転生とらぶる   作:青竹(移住)

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2974話

 ハイパー化とショットが名付けたその現象は、当然の話だが聖戦士達……マーベル、トッド、アレンの3人にも色々と思うところがあったらしい。

 バイストン・ウェルで聖戦士として活動していなかったジャバは、特に気にした様子もなかったが。

 ともあれ、今は少しでもハイパー化の情報を入手する必要があるという事で、海に沈んだレプラカーンの残骸を回収していた。

 出来ればナの国のオーラバトルシップが存在すると思われるソ連に向かいたかったのだが、ショットからの要望に応えた形だ。

 だが、俺達にとってもジェリルのハイパー化については、色々と調べておく必要がある。

 とはいえ、そうして働いているのは、ヨルムンガンドとスプリガンに存在するオーラバトラーやオーラボムを使っている兵士達だが。

 

「それで、ハイパー化だったか。俺達もああいう風になる可能性はあるのか?」

 

 トッドが複雑な様子でショットに尋ねる。

 現在ヨルムンガンドの一室には、地上人を始めとして、この部隊の首脳陣が揃っていた。

 ただし、ゼットはサーバインの修理やズワウスの整備の方に集中しているのか、こっちに顔を出してはいない。

 この辺、ゼットはやはり純粋な技術者といったところか。

 

「可能性があるかないかと言えば、ある。だが、私の予想ではハイパー化するにはオーラ力を暴走させる必要がある。ジェリルの場合は攻撃的な性格だったが故に、オーラ力が暴走しやすかった。そのような事情を考えれば、トッドやアレン、ジャバがそうなる可能性は低いと私は思う」

「ハイパー化……あれは、使いこなせば強いんじゃないのか?」

 

 アレンのその言葉に、ショットの視線が俺に向けられる。

 

「直接ハイパー化したレプラカーンと戦ったアクセルとしては、どのように思う?」

「そうだな。性能的には強力だったと思う。ただ……俺と戦っている中で、機体が自壊し始めていた。それを思えば、ハイパー化は諸刃の剣だな」

 

 ハイパー化したレプラカーンが強力なのは、間違いない。

 しかし、同時に戦っている最中である程度時間が経つと自壊していく。

 ハイパー化を自由に使いこなせるのなら、短時間だけハイパー化して、強敵を倒すなりなんなりして目的を達したら元に戻る……といったような事が出来れば、使えるかもしれない。

 それに自壊していったと言っても、ショットの説によればあの巨大化した部分はオーラバトラーがそのまま巨大化した訳ではなく、あくまでもオーラバリアがオーラバトラーの姿に変わっているという事だ。

 つまり、自壊はしてもそれは本当のオーラバトラーではなく、オーラバリアが壊れているということを意味していた。

 

「止めておいた方がいい。オーラ力をあそこまで変えるというのは、元々オーラコンバータを含めて、オーラバトラーには存在しない機能だ。これも恐らく、本当に恐らくの話だが、ハイパー化したレプラカーンが自壊し始めた時点でジェリルは死ぬ寸前だったと思う」

 

 ショットの言葉に、アレンは不満そうな様子を見せる。

 アレンにしてみれば、ハイパー化というのはそれなりに魅力的な能力なのだろう。

 アレンにとって、バイストン・ウェルに召喚される前はトッドは自分よりも下の存在だった。

 だが、バイストン・ウェルに召喚されてオーラバトラーのパイロットになった事で、その立場は逆転した。

 それだけに、アレンとしてはハイパー化を使いこなせれば、と。そう思ったのだろう。

 

「つまり、ハイパー化というのはイレギュラーな事態、と?」

「そうだ。私やゼットがオーラバトラーを開発した時、そのような事は全く考えていなかった。正直なところを言わせて貰えば、ハイパー化を使った場合、一時的には強力な戦闘力を得られるだろうが、最終的には自殺行為となるのは間違いない」

 

 そう告げるショットの様子を見ると、マーベルを含めたアメリカ出身の聖戦士は嫌な表情を浮かべていた。

 特攻というのは、アメリカ軍にとっても思うところがあるのだろう。

 

「とにかく、ハイパー化に関してはやろうと思わない方がいい。ジェリルの乗っていたレプラカーンを調べてみるまでは正確なところは分からないが、それでも自殺行為でしかないと思っておいた方がいい」

 

 そう告げるショットの言葉に、多くの者が色々と複雑そうな表情を浮かべて聞いていた。

 

「そうなると、正確なところはレプラカーンを調べてからってことになると思うが……問題なのは、ハイパー化を敵が使ってきた場合だな」

 

 俺達の場合は、ショットというオーラマシンの専門家がいたので、ハイパー化の危険について知る事が出来た。

 しかし、それはあくまでも俺達が幸運だったからの話だ。

 ハイパー化の危険を知らず、その力だけを目当てにするような事になったら、どうなるか。

 それこそ、多くの者がハイパー化をし……最悪の場合、巨大化したオーラバトラーが大量に敵として現れる可能性すらあった。

 幸いにもと言うべきか、ハイパー化というのは有効時間がある。

 一定の時間を経過すれば自滅する以上、最悪ハイパー化した敵からは逃げ続けるといったような真似をしておけば、そこまで危険はないかもしれない。

 ただし、それはあくまでも相応の実力が必要になるが。

 

「ソ連に向かうのは、少し遅れそうだな」

「そうね。……けど、ここでレプラカーンについて調べておかないと、色々と不味いでしょう?」

 

 焦るな、と。

 そういう意味を込めてか、マーベルが俺の手を握ってくる。

 その手を握り返しながら、マーベルに視線を向ける。

 マーベルはトカマクやジェリルが死んだ事に対し、そこまで気にしているようには思えない。

 ジェリルはマーベルを敵視し、嫉妬していたので、それを思えばそこまでおかしくはないのだろうが、トカマクとはそれなりに友好的な関係だった。

 もっとも、トカマクがジェリルと一緒に行動するようになってからは、マーベルとトカマクが話す機会も少なくなったが。

 

「とにかく、アクセルを始めとして戦闘に出た者達は疲れているだろう。レプラカーンの残骸を回収している間は、休んでおいた方がいい」

 

 ショットのその言葉で、俺達は会議を終えるのだった。

 

 

 

 

 

「全く……私がここまで変わるとは思わなかったわ」

 

 そう言い、マーベルが責めるような視線を俺に向けつつ、一糸纏わぬ姿で俺に抱きついてくる。

 ここは、ヨルムンガンドにある俺の部屋。

 国王ということになっているので、俺の部屋は当然広く、ベッドも相応に広い。

 そんなベッドの上で情事を終えた俺とマーベルは裸で横になっていた。

 

「そこまで変わったようには思えないけどな」

「そう? ……戦いが終わって興奮していたとはいえ、知り合いが死んだのに、こうしてアクセルに抱かれているのに、罪悪感を抱くどころか幸せを感じてるのよ? 自分では随分と変わったと思うけど」

 

 柔らかで滑らかな肌が触れあい、マーベルが疑問の声を上げる。

 マーベルにしてみれば、自分はもっと真面目だと思っていたのだろう。

 だが、実際にはこうして戦いが終わり、会議が終わってからそう時間が経っていないのに、俺に抱かれている。

 そう考えると、確かにマーベルは自分が変わったと、そう思ってもおかしくはないのかもしれないが……

 

「変わったというよりは、普段見せない様子を俺に見せているといった風に思えるけどな」

「そうかしら?」

 

 俺の言葉に首を傾げるマーベル。

 栗色の髪が、柔らかそうに皮膚を滑る。

 

「俺はそう思うし、そうだったらいいと思ってるよ」

「……アクセルがそう言うのなら、そう思っておこうかしら」

 

 マーベルは少し考えた様子だったが、それでも俺がいいというのなら、と笑みを浮かべて唇を重ねてくるのだった。

 

 

 

 

 

 ハイパー化の一件があった翌日、俺はショットからの報告を受けていた。

 

「つまり、ジェリルの死体は確保出来なかった訳か」

「そうなる。レプラカーンの部品も可能な限り回収したが、それがトカマクのレプラカーンの部品でもあるという可能性がある以上、色々と面倒な状況になるのは間違いない」

「トカマクとジェリルのどっちかが、別のオーラバトラーを使っていればよかったんだけどな」

 

 トカマクは後方からの援護射撃がメインなので、レプラカーンが向いていたものの、ジェリルはレプラカーンではなくライネックに乗っていても、おかしくはない。

 ライネックはレプラカーンの後継機という一面もあり、武装が多少少なくなった代わりに、装甲や運動性がレプラカーンよりも上がっており、高性能機となっている。

 武装が少なくなったとはいえ、それはあくまでもレプラカーンに比べればの話で、一般的なオーラバトラーに比べれば、明らかに武装の量は上だ。

 そういう意味で、ジェリルがライネックに乗ってもいいと思うんだが……それでも、ジェリルはライネックではなく、レプラカーンを選んだ。

 トカマクと同じ機体がいいと思ったのか、もしくは単純に運動性や装甲を犠牲にしても、武器が多数ある方がいいと思ったのか。

 ジェリルの性格を考えれば、何となく後者のような気がするな。

 ジェリルは確かにトカマクと一緒に行動していたが、だからといってジェリルがトカマクを女として愛していたのかと言われれば、素直に頷くような真似は出来ない。

 勿論、それはあくまでも俺が知ってる限りのジェリルの話であって、もしかしたらトカマクの前では女らしい一面を出していたといった可能性も否定は出来ないのだが。

 

「それは今更の話だろう。……ただ、トカマク機の複合兵装を入手出来たのは、せめてもの救いか」

 

 レプラカーンの複合兵装は、それなりに使い勝手がいい。

 ただし、複合兵装だけあって普通の武器よりも重量があるので、機体バランスをきちんと考える必要があった。

 それこそ、基本的な武装しか持っていないビアレス辺りが使えば、かなり便利だと思う。

 ……いやまぁ、鎌のオーラソードを基本的な武装と表現してもいいのかどうかは、微妙なところだが。

 ただ、高機動型のビアレスに乗っているトッドとアレンの2人は、その複合兵装の重量が運動性や機動性を落とすという意味で、好まない。

 単純に盾というだけなら、ビアレスの鎌を収納する鞘は特殊な加工がされており、盾としても十分に使えるというのが、余計に複合兵装を使わなくてもいいように思えるのだろう。

 

「そうなると、一晩ここにいた収穫は殆どなかった訳だ」

 

 ジャバの言葉に、何人かが不愉快そうな表情を浮かべる。

 ガラバを使ってトカマクを倒したという点で、能力的には間違いなく一級品だ。

 それこそ、ショットがわざわざ連れて来ただけの事はある。

 だが、その性格は傲慢な色が強い。

 元々その気配はあったが、トカマクを殺したということで自分の実力が証明され、余計に傲慢さが増している気がする。

 まぁ、ガラバというオーラファイターを使いこなす技量は大したものだと思うが……ぶっちゃけ、トカマクだけを殺すというのなら、マーベル、トッド、アレンといった面々なら誰でも出来るというのが事実だったりする。

 トカマクは聖戦士ではあっても、その本領はあくまでも後方からの援護射撃だ。

 つまり、ジェリルのような前衛で戦える人物と組むことによって、それで初めてその真価を発揮出来る。

 そして昨日の戦闘では、ジェリルはハイパー化して暴走状態にあり、トカマクと組んで戦うといった真似は不可能だった。

 そしてジェリル以外の味方となると、それは戦闘機だ。

 オーラバリアが存在するオーラバトラーを相手にするとなると、戦闘機というのは厳しいものがある。

 そう考えると、ジャバがトカマクを殺した程度で威張られても……と、そう思う者もいるだろう。

 また、純粋にガラバの性能が高いというのも、この場合は関係している。

 オーラバトラーの開発が行き詰まり、次世代の兵器として開発されたのが、ガラバやブブリィだ。

 そうである以上、当然ながらその性能はオーラバトラーよりも上になる。

 ジャバの鼻をへし折る為にも、一度模擬戦をしておいた方がいいか? このままだと、後々面倒な事になりそうな気がするし。

 そう思い、ジャバに視線を向ける。

 そんな俺の視線に気が付いたのだろう。ジャバは不敵な笑みを浮かべつつ、口を開く。

 

「どうしたんだ?」

「いや、ガラバの戦いは初めて見たが、なかなかのものだと思ってな。……ただ、俺はハイパー化したレプラカーンと戦っていたから、しっかりとその性能を見る事は出来なかった。だから、出来れば……そうだなマーベルと模擬戦でもしてみてくれないか?」

「おい、アクセル……」

 

 ショットが咎めるようにそう言ってくる。

 ショットにしてみれば、もしジャバとマーベルが模擬戦を行えばどうなるのか、予想出来ているのだろう。

 そしてジャバが友人である以上、出来れば友人の負ける姿を見たくはないといったところか。

 あるいはジャバではなくガラバの負けるところを見たくないのかもしれないが。

 ガラバの開発は主にゼットが行ったらしいが、ショットも全く手を貸してない訳ではないだろうし。

 そんな風に心配するショットだったが……

 

「模擬戦か。いいね。俺の実力を見せるという意味でも悪くない」

 

 ジャバはそう言い、好戦的に笑うのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1605
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1689

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