ドレイクのいる謁見の間には、当然のように多くの者が集まっていた。
俺がラース・ワウにいる間に新しく入ってきた者も多いのか、俺が謁見の間に入ると一体誰だこいつは? といった視線を向けてくる者もいるが……俺がドレイクが座る玉座の横に用意されている椅子に座ると、そのざわめきが大きくなる。
それでも何人かが俺に向かって何かを言おうとしたものの、周囲にいる者達によって何かを言われるとそれ以上は黙り込む。
俺がドレイクの同盟相手だというのを聞かされて、それで納得したのだろう。
バーンは一瞬不満そうな表情を浮かべるが、それでもすぐにその表情を消す。
本人としては、自分がそんな表情を浮かべたというのは全く気が付いていないのか、もしくは俺に気が付かれているとは思っていないのか。
まぁ、こっちに絡んでこなければ、どうでもいいが。
バーンにとって、ガラリアが戻ってきたというのは面白くないんだろうけど。
元々、バーンは最初こそ俺に対する不信感から、ガラリアと仲間的な存在だった。
しかし、ガラリアがマーベルと友好的な関係となり、俺から魔法を習ったり、何よりもオーラバトラーの模擬戦を繰り返し行う事で俺との関係も良好になった。
……まぁ、良好になったと言っても、好感度マイナスだったのがようやく0になり、そしてようやくプラスになったといった程度しかなかったのだが。
それでも友好的な関係になったのは、間違いない。
そして、オーラバトラーの操縦技術でも、ガラリアはバーンよりも上となった。
それはバーンにとって面白くない事なのは事実だった。
とはいえ、バーンも自分が騎士の筆頭という自覚はあるのか、ガラリアが行方不明になったからといって、ガラリアの父親に絡めて貶めるといったようなことを口にはしていなかったが。
そんなことを考えていると、マーベルが謁見の間に入ってきた。
俺が来た時と同様に、既に中にいた者達の何人かから訝しげな視線を向けられたものの、マーベルはそれを特に気にした様子も見せず、俺の隣までやってくる。
「どうだった?」
「かなり重症だったけど、命に別状はないわ。ただ、完治までにはそれなりに時間が掛かるみたい」
「あのバストールの大破具合を考えれば、それも当然だろうな。で、あのバストールの損傷は誰がやったんだ? ショウのダンバインか? それとも地上の軍隊?」
本来なら、こういう情報はそう簡単に他人に教えられるようなものではないだろうし、ドレイクもガラリアに会える人物は限定している筈だった。
それでもマーベルが会えたのは、俺とドレイクが対等の同盟関係にあり、マーベルとガラリアが友人だというのが大きいだろう。
ドレイクとしては、俺との関係を悪くしたくはないと、そう思ってるだろうし。
そのおかげで、ドレイクが来る前にガラリアについての情報を得る事が出来るので、個人的には文句はないんだが。
マーベルは俺の疑問に対し、首を横に振る。
「どっちでもないわ。どうも、オーラロードに乗って地上からバイストン・ウェルに戻ってくる時の衝撃でバストールはあそこまで被害を受けたらしいわ」
「……衝撃で?」
「ええ。ダンバインの方は、問題なくバイストン・ウェルに戻ってきたらしいけど、バストールは……ほら、華奢でしょ?」
マーベルの言葉の意味は、俺にも十分に理解出来た。
高機動型……それもただの高機動型という訳ではなく、高機動特化型とでも呼ぶべきバストールは、他のオーラバトラーに比べるとマーベルが言う通り華奢だ。
バイストン・ウェルで普通に戦う分には、華奢であっても何の問題もなかったのだろうが、地上からバイストン・ウェルに戻るべくオーラロードに乗るとなる、話が違う。……らしい。
実際にそれがどの程度の衝撃を受けるのかは、俺も分からない。
だが、バストールの状態を見れば、それは明らかだった。
その割には、俺とマーベル……だけではなくショウ、トッド、トカマク、アレン、ジェリル、フェイといった面々が召喚された件も含めて、特に衝撃らしい衝撃を受けた様子はなかったな。
召喚された衝撃で気絶するといったようなことはあったが、言ってみればそれだけでしかない。
もし召喚される度にバストールが受けたような衝撃があるのなら、それこそ召喚された者は全員死んでいてもおかしくはない。
だとすると、考えられるのは召喚という手順を踏まなかった為か。
ショウ達が最初にバイストン・ウェルに来た時は、シルキーの召喚があった。
マーベルの召喚についてはちょっと分からないので置いておくが。
ともあれ、エ・フェラリオの召喚という手段によってオーラロードを開くといった真似をすれば、衝撃はそこまででもないのだろう。
しかし、そうでない場合……地上から無理矢理オーラロードを開くといったような真似をした場合、それはオーラバトラーに大きな衝撃があるといったところか。
「バストールがあんな衝撃を受けた割に、ガラリアが無事でよかったな」
「ガラリアは私達に感謝してたわよ? 特にアクセルに」
「……俺に? 何でまた?」
俺とガラリアの関係は、現在はそう悪いものではない。
だからといって、この状況で俺に感謝の言葉を口にするというのは……正直なところ疑問だった。
「理由は2つ。まず1つは、私とアクセルが多数の恐獣を倒して、多くの素材を手に入れた事」
「恐獣の? けど、あの素材はドラムロのだろ?」
「その中からバストールに流用した場所があって、そのおかげでバストールは最初に設計されたよりも、多少ではあっても防御力が高くなったらしいわ」
「それでもあの損傷だと考えれば、それだけもの凄い衝撃だったということか」
「でしょうね。それと、もう1つ。それは魔法を教えて貰った事らしいわ」
「魔法を?」
「ええ。本来なら、多少バストールの性能が強化されていてもオーラロードの突入に耐えられたかどうかは、微妙なところらしいわ。けど、死の間際ということで集中力が高まったのか、咄嗟に魔法を使えたらしいわね。多分、アクセルが言っていた身体強化の魔法だと思われるけど……」
また、随分とご都合主義だな。
というか、幾ら命の危機で集中力が増していたとはいえ、『火よ灯れ』の魔法くらいしか使えなかったガラリアが、いきなり身体強化魔法を使えるというのはどうなんだ?
いやまぁ、そのおかげでガラリアが生き残ったらしいので、そういう意味では文句はないんだが。
そうしてマーベルと話していると、やがてドレイクが姿を現す。
謁見の間にいた面々は跪くも、玉座の横にいる俺とマーベルは特に気にした様子もなく、そのままだ。
お互いの立場を考えれば、当然の事だろう。
「すまぬな、アクセル王。急に呼び出して」
「構わない。最初は事情も知らせずにと思ったが、ガラリアが戻ってきたとなれば、話は変わってくる」
そう言うと、ドレイクは重々しく頷いて玉座に腰掛けた。
「皆も知ってる通り、今日ガラリア・ニャムヒーが帰還した。既に皆が知ってると思うが、持っている情報がそれぞれ違うだろうから、まずは儂の話を聞け」
そう宣言すると、ドレイクはガラリアの件について説明する。
とはいえ、その内容は基本的に俺がマーベルから聞いたのと、ほぼ同じだったが。
ドレイクの部下達は、知っていた内容ではあってもやはり驚くべき内容だったのか、それともドレイクに対するゴマすりなのか、声を上げる。
俺が知らない情報としては、ガラリアが日本でショウと一緒に行動していたという事だろう。
ショウがガラリアに自分と一緒に行動するようにというのもあったのだろうが、やはり地上人のマーベルと親しかったことが関係しているのだろう。
あるいは、敵対した相手というのは間違いないが、俺という存在と接した経験が活かされた……のか?
俺とマーベルがドレイクと会った頃のガラリアなら、間違いなく地上でも思い切り暴れていた筈だ。
とはいえ、バストールの能力から考えるとそこまで大きな被害にはならなかっただろうが。
バストールの能力について考えている間も、ドレイクの話は続く。
「さて、ここからはガラリアに対しても口止めをしていた内容だ」
ん? 何だ? 口止め?
今のこの状況でそのような事を言うとなると、恐らくは何らかの大きな秘密でも口にするのだろうが……それは一体なんだ?
「ガラリアとショウ・ザマは、地上の海と呼ばれる場所で戦いになったらしい」
ああ、やっぱりショウと協力したと言っても、すぐに協力した訳ではなかったのか。
ある意味、ガラリアの性格がよく出てるよな。
それでも、戦ったのが海ってのは……つまり、ショウとガラリアは海に出たのか?
俺はてっきり、ショウの故郷の街中に出たのかと思っていたんだが。
あるいは、ショウがガラリアと遭遇したのが、海だったのか。
そんな風に思っている俺の隣で、ドレイクは信じられない事を口にする。
「地上でバストールがオーラランチャーを使った時、その威力はバイストン・ウェルで使われた時とは比べものにならない程のものだったらしい」
「……は? それは本当か?」
ドレイクの話の内容が信じられず、半ば反射的にそう尋ねる。
だが、ドレイクは俺がそのようなことを口にすると理解していたのか、即座に頷いて見せた。
「うむ。ガラリアから直接聞いた話だ。この件については、誰にも言わないように厳しく言ってある」
「なるほど」
マーベルがガラリアに話を聞いてきてもその辺の話題が出なかったのは、ドレイクから他言無用と言われていたからか。
「具体的にはどのくらいの威力だった?」
「最低でも数十倍……もしかしたら数百倍に達するかもしれないらしい」
ざわり、と。
ドレイクの言葉に、話を聞いていた他の者達がざわめく。
当然だろう。数十倍から数百倍。
その振れ幅は大きいが、ともあれ非常に強力なのは間違いのない事実なのだから。
とはいえ、疑問もある。
バイストン・ウェルにおいては、オーラバトラーの武器……具体的には火薬を使った飛び道具の類は、そこまで強力という訳ではない。
それが、何故地上に出るとそこまで強力になる?
オーラロードを越えて地上に出た影響がそれなのか?
いや、だとすればバストールの持つ武器はバイストン・ウェルに戻ってきても同じ威力になっている筈だ。
「バストールの武器は試してみたのか?」
「うむ。残念だが、以前と変わらないという結果が出ている」
俺の言葉にあっさりと答えるドレイク。
なるほど。俺が思いつくような事は、当然ドレイクも思いついていた訳か。
だが、そうなると考えられる可能性はそう多くはない。
具体的には、オーラバトラーが地上に出ると火薬の威力が上がる。
……いや、違うな。
バイストン・ウェルの火薬は、地上で作られている火薬とは違う。
効果そのものは同じかもしれないが、植物から作られている以上、製造過程は違う筈だ。
だとすれば、それが影響してるのか。
具体的には、バイストン・ウェルでは本来の威力が発揮しないようになっているといったように。
そして地上に出た事によって、その枷が解かれ、本来の威力を発揮した。
これだと一応筋道が立つし、バイストン・ウェルで戦っている中で急に武器の威力が増したりはしない。
にしても、今までは気にしていなかったが、そういう特殊な火薬があるのなら、一応貰っておいた方がいいかもしれないな。
基本的にシャドウミラーで使われているのは、ビームや重力波砲の類だが、火薬もまた使われないという訳ではない。
現在シャドウミラーで使われている火薬の類は、幾つか種類がある。
そんな中で一番高い威力を持っているのは、マブラヴ世界で入手したS-11という火薬だ。
戦術核に匹敵するだけの威力を持つというこの火薬は、だがそれだけの威力だけにミサイルとかくらいで使うのが一般的となっている。
そういう意味では、ドレイクがガラリアから聞いた話によるとバイストン・ウェルで製造された火薬の威力も似たような感じらしい。
この辺はあくまでもドレイクから聞いただけなので、確実にとは言わないが。
それでもS-11と同じような威力を持つ火薬となれば、その使い道は大きい。
とはいえ、S-11はマブラヴ世界では作るのにそれなりにコストが掛かるのだが、シャドウミラーであればそう難しくはない。
どちらがよりコストを必要とするのかは、色々と調べてみる必要があるだろうが。
そんな風に思っていると、不意にドレイクの笑みに何かを感じる。
それが具体的に何なのかは、俺にも分からない。
だが、それが決してよくないものであるだろうことは、何となく予想出来る。
……そんな何かが、笑みを浮かべているドレイクの顔に一瞬よぎったのだ。
とはいえ、それはあくまでも一瞬のことでしかない。
またすぐにいつもの様子に戻り、ガラリアから聞き取った件について色々と説明するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1550
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1678