「へぇ、これが……」
戦勝パーティから数日、俺はショットに呼び出されて機械の館にやって来ていた。
そこで見せられたのは、以前レプラカーンを見せて貰った時に、レプラカーンが装備していた複合武装の盾。
それをサーバイン用に改修された、特別な盾だった。
本来なら、この盾はオーラショットとショットクローが内蔵されており、更にはオーラソードの鞘の役目も果たしているという盾だ。
だが、サーバインの場合はオーラソードの鞘は別にある。
そうである以上、この盾を使うにしても鞘はいらないので、その分銃火器を増設して欲しいというのが俺の希望だった。
そして……そんな俺の希望に添うように、盾は改良された。
見て一番分かりやすいのは、やはり鞘の部分がなくなった事だろう。
その変わり、そこにはオーラショットが更に増えており……他にも色々と改良されている様子が見える。
「うむ。アクセルの要望通り、色々と改良させて貰った。まず、見て分かるだろうがオーラソードに関しては除去した。その代わり、オーラショットの砲門が増え、3連装オーラショットとなっている。また、先端部分は尖らせており、打突武器としても使えるようになっている。それと、盾の横の部分には、オーラバルカンが2門。ただし、盾である以上、装弾数はそこまで多くはない」
ショットの説明を聞きながら、改めて盾を見る。
すると、確かに盾の横の部分にはオーラバルカンの発射口と思われる場所が2門、存在している。
また、先端部分が若干尖っており、その部位で相手を殴るといったような真似をした場合、十分な武器として使えるのは間違いない。
「それと、ショットクローはサーバインで使っているのと同じように、電撃を流すことが可能になっている」
「それは助かるな。……フレイボムは?」
「さすがにそれは無理だった。フレイボムの場合、燃料を入れる場所も必要となるからな」
その言葉には、俺も頷くことしか出来ない。
実際、フレイボムというのは粘度の高い石油を使った、一種のナパームに近い武器だ。
……石油って、このバイストン・ウェルにもあるのか? と以前フレイボムについて聞いた時は疑問に思ったが。
俺が知っている石油というのは、それこそ地上にしか存在しないというイメージがあったからだ。
とはいえ、このバイストン・ウェルはファンタジー世界。
そう考えれば、石油があっても不思議ではない。
あるいはオーラショットとかに使っている火薬と同様、石油という名前は同じであっても地上の石油とは若干違う性質を持っているという可能性は否定出来なかったが。
ともあれ、フレイボムが石油を使っている以上、この盾に装備出来ないというのは納得出来た。
とはいえ、オーラショットやバルカンの類も実弾を使った射撃武器である以上、それぞれの弾も盾の内部には入っている。
その結果として、盾の大きさはレプラカーンが使っていた物と比べても若干大きくなってた。
「オーラショットの弾丸の補給はどうするんだ? 腕の場合は予備弾倉を使って補給出来たけど」
「生憎と、予備弾倉というのは無理だな。一度使い切ったら、母艦なり基地なりに戻ってから補給するしかない
「マジか……」
弾丸を戦場で補給出来ないというのは、結構痛いな。
「ただし、盾の方に弾丸はそれなりに入るから、そういう意味では腕のオーラショットよりは使いやすいぞ」
腕のオーラショットは、数発撃てば残弾切れとなる。
そういう意味では、ショットの言葉は正しいのだろう。
若干、先程の弾数はそこまで多くはないという言葉と矛盾しているような気もするが。
「それと、この盾は見ての通り以前よりも大きくなっているから、当然重量も増えている。そういう意味では、この盾を使った場合、機体バランスが悪くなってしまうから、気をつけてくれ」
「まぁ、それはしょうがないだろ」
複数の武器を1つに纏めた複合兵装の場合、どうしても重量が増す。
これは複合武装であるが故の、逃れられない宿命と言ってもいい。
とはいえ、そういう代物であると理解していれば、対処するのは難しい話ではないのだが。
今の状況においては、最初からそのような武装であると認識しているのだから、そのつもりで対処すればいい。
幸い……という言い方はどうかと思うが、サーバインは他のオーラバトラーと比べても希少な素材を多数使っている関係もあり、その性能は非常に高い。
多少重い程度の盾を振り回すくらいは、どうという事もない。
「それで、サーバインの左手のオーラショットは外す事になるのか?」
「そうなるな。ショットクローは内蔵武器だからそのままだが、オーラショットはさすがに無理だ」
だとすれば、重量バランスは多少なりともマシになる。
それにショットクローがあるというだけでも、御の字といったところか。
とはいえ、ショットクローの上から盾を装備する以上、盾を廃棄しないとサーバインの腕にあるショットクローは使えないだろう。
シールドにもショットクローがあって、そっちでも電撃を流せるというので、不便らしい不便は重量以外にはないし。
まぁ、その辺りは操縦していれば自然と慣れるだろうが。
今の状況を考えると、ラウの国との戦いまでに慣れるといった事は間違いない。
もっとも、基本的には次の戦いはあくまでもアの国とラウの国との間の戦いだ。
そうなると、俺がそれに積極的に関わるといったような真似は、基本的にない。
……とはいえ、ドレイクの立場としては、俺をラウの国まで連れていく事になるだろうが。
けど、そうだな。ラウの国に行くだけで、報酬を貰えるんだ。
そうなれば……やっぱりショットが開発したレプラカーンを1機貰うというのはありかもしれない。
ショットの話を聞く限り、レプラカーンは失敗作とまでは言わずとも、極端に射撃武器を持たせすぎたせいで、バランスが悪いのは間違いない。
「本来なら、レプラカーンの盾は取り外しが出来ないようになってる。それを取り外し出来るようにするのは、それ以外の改良も含めて大変だったな」
「そういうものか? 俺としては助かるからいいけど。……やっぱり複合武装って使いやすいしいいよな」
技術がなければ作れないというのもあるが、やはり俺にとって複合武装は使いやすいのが一番というのがある。
実際には、複合武装だからこそ使いこなすには技術が必要になるのだが。
「使いやすい……? まぁ、アクセルがそう言うのならそうかもしれんが」
ショットにしてみても、複合武装が使いやすいというのは疑問なのだろう。
開発した本人がそういう風に言うというのは、それはそれでどうかと思わないでもなかったが。
ともあれ、ショットは複合武装に関しての話はこの辺にして、話題を変える。
「アクセルが使っているナムワンだが、またもう少し自動化が出来そうになったぞ」
「それは助かるけど、技術の発展はまさに日進月歩って奴だな」
自動化というのは、今の俺達にとっては非常にありがたい。
何しろ、現在のシャドウミラーは俺とマーベルの2人だけで、それ以外の面々はドレイクから兵士を借りてナムワンを運用している形なのだから。
将来的には1人で……いや、本当に最善を思えば、無人でナムワンが操縦出来るようになって欲しいところだ。
とはいえ、さすがにナムワンを完全無人化で使うというのは無理だと思うが。
今のバイストン・ウェルの技術を考えると、どんなに技術が上がっても最低数人はナムワンの運用に必要となるのは間違いない。
「ヨルムンガンドの方にも、当然その技術は流用されている」
「そう言えば、ヨルムンガンドの完成度は今のところどれくらいだ?」
「8割といったところか」
「……俺が予想していたよりは、随分と進んでいるな」
「ウィル・ウィプスが完成したから、その分の人手をヨルムンガンドに回せたのが大きい」
「完成したのか?」
「ああ。勿論各種調整の類は必要だが、基本的には完成した。恐らく、ラウの国との戦いではウィル・ウィプスが参戦出来るだろう」
ああ、なるほど。
ラウの国との間でいきなり宣戦布告をしなかったのは、大義名分の問題だったり、フラオンやピネガンの件で内部に混乱が起きるのを待つという事の他に、ウィル・ウィプスを参戦させるという理由もあったのか。
それ以外にも、ミの国……トッドの領地になったんだから、ギネス領と呼んだ方がいいのかもしれないが、少し分かりにくいので、取りあえずミの国としておくが。
ともあれ、そのミの国がある程度は落ち着くまでは待つとか。
トッドも近いうちにミの国に向かうという話だったが、もうミの国はドレイクの部下によって治められているしな。
とにかく、ドレイクにしてもミの国を占領してすぐにラウの国を攻めるというのは、色々と不味い。
兵士達も、疲れを癒やす必要があるし。
ダーナ・オシーとドラムロでは、ドラムロの方が性能は高い。
その上、数もドレイク軍の方が上である以上、ミの国との戦いではドレイク軍の方が有利だったのは間違いない。
間違いないが、だからといってドレイク軍の被害が皆無という訳ではない。
ミの国の中にも技量の高いパイロットはいるし、あるいは多数で1機のドラムロを攻撃するといったようなことをすれば、当然のように被害は出る。
総合的に見てドレイク軍の圧勝だったとはいえ、多少なりとも被害は受けている以上、それを回復する必要があるのは間違いなかった。
そういう意味では、やはりその受けた傷を癒やす時間も必要となるのだろう。
それ以外にも、ラウの国という強国と戦う以上、当然だがドレイク軍も戦力を強化する必要がある。
オーラバトラーの数を増やし、パイロットの数を増やし、練度を上げる。
また、ビランビーやレプラカーンのような新型のオーラバトラーを開発する。
それらを含めると、最終的にラウの国に攻めるのは……もう少し先になるのは間違いない。
場合によっては、数ヶ月単位で先になる可能性も否定は出来ない。
その辺については、成り行きの面も大きいしな。
「ラウの国との戦いが遅くなれば、あるいはヨルムンガンドが完成して出撃出来る可能性もあるのか」
「それは、いつ開戦するかによるが……可能性としては、ない訳でもないな」
そう告げるショットの言葉に、俺は頷く。
とはいえ、頷きつつもヨルムンガンドが戦場に出るとはいえ、ウィル・ウィプスのように前線に出たり出来るオーラバトルシップではない。
ヨルムンガンドは、あくまでも後方で空母的な存在……いや、移動基地的な存在として、活動するオーラバトルシップだ。
そう考えると、もし出番があってもウィル・ウィプス程に目立ったりは出来ないんだよな。
まぁ、その分だけヨルムンガンドが被害を受ける可能性は減るので、個人的には安心出来るところも多いのだが。
「なら、出来るだけドレイクには開戦するのを遅らせて貰って、その間にヨルムンガンドが完成するよう祈るだけだな」
とはいえ、ラウの国はミの国と違って大国である以上、ミの国との戦いのように短時間で勝敗が決するという事はなく、それなりに戦争には長い時間が掛かると思うが。
ミの国のように、フラオンが内部で好き勝手に行動して、内乱状態になるとも思えないし。
そうであれば、ヨルムンガンドの出番がある可能性は高くなりそうだ。
「ふむ、そうだといいがな。私としては、ヨルムンガンドに採用された自動化の技術はかなり興味深い点が大きい。これなら……」
と、途中で言葉を切って考え込むショット。
自動化で何か思い当たる事でもあるのか?
まぁ、ショットの場合は技術者である以上、レプラカーンの次……もしくは次の次について考えているのかもしれないが。
それに自動化という事になると、考えられるのは多数で乗り込むオーラバトラーか?
けど、普通のオーラバトラーでもかなり狭い場所である以上、人間が複数乗るのは難しい。
フェラリオの類であれば、パイロット以外に乗るといった事も可能だが。
実際、ショウの乗るダンバインにはフェラリオが一緒に乗ってるし。
……とはいえ、フェラリオはかなり気ままな性格をしているだけに、一緒に乗ったところで何の意味があるのかは、少し疑問だが。
これがフェラリオはフェラリオでも、エ・フェラリオであったなら、また話は別だが。
まぁ、エ・フェラリオは人間と同じ大きさである以上、そもそもオーラバトラーのパイロットにはなれないか。
となると、いっそエ・フェラリオにパイロットを……無茶だな。
ともあれ、そうなるとショットは普通のオーラバトラーではなく、もっと大きなオーラバトラー……あるいはMSに対するMA的な存在を開発しようとしているとか?
それはそれで面白そうな感じがするけど。
「ショットの為になってよかったよ。それはともかく、この盾は貰っていくから」
そう言い、盾に触れて空間倉庫に収納する。
後でサーバインにこれを使わせてみて、慣れておく必要があるな。
何やら考えに集中しているショットをその場に残し、俺は立ち去るのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1560
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1680