ダーナ・オシーに関しては、軍人達の中の何人かが実際に動かして見せた。
トッドやアレンを見れば分かるが、戦闘機の操縦経験があれば、オーラバトラーもそれなりに動かしやすい。
いや、細かい制御をスイッチだったりレバーであったりと、人力で制御しなければならない戦闘機と違い、オーラバトラーはフィーリングやイメージで操縦出来るしな。
この差は大きい。
ちなみに戦闘機のマニュアルというのは、それこそ電話帳や辞典といったような厚さがあり、パイロットはそれをしっかりと覚える必要があった。
そういう意味では、本当にオーラバトラーってのは操縦しやすいよな。
ともあれ、軍人達が実際にダーナ・オシーを動かし、オーラバトラーが本物だと理解したところで、俺はアメリカ軍が持っている情報を貰った。
とはいえ、当然ながら世界の警察を自称するアメリカ軍であっても、そこまで詳細な情報を持ってはいない。
最後に確認されたオーラバトルシップについて、それぞれの情報を得られたというのは大きい。
だが……そんな中で問題なのは、やはりナの国のオーラバトルシップと思しき存在が現在いる場所だろう。
以前マーベルの家のTVで見た事はあったが、それ以後の情報は全く入ってこなかったのだが……ソ連か。
アメリカとソ連は、当然ながら犬猿の仲と言ってもいい。
それだけに、アメリカでもそこまで詳細な情報を入手は出来ていなかったが……ソ連という国の性格を考えれば、オーラバトルシップを奪おうとして妙な事を考えてもおかしくはない。
ましてや、オーラバトルシップに乗っているのは、恐らくシーラだ。
シーラの性格を考えると、当然ながらソ連の脅迫とかには負けないだろう。
そうなると、最悪の場合はソ連とナの国が全面的にぶつかる。
もっとも、オーラバトラーの性能が地上で上がるというのを考えれば、勝利するのはナの国だろうが、シーラの性格を考えるといらない負担を受けることになってしまう。
出来ればその前にシーラと接触しておきたい。
「さて、俺達はそろそろこの辺で失礼するぞ。今のうちに色々とやるべき事があるからな」
そう言い、マーベルと共に格納庫から出る。
アメリカ軍の軍人としては、色々な意味で貴重な俺という存在をこのまま見逃すのは好みではなかったのかもしれない。
しかし、獅子の炎獣がいるのを見れば、迂闊に俺を止めるような真似は出来ない。
向こうに出来たのは、素直に俺をその場から帰す事だけだった。
「ちょっと予定していた時間よりも遅れたわね」
「そうだな。まぁ、その代わりに情報を入手したんだから、アレンには許して貰う必要があるだろ」
そんな風に言いながら、ハワイでアレンと待ち合わせをしていた場所に向かうと……
「遅いぞ! 一体、何時間待たせるつもりだよ!」
待ち合わせの場所で、アレンは俺とマーベルを見ると不満そうに言う。
夜にも関わらず、周囲には結構な数の人がいる。
オーラバトラーの騒動のせいで国際線の類は軒並み動いていないらしいが、騒動が起きる前にハワイにいた面々は当然ながらそのままだ。
そうである以上、ハワイにいる面々が夜に出歩くというのは珍しい話ではない。
寧ろ、現在の状況が不安定なだけに、その不安を吹き飛ばす意味でも、余計に夜の街に繰り出す……といった者が多い筈だ。
アレンが突然大声を上げて、それを聞いて何事だといったように視線を向けてきた者達も、そういう理由で夜の街に繰り出していた者達だろう。
「悪いな。けど、きちんと情報は仕入れてきたぞ」
情報を仕入れてきたという言葉に、アレンは驚きの様子を見せる。
まさか、本当に俺達が情報を仕入れてくるとは思っていなかったのだろう。
それはそれでかなり失礼な話だと思うが。
「本当か? なら、ナの国のオーラバトルシップも?」
「ああ。俺達はそっちに行って、ナの国と接触する。ショットがどうするのかは分からないけどな」
ヨルムンガンドとスプリガンは現在一緒に行動しているものの、だからといってショットが俺の部下になった訳ではない。
現状のショットの立場は、色々な意味で不安定だ。
本来なら、ショットはドレイクの部下だ。
それは今も変わっていない。
しかし、ショットは現在のドレイク軍の様子を見て、とてもではないが行動を共に出来ないと判断したのだろう。
ドレイク軍が地上で起こした騒動の数は、アメリカ軍が把握している限りでは、相当な数になる。
それもアメリカだけではなく、世界各国でだ。
俺達を地上に追放した人物は、ドレイク軍はドレイク軍として纏めるのではなく、ある程度ドレイク軍の集団とはしたが、それでも幾つかの集団に別れているらしい。
これは、ドレイク軍の戦力がバイストン・ウェルにおいては最大だったからそういう風にするしかなかったのか、あるいは意図的にドレイク軍の戦力を弱めようとしてそうしたのか。
もしくは……この可能性に関してはあまり考えたくないものの、俺がいた影響か。
実際、タータラ城で地上に向かってオーラロードを開いた人物は、俺に対して抵抗するなといったような事を言っている。
これは、俺が抵抗すればオーラロードを開くのが難しかったか、あるいは途中でオーラロードが霧散するかといったような事になった可能性もあった。
だからこそ、俺という存在によってオーラロードを開いた者の予定とは違っていたという可能性は十分にある。
ともあれ、そんな風に世界中でドレイク軍が暴れている現状において、ショットとしてはウィル・ウィプスと合流するのは危ないと、そう判断したのだろう。
そうなると、ショットが取れる手段はそう多くはない。
ラウの国とは戦っていた以上、問題外。
ナの国とは国交が殆どなく、面識がない以上難しい。
残るのは、俺のシャドウミラーとビショットのクの国。
だが、ビショットもドレイクと同じくバイストン・ウェルの人間である以上、好戦的になっている可能性は否定出来ない。
そうして、残ったのが俺な訳だ。
「ショットか。あいつはどう考えるんだろうな。取りあえず聞いてみないと分からないだろ」
そう言いながらも、アレンとしてはナの国と接触したいといった様子が見て取れる。
何が目的なのやら。
シーラが美人……いや、美少女というのは、既にドレイク軍でも広く知られている事実だ。
女好きのアレンの性格から考えると、シーラを見てみたい、あるいは可能なら口説きたいといったところか。
とはいえ、シーラはプライドが高い。
口説こうと思って近付いてきたような相手に気を許すとは思えない。
それどころか、無礼者! とか言ってビンタをしてきそうな気がするのは、きっと俺の気のせいではないだろう。
「そんな訳で、一旦ヨルムンガンドに戻るぞ。ショットがソ連に行くのをどう考えるかも問題だし」
「ソ連……って、ソ連!? マジかよ!?」
ソ連という言葉に驚きの声を上げるアレン。
さっきの軍人達もそうだったが、アレンも今はオーラバトラーに乗っているとはいえ、元アメリカ軍人だ。
いや、もしかしたら登録がまだ抹消されていないといった可能性もあるのか?
ともあれ、アランにとってもソ連というのは色々と思うところがあるのだろう。
「ああ、マーベルの幼馴染みの父親の伝手でハワイのアメリカ軍と接触してな。ダーナ・オシー1機と引き換えに、色々と情報を仕入れてきた」
「へぇ……マーベルの幼馴染みだったか? 結構な人物なんだな」
「別にそこまで言われるくらい、特別って訳じゃないと思うわよ? おじさまは軍人だけど、そこまで階級が高いって訳じゃないし」
そんな風に話しつつ、建物の陰に移動し……俺達は影のゲートでヨルムンガンドのある島まで転移するのだった。
ヨルムンガンドとスプリガンがいる無人島に戻ってくると、俺は早速スプリガンからショット達を呼び、ハワイで得た情報を知らせる。
「ふむ、ソ連か」
「ああ。ナの国のオーラバトルシップは多分ソ連にいる。ビルバインを開発したのも、多分ナの国だろうし。何でそんな新型機をショウに渡したのかといった事も聞きたい」
まだ、ナの国がラウの国と友好的な関係であったなら、ショウにビルバインを渡しても納得は出来る。
だが、停戦交渉の一件以来、ナの国とラウの国の関係は冷え込んでいる。
もっとも、停戦交渉を襲った黒騎士は、後々ズワァースで俺に向かって攻撃をしてきた。
それを思えば、黒騎士がラウの国の人間というのは疑問符を抱いてしまう。
だが、タータラ城で黒騎士がズワァースを使っていたというのは、実際にその目で見たからこそ分かる事だ。
そうである以上、ナの国がビルバインを開発し、ショウに渡したというのは疑問でしかない。
その辺について話を聞く為にも、ソ連に行く必要があるのは間違いない。
「分かった。では一緒に行こう」
「……いいのか?」
ショットの口からあっさりと出て来たその言葉は、俺にとっても驚きだった。
ショットの性格を考えれば、もっと慎重に動くとばかり思っていたのだから。
「ああ、構わない。今のドレイク軍は危険だ。そうである以上、出来れば距離を置きたい。それに、アクセルと一緒に行動していれば、何があっても大丈夫だと思えるしな」
そんなショットの言葉に、他の面々も頷く。
そこまで強く信頼されるってのは、嬉しくはあるけど疑問でもある。
何故ここまで信頼されているのか、と。
あるいはバイストン・ウェルにおいての俺の行動が、そんな風に思わせたのかもしれないが。
ともあれ、ショットがソ連に行くのを同意したのなら、そこで躊躇する必要はない。
「キブツ、ヨルムンガンドをソ連の方に向けろ。……地図は分かるか?」
「はい。ショット殿からデータを貰っています」
どうやらショットからその辺のデータやら何やらは貰っていたらしい。
ショットにしてみれば、そういう行動で俺達に恩を売れれば問題ないといったところなのだろう。
「そうか。なら、ソ連に向かってくれ。キエフ村という場所の近くらしい」
「分かりました。すぐにでも出撃の準備をします」
そう言い、部屋から出てブリッジに向かうキブツ。
そんなキブツを見送り、俺は改めてショットに尋ねる。
「本当にいいんだな? 俺達と行動を共にするとなると、最悪ドレイクと戦う事になるかもしれないぞ?」
「地上でのドレイク軍の行動を見ていると、一緒に行動するのは危険だと判断したのだ。この判断を変えるつもりはない」
「そうか。ショットがそう言うのなら、構わない。だが……ミュージィやその一家は構わないのか?」
そう言い、ミュージィに視線を向ける。
この部屋にいるのはミュージィだけで、兄弟や父親の姿はない。
これはミュージィがショットの恋人だからというのもあるが、やはり有能だからこそポー家の代表といった形になっているのだろう。
そのミュージィは、俺の言葉に即座に頷く。
「構いません。私達ポー家は、ショット様と共に進みます。……ただ、こう言っては何ですが……」
何かを言い掛けるミュージィの様子に、視線で話の先を促す。
「その、父も弟達も、地上に出た影響で好戦的になっています。場合によっては、それによってショット様やアクセル王に迷惑を掛けてしまうかもしれないのです」
なるほど。ミュージィは特に地上に出ている影響を受けているようには思えないし、キブツを始めとしたヨルムンガンドの乗員も同様だ。
だが、ミュージィの家族はドレイク軍の兵士程ではないにしろ、影響を受けているらしい。
この辺り、一体どういう理由でそれぞれが違うのか。
あくまでも個人の資質とかそういうのなのか、オーラロードを通った時に何かあったのか。
正直なところその辺の事情は分からないが、暴走する可能性があるとなると危険なのは間違いない。
「ショット、ミュージィの家族に関しては、そっちでしっかりと手綱を握っておけよ? もし無理なようなら、今回は別行動となるが」
「ふむ、そうだな。……ここでアクセルと別行動になるのは、色々と困る。であれば、こちらも相応の対処をする必要があるか。ミュージィ、君の家族は暴走したりすると思うか?」
「分かりません。ですが、ショット様の邪魔をするような事はないと思います」
「だ、そうだ。ミュージィが言う事であれば、私は信用するよ」
これって、もしかして惚気られたのか?
ふとそんな風に思うが、今は取りあえず置いておき、話を進める。
「ショットがそう言うのなら、それで構わない。ただし、暴走した時はこっちも相応の対処をさせて貰うからそのつもりでいてくれ」
俺の言葉を聞き、ショットは頷く。
これは別に大袈裟に言ってる訳ではなく、もし実際に暴走するようなことがあった場合、最悪撃墜する事になるだろう。
「この件はそれでいいとして……次の話題だが、サーバインの方はどうなっている?」
その言葉に、ショットは難しい表情を浮かべる。
この様子を見る限りでは、とてもではないがいい報告を聞く訳にはいかないらしい。
「かなり損傷が酷いな。どこか一ヶ所がダメージを受けているのなら、その部分を交換するといった事で対処出来るが、全体的に万遍なくダメージを受けているというのが痛い。ヨルムンガンドに機械の館があるのが幸いして、今は何とか修理中だが、少し時間が掛かると思って欲しい」
そう、ショットは告げるのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1600
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1688