転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0277話

 中等部の屋上で高等部の生徒達とやりあってから数日後。校舎の中をあやかと共に歩いていると、ふと空気が微妙にピリピリしているのに気が付く。

 

「あやか、何か雰囲気が変じゃないか?」

 

 俺の言葉に数秒考えるあやかだったが、すぐに頷いて口を開く。

 

「そろそろ期末テストの時期ですので、その為ですわ」

「……期末テストか」

 

 そう言えば、学生にはそういう物もあったな。

 俺の場合は麻帆良に転校して来たのが1月だったから、これが実質初めてのテストとなる訳だ。だが……

 

「にしては、うちのクラスは平常運転だが?」

「ええ、その……何しろ、基本この麻帆良は上の学校へと持ち上がりになっているので受験等が無いのです。それで真面目にテスト勉強をする人達が少なく……クラス委員長として、注意はしているのですが。ずっと2-Aが学年最下位なのですわ。自分の未熟さに恥じいるばかりです」

 

 およよ、とばかりに廊下へと座り込むあやか。

 思わず丁度いい位置にあるその頭を撫でる。

 

「ま、勉強をしなくても済むんなら確かにしないだろうな。特にうちのクラスだと」

「そうなんですよ。特にアスナさん含むバカレンジャーの皆さんが。全く、高校生になったら留年という制度があるというのに」

 

 頭を撫でられ、どこかうっとりしながらも溜息を吐くあやか。

 こういう所が人がいいと言われている原因なんだろうな。

 

「そもそも、担任の高畑がしょっちゅう出張でいないというのも原因なんだろうが」

「ええ、私もそう思ってました。ただ、今にして思えば高畑先生が出張で出かけていたのはその……いわゆるあっちの関係なんですよね?」

「恐らくな」

 

 俺の見た所、高畑はこの麻帆良で教師をやっているのが不思議なくらいの戦闘力を持っている。当然、その戦闘力が必要な場所――戦場とか――に派遣されてるんだろう。

 と言うか、何で教師と出張魔法使いの二足の草鞋を履いてるんだろうな。

 

「この様子だと、また今回の期末テストでも私達2-Aが最下位に甘んじるのでしょうか」

 

 そう嘆いていたあやかだった。

 いや、嘆くのはいいが、他のクラスの連中も大勢いる廊下でオーバーリアクションをしないでくれ。そして俺を抱きしめる必要が何処に……

 

 

 

 

 

「次のテストがもうすぐそこまで迫ってきています。なので、今日のHRは大勉強大会にしようと思います!」

 

 あやかが廊下で周囲の注目を集めまくった次の授業。そこではネギが妙に張り切りながらそう宣言する。

 

「あのっ、その……実は、うちのクラスが最下位を脱出しないと大変な事になってしまうので猛勉強して頑張りましょう。……是非、皆さんお願いしますっ!」

 

 ペコリ、と勢いよく頭を下げる。

 

「ネギ先生、さすがですわ」

 

 そんな状態のネギに、うっとりとした視線を向けるのはあやかだ。

 

「はーい。提案提案」

「はい、桜子さん」

「では、お題は『英単語野球拳』がいいと思います!」

 

 椎名のその発言に、拍手で賛成する者が多いのはノリのいい2-Aと言うべきか。

 まぁ、さすがにネギでも野球拳なんて馬鹿な真似は……

 

「じゃあ、それで行きましょう」

「って、おいっ!」

 

 思わず筆箱の中にあった消しゴムをネギ目掛けて投げつける。

 その消しゴムは寸分の狂いもなくネギの額へと命中し、仰け反らせる事に成功する。

 

「い、痛っ! な、何が!?」

 

 目を白黒させているネギへと近づき、耳元に声を掛ける。

 幸い、クラスの殆どは野球拳という単語に盛り上がっている為、こちらに気が付いた様子は無い。

 

「ア、アクセル君? 一体何を?」

「お前、野球拳ってどういうものか知ってるのか?」

「それは知らないけど……名前から言ってベースボールを取り入れた勉強法なんじゃないのかな」

「……まぁ、そうか」

 

 そうだよな。イギリスに野球拳なんてものがある訳ないか。だが、よく考えもせずに採用するのはどうかと思う。つまり。

 

「取りあえず、お前の指導教員である源先生に野球拳を教えて下さい! と言ってきてみろ。今の時間なら多分職員室にいる筈だから」

「え? でもクラスの……」

「いいから行け。そうすれば俺の言葉の意味も分かるだろうからな」

「う、うん。分かった」

 

 不思議そうな顔をしながらも、教室を出て行くネギ。それを見送ってからあやかに目配せしてこの馬鹿騒ぎを止めさせる。

 

「はいはい、皆さん。お馬鹿な騒ぎはそこまでになさい。今日のHRは勉強と決まったんですからさっさと始めますわよ。特にそこのバカレンジャーの皆さんは集中するように!」

 

 パンパン、と手を叩いて皆の注意を引いてからあやかがそう宣言する。

 

「えー、いいんちょ。でも英単語野球拳はー?」

「椎名さん、余りお馬鹿な事を言わないように。と言うか、そんなものをやったらバカレンジャー筆頭のアスナさんが即全裸になるじゃないですか」

「ちょっと委員長!」

 

 さすがに今の言葉は聞き流せなかったのか、神楽坂があやかへと食って掛かる。

 

「あら? 何か間違った事を言いましたかしら?」

「ぐっ、ぐぐぐ……」

 

 そして速攻返り討ちに遭うのだった。

 運動に関しては神楽坂が多少有利だが、こと勉強になるとあやかの方が圧倒的に有利なのだ。バカレンジャーの名前は伊達ではない! といった所か。

 

「ア、ア、ア、ア、アクセル君!」

 

 あやかと神楽坂の問題に一段落したかと思ったら、顔を真っ赤にしたネギが教室へと飛び込んできた。

 ふむ、どうやら野球拳がどういうものか教えて貰ったようだな。

 

「どうした? 野球拳については教えて貰ったのか?」

「や、野球拳があんなのなんて僕知らなかったよ!」

 

 そう言って、あうあうと言葉が出ないネギ。

 クラスの面々も、何やら興味深くこちらを見守っている。

 詳しく話を聞くと、確かに源は職員室にいたらしい。そしてネギは職員室に入って大声でこう尋ねたそうだ。『しずな先生、僕に野球拳を教えて下さい!』と。

 当然その声は職員室中へと響き渡り、ネギは源に野球拳とはどういうものかを教えられ、窘められてきたそうだ。

 

「これで人の言う事を鵜呑みにする危険性は理解したな? 特にこのクラスはノリで何でもやってしまうから、今日みたいな時には注意が必要だ」

「……うん」

「取りあえず、この時間はテスト勉強をする事になったからネギはバカレンジャー辺りに教えてやれ」

「分かった、そうする」

 

 溜息を吐きながら、神楽坂の方へと移動していくネギ。

 それを見送りながら、こちらをニヤニヤと笑いながら見ているエヴァへとジト目を向ける。

 

「何だ?」

「いや、別に。お前の兄貴分っぷりを楽しく眺めていただけさ」

「……ふん」

 

 そんな風にエヴァとやり取りをしていると、ふと魔力の流れを感じ取る。

 エヴァも気が付いたらしく、そちらへと視線を向けていた。

 そこではネギがどこかともなく取り出した杖を構え……何かの魔法を発動する直前に神楽坂に突っ込みを入れられていた。

 そのまま神楽坂に引っ張られていくネギ。取りあえず、念の為に認識阻害の魔法を使ってからエヴァの方へと視線を向ける。

 

「……何だ?」

「さて、何だろうな。何かの魔法を使おうとして神楽坂明日菜に止められたように見えたが」

「ああ。俺もそう見え……待て。そうなると既に神楽坂に魔法バレしてるのか?」

「恐らくはな」

 

 確かに近右衛門は孫である近衛木乃香とその同室である神楽坂に魔法バレをするように動いていた。だが、それにしたってネギがまだこの麻帆良に来てから1月程度だぞ? なのにもう近右衛門が動いたのか?

 だが、それにしてはその辺の説明を受けていない。同じクラスでフォローを頼まれている以上はもし魔法バレを行動に移すというのならその辺は当然知らせてくるだろう。そうなると……

 

「素でバレた、か?」

「だろうな」

 

 思わず呟いた俺の言葉に頷くエヴァ。

 

「魔法学校を卒業したばかりとは言っても、迂闊すぎないか?」

「さて、その辺は私にとってはどうでもいいさ。あのじじぃの事だ。何かのミスがあってお前に連絡がいってないとしても特別驚かん」

 

 口元に笑みを浮かべながらそう言うと、腕を枕にして机の上で眠る姿勢を取る。

 

「勉強しないのか?」

「ふんっ、私が何年中学生をやっていると思ってるんだ? テストくらいその気になれば楽勝だよ」

 

 そう言うエヴァだが、小テストなんかではクラスの中でも結構下の方だったと思うんだが。さすがにバカレンジャーよりは上だったが。

 実は素で馬鹿だったりするのか? とか思っていると、エヴァの首がグリンッとばかりに動いてこちらへと視線を向けてくる。

 

「言っておくが、普段の成績が良くないのは適当にやってるからだぞ。決して私を馬鹿だとか思うなよ」

 

 千鶴といい、エヴァといい、どうしてこの麻帆良にいる奴等はこちらが心の中で思っているのをあっさりと察知するのか。

 

「お前が顔に出やすいだけだよ」

 

 それだけ言って、再び眠りの態勢を取るエヴァ。

 

「アクセルさん、マスターはアクセルさんを良く見ているのでアクセルさんの考えている事が分かりやすいんだと……」

 

 茶々丸がそこまで言った時、ガバリとばかりにエヴァが起き上がる。

 

「ええいっ、このボケロボが。いらん事ばかり言ってるな」

 

 襟首を掴んでガクガクと揺らすエヴァ。

 この主従はこんな時でも平常運転だった。

 

 

 

 

 

 翌日。ネギを含むバカレンジャーが行方不明になったと知る事になる。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376

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