転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0273話

 ネギの歓迎会の最中、男が苦手な宮崎が何故かネギへと声を掛けて来た。

 

「あ、確か出席番号27番の宮崎さん。僕に何か用ですか?」

 

 男が苦手な宮崎らしく、どこかおどおどとしながらも必死にネギと話を続けるその姿は一種の小動物のように見えなくもない。

 

「あの、さっきは危ない所を助けてくれて……その、この図書券はお礼です!」

 

 まるで卒業証書でも受け取るかのような態勢でネギへと図書券を渡す宮崎。

 当然2-Aの生徒達がそれを見て大人しくしている筈も無く。

 

「本屋がもう先生にアタックしてるぞ!」

 

 朝倉のあからさまな煽りに、『おおーーー』と反応する面々。

 そして性癖的にそれを黙って見ていられない女……もとい、乙女が一人。

 

「ネギ先生、アクセル君。私からもこれを……」

 

 あやかがどこからともなく取り出したのは、俺とネギが握手をしている銅像だった。

 と言うか、今本当にどこから出した? もしかしてあやかも空間倉庫を持ってたりするのだろうか。

 

「うわー! 先生とアクセル君の銅像!?」

「何だそれー!」

 

 そんなあやかに対して突っ込みを入れるのは、当然の如く神楽坂だった。

 

「あんた馬鹿なんじゃないの!?」

「な! バカレッドの貴方に言われたくないですわ、アスナさん」

 

 こうなると既にどうなるのかは決まっている。あやかと神楽坂のいつものじゃれ合いだ。周囲の面々も、『アスナに100円』『いんちょーに食券3枚!』と賭けが始まっていた。

 そんな中、部屋の隅の方でこちら……というよりは、ネギをじっと観察する視線を送る主従が1組。言わずとしれた、エヴァと茶々丸だ。

 残っていた最後の肉まんを口の中に押し込み、そちらへと向かう。

 

「サウザンドマスターの息子はどうだ?」

「ふむ、そうだな。魔力量に関してはなかなかのものがある。さすが奴の息子といった所か。だが、性格が正反対なのが気になるな。奴の息子ならもっと、こう……」

「マスターは好きな人の子供が予想と違って残念なようです」

「おいぃっ! 茶々丸、お前最近アクセルに感化されて妙な方向に成長してないか!?」

「いえ、そんな事実はありません」

「そうか? だが、こいつと会う前と後では随分と違うように感じるが」

 

 エヴァのその言葉に、無言で目を逸らす茶々丸。

 

「……おい」

「じゃれ合いはそのくらいにしておけ。で、学園長との話し合いをするんだろ?」

「うむ、今夜な。くくっ、たっぷりと締め上げてやる」

「……大概にしておけよ。それで他の魔法関係者に目を付けられたら洒落にならないからな」

「ふん」

 

 俺の忠告にふて腐れながら顔を逸らすエヴァ。

 ……こういう所は茶々丸の誤魔化し方と良く似てるよな。

 

「ん?」

 

 ふと周囲を見回すと、教室にいる人数が微妙に少なくなっていた。

 主賓であるネギ、そして神楽坂。騒ぎの中心にいつも存在している朝倉の姿も無い。あ、あとあやかの姿も。パッと見た感じでは他にも数人減っているように感じられる。

 

「アクセル君、こんな所でエヴァンジェリンさんと茶々丸さん相手にお話?」

 

 桃のジュースを差し出しながら千鶴が話し掛けてくる。

 当然の如くその隣には夏美の姿があった。

 

「いや、ネギについての印象をちょっとな」

「へぇ、エヴァンジェリンさんもネギ君に興味あるんだ」

 

 エヴァの言葉に、夏美が意外そうな表情を浮かべる。

 まぁ、このクラスでのエヴァのイメージと言えば極少数とだけ会話をする変わり者の留学生って所だからな。

 ちなみに、その極少数というのが超を含めた、いわゆる超一味。そして最近では俺、あやか、千鶴と言った所か。

 千鶴が入っているおかげで、良く千鶴と一緒にいる夏美ともそれなりに会話をするようになっている。

 

「ふん、あのぼーやの親類とは少なからず縁があってな」

「で、その肝心のネギは? 神楽坂やあやかの姿も無いようだが」

 

 俺のその質問に、困ったように頬に手を当てて溜息を吐く千鶴。

 

「どうした?」

「ネギ先生とアスナさんがいないのに気が付いたあやかが、2人を探してたら、その……」

「2人で抱き合ってたらしいよ?」

「ほう? 神楽坂明日菜もやるな」

「あの子供を嫌いと宣言してる神楽坂がネギと抱き合っている、ねぇ。何かのアクシデントとかじゃなくてか?」

「さぁ? ただ、朝倉が決定的なシーンを写真に撮ったらしいから、明日のまほら新聞でトップ記事にでもなるんじゃない?」

 

 夏美の言葉に思わず苦笑しながらも、あの朝倉の事だ。新聞の部数を伸ばす為には普通にそれくらいはやりかねない。

 

「ま、肝心の主賓もいなくなったんだ。歓迎会はそろそろお開きだろうな」

「そうだな、私も夜にはじじぃと会う約束があるしな。このままダラダラと下らん集まりに参加させられるのは御免だ」

「下らなくはないだろう? ネギに関して色々と知る事も出来ただろうし」

「まぁ、それは否定せんよ。授業の時もそうだったがあのナギの息子があそこまで典型的な良い子ちゃんだとはな」

「ナギ?」

 

 聞き覚えのない名前に、千鶴がそう尋ねてくる。

 

「ああ。ネギの父親の名前だ」

「くくっ、ナギの息子がネギか。実は間にニギとかヌギとかいるんじゃないのか?」

「エヴァンジェリンさん、さすがにそれは……」

 

 苦笑を浮かべながら千鶴が一応といった感じで反論する。

 だがナギ、ネギか。この適当っぽい感じのネーミングセンスからいって、ここがどこかの物語の世界であるのはまず間違い無いだろう。……魔法がある時点でそれは確定していたが。

 そんなこんなで、この日の歓迎会は過ぎていった。

 

 

 

 

 

 翌日。いつもの如く欲望全開で目覚めのキスをしようとしたあやかに気が付き、やり過ごし、簡単に身支度をしてから千鶴の作った朝食の並んでいるテーブルの前へと座る。

 だが、いつもと違う所が1つ。

 

「あれ? 夏美は?」

 

 そう、いつもなら俺達と一緒に朝食を食べている夏美の姿が無かったのだ。

 

「夏美ちゃんなら演劇部の朝練があるとかで1時間くらい前に学校に向かったわ」

「夏美さんも頑張りますわね」

 

 千鶴の言葉に感心したように頷くあやか。

 ……本当に、こんな所だけを見れば完璧なお嬢様なんだが。

 

「さて、じゃあ朝ご飯をいただきましょう」

『いただきます』

 

 千鶴の言葉に、俺とあやかは声を揃えてから箸へと手を伸ばす。

 今日の朝食は鯖の塩焼き、野菜たっぷり味噌汁、漬け物、昆布の佃煮、キュウリの漬け物、卵焼きといった典型的な和食だった。

 朝食を美味しくいただき、千鶴手製の弁当を持って学校へと向かう。

 既にこの女子寮でも俺の姿を見て驚くような生徒達は少なくなっており、以前のような注目度は無くなっている。

 ……もっとも、それでも注目されなくなるという事が無いのがこの寮における俺の異質さを表しているのだろうが。

 

「ん? ネギと神楽坂だな」

 

 昇降口に入っていくクラスメイトと担任の姿を発見する。その後ろにはローラースケート姿の近衛の姿もあった。

 

「あら、本当ですわね。アスナさんの事だからきっとネギ先生を粗雑に扱ってるような気がしますわ。ちょっと行ってきます」

 

 こちらへとそう断り、ネギ達……もとい、ネギの後を追い掛けるあやか。

 

「あらあら、全くあやかったら」

 

 苦笑を浮かべる千鶴に、思わず俺も笑みを浮かべる。

 

「ま、あれがあるからこそあやかなんだろうよ」

「あ、アクセル君。おはよう」

「ああ、おはよう。きちんと泊めて貰ったか?」

 

 昇降口を過ぎた所であやかを連れたネギと合流し、世間話をしながら廊下を歩く。

 

「それで、アスナさんが朝早くからバイトに行って、このかさんに朝食を作って貰ったんだ」

「へぇ、近衛は料理が上手いのか」

「うん。目玉焼きとかも僕好みの半熟で……」

 

 俺と会話をしながら歩いていた為だろう、昨日と同じようにドアの隙間に黒板消しが挟まっているのにも気が付かずドアを開け……

 

「全く、今日もまたこんな悪戯をして。アクセル君とネギ先生のお話の邪魔をするなんて許せませんわね」

 

 それをあやかがネギの頭の上で受け止める。

 そのまま教室に入ると、日直の宮崎が挨拶をしてそのまま1時限目の授業である英語が始まった。

 まずネギが教科書に書かれている英文を読んでいき、その後生徒達に訳させるという割とよくある形式だ。

 

「さて、今の所誰に訳して貰おうかな……えーっと……」

 

 ネギのこの台詞に、勉強に自信のない者達は揃って顔を逸らす。

 その筆頭はバカレンジャーであり、その中でもネギと同居している神楽坂だった。それはもう、見事なまでに90度近くも顔を逸らしてやり過ごそうとする。

 それでも左手でペン回しを止めていない所はさすがという所か。いや、何がさすがなのかは俺も自分で言ってて意味不明だが。

 だが、ネギは非情にもそんな神楽坂へと視線を向けて……

 

「じゃあ、アスナさん」

 

 無情の判断を下した。

 

「な……何で私に当てるのよ! 普通は日付とか出席番号順とかでしょ!」

 

 当然神楽坂としては抗議するが、一種の天然ボケ気味であるネギに通じる筈もない。

 

「でもアスナさんア行じゃないですか」

「アスナは名前じゃん!」

「あと、感謝の意味も込めて」

「何の感謝よ!」

「要するに分からないんですのね、アスナさん。では、委員長の私が代わりに……」

 

 そう言ってあやかが教科書を手に立ち上がろうとするが、神楽坂としてもそのままあやかにやり込められたくないのか、対抗心を出して教科書を持って席から立つ。

 

「ジェイソンが……花の上に落ち、春が来た? ジェイソンとその花は……えと、高い木で骨100本のブランチを食べた? えーっと、骨が、木の……」

「アスナさん、英語駄目なんですねぇ」

 

 そんなアスナに向けてネギが思わずといった様子で漏らす。

 うーん、確かに神楽坂はバカレンジャーだが皆の前で晒し上げるように言わなくてもいいものを。……まぁ、子供なんだしその辺の機微は分からないのかもしれない。取りあえず授業が終わった後にでもその辺の話をしておいた方がいいかもしれないな。

 

「ちょっと、あんたねぇ……!」

 

 周囲から笑われて頭に来た神楽坂がネギの襟首を引き寄せる。その際、神楽坂の髪がネギの鼻をくすぐり……

 

「ハクション!」

 

 くしゃみをすると同時に、周囲に強力な魔力が巻き起こった。

 

「っ!?」

 

 その様子に反応するクラスの中の数名。同時にクラス中に風が吹き渡り、気が付くと神楽坂が何故か下着姿になっていた。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376

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