今日は294話、2975話の2話を投稿してします。
こちらを読んだ方は、前話からお読み下さい。
シーラが話を通したのか、ナの国のオーラバトルシップ……グランガランだったか。
そのグランガランを包囲していたソ連軍の戦力は、俺達を通した。
まぁ、戦力の殆どが戦車を始めとする地上戦力である以上、空を飛ぶヨルムンガンドとスプリガンを止めるといった事は出来ないのだから、そういう意味ではパフォーマンスに近いのかもしれないが。
一応連装ミサイル砲とか、戦闘ヘリとかも待機しているらしいが、戦闘機のミサイルですらオーラバリアを突破出来なかったことを考えると、それらも問題にする必要はないだろう。
そうしてグランガランの側まで移動し、シーラに会いに行くことになったのだが……
「人数、多くないか?」
グランガランに向かうメンバーを見て、そう呟く。
俺とマーベルはいい。
シーラとは顔見知りだし、公の場はともかく、プライベートでは友人関係ではあるのだから。
だが、そんな俺達以外にショット、トッド、アレン、ジャバといった面々が来るのはどうかと思う。
ショットはスプリガンの艦長をしており、言ってみればショット軍を率いているような立場であるだけに、まだ理解出来る。
だが、トッド、アレン、ジャバの地上人3人は一体何でここにいる?
「グランガランだったか? ちょっと興味があってな」
「ナの国の女王は美人なんだろ? なら、見ておきたい」
「ショットが行くって言ってるんだから、護衛は必要だろう」
トッド、アレン、ジャバがそれぞれ答える。
うん、この中で一番きちんとした理由を持っているのはジャバだけだな。
とはいえ、別に連れていってはいけないという訳でもないのだが……
「戦力的には大丈夫か? ナの国はともかく、ソ連軍が何をしてくるか分からないだろう?」
「だからこそ、ヨルムンガンドもスプリガンも空に浮かんだままにしている。動いてさえいれば、オーラバリアは効果を発揮するからな。もしソ連軍が何かを企んでも、対処するのは難しくはない筈だ。それに、戦力という意味でも十分だ」
スプリガンにはミュージィやその家族がいて、戦力として数えることが出来る。
ヨルムンガンドは……俺、マーベル、トッドといった強力な戦力がいなくなるが、オーラバトラー隊の数は十分に揃っているので、こちらも戦力としては問題ないだろう。
「そうか。なら、行くぞ。一応……言うまでもないだろうが、妙な騒動は起こすなよ。出来ればナの国とは友好的に行きたい」
そう言うものの、ナの国と友好的な関係となるかどうかは、正直なところ分からない。
最大の問題としては、やはりビルバインの問題があった。
ウィングキャリバーへの可変機構を持ち、オーラソードライフルといったようにオーラ力を直接ビームに変換する機能を持つ新機軸の武器。
ラウの国が大国なのは間違いないが、それでも圧倒的な大国といった訳ではない。
そうである以上、ビルバインを開発したのはナの国の可能性が高い。
だとすれば、何故シーラがショウにビルバインを譲渡したのかが疑問だ。
停戦交渉の襲撃の件もあって、ナの国は決してラウの国と友好関係にある訳ではない。
ましてや、俺達が地上に転移した時のタータラ城での戦いでは、黒騎士がショウと協力して俺を攻撃してきた。
そう考えると、黒騎士はやっぱりラウの国の味方……とも言い切れないのは、黒騎士がズワァースに乗っていたのが関係している。
ドレイク軍の中でもコストの問題から生産数が少ないズワァース。
それに乗っている以上、アの国の中にも黒騎士と繋がっている者がいる可能性は高かった。
それも、ズワァースを黒騎士に渡すとなると、相応の地位であったり、技術者であったりする必要がある。
この辺を考えると、事態はかなり複雑なんだよな。
だからこそ、今回のシーラとの会談でその辺りをしっかりとさせる必要があるのも事実だった。
「これは、また……オーラバトルシップというよりは、寧ろ移動する宮殿といった方が正しいな」
ナの国のオーラバトルシップ……グランガランの中を案内役の騎士に連れられて移動していると、ショットがそんな風に呟く。
実際、その言葉は決して間違っているものではない。
通路を見ても、芸術品と思われる絵が飾られていたり、壺や置かれていたりしているのだから。
それらの芸術品が、本当に価値のあるものなのかどうかは、俺にも分からない。
分からないが、それでも見た感じでは多分相応の価値があるものなのだろう。
「ショットが言うように、移動する宮殿といったコンセプトで開発されたオーラバトルシップなんだろうな」
そうショットに返しながら、自分の言葉に納得する。
ナの国は周辺諸国で一番の大国であると同時に、レンの海の向こう側に国がある。
アの国や周辺国と違い、バイストン・ウェルが戦乱の世となっても、すぐその戦いに巻き込まれるといったようなことは、考える必要がなかった。
だからこそ、グランガランは移動宮殿的な存在として開発されたと言われれば、俺にも十分納得出来た。
あるいは、オーラバトルシップを建造して経験を積みたかったという一面もあるのかもしれないが。
そうして会話をしていると、やがて通路の先に大きな扉が姿を現す。
扉の横には、護衛と思しき兵士の姿もある。
そんな2人が扉を開けると……その先には、謁見の間と呼ぶのに相応しい空間が広がっていた。
「アクセル王、よく来てくれました」
玉座に座っているシーラが、俺を見てそう言ってくる。
公の場だからか、いつものようにアクセルと呼ぶのではなく、アクセル王と呼んでいた。
そんなシーラに、俺は頷く。
「まさか、ソ連にいるとは思わなかったから少し驚いたよ。それにグランガランも多分ナの国のオーラバトルシップだと予想はしていたが、それでも確証はなかったし」
「そうですか。では、そのような状況でわざわざグランガランにやって来たのは、一体何の為ですか?」
「色々とある。例えば、ナの国はこれからどうするのかといった事を聞きたかったり、それ以外にも……ビルバインの件がある」
ざわり、と。
俺の口からビルバインという単語が出た瞬間、謁見の間にいる何人かが動揺した様子を見せる。
「ラウの国に協力している、ゼラーナ隊のショウ・ザマ。そのショウが使っていたダンバインの後継機と思われるビルバインというオーラバトラーだが、それを開発したのはナの国だな?」
「その通りです」
俺の言葉に、シーラは一切誤魔化す様子も見せずにそう告げる。
へぇ、てっきり誤魔化すかと思っていたんだが、まさかあっさりと認めるとは思わなかった。
とはいえ、ビルバインを開発するのがラウの国では難しい以上、ナの国が怪しまれるのは当然の話だった。
そうである以上、下手に誤魔化す必要はないと思っていたのだろう。
「素直に認めるんだな」
「ビルバインが我が国で開発された以上、それを隠す必要がありません」
「なら、ショウにビルバインを渡したのは何でだ? ナの国とラウの国の関係は決して良好なものではなかったと思うが?」
「ビルバインの件は、こちらの意図したものではありません。オーラバトラーを開発していた者の中に、ラウの国と通じている者がおり、その者の仕業です」
シーラのその言葉に、納得しつつも驚く。
「つまり、ナの国全体の判断ではないと?」
「そうなります」
このシーラの言葉が事実なのか、もしくはいるかどうかは分からないが、その人物に責任を押し付けているのか。
その辺りの事情は俺には分からない。
だが、シーラの様子を見た感じでは、それが嘘だと思えない。
「だとすれば、これからナの国はどう行動するつもりだ?」
「まだ決まってはいませんが、ソ連軍と事を起こすような真似はしたくないと思います」
それは、また。
ソ連軍に周囲を囲まれている状況であるにも関わらず、まだソ連と揉めたくないか。
だが、シーラがそのように思っていても、ソ連軍がどう反応するのかはまた別の話だろう。
「アクセル王は地上に出て、どうするつもりなのですか?」
「取りあえず、俺としては攻撃してくる相手にはきちんと対処をするつもりだ。ソ連軍の様子を見る限り、俺と友好的に接触するとは思えないな」
俺達に攻撃をしてきただけなら、別にいい。
こっちが事情も何も説明せず、ソ連軍の領土に勝手に入り込んだのだから。
それに対してソ連軍が攻撃をするのは、十分に理解出来る事だった。
だが、それを考えた上でも、ソ連軍……いや、ソ連という国は信頼出来ない。
グランガランを包囲しているのは、一応納得も出来る。
それこそ、いきなり自国に未知の軍隊が姿を現したのだから。
だが、包囲をしているということは、グランガランを……そしてグランガランの周囲に存在するオーラシップを刺激するという事でもある。
今はシーラが味方を抑えているので、大きな騒動になってはいないが、もしソ連に出たのがドレイク軍やビショット軍であった場合、どうなったか。
それこそ、自分達を包囲したのを敵対行動と見なし、即座に反撃に出てもおかしくはなかった。
「では、地上軍と争うと?」
「こちらに非がないのに、向こうが攻撃をしてきた場合は当然反撃をすると思う」
地上の軍隊にしてみれば、ショウとガラリアが地上に出た件で、オーラバトラーの性能については十分に理解している。
出来るならそれを入手し、技術を分析したいと思ってもおかしくはなかった。
そういう意味では、俺達と取引をしたハワイのアメリカ軍は上手くやったと思う。
もっとも、オーラバトラーの部品は恐獣の素材を使っている。
もし地上でオーラバトラーを開発するとなると、恐獣の素材と同じような性質を持つ素材を開発する必要がある。
科学技術でその辺がどこまで再現出来るのかは、微妙なところだろう。
ホワイトスターにいる技術班なら、何とか出来そうな気もするけど。
「ソ連軍はシーラが受け身だからこそ、こうして包囲していると思われる。そのうち、向こうから使者がやってくるだろうが……最悪、グランガランを寄越せとか、そういう風に言ってきてもおかしくはないな。とはいえ、現実を見ていればオーラシップやオーラバトラーを寄越せとか、そんな感じかもしれないけど」
さすがにグランガランを寄越せといったようなことを言った場合は、シーラはともかく、部下達が許容出来ず戦いになってもおかしくはない。
ソ連軍……というか、ソ連の上層部も、当然ながらその辺については十分に理解しているだろう。
それでも自分達の主張が絶対に通らなければならないと、妙な特権意識を持ってるような奴もいるのだが。
「そのような国なのですか?」
驚いた様子を見せるシーラ。
まぁ、ナの国には聖戦士がいない。
つまり、地上の情報というのはどうしても少ないのだ。
それでも地上に出てある程度の時間が経てば、それなりに情報を入手出来る可能性もあるのだろうが、まだ地上に出てからそんなに時間は経っていないしな。
ましてや、シーラ達はここでソ連軍に包囲されており、迂闊に動くといったような事も出来なかった。
そう考えれば、やはりソ連について殆ど何も知らないというのは仕方がない。
ましてや、バイストン・ウェルはファンタジー世界で国王や女王といった存在が国を治めている。
共産主義といったようなものは、想像すらしていないのは間違いない。
共産主義というのは、理想的に運用出来れば素晴らしい政治体制なのかもしれないが、問題なのは人間がそれを実施出来る程に成熟していないという事だろう。
民主主義に関しても、衆愚政治、愚民政治と呼ばれている中で、国民皆がしっかりと自分の役割を果たさなければならない共産主義は、更に難易度が高いと思う。
とはいえ……この世界ではまだソ連が存在している以上、もしかしたら、本当にもしかしたらだが、最終的に共産主義が覇権を握る可能性も否定は出来ないのだが。
そんな風に思っている間に、マーベルやトッド、アレン、ショット、ジャバといったような、この世界の地上人が共産主義について説明する。
ただし、殆どがアメリカ人で共産主義のソ連は潜在的な敵国だ。
その説明は、どうしても共産主義の危険性であったり、今までソ連が行っていた愚行を説明するといったような形となったが。
「なるほど、話は分かりました。……どうやら、この国は信頼出来る国ではないようですね」
「俺達の言葉だけで、全てを信じてもいいのか?」
シーラの性格を考えれば、それこそソ連の言い分も聞いてから判断するといったようなことになってもおかしくはない。
だが、こうして見ている限りでは、シーラは完全に俺達の言葉を信じていた。
これが、地上に出て来て初めて顔見知りと会ったから気を許した……といったような甘い真似は、シーラはしない。
「ソ連から派遣されてきた人物とは何度か話しています。その者は……そう、ガロウ・ランのような性格をした人物でした」
そう告げるシーラの言葉に、俺は深く納得するのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1605
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1689