「いやまぁ……うん。模擬戦をやるとは言ったけどな」
サーバインのコックピットで、こちらと向き合うようにして立っているオーラバトラー……アルダムを見る。
ゲドやダンバイン、サーバインと比べると、随分と人間っぽさから離れている。
それこそ、どちらかと言えばダーナ・オシーに近い、昆虫っぽさを感じるオーラバトラーだ。
また、妙に手が長いのも特徴だろう。
それこそ指先は膝の下まで届くくらいに手が長い。
これは、オーラソードを使って攻撃をする時、少しでもリーチで有利さを得ようとしての設計か?
実際、オーラバトラーでの戦いはオーラソードを使った近接戦闘が多いので、リーチの長さというのはかなり大きな意味を持つ。
そういう意味では、腕を長くするというのは決して悪い選択肢ではない。
ないのだが、オーラバトラーを操縦するのに必要なのは、想像力だ。
つまり、オーラバトラーを自分の身体と同じように認識する必要がある訳で、そういう意味だと極端に人型から外れた外見というのは、操縦する時に少し使いにくいんじゃないだろうか。
まぁ、ガラミティもクの国では腕利きのオーラバトラーのパイロットだ。
そうである以上、こうしてアルダムを使っているのなら、当然その腕の長さに関しても十分に理解した上で使っているのだろう。
『アクセル王。まさか、これだけ早く再戦出来るとは思わなかった』
アルダムに乗っているガラミティからの通信が送られてくる。
その言葉からも分かる通り、どうやら向こうはやる気満々といった感じらしい。
謁見の間でビショットが模擬戦の話を出して、俺がそれを受けるといったところで、ショットがそれを今からやってはどうかと言い、そこからは俺が口を挟む間もなく話は進んだ。
ショットが何故そのような真似をしたのかは、何となく予想出来る。
クの国で独自に開発されたアルダムの性能を見たかったのだろう。
そして少し離れた場所には、謁見の間にいた者達の多くが集まっており、模擬戦の様子を眺めていた。
その見物客の中にルーザまでいるのが、少しだけ驚きだったが。
俺を嫌悪しているルーザだけに、俺の模擬戦など見たくもないとここには来ないかのかと思っていたんだが……今は模擬戦に興味を向けているドレイクの代わりに、ビショットの相手をしていた。
「俺もこんなに早く模擬戦をやる事になるとは、思っていなかったよ。お前達は今日ルフト領に到着したばかりなんだし、少し休んでからでもよかったと思うんだが」
『こちらを心配してくれるのは嬉しいが、こうして模擬戦を出来るのであれば疲れなど吹き飛ぶさ』
そう告げ、アルダムはオーラソードの切っ先をこちらに向けてくる。
うん、改めて思うけど本当にやる気満々だな。
とはいえ、そこまで俺との模擬戦を望んでいたというのは、そう悪い気はしない。
「そうか。なら、しっかりと相手をさせて貰うよ」
そう言うと、ドレイクの方を見る。
正確にはドレイクの方を見たのはサーバインの頭部だったのだが。
ともあれ、ドレイクはそんなサーバインの様子を見て、立ち上がる。
『では……始め!』
その言葉と共に、アルダムは一気にこちらとの間合いを詰めてきた。
高機動型のオーラバトラーと自慢するだけあって、踏み込みの速度はゲドより数段上だ。
その速度を活かし、一気にサーバインに向けてオーラソードを振るってくる。
しかし、高機動型という点ではサーバインも負けてはいない。
重装甲のドラムロとは違い、ダンバインもまた高機動型だ。
そしてサーバインは、そのダンバインのプロトタイプとして生産性を度外視し、貴重な恐獣の素材を複数使われて開発された機体だ。
その性能を相手に見せつけるように、アルダムのオーラソードが振るわれる瞬間、後方に跳躍する。
すると、一瞬前にサーバインのいた場所をオーラソードが通りすぎていく。
周囲から、サーバインの動きに……もしくはアルダムの動きにかもしれないが、驚愕の声が聞こえてくる。
だが、ガラミティはそんな驚愕の声など聞こえないとでも言うように……いや、実際に模擬戦に集中しすぎていて聞こえていないのかもしれないが、オーラソードを連続して振るってきた。
そんな一撃を、次々と回避していく。
サーバインの動きに、連続して放たれるオーラソードの攻撃は全く届いていない。
ゲドに比べると、間違いなく素早いし鋭い。
しかし……それでも、アルダムの攻撃はサーバインに届かない。
アルダムは間違いなくゲドよりも高い性能を持つオーラバトラーなのだろう。
だが、それでもアルダムはサーバインに攻撃を命中させるのは難しい。
「回避はそろそろ終わりだ。……行くぞ」
そう言い、袈裟懸けに振るわれたオーラソードの一撃をサーバインのオーラソードは弾く。
甲高い金属音と共に、空中を回転して飛んでいく。
アルダムの手では、サーバインの振るったオーラソードの一撃を防ぐことが出来なかったのだろう。
そうして、オーラソードを手放したアルダムに向け、俺はオーラソードの切っ先を突きつけた。
『ぐ……また、負けか』
「そうだな。けど、ゲドに比べるとアルダムはかなり性能が高くなっていたな」
これはお世辞でも何でもなく、事実だ。
ドラムロと比べるのはどうかと思うが、個人的にアルダムとドラムロのどちらに乗ってみたいかと言われれば、俺はアルダムを選ぶだろう。
とはいえ、ドラムロのフレイボムは汎用性の高い射撃武器だ。
サーバインが持つオーラショットも、威力は高いのだが……直接炎で燃やす事が出来るという点で、フレイボムの方が使いやすい気がする。
純粋に戦闘という点では、オーラショットの方がいいんだろうが。
しかし、オーラバトラーとの戦闘以外ではフレイボムの方が使い勝手はいいと思う。
『そうか』
俺の言葉に、ガラミティは満足そうな様子を見せる。
自国で独自開発したアルダムを褒められたのは、ガラミティにとっては嬉しいのだろう。
「とはいえ、ショットやゼットがアルダムを見た。次に開発されるオーラバトラーは、かなり性能が高い機体になりそうだけどな」
オーラバトラーの開発者たる2人にしてみれば、アルダムというオーラバトラーは色々と興味深い一面があったのは事実だろう。
そもそも、俺とガラミティの模擬戦はショットがアルダムの性能を見てみたかったからという点が大きいし。
その辺の事情を考えれば、ショットやゼットにしてみれば、俺がこの模擬戦で勝てるかどうかといったのは、じつはそこまで重要ではなかったのだろう。
『我が国も、このアルダムはあくまで試験機でしかない。しっかりと完成したオーラバトラーを開発出来れば、それは間違いなくこのアルダムよりも高い性能を持つだろう』
ガラミティが、そこは譲れないとばかりに言ってくる。
ただし、それでいながらあくまでも次に開発される機体はアルダム以上の性能と言い切りはしたが、サーバイン以上の性能と言わなかったのは……うん。まぁ、聖戦士用のオーラバトラーは、バイストン・ウェルの人間が乗るオーラバトラーに比べて色々な意味で特殊だしな。
ドラムロやアルダム、それとダーナ・オシーなんかは、あくまでもバイストン・ウェルの人間がパイロットをすることが前提となっている為に、誰が乗っても多少の差異はあれども、一定の性能を発揮出来る。
それに比べると、ダンバインやサーバイン……また、始まりのオーラバトラーたるゲドもそうだが、オーラコンバータによってオーラバトラーの性能そのものが大きく変わる。
それを思えば、オーラバトラーという同じ名前の兵器ではあっても、実際には似て非なる物といった表現の方が相応しいのかもしれないな。
「そうか。そっちも楽しみにしてるよ」
ちなみに、今回の模擬戦……当然の話だが、ショットが半ば強引に話を進めたというだけで、俺が引き受けた訳ではない。
この模擬戦に勝利したら、クの国で開発しているアルダムの次の新型オーラバトラーと、ショットとゼットが開発しているというオーラバトラーをそれぞれ1機ずつ貰う事になっている。
模擬戦で負ければそれを貰えるという話はなしになったのだろうが、俺には負けるつもりがなかったので、その辺は問題なかった。
ガラミティに勝ったのは俺だが、それ以外も色々な意味で勝利したのは、やはり俺なのだろう。
そう思っているのは俺だけで、他の面々もこの模擬戦の本当の勝者は自分だと思っている者が多いだろうが。
ともあれ、模擬戦はこれで終了したので、俺とガラミティはそれぞれ機体を移動させてから、そこから降りる。
「アクセル王、素晴らしい戦いだった。アルダムもそれなりに高性能だと思ってはいたのだが、それでもアクセル王の操縦するサーバインには勝てなかったか」
俺が地面に降りたのを見て、そう言ってくるビショットだったが、その表情には悔しそうな色はない。
俺の操縦技術とサーバインの性能に改めて驚いているというのは事実なのだろうが、それ以上に国王として悔しそうな表情を表に出すといった事をしなかったといったところか。
この辺はさすがに国王だけの事はある。
「そう言って貰えると、サーバインを開発したショットやゼット達も喜ぶだろうな」
ショットやゼットにしてみれば、アルダムを見る事が出来たのは大きいだろう。
もっとも、既に2人が開発しているオーラバトラーは完成間近だって話だ。
それを考えれば、アルダムについての情報をどうやって流用するかといった感じになるのかもしれないが。
「ショットやゼットか。今回来たのは、クの国の技術者を何人か彼らの下で働かせたいと、そう思っての事でもある」
「技術者を? ……なるほど」
つまり、留学させたいといったところだろう。
普通なら、クの国の技術が漏れるのでは? といったような心配をしたりもするだろう。
しかし、今の状況を考えればクの国が持っている技術など、そう多くはない。
オーラバトラー……いや、オーラマシンの開発の本場であるルフト領の方が、間違いなく技術は高いだろう。
であれば、ビショットとしてはクの国の技術者を送り込むというのは、悪い話ではない。
唯一難点を上げるとすれば、技術者をルフト領に送り込んだ事によってクの国側で技術者が足りなくなるといったところか。
その辺のデメリットを考えても、今はこうして技術者を送り込んだ方がいいと判断したのだろう。
ドレイクにしてみれば、技術者を受け入れるメリットはそう多くはない。
多くはないのだが、それでもドレイクは結局アの国の領主の1人でしかない。
そうである以上、隣国……それも高い国力を持っているクの国の国王からの要望とあれば、断る事は出来ないだろう。
それがなくても、オーラバトラーやオーラシップを購入してくれるお得意さんでもあるのだから。
「うむ。ドレイク殿には感謝する事が多いな。それもアクセル王のお陰か?」
「は? 俺の? 何でまた?」
いやまぁ、俺がドレイクに意見出来る立場にあるのは事実だ。
対等の同盟者という扱いである以上、それは当然だろう。
ただし、意見出来るからといってそれをドレイクが聞くかどうかは、また別の話だろう。
そして俺はクの国について何かをするようにと、ドレイクに意見をした事はない。
であれば、ドレイクが技術者を受け入れるようになったのが俺のお陰といった事はまずないと思うんだが。
「アクセル王という存在がいるからこそ、ドレイク殿も他人を受け入れるのに寛容なのだろう」
……そうか?
そう言われれば、そんな気がしないでもないが。
ただ、それは俺がどうこうじゃなくて、ショットやゼットがいたからといった方が正しいと思うんだが。
ショットやゼットの能力があってこその事なんだろう。
もしショットやゼットが技術者ではなく、特に何かが出来る訳でもない一般人だったりしたら、恐らくはドレイクはここまで2人を優遇したりしなかった筈だ。
そうなれば、当然だがその後に姿を現した俺やマーベルもここまで優遇されたのかは分からない。
ああ、いや。でも俺の場合は影のゲートと気配遮断といったように、暗殺者としては非常に強力な力を持つ。
ショットやゼットの件がなくても、ドレイクは俺と敵対しない為に、俺を優遇してでも友好的な関係を築きたいと思ってもおかしくはない。
そう考えると、やっぱり俺とマーベルが運がよかったのかもしれないな。
「まぁ、何にしろ、今のところルフト領の居心地がいいのは間違いない。これで、もしドレイクが俺と敵対的な対応を取るようだったら、多分隣のギブン家に向かってただろうし」
勝手にルフト領に攻撃を仕掛けてきて印象の悪いギブン家だが、それはあくまでもルフト家の立場にしてみればだ。
ルフト家でもギブン家でもない者にしてみれば、ギブン家はかなり優秀な領主という情報を聞いてるし。
その辺の事情も考えると、もしルフト領が無理ならギブン領に行っていたというのは、間違いのない事実だった筈だ。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1410
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1650