徒と教師という違いはあるが、同年代の男同士だ。分からない事があったら聞いてくれ」

「え? その、うん。僕はネギ・スプリングフィールド。よろしくね」

 

 そう言って手を出してくるネギ。その手を握り返しながら苦笑を浮かべる。

 

「別にそこまで改まる必要は無いさ。お互い、周囲は女子生徒ばかりの身の上だ。仲良くやって行こうぜ」

「う……うん」

 

 どこかぎこちないながらも、笑みを浮かべるネギ。

 何と言うか、典型的な良い子ちゃんなんだろうな。英雄の息子として育てられたという話だしこういう性格になるのもしょうがない……のか? エヴァから聞いたナギ・スプリングフィールドはもっとこう、何と言うか……悪ガキがそのまま大人になった性格だと聞いてたんだが。

 

「ん? アクセル君、僕の顔に何か付いてる?」

 

 自分の顔をじっと見つめられているのに気が付いたのだろう。小首を傾げながらそう尋ねてくる。

 ……うん。取りあえず今の表情をあやかが見たらコロッと逝ってしまいそうな感じだな。千鶴や夏美、あるいはクラスメイト達に聞いた話だと元々あやかの好みは可愛い系の少年だって話だし。

 

「いや、何でも無い。きっとクラスに行ったら騒がしくなりそうだなと思ってな」

「あー、それはあるかもしいひんな。いいんちょとか好きそうなタイプやし」

 

 近衛がニコニコと笑いながら同意する。その隣ではネギが教師になるのに反対していた神楽坂までが間違いないとばかりに頷いている。

 

「え? え? え? 僕、どうなっちゃうんですか!?」

 

 その様子に、微妙に混乱するネギ・スプリングフィールド。

 

「ま、それは教室に行ってからのお楽しみだ。……あぁ、そうだ。ネギって呼んでもいいか?」

「え? うん。それは別に構わないけど。今更だけど、僕もアクセル君って呼ばせて貰うね」

「うむ。仲良くやっていけそうじゃな」

 

 近右衛門が頷いたその時、学園長室のドアがノックされた。

 

「学園長、遅れて申し訳ありません」

「おお、しずな君か。入ってくれ」

「では、失礼します」

 

 そう断り、源が学園長室へと入ってくる。

 

「ネギ君、学校生活で分からない事はアクセル君に聞けばいいが、教師としてやっていく上で分からない事はしずな君に聞くといい。君の指導教師じゃ」

「源しずなよ。よろしくね」

 

 ニコリと笑いながらネギの頭を撫でる源。

 その様子を見ながら、近右衛門が再度口を開き爆弾を投下する。

 

「そうそう、言い忘れる所じゃった。木乃香、アスナちゃん。実はネギ君の住む所がまだ決まってなくてな。悪いがお主等の部屋に泊めてもらえんかの」




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376

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