「皆、聞いて欲しい!」
ドレイクの声がパーティ会場に響く。
その声を聞き、パーティに参加していた多くの者がドレイクに視線を向ける。
このパーティを開いたのが誰なのかというのを考えれば、ここでドレイクに注目しないというのは有り得ない事だろう。
気が付けば、そんなドレイクの側にはトッドの姿もある。
なるほど、トッドが側にいるということは、ミの国についての領地をどうするのかを発表するつもりなのか。
このパーティに参加している者達の中でも、トッドの件は知ってる者と知らない者がいるらしい。
トッドがそこにいる理由について納得した様子を見せる者もいれば、何故トッドがドレイクの側に待機しているのか分からない者もいる。
そんな様子を見つつ、俺は少し離れた場所でアレンと話しているマーベルとガラリアの方に向かう。
ちなみに他の地上人となると、ジェリルはトカマクと話しており、フェイはパーティに参加している女を口説いていた。
フェイって何気に女好きだよな。
そんな風に思いつつ、俺はマーベルに話しかける。
「いよいよだな」
「そうね」
「アクセル? どうしたんだ? いよいよって、ドレイクが何を発表しようとしているのか、知ってるのか?」
俺とマーベルの様子から、ドレイクが何を発表しようとしているのかを知っていると判断したのだろう。
不思議そうに、そう尋ねてくる。
「ああ、以前ドレイクから相談された事があってな。トッドがあそこにいるって事は、多分その件だろ」
具体的にどのような理由なのかを教えてもよかったのだが、俺が少し勿体ぶっている間に、ドレイクの言葉が続く。
「占領したミの国についてだが……これからはミの国は当然ながらアの国の領土となる。今までミの国という国だっただけに、いきなりアの国の領土となると、反発する者もいるだろう。あるいは、反乱軍が組織される可能性もある」
その言葉は、事実でもあった。
ピネガンやそのピネガンに忠誠を誓っている者達は既にミの国から退去したが、家族や恋人、友人といった者達がミの国から出られない、あるいはそれ以外の理由でもミの国から出るピネガンと一緒に行けなかった者もいる。
だが、そのような者であってもピネガンに忠誠を誓っている者はそれなりにいるのだ。
そうである以上、どうしてもミの国に残る必要が出て来て……そういう者にしてみれば、ピネガンからドレイクに自分達の上に立つ者が代わるというのを、許容出来ない者もいる。
そのような者達がどうするのかとなると……反乱軍を作るという可能性は十分にあった。
何しろ、ミの国においては以前反乱軍が勝利してピネガンを国から追い出すという真似が成功した実績があるのだ。
それを狙って、自分達も国を相手に反乱軍を結成する……といったような真似をしても、おかしくはない。
「だからこそ、アの国の領土となったミの国を治める者は、それに対抗する力を持つ者が必要になる」
そんなドレイクの言葉に、事情が分からなかった者達もドレイクの側に待機しているトッドに視線を向け……まさか、といったような表情を浮かべる者が多数いた。
「それに対抗する者として儂が選んだのは、聖戦士の中でも最強たる……トッド・ギネスである!」
ざわり、と。
ドレイクがトッドの名前を口にした瞬間、パーティに参加していた多くの者達が驚きにざわめく。
トッドがドレイクの側にいた事から、そうなるというのは予想出来た者も多かっただろう。
だが、それでもやはり直接こうしてトッドの名前がドレイクの口から出れば、それに驚くなという方が無理だった。
「な……」
ましてや、アレンにしてみればこんな結果は完全に予想外だったのだろう。
とはいえ、その気持ちは分からないでもない。
アレンにしてみれば、トッドはやはり自分よりも格下の存在と認識していたのだろう。
今は自分より上かもしれないが、それはあくまでも今だけだと。
あくまでも地上にいた時の感覚でいたらしい。
そんな風にアレンが驚いている間にも話は進み、ドレイクからトッドのこれまでの功績が説明される。
その中には、少し大袈裟ではないか? と思うものもあったが、こういう時は多少の誇張は当然のことなのだろう。
「このように、今まで様々な功績を立ててきたトッド・ギネスだからこそ、ミの国という広大な領地を得るのに相応しい。特に反乱軍の存在が危惧される今、当然だろう。また……儂の部下には複数の聖戦士がおるが、このトッド・ギネスこそが聖戦士の中でも筆頭の存在であると言える!」
そう告げるドレイクの言葉に、アレンが歯ぎしりする音が聞こえてきた。
今までは、トッドがアレンに対してコンプレックスを抱いていたが、これからはアレンがトッドに対してコンプレックスを抱くようになるのかもしれないな。
その辺に関しては、アレンが今後どうしていくかだな。
トッドは、アレンに対するコンプレックスを抱えていても、それを糧にして成長してきた。
その結果として、今こうしてドレイクから聖戦士筆頭といったように思われているのも事実だ。
そんなトッドと比べて、アレンはどうなるか。
この辺はある意味注目すべき場所でもある。
『わあああああああああああああああっ!』
ドレイクの言葉に、パーティに参加していた者達がそれぞれ歓声を上げる。
勿論、中にはトッドの昇進が嬉しくないと思う者もいるだろう。
特に、ミの国との戦いで活躍したという自負のある者であれば、尚更に。
しかし、ドレイクが自らトッドをミの国の領主に選んだのだから、それに反対するような真似も出来ない。
もしそのような真似をすれば、それこそ悪い意味でドレイクに注目されるといったようなことになっても、おかしくはないのだから。
しかし、俺の側にいるアレンは、当然ながら素直にトッドを祝える様子はない。
悔しそうに呻き声を上げているのを見れば、それも当然だろう。
「いいの?」
マーベルが俺の近くにやって来て、短くそう告げる。
アレンをそのままにしておいていいのかと、そう言いたいのだろう。
そんなマーベルに対し、俺は頷くだけだ。
俺の様子から何かを感じたのか、マーベルも分かったと言いたげに頷いた。
取りあえずアレンはこれでいいとして、ジェリルとフェイの2人はどんな感じだ?
ジェリルは当初からトッドの存在を面白く思っていなかった。
フェイの方は……それなりにトッドとは上手くやっていたと思うが、今のトッドがこれだけ評価されているとなると、どうなるかは分からない。
「……悪いけど、俺はちょっと気分が悪くなった。俺は部屋に戻らせて貰う」
そう言い、アレンは俺達の前から去っていく。
気分が悪くなったというのは、不愉快になったという意味で、健康的な意味で気分が悪くなった訳ではないのだろう。
「さて、これからアレンはどうなるだろうな」
「趣味が悪いわよ」
俺の呟きに、マーベルが呆れの視線を向けてくる。
そんなマーベルから話を逸らすべく、少し気になっていたことを尋ねる。
「ガラリアはどうしたんだ?」
「……ガラリアは、私達以外にも色々と挨拶をする相手がいるらしいわよ」
問いに答える前の数秒の沈黙は、これがあからさまに話を逸らす為のものだと理解していたからだろう。
とはいえ、そこまで気にした様子がなくガラリアの話に移ってくれたのは、俺としても助かった。
「暫く治療していたんだし、その辺の関係か」
「そうらしいわ。特にミの国の件は終わったけど、これからラウの国との戦いが待ってるんでしょう? 今回の分もその時に取り返す気みたいね」
ガラリアにしてみれば、ミの国との戦いで自分の出番がなかったのは、それだけ悔しかったのだろう。
とはいえ、何気にドレイクにとってガラリアの重要性ってのは上がってると思うんだが。
バーン以上のオーラバトラーの操縦技術は勿論、何よりも大きいのは地上に行って戻ってきたという事だろう。
一度地上に行ったのなら、また地上に行ける可能性も皆無ではない。
いやまぁ、ガラリアの操縦するバストールのオーラ増幅器はビランビーの使っているのと同型の物に変わったので、また地上に行けるかどうかというのは微妙なところではあるのだが。
ガラリア本人が、その辺りについての事情をどこまで知ってるのかは、俺にも分からない。
しかし、今の状況を思えばガラリアも大体の事は理解していてもおかしくはなかった。
元々ガラリアは騎士の中でも上位に位置する存在だけに、決して頭は悪くない。
そうして頭が悪くない中で、怪我の治療の為にやる事もなく、考える時間はたっぷりとあったのだ。
だとすれば、ガラリアもドレイクが何を考えているのか分かっていても、おかしくはない。
だが、そんな状況でもこうして活発に動き回っているというのを考えると、ガラリアは恐らくそれでも問題はないと、そう判断して行動しているのだろう。
「ラウの国か。……マーベルは反対してると思ってたんだけどな」
ドレイクがラウの国を攻めるという話をした時、マーベルは真っ先に反対した。
正直なところ、今のこの状況でも完全に納得してはいないと思う。
フラオンの場合は、理不尽な理由でこちらを捕らえようとしてきた。
ミの国はそんなフラオンと協力して、向こうから攻撃を仕掛けてきた。
それを思えば、フラオンやミの国を攻撃するのはマーベルも許容出来たのだろう。
だが、それはあくまでもフラオンとミの国に対してだけだ。
それ以外の場合……ラウの国に対して攻撃を行うのは、マーベルにとって許容出来ないものなのだろう。
それでもこのままだと、ラウの国からこちらに向かって攻撃をしてくる可能性が高いと、そう判断したのは間違いない。
それだけに、マーベルの口からラウの国に対する戦いを許容するとは、思わなかった。
「ラウの国から攻めてくるのなら、対処をするしかないでしょ」
こう言ってきてはいるが、マーベルは全てを納得した様子を見せてはいない。
恐らく、マーベルの中ではまだ迷ってるという点がそれなりにあるのだろう。
納得は出来ないものの、それでもラウの国が攻めてくる可能性が高い以上、アの国から攻撃を行うという必要は出て来る、と。
……正直なところ、ラウの国からどんな風に行動をするのかというのは、俺にも分からない。
だが、フラオンやピネガン達が行ってれば、こちらに攻撃をしてくる可能性は十分にあると思う。
マーベルの長所は、向こうから攻撃をしてくれば反撃をするのに躊躇しないところか。
頭がお花畑の奴なら、敵から攻撃をされてもこっちからは攻撃をするなといったような事を言ったりするし。
マーベルがその手のお花畑ではない事は、感謝するしかない。
「そうなったら、ラウの国と戦う事になるんだろうな。……俺としては、ラウの国が新型のオーラバトラーを開発しているのなら、興味はあるけど」
ラウの国が強国である以上、独自の新型オーラバトラーを開発するという可能性は否定出来ない。
もしそうなると……フラオンやピネガンがラウの国にいれば、あるいはダーナ・オシーの後継機を開発していてもおかしくはないな。
俺としては、そうであってくれればいいんだが。
「あのねぇ……いえ、まぁ、アクセルの事だからしょうがないのかもしれないけど」
はぁ、と。
息を吐くマーベル。
マーベルにしてみれば、ラウの国の件は色々と思うところがあるのだろう。
「ともあれ、今はラウの国がどう動くのかを見る必要がある。ドレイクの言う事が事実なら、こっちが何かをする前に向こうから攻撃を仕掛けてくる可能性もあるしな」
ミの国は小国だったが、ラウの国は大国だ。
そうである以上、向こうから動くという可能性は否定出来ない。
ラウの国への侵略を考えているドレイクにしてみれば、向こうから攻撃をしてくるというのは、願ったり叶ったりといったところだろう。
「向こうから……そうね、フラオンがもしラウの国にいれば、そうなる可能性は否定出来ないと思うわ」
ミの国を破滅に導いたという意味では、フラオンは本当に疫病神だよな。
そんな疫病神がラウの国にいれば、まさにこちらにとっては都合のいい行動をするだろう。
普通ならフラオンなど受け入れるといったような事はない。
だが、フォイゾンは血筋を重視すると言われている人物だ。
それだけに、フラオンというアの国の王族の血筋の者を受け入れないという選択肢はないだろう。
いやまぁ、そうなればなったで、またドレイクにとってはやりやすくなるんだろうが。
「本当に、味方にいればどうしようもない奴だが、敵にいればこれ以上ない程の頼もしい奴だな」
疫病神や貧乏神といった表現がこれ程相応しい相手というのも、そうはいないだろう。
ある意味、戦う相手の領土に放り込めば、それだけで敵を混乱させてくれるんだから、使いやすい相手ではある。
それこそ、武器として使うのならかなり役に立つ存在だな。
もっとも、そうやって役に立つのはフラオンがあくまでもアの国の王族の血を引いており、更にはギブン家という戦力を率いているからこそなのだが。
つまり、あくまでもこのバイストン・ウェル専用の武器……兵器だって事だな。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1560
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1680