ドレイクからショウが救出されたと聞いた日の翌日……俺とマーベルの姿は、ラース・ワウにあった。
正確には、ラース・ワウにある機械の館なのだが。
「うむ。これらの装置は私達が製造しているオーラバトラーにも十分に流用出来る。……中には、私達が使っている物より、改良されている場所もあるな」
ショットが少しだけ悔しそうに言う。
俺とショット、それにゼットやマーベル、あるいはそれ以外の技術者の前に置かれているのは、俺がミの国の機械の館から奪ってきたオーラバトラーの製造設備の数々だ。
ショットが言うように、ドレイク軍のオーラバトラーにも流用出来るというのは……まぁ、その理由は分からないでもない。
何しろ、ミの国にオーラバトラーの技術を伝えたのは間違いなくギブン家だ。
それはミの国で正式採用されているのがダーナ・オシーだと考えれば、当然の事だろう。
そしてギブン家に亡命してダーナ・オシーを開発したのは、ショットの部下達だ。
正確にはショットの部下達が亡命する前からダーナ・オシーの開発は進んでいたのだから、ある程度は独自技術が含まれている可能性も否定は出来ないが。
そして、その独自技術の幾つかが、ショットが感心していた部分なのだろう。
プロが思いも付かなかった事を、素人がやる。
それは普通に考えて、そんなに珍しい話ではない。
プロではなく素人だからこそ、プロでは考えられないような事を考えたりするのだろう。
「じゃあ、これは俺のオーラバトルシップに使えるって事でいいんだな?」
「そうだ。ただ……出来ればオーラバトルシップに搭載する前に、少し調べさせて欲しい。ぱっと見た限り、改良されている場所はそれなりに多い。出来ればそれが具体的にどのような形で完成した部品に影響するのかを調べてみたい」
「それは、こうして見ただけだと分からないのか?」
ショットのようなプロなら、それこそ見ただけでその辺が分かったりしてもおかしくはないと思うんだが。
そう思って言ったのだが、ショットは首を横に振る。
「大雑把には分かるが、詳細までは分からん。例えばこの設備で製造された部品をオーラバトラーとして組み立てた時、具体的にどのような影響を与えるのかは、しっかりと確認しておかなければならん」
「例えば、一見して性能が上がるように思えても、その性能が部品の寿命を犠牲にした結果……というのであれば、考えものだろう?」
ゼットがショットの言葉を補足するように言ってくる。
なるほど、考えてみればその辺は当然なのか。
そう深く納得出来るのは、このバイストン・ウェルで俺が使っているサーバインに限らず、色々な機体を使っている時には機体が俺の反応についてこられずに……もしくは関節部分が俺の操縦についてこられずに、破壊されるといったような事を何度も経験してきているからだろう。
だからこそ、ゼットが言うようにギブン家がオーラバトラーの性能を少しでも上げる為に、部品の耐久性を犠牲にしているかもしれない。
あるいはそれ以外にも多くの問題があってもおかしくはないと、そういう事なのだろう。
「けど、ギブン家だってそう簡単にオーラバトラーの素材を入手出来たりはしないだろ?」
オーラバトラーの部品というのは、当然だが恐獣の部品を加工して作る。
ドレイクの場合はリの国と友好的な関係を築き、そのおかげで安定して恐獣の素材を入手しているし、この一連の騒動が始まる前であれば、俺やマーベルが結構な数の恐獣を倒してその素材を入手していた。
特に、現在ドレイク軍で使われているドラムロの素材のどれだけが俺やマーベルによって入手した素材なのやら。
「その辺りは分からん。あるいはこちらと同様にリの国から素材を買っているのかもしれんし、もしくは自分達で恐獣を倒しているという事も考えられる」
ダーナ・オシーも、オーラバトラーとしては相応の性能を持つ。
実際、マーベルもダーナ・オシーよりも性能の劣るゲドで恐獣と戦い、勝っていたのだ。
勿論、ギブン家のパイロットとマーベルでは、双方に存在する操縦技術に圧倒的な差がある。
ゲドからオーラバトラーに乗っており、始まりの聖戦士と呼ばれる事も多いマーベル。
それに対して、ゲドのパイロットはギブン領の住人だ。
パイロットとしての技量では、比べるまでもなく明らかだろう。
それでも一定の数がいて、ダーナ・オシーを十分に使えれば、ギブン家の兵士達でも恐獣を倒すといったような事は出来る筈だ。
あるいは、ショウが亡命してからこっちが動くまで多少なりとも時間があったし、その間にショウがスパルタで兵士達を鍛えたといった可能性も否定は出来ない。
「ギブン家も、結構しぶといな」
「うん? ああ、そうらしいな。ドレイク軍は結構攻めているらしいし、実際にギブン家の領地はかなり占領しているらしい。だが……それでも、まだ抵抗を続けている」
俺の言葉にショットが同意するように頷く。
どうやらショットにとっても、ギブン家のこの抵抗は予想外の事だったのだろう。
「ショウを奪われたのは痛かったな。それと、トッドのダンバインも。……そう言えば、トッドの代替機はどうなるんだ? もうダンバインはないんだろ?」
ある予想……希望と表現してもいいのかもしれないが、そんな思いと共にショットに尋ねる。
するとショットは俺の言葉に真面目な表情で口を開く。
「私が開発していた新型のオーラバトラーが完成したから、それを渡す予定だ」
その答えは、俺が希望したものだった。
以前から、ショットは高機動型のオーラバトラーを開発しているという話を聞いていたのだが、それがようやく完成したということなのだろう。
「具体的には、どんなオーラバトラーだ? 確か、以前の約束で俺も1機は貰えるんだよな?」
「分かっている。アクセルに渡す分の機体も用意してあるから、気にするな。……オーラバトラーの名前は、ビランビー。特徴としては、ダンバインの後継機という位置づけとオーラ増幅器を装備した機体だという事だろうな」
「……へぇ、それはまた」
ショットの言葉は、俺にとっても非常に興味深いものだ。
ダンバインの後継機という事は、ショウとの戦いでダンバインを失ったトッドにしてみれば、機種転換訓練とかは殆ど必要ないだろうし。
もっとも、バイストン・ウェルの人間ならともかく、聖戦士はオーラバトラーの操縦に想像力を使うので、そういう意味では機種転換訓練とか、そういうのは必要なさそうだけど。
それに、オーラ増幅器を装備したというのはドレイク軍にとって大きな意味を持つ。
現在のドレイク軍の主力機のドラムロは、バイストン・ウェルの人間でもそれなりに操縦出来るようになっている。
だが、それはあくまでもそれなりといった数でしかなく、やっぱりドラムロにも乗れない兵士というのはそれなりに多い。
そういう点では、ダーナ・オシーにオーラ増幅器を使って多くの数を揃えたギブン家の方が先を行っているのかもしれないな。
とはいえ、ギブン家が手に入れたのは、あくまでも試作段階のオーラ増幅器だ。
それを本当に完成させる事が出来たのかどうかは、正直なところ分からないが。
いやまぁ、実際に使われているという事は、完成してるんだろうけど。
ただ、何らかの副作用とかがあってもおかしくはないような……その辺は、それこそギブン家で考えるべき事なんだから、俺がここで考える必要はない。
「しかし、アクセルがビランビーを含めて他のオーラバトラーを欲するのはどうしてだ? アクセルが乗るには、オーラコンバータをマジックコンバータに改修する必要がある以上、アクセルには使えないだろう?」
「そうだな。だが、俺達シャドウミラーは国是として未知の技術を集めるというのがある。そういう意味では、オーラバトラーのように科学技術ではなく、恐獣の素材を使って作った生体兵器的な存在はかなり貴重な代物だ。……よくこんなのを作れたなと思うくらいには」
そう言い、ショットとゼットを見る。
俺の言葉に、ショットは自信ありげな笑みを浮かべ、ゼットは少し照れた様子を見せる。
実際にはオーラバトラーを開発するまでに色々と大変だったのは間違いないんだろうな。
「取りあえず話を戻すと、シャドウミラーには技術班という集団がいる。読んで字の如く、技術を研究する集団だな。で、そこには天才と呼ばれるような者達が揃っている。それこそ、ショットやゼットと同等……あるいはそれ以上の」
上げて落とすといった訳ではないが、ショットやゼットは俺の言葉に不満そうな様子を見せた。
この2人にしてみれば、オーラバトラーを始めとしたオーラマシンを開発したというプライドもあるのだろう。
実際、その点だけを考えても技術班にいる面々に決して劣っている訳ではない。
だが……それでも、技術班の面々はニーズヘッグを開発したり、重力系や念動力を使ったT-LINKシステムを発展させたり、他の世界の技術を取り込んでシャドウミラーの技術と融合させて独自に進化させたりといったような真似をする連中だ。
ショット達も間違いなく天才ではあるのだろうが、それでもやはり技術班にいる面々と比べると数段落ちてしまう。
後は、基礎技術の問題もあるだろうな。
バイストン・ウェルの地上界は、今まで俺が行ったことのある世界の中では一番古い時代となる。
まぁ、中には門世界のように完全なファンタジー世界があり、年代とかが関係ない世界もあるのだが。
それでも今までの中で一番古かった世界はマブラヴ世界だが、そのマブラヴ世界ですらこの世界の地上界よりも時代は進んでいる。
ただまぁ……ぶっちゃけ戦術機とオーラバトラーが戦ったら、オーラバトラーの方が強いというのが、俺の印象だったが。
それは別に俺がサーバインに乗ってるからといったような事ではなく、ドラムロとかでも一般的な戦術機よりも性能は高い気がする。
そういう意味では、ショットやゼット達はやっぱり天才なのは間違いないんだよな。
「ふむ。では、アクセルを納得させるような機体を開発する必要があるのかもしれんな」
「そういうのを見る事が出来るのなら、俺としては大歓迎だけどな。新型のオーラバトラーを開発したばかりなんだろ? なのに、またすぐに開発出来るのか?」
「高機動型の新型機……ビランビーは、元々ベースとなるダンバインがあった。そのダンバインの後継機といった機体である以上、ゲドを作る時のような苦労はしていない」
つまり、そこまで大変ではなかったから、次の機体を開発する余裕はあると、そういう事なのだろう。
この辺もまた、天才である証か。
「むぅ……バストールの方はようやく試作機が完成しそうになっている……といったところだ。まだ改良点も大きい。特にオーラ増幅器はビランビーに使っている物とは違う新型だからな」
「いや、新型って……ビランビーに使っているのも新型なんだろ?」
新型の新型。
いやまぁ、その意味も理解出来ない訳ではないのだが。
それでも今こうして考えている限りでは、疑問ではある。
まぁ、それでもオーラバトラーが進化するというのは、俺にとっては悪い話ではないので、大歓迎だが。
「それと比べても、更に新型だな。具体的には、ビランビーで使われているオーラ増幅器に、俺の独自発想を採用している。これが予定通りの性能を発揮すれば、パイロットのオーラ力を増幅する能力はビランビー以上のものになる筈だ」
ゼットが自信満々にそう言ってくるのを見れば、実際にそのオーラ増幅器の性能はかなり高いのだろう。
独自発想……具体的にどういうのかが気になるが、今の状況でそれを使うといったような真似は、どうなんだろうな。
出来れば安全性をしっかりと確認してから、使って欲しいところだが。
そんな風に思いつつ、俺はショットやゼット達と会話を続ける。
そして、話題は新たな地上人に対してのものになる。
「そう言えば、ドレイクがフラオンを追放してアの国を支配したことを記念して……って表現はどうかと思うが、また新たな地上人を召喚するらしいな」
「何? それは本当か!?」
ゼットはその件を知らなかったらしく、俺に向かってそう尋ね返す。
そんなゼットに比べると、ショットは俺の言葉に頷く。
「ああ、そのように聞いている。ドレイク殿がアの国を支配したというのを周囲に示す為に、新たな地上人を召喚するのだろうな」
「おい、ショットは知ってたのか?」
ゼットのその言葉に、ショットは頷きを返す。
「少し前にな。だが、この件についてはドレイク殿から出来るだけ人には知らせないようにと言われていたので、黙っていた。……アクセルがここで言ったという事は、恐らくそれを知らせても構わないのだろうから、情報を広めさせて貰った」
ショットの説明に、ゼットは若干不満そうな様子を見せつつも、黙るのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1540
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1676