転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0272話

「ちょっと買いすぎたかな?」

 

 持ちきれない程の買い物袋を見ながら、柿崎が思わず呟く。

 とは言ってもスナック菓子が大半だから量が多く見えるだけで、量自体はそれ程多くはない。……いや、2-A皆で食べる分には十分な量だったりするのだが。

 

「飲み物は俺が持つから、お菓子関係は任せた」

「え? いいの? ジュースとかだから重いよ?」

「構わない。元々身体能力は高いし、この程度はどうという事は無い」

 

 心配そうな釘宮にそう言い、ジュースの入っている段ボールを持ち上げる。

 普通なら買い物袋に入れて貰うのだが、量が量なので段ボールに詰めてきたのだ。

 

「うわっ、アクセル君って力持ちねぇ。あ、だからくーちゃんとかに勝負挑まれてるんだ」

「まぁ、私達の場合は身体能力云々以前に、かなり強いってのを実際この目で見てるしね」

 

 感心する柿崎に、苦笑を浮かべる釘宮。

 そんな2人もまた、スーパーで買い漁ったお菓子を持ち上げる。

 

「余り新製品を買えなかったのが残念だわ」

「……美砂が那波さんに対応してくれるんなら好きなだけ買ってもいいんだけどね」

「ごめん、それは勘弁」

「と言うか、那波さんって何であんなに得体の知れないプレッシャーを放てるんだろ? 年の功?」

「ちょっ、馬鹿。そんな事を言ったら……」

 

 釘宮の迂闊な発言に慌てる柿崎。釘宮も釘宮で背筋に何かゾクリとした物を感じたらしい。

 

「うわっ。何か今、長ネギを持った那波さんの幻影が……」

「何で長ネギ? ネギ君の歓迎パーティだからかな?」

 

 そんな風に馬鹿話をしつつも、ようやく歓迎会の会場となる教室へと辿り着く。

 

「皆、お待たせー。補給物資の到着だよー」

「あ、美砂と円。アクセル君も。お帰り。こっちの準備は殆ど完了してるよ」

 

 俺達に気が付いた椎名がニコニコと笑いながら近付いてくる。

 

「ちょっと桜子! あんたのおかげで大変な目に遭ったわよ」

「にゃ?」

「美砂、桜子は無自覚だから」

「はぁ……ま、しょうがない。はい、お菓子」

 

 そんなやり取りを横目に、ジュースの入った段ボールをテーブルの上にどんと置く。

 

「アクセル君、お帰りなさいまし。買い出しなんてさせてしまってすいません」

 

 俺達が戻ったのに気が付いたあやかも、持っていたパーティ用クラッカーを机の上に置いてこちらへと戻って来る。

 

「何、家主でもある千鶴の頼みだし気にするな。それでこれが飲み物関係だが、どこに置く?」

「取りあえず、あそこの机を集めている場所にお願いします。紙コップはこちらで用意してありますので」

 

 こうしてパッと見ると、クラス中の殆どの面子が揃って飾り付けなんかの作業をしていた。また、黒板には『ネギ先生歓迎会』の文字が。

 だが、作業をしている中にあやかの悪友とも親友とも言える神楽坂の姿が無い事に気が付く。

 

「神楽坂は?」

「アスナさんなら追加でちょっと買い出しに出たのと、そのついでにネギ先生をこの教室へ案内して貰っていますわ」

「……大丈夫か? あの2人、相性悪そうだが」

「それは私も心配ですが……アクセル君の話だと、ネギ先生はその、あっちの関係でアスナさんや近衛さんと同室になるのでしょう? ですので少しでも溝が埋まるようにと」

 

 なるほど、こういう所が千鶴や夏美に『いいんちょっていい人なんだけど……』とか言われる要因なんだろう。

 

「その、それ関係で相談があるんですがちょっとよろしいでしょうか?」

「ん? ああ。ちょっと待ってろ」

 

 最近使えるようになった認識阻害の魔法を使う。

 エヴァに言わせると、紅き焔よりも前にこの認識阻害の魔法を覚えるのが普通らしい。

 こちらの世界で魔法使いとして活動する為には必須のものなんだとか。ちなみに、この麻帆良にも学園中央にある世界樹の力を利用して軽い認識阻害の魔法が張られているらしい。

 

「で、何だ?」

「その、近衛さんに関しては学園長の関係上しょうがないと思います。ですが、何故アスナさんもネギ先生に巻き込まれるのでしょうか?」

 

 そうか、あやかや千鶴にはこのクラスの特異性について教えてなかったな。

 

「俺が色々と特殊な力を持ってるのは既に分かっているな?」

「え? ええ、まぁ。何しろそれで助けて貰いましたし……あぁ、あの時のアクセル君の凛々しさといったら!」

「いや、まぁ、落ち着け。それで俺の特殊能力の1つに、他人が持っている特殊能力を見抜くというのがある」

 

 その言葉に、あやかの動きがピタリと止まる。

 

「それで?」

「もう分かってると思うが、神楽坂にはその特殊な能力がある訳だ。それも学園長が自分の孫と同居させる程だから余程のものなんだろうな」

 

 魔法無効化能力というのが、この世界や魔法使い達の間でどれだけ重要な意味を持っているのかは分からない。だが文字通り全ての魔法を無効化するという能力だとしたら、魔法使いにとっては致命的な能力だろう。

 

「それは、つまりアスナさんは学園長や高畑先生に利用されていると考えてもいいのでしょうか?」

「さて、それはどうかな。確かにそう見えるかもしれないが、逆に神楽坂がその特殊技能故に狙われているのを近衛と一緒に纏める事で守りやすくするという考えもある。その辺は受け取り方次第だな」

「そう、ですか……」

「もういいか? 認識阻害を解くぞ」

「ええ、ありがとうございます」

 

 あやかが頷くのを確認してから認識阻害の魔法を解除する。

 

「あら? あやかにアクセル君? 今まで一体……あぁ」

 

 いつの間にか教室に戻ってきていた千鶴が、突然存在感を増したかのように現れた俺達を見て不思議そうな顔をするが、すぐに納得の表情を浮かべる。

 千鶴にしても、あやかと一緒に独学ではあるがエヴァから貰った初心者教本を使って魔法の勉強をしているのだ。俺が認識阻害の魔法を使っていたとすぐに気が付いたのだろう。

 

「あら、千鶴さんお帰りなさい。……と言うか、千鶴さん! アクセル君を扱き使わないでくださいな」

「あらあら、あやかったら。お使いくらいでそう怒らなくてもいいと思うんだけど」

 

 いつもの如くにこやかに笑う千鶴。それに対してあやかが反論をしようとした、その時。

 

「みんなー、ネギ先生とアスナが来たみたいだよー」

「来たみたいですー」

 

 鳴滝姉妹の言葉で、あやかの言葉は途中で止められた。

 

「千鶴さん、この件は後できっちりとお話させてもらいますからね」

 

 もっとも、こう付け足すのを忘れはしなかったが。

 

「それでは皆さん、クラッカーは持ちましたね? ではドアの前で準備をして下さい」

 

 気を取り直したあやかの指示に従い、皆がドアの前で待機する。

 神楽坂とネギのものと思われる足音がどんどんと近付いてきて……

 

「早速実行よ。荷物取ってくるからちょっとそこで……」

 

 そう言いながら、神楽坂がドアを開ける。そして俺達の視界に入ってきたのは並んでいる2人の姿だった。

 

『ようこそ! ネギ先生ーっ!』

 

 2-A全員の声が揃い、クラッカーが同時に引っ張られる。

 パァンっと、どこか銃声にも似たような音が連続して教室へと響き渡りポカンとするネギ。……そして神楽坂。

 おい、お前は歓迎会の事を知ってただろうに。

 だが、教室の中を見て、ネギへと視線を向けると手の平をポンと叩く。

 

「そうだった、ネギの歓迎会するんだっけ。すっかり忘れてた」

「えーーっ!」

 

 ネギの歓迎会に、ネギを連れてきたのに、歓迎会自体を忘れてるとか。さすがバカレッド。

 

「ほらほら、主役は真ん中」

 

 朝倉が素早くネギを主賓席へと移動させる。

 

「ほら、アクセル君もこっちにおいでよ」

「俺も?」

 

 何故か朝倉に呼ばれ、ネギの隣に座らされる俺。

 

「んー、子供先生と子供転校生のツーショット。これはいい! きっと明日の新聞も飛ぶように……」

「ちょっと、朝倉さん? 肖像権の侵害には感心出来ませんわよ?」

「もー、委員長は固いんだから。子供先生のネギ君と、天才少年アクセル君のツーショットだよ? それなりに噂になってるんだから、この写真がまほら新聞に載るだけで2割……いや、3割は売り上げが違うね」

「まほら新聞は無料じゃなかったっけ?」

 

 朝倉の言葉を聞き、夏美が不思議そうに首を傾げていた。

 

「アクセル君、このクラスって凄く賑やかだね」

 

 隣に座っているネギが嬉しそうにスナック菓子を食べている。

 ちなみにその向こうでは柿崎が綾瀬に焼きサンマジュースの存在を教えており、今すぐにでも教室から出て行こうとしている綾瀬を親友の早乙女が押さえ込んでいる。

 

「特製肉まん食うネ」

 

 超から渡された皿には四葉が作ったのだろう肉まんが載っていた。

 

「これ、何ですか?」

「肉まんという料理ヨ。美味いからネギ坊主も是非食うネ」

「超りん達の肉まんは本当に美味しいからなぁ。お薦めだよ」

 

 椎名がネギに薦め、それに押されるような形で肉まんを一口囓るネギ。そのまま肉まんを味わっていたネギだが、すぐにその表情は驚愕へと変化する。

 

「お、美味しい。凄く美味しいですよこの料理!」

 ――お口に合って良かったです――

 

 超の後ろにいた四葉をほんわかとした笑顔を浮かべて嬉しそうにしていた。

 

「それにしても、ネギ君って日本語上手だねー」

 

 ネギの言葉を聞いていた椎名が感心したようにそう告げ、ネギが微妙に顔を赤くして照れていた。

 そしてそんなネギの前に、一人の少女がどこか恥ずかしそうにしながら進み出る。

 

「あのー、ネギせんせい……」

 

 それは恐らくこのクラスで最も俺と縁の無い人物であろう宮崎だった。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376

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