転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2862話

 アレン達との模擬戦を行ってから数日が経つ。

 ちなみに模擬戦は、マーベルとジェリルの模擬戦が終わった後、俺1人対アレン、フェイ、ジェリルでも行われたが、こちらも特に波乱はなく俺が勝った。

 ジェリルは性格的に攻撃に特化しているものの、受けに回ると弱い。

 その辺を解決すれば、かなり有能な聖戦士になると思われるんだが……今のままだと、切り札的な存在としてとっておき、敵との戦いで向こうが崩れた時に投入して勝負を決めるといったようなのが、一番の使い道だろう。

 それ以外だと、雑魚を相手にした場合は問題ないだろうが、ショウのような腕の立つパイロットを相手にした場合、その防御力の弱さをすぐに見抜かれてしまう。

 ジェリルの場合は下手に攻撃に特化している分、時間を掛ければそれだけ敵にも被害が出るだけに、とにかく戦場に出て来たら即座に撃破する……といったように判断されてもおかしくはない。

 ともあれ、模擬戦はそんな感じで終わり……今日の俺とマーベルは、オーラバトルシップのヨルムンガンドの建造現場にやって来ていた。

 ヨルムンガンドはドレイクが建造しているウィル・ウィプスと似ているようで違う。

 ウィル・ウィプスの場合は、全ての能力が平均的に高く、前線に出ても問題なく戦えるといったような特徴を有している。

 そんなウィル・ウィプスに比べてヨルムンガンドは、防御力に特化した移動要塞的な感じだ。

 ウィル・ウィプスも移動要塞といったコンセプトではあるが、ヨルムンガンドはウィル・ウィプスよりも防御の方に性能を高く振ったオーラバトルシップとなっている。

 勿論、防御よりだとはいえ、オーラバトルシップという名前に相応しいくらいの攻撃力はあるのだが。

 同じ移動要塞といったコンセプトなのは、やはりヨルムンガンドもまた、ドレイクの乗るオーラバトルシップとしての競合案だった為だろう。

 だが、ドレイクの性格からか、あるいは他にも何か理由があったのか、それは分からないが結局ドレイクはウィル・ウィプスを自分の乗るオーラバトルシップ……旗艦に選んだ。

 そうして余ったのがヨルムンガンド。

 それをショットやゼットが色々と改良し、その結果として簡易的な整備施設ではなく、機械の館をそのまま移築するといったようなことをやり、ある意味ではウィル・ウィプス以上に特殊なオーラバトルシップとして完成した。

 いや、現在まだ建造中である以上、完成しつつあるといったところか。

 

「大きいわね」

 

 俺の隣で、マーベルがヨルムンガンドを見ながらそう呟く。

 その言葉通り、現在俺とマーベルの視線の先には建造中のヨルムンガンドの姿があった。

 にしても、ヨルムンガンドか。

 ヨルムンガンドというのは、北欧神話に出て来る巨大な蛇、もしくはドラゴンの名前だ。

 同じ北欧神話に出て来るニーズヘッグ……嘲笑する虐殺者とも呼ばれるドラゴンの名前が付けられた機体に乗っている俺の乗るオーラバトルシップがヨルムンガンドというのは、ある意味で洒落が効いているな。

 

「そうだな。こうして見ると、外見は7割……いや、8割くらいは出来ているようだし、思ったよりも進んでる」

 

 8割というのは、あくまでも外見だけの話で、内部の方はまだそこまで進んでいない。

 そう考えると、総合的に見て3割から4割といったくらいか。

 俺のヨルムンガンドがこのくらいの進展速度だとすると、ドレイクのウィル・ウィプスは8割から9割といったところか?

 ウィル・ウィプスが優先されている件に関しては、特に文句はない。

 そもそも、このヨルムンガンドを報酬として渡すと約束はしたが、それをいつまでにといったような事までは決まっていない。

 それに普通に考えた場合、幾ら俺に報酬としてヨルムンガンドを渡すとはいえ、自分の旗艦となるウィル・ウィプスの方を先に完成させるというのは当然の事だろう。

 それに、今まではルフト領だけを支配していたドレイクだったが、今はアの国を支配している。

 また、もう暫くすればミの国も手に入れるだろう。

 そうなれば、人手は多くなる。

 そして人手が多くなれば、当然だがウィル・ウィプスもヨルムンガンドも、建造速度は上がる。

 とはいえ、オーラバトルシップはドレイクにとっても非常に重要な代物だ。

 何も知らないような奴ならともかく、ギブン家やピネガンのスパイや破壊工作員の類に侵入されると、少し洒落にならない。

 特に俺とマーベルの視線の先にあるヨルムンガンドは、未だに建造中の代物だ。

 それだけに、完成している時に比べたら間違いなく防御力はまだ弱い。

 そんな状況で爆薬を仕掛けられたりしたら、それこそ洒落にならない被害を受けるだろう。

 防御力が突出した性能をしているヨルムンガンドが……と、そんな風に思わないでもなかったが。

 

「アクセル王、もう来ていましたか。こちらです」

 

 ヨルムンガンドを見ている俺とマーベルの姿に気が付いたのか、技術者の1人がこっちに向かって走ってきてそう言う。

 確か以前何度かラース・ワウにある機械の館で見た顔だな。

 ショットやゼットの下で働いていた技術者の1人だ。

 ラース・ワウでショットやゼットの下で働いている技術者というのは、ルフト領の中でもかなり優秀な人材という事だ。

 優秀すぎて、ギブン領に亡命するような奴もいたが、それはともかくとして。

 そういう優秀な奴だけに、ショットやゼットから仕事を任せられるといった事も珍しくないのだろう。

 

「少し時間に余裕があったからな。それにしても、ヨルムンガンドは随分と見られる感じになってきたな」

「はい。ドレイク様の方からかなりの労働力を派遣して貰いましたので」

 

 そう言われ、改めてヨルムンガンドを……いや、正確にはその建造に携わっている者達に視線を向ける。

 そこには、普通の人間の姿も多いが、ガロウ・ランと思しき者達もいる。

 ガロウ・ランというのは、基本的には普通の人間達よりも高い身体能力を持っており、そういう意味では単純労働に駆り出すには十分な戦力だ。

 とはいえ、何もヨルムンガンドの建造はピラミッドを建造するように、全てを自力でやっている訳でもない。

 ピグシーやドロを始めとした各種オーラマシンも豊富に使われている。

 それでも、やはりいざという時の為にはガロウ・ランの身体能力が魅力的なのは間違いない。

 

「このガロウ・ラン達は……なるほど、アの国にいた盗賊達か」

「そう聞いています」

 

 技術者は俺の言葉に頷く。

 ルフト領は、オーラマシンのドロが開発された時点でガロウ・ランの盗賊達のかなりの数が殺されるか、もしくは他の領地に逃げ出すかといった感じになった。

 他の領地でも、ドロを購入したりしてガロウ・ランの盗賊を駆逐していたのだが……ドレイクがアの国の新たな国王となった今は、アの国全体がドレイクの支配領域となる。だからこそドレイクはアの国にいるガロウ・ランの盗賊を討伐する事にした。

 その件で、アレン達のような新たな聖戦士が活動していたりしたのだが、別に盗賊の討伐だからといって殺す訳ではない。

 降伏した盗賊達は捕らえられ、こうして労働力が必要な場所に送り込まれていたのだろう。

 ここにいるガロウ・ラン達が逃げ出す可能性もあるのだが、その辺はどうしてるんだろうな。

 見た感じ、ガロウ・ラン達が働きにくくなるように足に鉄球を引かせているとか、そういう感じでもなさそうだし。

 だとすると、ガロウ・ラン達は逃げようと思えば逃げられるんじゃないか?

 

「よくガロウ・ラン達は逃げないな」

「食事は十分に出してますから、取りあえず食うには困らないというのは大きいかと」

「そういうものか?」

 

 元々、このバイストン・ウェルには肥沃な大地が広がっており、食べていくだけなら農業でもやっていればそこまで苦労はしない。

 勿論、農業で食べられるのはあくまでも自分達が育てている野菜だけなので、肉や魚が食べたかったら相応の行動を取る必要があるが。

 例えば農業以外に牧畜をするとか、もしくは牧畜をやっている相手と何らかの取引をして肉を手に入れるとか。

 あるいは、俺とマーベルがバイストン・ウェルに来たばかりの時にエルフ城まで乗せてくれた奴のように、誰かに農作物を売って金にして、それで肉を買う……といったように。

 他にも食べていくだけなら、色々と手段はある。

 だというのに、ガロウ・ラン達は食事を与えるだけで満足して逃げ出すようなことはせずに仕事をしているというのは、若干疑問があった。

 

「大抵はそれで満足しますね。中には、それが不満で逃げ出すような者もいますが、そのような者達は大抵が死にます」

 

 なるほど。ドロは元々ガロウ・ラン対策として開発されたオーラマシンだと聞いている。

 そうである以上、普通ならドロから逃げるといった真似は出来ないだろう。

 中には他のガロウ・ランよりも高い身体能力を持っていたり、幸運だったりで逃げ出す事に成功する者もいるのだろうが。

 結局のところ、力で押さえつけてる訳だ。

 いやまぁ、ガロウ・ラン達は盗賊だった連中なんだから、そんな風に扱われてもおかしくはないのだが。

 さすがにそんな風に扱っているのはガロウ・ランだけで、他の場所から送られてきた普通の連中にはきちんと報酬を支払ったりしているのだろう。

 まさか、ガロウ・ランではない者達に対しても、実は報酬は支払っておらず、食事を出してるだけ……なんて事はないよな?

 常識で考えれば、そんな事はない。

 だが、それはあくまでも俺の常識だ。

 この世界がバイストン・ウェルというファンタジー世界である以上、その辺の常識が全く違う可能性もあった。

 

「それで、ガロウ・ランじゃない他の連中の報酬はそれなりに高いのか?」

「そうですね。兵士よりは安いですが、一般的に考えた場合は高いと思いますよ。兵士は恐獣だったり、他国だったり、戦いがあるので命懸けですしね」

 

 技術者のその言葉に安堵する。

 どうやら相応の報酬は支払われているらしい。

 

「分かった。じゃあ、早速だけどヨルムンガンドの見学の案内を頼むぞ」

「お任せ下さい。ただ、何分見て分かると思いますが、現在はまだ建造中です。内部構造も、お見苦しいところがあると思いますが……」

「分かってる。それでどうこうとは言わないから安心しろ」

 

 その言葉に、技術者は見るからに安堵した様子を見せる。

 建造中のヨルムンガンドを見せて、それによって口を出されるのを嫌ったのだろう。

 こういうのは素人が口を出すよりも、本職に任せておいた方がいいのは間違いないしな。

 それに俺がここで下手に口を出すような真似をすれば、それによって建造作業が遅くなってしまうということにもなりかねない。

 俺としては、そんな馬鹿な真似をしようなどとは到底思えなかった。

 

「アクセルの事だから、妙な口出しをしてくると思ったんじゃない?」

 

 俺と技術者とのやり取りを見ていたマーベルが、からかうように言ってくる。

 だが、そんなマーベルの言葉は図星だったらしく、技術者はそっと顔を逸らしていたが。

 それは取りあえず流す事にして、俺とマーベル技術者に案内されてヨルムンガンドの中に入る。

 

「知っての通り、ヨルムンガンドはオーラバトルシップではありますが、基本的に前線に出るような事はせず、後方で待機するといった運用を予定しています」

 

 ヨルムンガンドの中を案内しながら、技術者がヨルムンガンドについて説明していく。

 その説明の内容は、既にショットやゼットから聞いた内容ではあったが、話すのを邪魔するのもなんなので、大人しく聞いておく。

 

「ドロとかピグシーを使ってるのは予想出来たんだが、ドラムロも結構使われてるんだな」

 

 高い場所まで資材を運ぶという意味でドロが使われていたり、地上にある資材をどこかに運ぶという意味でピグシーを使ったりといったようなことを行っているのは、予想出来ていた。

 だが、ヨルムンガンドの内部にはドラムロの数がそれなりに多い。

 ドラムロも空を飛ぶという意味ではドロと同じような感じかもしれないが、それでも性能的にはドラムロの方が優れている。

 ……何人も必要なドロと比べて、ドラムロは1人で操縦してるのに、それでも性能的にドラムロの方が優れているというのは、正直どうなんだろうな。

 そんな疑問を抱きつつヨルムンガンドの中を見て回る。

 技術者は、まだヨルムンガンドの内部はほとんど完成していないといったような事を言っていたが、この光景を見るとそこまで気にすることはないのかもしれない。

 そんな風に思っていると、外がざわめいているのが聞こえてくる。

 何だ?

 

「どうやら、外で何かあったらしいな。ちょっと出てみるぞ」

 

 そう言うと、マーベルと技術者に異論はなく……そして、ヨルムンガンドの外に出る。

 外に出た俺の視線に移ったのは、ドラムロが猛スピードでこっちに向かって来ている光景だった。

 ……何だ?




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1550
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1678

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