ビアレスとタンギーを受け取ると、ドレイクとビショットはこれからの件について話し始める。
具体的には、どうやってラウの国と戦うかといった具合に。
最初はビショットは戦力を消耗するのを嫌い、後方からの援護にするのかと思っていたのだが……どうやら、若干違うらしい。
ゲア・ガリングも、ヨルムンガンド程ではないにしろ空母的な性質を持つオーラバトルシップだ。
だが、ゲア・ガリングの乗組員も含めて、クの国の軍隊に出来るだけ実戦を経験させてやりたい、というのがビショットの狙いらしい。
勿論自分達だけでは何かあった時に色々と危険なので、ドレイク軍や俺達と一緒にという事だったのだが……
「アクセル王、どうだろう。今回のラウの国との戦いでは、私達と行動を共にして貰えないだろうか?」
唐突に、そんな事を言ってくる。
一瞬、冗談か何かを言ってるのかと思ったが、ビショットの表情は真剣なもので本気で言ってるのは間違いない。
「本気か?」
「うむ。勿論、これはあくまでも要請であって、アクセル王が嫌だと言うのであれば無理強いは出来ないが……それに、私達は基本的にドレイク王と共に行動する。そう考えれば、今までとそう変わらないと思うのだが……どうだろう?」
「どうだろうと、そう言われてもな。ドレイクと一緒に行動するのなら、別にそこまで一緒に行動すると約束しなくてもいいと思うが。それに……俺達と一緒に行動するとなると、当然だが報酬が必要になるぞ?」
ドレイクも俺達に要望する時は、色々と報酬を支払ってきた。
そうである以上、ビショットからの依頼を引き受けるとなれば、こちらもまた当然のように報酬を必要とする。
「構わん。それに報酬も、アクセル王が欲している物を渡そう」
「……俺の欲してる物?」
今の状況で俺が欲している物は、それこそ幾らでもある。
そうである以上、ビショットが俺の欲している何かを所有しているという可能性は十分にあり、その言葉が嘘だという訳ではない。
「うむ。アクセル王の部下は、未だにダーナ・オシーを使っているという。そこで今回の私の依頼を受けて貰えた場合、アルダムではあるが10機……それも各種予備部品と共に譲渡しよう。それでどうかね?」
「それは……」
ビショットからの報酬は、確かに美味しいものだ。
キッス家が使っているダーナ・オシーは、その生産性こそ高いものの、純粋に能力という点ではゲドより性能が高いというものでしかない。
そうである以上、ダーナ・オシーよりも性能の高いボゾンを主力とするだろうラウの国の軍隊と戦う時に、戦力的に劣っているのは間違いない。
また、ダーナ・オシーと同じ高機動型のオーラバトラーであるというのも、乗り換えた後に今までと同じような運用が出来るという点で大きいだろう。
そして、これはビショットにとっても大きな利益がある。
ビアレスという新型のオーラバトラーを開発したのだ。
ビショットの様子からすると、そのビアレスを今後のクの国の主力とするつもりだろう。
そうなると、問題になるのはアルダムだ。
勿論、ビアレスを量産するようになったからとはいえ、すぐにアルダムがいらなくなる訳ではない。
ビアレスを量産するとはいっても、当然だが製造するのには相応の時間が掛かるし、一度に量産出来る数も限られている。
そうである以上、実際には今までアルダムを使っていたのが、徐々にビアレスに置き換わっていき、使われなくなったアルダムは地方……今までオーラバトラーがなかった場所に配備されていくというのが一般的な筈だ。
しかし、そんな中でも10機程度のアルダムであれば、ビショットの立場としてもすぐに用意出来るのだろう。
また、クの国が初めて自分達で独自開発したオーラバトラーという事で、何かあった時の為に予備部品も多数用意してあったとしても、おかしくはない。
つまり、ビショットにしてみれば若干言葉は悪いものの、在庫処分のようなものなのだろう。
とはいえ、例え在庫処分だとしても俺にとって助かるのは事実だ。
俺達にしてみれば、これは破格の報酬であるのは間違いない。
「どうするの?」
マーベルが俺に答えを促すように尋ねる。
マーベルにしてみれば、自分の仲間……もしくは部下が、ダーナ・オシーというゲドよりはマシといった程度のオーラバトラーに乗っているというのは、色々と思うところがあったのだろう。
それだけに、今回の件は色々と魅力的な提案だと考えているのは間違いなかった。
マーベルにしてみれば、キッス家の面々は自分達の仲間という認識が強いのだろう。
シャドウミラーの人数が増えたのを喜んでいたのも、マーベルだったしな。
そう思えば、マーベルの気持ちも分からないではなかった。
とはいえ、それを素直に受け入れるかどうかは、また別の話だが。
さて、この場合はどうしたらいいのか。
今回の取引は、全体的に俺達にとって利益が多い。
そうする理由としては、ビショットが俺にビアレスとタンギーをプレゼントしたのと、同じような意味があるのだろう。
つまり……こう言うとなんだが、ご機嫌取りだ。
とはいえ、今回の一件がビショットに利益がないかと言えば、その答えは否でもある。
何故なら、クの国が本格的に戦闘するのはこれが初めてである以上、いざという時に俺達の協力を得られるというのは、向こうにとっても大きな利益になるのだから。
そうして少し悩み……
「分かった。それで手を打とう」
ビショットの要望を受け入れる。
俺の言葉に、驚きの表情を浮かべるビショット。
多分、この提案は駄目元って思いもあったんだろうな。
確かに、もっと条件が悪ければ俺は今回の話を受けなかっただろう。
だが、ビショットから出された条件は決して悪いものではない。
それどころか、この状況を考えれば寧ろ最善であるとすら言えた。
そうである以上、俺が取引を断るといった事がないのは当然だろう。
「そういう風に決まったけど、構わないな?」
「うむ、アクセル王がそう決めたのであれば、儂はそれで構わん。それに、基本的にウィル・ウィプスとゲア・ガリングは一緒に行動する予定になっておる。そうである以上、いざという時にアクセル王の戦力を頼りに出来るのは変わらんしな」
「それは間違いない。ただ、今回俺を雇ったのはビショットだ。もしドレイクとビショットの両方が危機に陥ってる場合、俺はビショットを助ける。それでもいいか?」
そう告げる俺に、ドレイクはそれで構わないと頷く。
……ただし、ドレイクの側で待機していたガラリアは、不満そうな表情を俺に向けてくる。
俺とガラリアは、初対面の時と比べれば友好的になった。
それでも、ガラリアと俺は全く別の組織に所属しているというのは変わらない。
そんなガラリアにしてみれば、こうして目の前でドレイクが危機になる……つまり、ガラリアの技量が足りないと言われて、面白いと思う筈もない。
もっとも、この場で俺を睨み付けてきたり、反論を口にしない辺り、ガラリアも成長している証なのだろうが。
ビショットの方は……こちらは周囲に何人かの護衛の騎士がいるものの、特に不満を露わにしたりはしていない。
これは護衛の騎士が自分達の状況をしっかりと理解しているからか、それともここで騒げば、それだけビショットに恥を掻かせるだけだと理解しているのか。
ともあれ、今回の一件に関して不満はないらしい。
まあ、ドレイク軍と違って本格的な戦い、それも大規模な戦いを経験している訳ではない以上、ビショット軍の者達もいざという時に俺達が助けてくるという保証があるのは、悪い訳ではない。
この辺は、ドレイク軍とビショット軍の違いだろう。
ドレイク軍は多数の戦いを行ってきただけに、自負心がある。
勿論その自負心は決して悪い訳ではないのだが、それが変な方向に左右すると……それこそ、バーンのような結果になってしまう。
そう言えば、バーンは今どうしてるんだろうな。
最近全く話を聞かなくなったが。
それはともかくとして、そんなドレイク軍に比べるとビショット軍は戦闘経験が少ないだけに、頼る相手にはしっかりと頼る。
とはいえ、バイストン・ウェル版黒い三連星とも呼ぶべきガラミティ達のように、戦闘経験こそ少ないものの、才能のあるエリートとかは普通に存在しているのだが。
そう言えばガラミティ達の姿はないな。
「ガラミティ達はどうしたんだ?」
「ああ、彼らならクの国に残してきたよ。私がゲア・ガリングで出る以上、もし国内で何かあった場合、対処出来る戦力が必要だろう?」
なるほど、それがガラミティ達という訳か。
以前アの国に来た時は、ビショットもガラミティ達もやって来たんだが……あの時と今とでは色々と事情も違うか。
「話は分かった。そうなると、確かにビショット達の方を重要視した方がいいのかもしれないな」
ガラミティ達は、クの国の中でも最高戦力と呼ぶべき存在だ。
それだけに、現在ここにガラミティ達がいない以上、ビショットとしては俺達に頼る事になってもおかしくはないのか。
そう考えると、もしかして俺達を臨時で雇うというのは、アルダム10機では安かったか?
まぁ、それでもアルダムが多数入手出来たのは、俺に取っても満足出来る事ではあったのだが。
「そんな訳で、アルダムの引き渡しを行おうか。それと、整備する際に注意するところを説明する為にも、アクセル王のナムワンに何人か技術者を派遣したいんだが、構わないかい?」
「ああ、頼む。腕は平凡といったところだが、真面目な連中が揃ってるからな」
キッス家の技術者は、人数は少ないし腕も決して優れている訳でもない。
だが、ここで自分達が失敗すれば、それはキッス家として大きなマイナスになるというのを理解している為か、キッス家の技術者達はかなり真面目だ。
正確には、真面目というよりは必死という表現が相応しいのだが。
また、フラオン軍にいた時に使っていたのがダーナ・オシーで、俺の部下となってからも使っているのはダーナ・オシーだ。
そういう意味では、ダーナ・オシーに関しての整備はかなり得意だが、それ以外となると……微妙なのは間違いなかった。
だからこそ、ビショットから派遣されてくる技術者がアルダムについて詳細に説明してくれるのなら、俺としては助かる。
こうして話は決まり、ドレイクもまたビショットとの打ち合わせは終わったのか、ウィル・ウィプスに戻っていく。
アルダムに関しては、俺が空間倉庫に収納する。
何しろ、ナムワンが搭載出来るオーラバトラーは6機だ。
一応艦首装甲部分にも露天という形で3機追加でおけるが。
そして、現在のナムワンには俺のサーバインとマーベルのダンバインが設置されている。
そうである以上、アルダムを10機貰っても置く場所がない訳だ。
それに……アルダムをナムワンに搭載されるということは、現在ナムワンに搭載されているダーナ・オシーをどうにかする必要もある。
であれば、俺の空間倉庫が活躍しない訳にはいかない。
そうして俺達は、それぞれ行動に出る。
まずは俺がゲア・ガリングの倉庫に移動して、用意されたアルダムを空間倉庫に収納していく。
当然だが、ゲア・ガリングの技術者達は目の前で空間倉庫を見て驚きを露わにしていた。
とはいえ、中には以前俺がクの国に行った時や、もしくはビショットがアの国に来た時かは分からないが、俺の空間倉庫を見たのかもしれないな。
「いやぁ……こうして見ると、改めて凄いな」
全ての機体と予備パーツを空間倉庫に収納したのを見たビショットが、そうした風に言ってくる。
「そう言って貰えると、俺としても嬉しいよ。それにしても……このゲア・ガリングは格納庫がかなり広いな」
空母的な運用をするという事になっているゲア・ガリングだけに、ウィル・ウィプスとは違って武器を減らしてでも運用出来るオーラバトラーの数を増やしたのだろう。
言ってみれば、ヨルムンガンドとウィル・ウィプスの中間的な性能……といったところか?
ただ、外見という感じで見れば、正直なところウィル・ウィプスやヨルムンガンドよりも、ゲア・ガリングの方が相手に威圧感を与えると思う。
とはいえ、この辺はそれぞれ慣性によって違うしな。
あくまでも俺は3つのオーラバトルシップの中ではゲア・ガリングが見る者に対して一番迫力を与えると思っているだけで、他の者にしてみればもしかしたらウィル・ウィプスやヨルムンガンドの方が圧倒的な迫力があると、そう思ってもおかしくはない。
とはいえ、巨大というのはそれだけで威圧感を与えるのは間違いないが。
「うむ。これからの戦いでは、オーラバトラーの数と質が戦いの行く末を決めると私は思っている。そういう意味では、より多くのオーラバトラーを搭載出来た方がいいだろう?」
「それは否定しない」
否定はしないが、全面的に賛成といった訳でもない。
UC世界では、コロンブスやパプアのように搭載量が大きいが戦闘力に不安のある軍艦――補給艦だが――よりも、ムサイ級やホワイトベース級といったように、MS運用能力以外にそれなりに戦闘力があった方がいいのは間違いないのだから。
とはいえ、UC世界とバイストン・ウェルでは色々と大きく違うだろうし……そういう意味では、ビショットはビショットで独自の考えを持ってもおかしくはないのだろうが。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1560
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1680