もしまだ読んでない方は、前の2話を読んで下さい。
取りあえずソ連という国が信用出来ないという事で意見が一致した後、一旦会談は終わる。
……いや、正確には謁見の間での公の会談が終わるというのが正しい。
その後はグランガランにある部屋での私的な会談となる。
とはいえ、その部屋はあくまでもグランガランにある部屋の1つで、シーラの私室といったような場所ではない。
あるいは俺とマーベルだけなら、シーラの私室に案内された可能性もあったが、ショットを始めとして他の面々もいる以上、そんな真似は出来ない。
ちなみにナの国側も、シーラ以外にカワッセの姿がある。
こっちの人数に対してナの国側は少ないが、シーラ的には側近のカワッセがいるので問題ないだろう。
「それでは、改めて。アクセル、無事で何よりでした」
私的な会話になった為か、アクセル王ではなくアクセルと呼ばれる。
また、シーラの表情も女王としての取り繕ったものから、女らしいものに変わっていた。
「アクセル、久しぶり!」
「アクセル? アクセルだぁー」
シーラの言葉に続くように、エルとベルが姿を現して俺に向かって飛んでくる。
突然のフェラリオの登場に驚いた様子を見せるトッド達。
バイストン・ウェルではそれなりにフェラリオを見るが、まさか地上で見るとは思っていなかったのだろう。
多分、ショウと一緒にいるチャムも地上に出てるんだろうな。
「2人も地上に出てたのか。地上はどうだ?」
「つまらなーい。それに、ニジェンスキーとかいう奴、絶対に何か企んでるわ!」
「そうだ、そうだー!」
ニジェンスキーとかいうのが、ソ連の代表としてシーラと交渉している人物らしい。
どういう人物なのかは分からないが、ソ連の人間というだけで怪しく思えるのは、俺の偏見か?
いや、ガロウ・ランと等しい存在とシーラが言っていたのを思えば、俺の印象は決して間違っていないだろう。
「まぁ、ソ連の件はともかくとして……正直、ビルバインの件は参ったぞ。俺はともかく、ドレイクが召喚したフェイっていう聖戦士がビルバインに乗ったショウに殺されたし」
その言葉に、シーラは悲しそうな表情を浮かべる。
とはいえ、戦力的には痛いが感情的な面では実はそこまで気にしていたりはしないんだよな。
アレンとはそれなりに友好的な関係を築けたが、ジェリルは俺を敵視していたし、フェイは何だかんだとあまり関わり合う事はなかったから。
「私の責任です」
「ちょっと、ビルバインの件はシーラ様の責任じゃないわよ! 勝手に持ち出した奴が悪いんだから!」
「そうだ!」
エルとベルがシーラを庇うが、シーラはそんな2人を止める。
「エル、ベル、お止め。私はナの国の女王。つまり、皆の上に立つべき者です。部下の責任は、私の責任となるのが当然でしょう。それに……あの者がナの国ではなくラウの国を選んだのは、私にそれだけの魅力がなかったからなのだから」
「シーラ様……」
エルがシーラの名前を心配そうに呼ぶ。
シーラの責任感は立派だが、だからといって部下の全てを把握するというのは、普通に考えれば不可能だ。
特にナの国のような大国ともなれば、余計にその辺りが問題となってくるだろう。
これがシャドウミラーなら、そこまで人数が多くないのでそういう心配はしなくてもいいのだが。
あ、でもエルフとかを入れると何気に結構な人数になるか。
ただ、エルフ達は俺を尊敬というか、崇拝しているような連中だしな。
そう考えれば、ビルバインの一件のような真似をする者はいない……と思う。
「大丈夫です、エル。私はナの国の女王なのですから。……この件に関しては、こちらでも色々と手を打っています」
前半はエルに、後半は俺に向かってそう告げるシーラ。
色々というのが、具体的にどのような手なのかは俺にも分からない。
分からないが、それでもシーラがそう言うのであれば、信じてもいい筈だ。
とはいえ、ビルバインを取り戻すといった真似は難しいだろうな。
いっそ俺がゼラーナに侵入して奪うといったような真似も出来なくはないのだろう。
「そうか。なら、今は取りあえずその件は置いておくとするよ」
ショウに見つかれば、狙われる可能性が十分にある。
だが、ドレイク軍やビショット軍のように、俺達は派手に動いている訳ではない。
ショウの性格を考えれば、それこそ地上で暴れているドレイク軍を見つければ、即座に攻撃をするといったような真似をするだろう。
正直なところ、出来ればジェリルの相手もショウにして欲しかったというのが正直なところなのだが。
「そう言って貰えると、助かります。……それで、アクセルはこれからどうするつもりですか?」
「どうするつもりと言われてもな。取りあえずドレイクやビショットとは違う、そしてラウの国とも違う第3勢力になればいいかと思っている。ナの国のオーラバトルシップがあるソ連に来たのも、ナの国も俺達と一緒に第3勢力として活動して欲しかったからというのもあるし」
勢力がドレイクとビショット、そしてラウの国……実際にはギブン家、ミの国、ラウの国の連合軍なのだが、率いているのがラウの国である以上、ラウの国と表現した方がいいだろう。
現在はそんな2つの勢力があり、そして勢力が2つであれば、お互いにぶつかり合うといったような事を平気で行う。
実際、以前俺とマーベルがトッドと再会した街の戦いでは、ドレイク軍とラウの国が戦っていたのだから。
それを思えば、やはり第3勢力である俺達が出現する事で、ドレイクやビショット、ラウの国といった面々も迂闊に行動出来なくなる。
あ、でも一応俺とドレイクの同盟関係はまだ継続中なのか?
ただ、地上に出た事でドレイクが一体どういう反応をするのか、それが非常に気になるところだ。
「第3勢力、ですか。確かに地上を迂闊に戦場にしないという意味では、いいのかもしれませんね。地上軍が第3勢力になれるとは思えませんし」
「地上の軍と一纏めにしても、実際にはバイストン・ウェル以上の国が存在するしな」
シーラの言葉に、トッドがそう言う。
実際、そんなトッドの言葉は決して間違っている訳ではない。
もし地上の国々が1つに纏まって行動するといったような事になれば、ドレイクやビショットも警戒する必要があるだろう。
兵器の質という点ではバイストン・ウェル側の方が圧倒的に上だし、何よりオーラバリアという強力なバリアを備えているのは大きい。
だからこそ、地上の軍隊がこちらの攻撃に対処するには、色々と試す必要がある筈だった。
だが、国と国の関係が悪化している以上、そんな真似は容易に出来ない。
仮に連合軍を結成したとしても、命令系統の違いであったり、自国の利益だけを考えて行動をするといったような事になってもおかしくはない。
「そんな訳で、地上軍は当てに出来ない。ソ連と敵対しているアメリカ軍とは一応友好的な関係を築いてはいるが、それだってアメリカ軍全体ではなく、アメリカ軍の一部でしかないし」
ハワイのアメリカ軍にはダーナ・オシーを譲渡した事で友好的な関係を築けている。
だが、それはあくまでもハワイにいるアメリカ軍だけだ。
他の場所にいるアメリカ軍は、場合によってはこっちに攻撃をしてきてもおかしくはない。
「そう、ですか。地上の国はあまりあてにならないようですね」
残念そうに呟くシーラだったが、地上の国というのは基本的に意味もなく面倒臭い手続きが必要な事が多い。
独裁国家の類であれば、その辺はどうにか出来るんだが。
「そうなるな。そんな訳で、第3勢力になるのなら俺達しかいない訳だ。それに第3勢力にならないと、それこそドレイク軍やラウの国との戦いに巻き込まれるぞ」
俺やショットはドレイク軍に、ナの国はラウの国にいつの間にか組み込まれているといったような事になっても、おかしくはない。
そうなった場合、それこそ意味のない戦いをしなければならないだろう。
そのような事は絶対にごめんなので、そういう意味でもやはり第3勢力になっておきたい。
「分かりました。その辺に関してはこちらもすぐに決めるような真似は出来ません。私自身は乗り気なのですが」
「そう言って貰えると、俺としては助かるよ」
そうして重要な話が終わると、次は色々な話……いわゆる、世間話となる。
シーラが聞きたがったのは、当然ながら地上についてだ。
まぁ、地上に出たと思ったらいきなりソ連の領土内だしな。
そういう意味では、シーラ達は運が悪かったのは事実だ。
せめて、どこかもっと別の……それこそ無人島とか、そういう場所に出ていたら、色々と動きようもあっただろうに。
シーラも俺達の話を聞いて、しみじみとそう思ったらしい。
残念そうな様子を見せていた。
「そう言えば、アクセルには渡す物がありました」
話をしている中で、不意にシーラがそんな事を言い出す。
「俺に? 何かあったか?」
「はい。嵐の球の件が終わった後で、お礼をすると言ったのを忘れましたか?」
「そう言えば、そんな風に言われていたな。俺はシーラからキスを貰ったんだし、それで十分……マーベル?」
「あら、なあに?」
にっこりと笑みを浮かべるマーベルだったが、その指はシーラや他の面々に見えないようにしながら、俺の脇腹を抓っていた。
それでも痛みに悲鳴を上げるような事がなかったのは、幸か不幸かどっちなんだろうな。
「マーベル、アクセルに何かをしてるのですか?」
「いえ、シーラ様には関係ありません。これは私とアクセルの話ですから」
「私のお礼が掛かっているのですから、私も十分関係してると思いますが?」
「シーラ様、頑張って!」
「頑張れー!」
何故かエルとベルがシーラの応援をしていた。
「それはともかくとして、お礼ってのは何だ?」
「はい。ショット・ウェポンがいるのなら、ちょうどいいかもしれません。私と一緒に来て下さい。カワッセ、ヴェルビンの用意を」
「は」
ヴェルビン? どうやらそれが俺に対するお礼の品らしいが……何だ?
そんな疑問を抱きつつ、俺はシーラに連れられて部屋を出るのだった。
「これが……ヴェルビン……」
グランガランにある格納庫。
そこで、俺は目の前にあるオーラバトラーを見て、その圧倒的なまでの迫力に驚きつつ、呟く。
実際、このヴェルビンというオーラバトラーから受ける迫力は、サーバインやズワウスと同等、あるいはそれ以上のものがある。
機体色は、俺が乗る事を前提としていた為か、サーバインやズワウスと同じく赤となっている。
意匠としては……ビルバインとはまた違った意味で、ダンバインの後継機と言ってもいいだろう。
ただ、ビルバインがオーラバトラーであってもロボット方面に進化したのに対し、ヴェルビンはオーラバトラーらしいオーラバトラー、生体兵器方面に進化した感じだ。
オーラソードの鞘がある位置も、オーラコンバータから広がっている羽根の場所という、サーバインやダンバインと似たような形となる。
前腕部には鋭い爪がついおり、足も同様に鋭い爪がある。
生身での状態であっても、相応の戦闘力があるのは間違いないだろうが……
「ショットクローはないのか?」
見た感じ、前腕部からショットクローが放てるようには思えない。
俺がオーラバトラーで戦闘する時、ショットクローを多用するだけに、これは少し残念だった。
これが俺の機体になるのなら、サーバインと同様にショットクローをつけて貰うか?
ついでに腕のオーラショットは……いや、出来るだけ早くヴェルビンを使いたい以上、オーラショットは複合兵装の方で何とかすればいい。
オーラコンバータをマジックコンバータに交換して、ショットクローを装備する。
それくらいの改修ならいけるか?
サーバインの修理の方も考えると、かなり難しい事になりそうだが。
こうして考えると、マジックコンバータは確保しておいてよかったと、そう思うよな。
あの時、ドレイクにマジックコンバータの報酬をした俺を褒めてやりたい。
そんな風に考えながら、ショットに視線を向ける。
「これは……もしや、これが新しいオーラバトラーの可能性……?」
ヴェルビンを見て、そんな風に呟くショット。
ズワァースをオーラバトラーの最終形と判断し、これ以上の発展は望めないと考え、MA的な存在のオーラファイターやオーラボンバーの開発に取り掛かった。
だが、こうして実際に目の前にあるヴェルビンは、間違いなくダンバイン系統の最高進化形と言ってもいい。
高機動型という点でも大きい。
標準の状態だと、飛び道具を持っていないというのが痛いが。
その辺は改修すればどうにでもなる。
「どうやらその様子を見ると気に入って貰えたようですね。このヴェルビンを、アクセルに託します」
シーラが俺を見てそんな風に言ってくる。
あまり表情には出ていないものの、俺がヴェルビンを見て驚き、気に入った様子を見て、かなり満足そうにしているように思えた。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1605
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1689