破壊されたハイパーズワァースは、レプラカーンの時と同じく、砕かれるようにして消滅していった。
ステータスを確認すると、撃墜数が1増えてるのを見ればバーンが死んだのは間違いない。
「これ以上の戦闘は無用だ! ビショット軍は降伏せよ!」
オープンチャンネルで周囲に俺の通信が響き渡る。
ハイパーズワァースを倒したという時点で、戦場にいた多くの者が俺を見ていた。
その結果として、多くの者が戦闘を止めた。
……とはいえ、ゲア・ガリングは当然ながら、ナムワンやブル・ベガーといったオーラシップは数隻くらいまで減っている。
それでも敵を降伏させる事が出来たのは大きな意味がある。
ビショット軍の残数は……戦いが始まった時と比べると、3割……いや、2割か?
勿論、ビショット軍を多数倒したのは俺達。
ハイパーズワァースが破壊したビショット軍の数はかなり小さいのだが。
そんな今の状況でも、とにかくビショット軍が降伏したのは俺にとって悪い話じゃなかったのは間違いない。
「キブツ、ショット、シーラ。降伏した連中を引き連れて一度移動するぞ。このままここにいると、ゴラオン隊が来る可能性がある」
ゴラオン隊が来た場合、どうなるか。
恐らくではあるが、素直にお互いの戦いを称え合う……などといったような事にはならない。
間違いなく、面倒な事になる。
場合によっては、それこそここで再び戦いが起きる可能性も十分にあった。
ビショット軍と全面的に戦っていた、俺達。
それに対してゴラオン隊は、敵と戦ってはいたものの、その数は少ない。
ヨーロッパ各国の戦闘機がビショット軍のオーラバトラーを誘き出し、それをゴラオン隊が倒すといったような真似をしていた。
そういう意味では、戦闘はしていたものの疲労という点では俺達よりもかなり少ない。
だからこそ今のうちにここから離れて、状況を整理する必要があった。
こちらに降伏したビショット軍にしても、本当にこれから先俺達と共に行動するといったようにするかどうかを改めて聞く必要がある。
中には話に流されて俺達に降伏したといったような奴もいる可能性は十分にあった。
また、俺達と共に行動するにしても、ヨルムンガンド、スプリガン、グランガランのどれと行動を共にするのかを調べる必要があった。
とはいえ、恐らくヨルムンガンドに乗る奴が多くなると思うんだが。
スプリガンはオーラクルーザーで、ブル・ベガーと同じくらいの大きさでしかない。
グランガランは、ナの国で使われているオーラバトラーもダーナ・オシー系。
それに対して、ヨルムンガンドはドレイク軍系の技術が使われており、ヨルムンガンドも巨大なオーラバトルシップなのだから。
そうである以上、ビショット軍の兵士にとって馴染みがあるのは俺達の筈だ。
そんな訳で、降伏した者達、海に落ちて助けを求めている者達といったビショット軍を回収する。
何気に海に落ちた者達の回収で一番効率的に動いたのは、グランガランだった。
正確には、グランガランと一緒にいるナムワンやグリムリーといったオーラシップが多数いるので、そこに乗っているボゾンやボチューン、更にはダーナ・オシーまでもが出て、回収していったのだから。
ダーナ・オシーは性能が低すぎるので、実戦で使うのは難しい。
いや、オーラバリアがあるので地上軍を相手にした場合は十分に使い道はあるが。
ただし、相手がオーラマシンであれは使い道はない。
ないのだが、それはあくまでも戦いでの話だ。
今回のように海に落ちている相手を救うといったような真似をするのなら、ダーナ・オシーで十分に可能だった。
そんな訳で、いつゴラオン隊が来るのかといった心配をしつつも、俺達はビショット軍の面々を回収し……そして、その場から移動する。
「イギリスに作戦成功の通信は送ったのか?」
『ええ、その辺は問題ありません』
グランガランのブリッジにいるシーラがそう言ってくる。
どうやらその辺の行動には抜かりがないらしい。
ショットもまた、そんなシーラの素早い行動に関心した様子を見せている。
「となると、やっぱり出来るだけ早くここを離れた方がいいな」
そんな俺の言葉に他の2人も反対を見せる事はなく……俺達はその場を離れるのだった。
「で、結局どうなった?」
ビショット軍の兵士は、その大半がヨルムンガンドに収容されていた。
ショットのスプリガンはブル・ベガーと同じくらいの大きさしかなく、グランガランはクの国とはあまり関係のないナの国のオーラバトルシップだ。
それを思えば、クの国に何度か行ったこともあり、時にはビショットの護衛もしていた俺がいるヨルムンガンドにいる方がまだマシといったところなのだろう。
勿論、大半がと表現したように、中にはスプリガンの方に知り合いがいてそっちに行ったり、とてもオーラバトルシップとは思えないようなグランガランに興味を抱いてそちらに行ったりした者もいる。
そんな状況で戦闘を行った場所から離れ、一段落したところでこれからどうするのかというのを、改めて降伏した面々に尋ねたのだ。
本来なら、もう少し時間が経ってから……具体的には明日とかそれくらいに聞けばいいのかもしれないが、何にしろ捕虜の人数が多すぎた。
当然だが、ヨルムンガンドにも牢屋の類があるが、とてもではないが全員そのような場所に入れることは出来ない。
現在はヨルムンガンドに多数ある部屋で待機して貰っている。
だからこそ、いつもまでもそのような不安定な状況にしておくのは嬉しくない。
俺達と合流するのなら、しっかりと戦力として働いて貰う。
元々ヨルムンガンドは、その巨体に比べて人の数が少ない。
キブツ率いるキッス家の面々や、ドレイク軍から派遣されてきた者達が動かしているし、ヨルムンガンドはショットやゼット達の力によって可能な限り自動化が進んでいる。
しかし、それで人が多くなれば今よりももっとヨルムンガンドを有効的に使えるのだ。
だからこそ、使える人材は出来るだけ多く確保しておきたい。
「アクセル王の考えは分かりますが、少し危険なのでは?」
「危険?」
「はい。ビショット軍の……こう言っては何ですが、残党です。最初こそこちらに友好的に接していながらも、虎視眈々と復讐の機会を狙っている可能性は十分にあります」
「それは……あるか? そもそもビショットはルーザに誑し込まれていた状態だったし、そんなビショットとルーザを殺したのはバーンだぞ? おまけにゲア・ガリングを破壊したのもバーンだ。そんな状況で俺を恨む奴が……まぁ、いないとは言い切れないか」
愛や憎悪というのは、理屈ではない。
バーンが生きていれば、ビショットを殺した憎悪をバーンに向ける事も出来ただろう。
だが、そのバーンは既にいない。
ハイパー化の影響で既に死ぬ寸前だったところで、俺がその命を奪った。
主君を殺したバーンを殺した俺を恨むというのは、十分に有り得る。
ましてや、俺はルーザのせいとはいえ、ビショット軍と敵対していたのだ。
それを思えば、俺を恨む者が誰もいないとは言い切れないだろう。
「分かって貰えたようですね。下手をすればアクセル王を狙って……」
「俺が暗殺者如きにどうにかされると思うか?」
「いえ、それは思いませんが」
混沌精霊の俺は、物理的な攻撃では全くダメージを受ける事がない。
とはいえ、オーラバトラーはオーラ力というのが影響してるので、オーラバトラーとかを使って攻撃してくれば、もしかしたら被害を受けるといった可能性は否定出来ないが。
「ですが、アクセル王に危害を加えられないとなると、今度はヨルムンガンドに破壊工作を行う可能性があります」
「それがあったか」
俺を狙ってくるのであれば、それこそ好きにすればいいと思う。
少なくても、周囲にいる者達に被害が出ないようにして、俺だけを狙ってくるという条件なら、受け入れてもいい。
だが、ヨルムンガンドで破壊工作をされるというのは、かなり困る。
ヨルムンガンドはオーラバトルシップで、一品物だ。
それだけに、下手に壊れたりした場合に修理は難しい。
せめてもの救いは、オーラバトラーと違って恐獣を素材とした部品はそこまで多くはないということか。
ある程度なら、地上の技術で修復可能となっている筈だ。
とはいえ、破壊工作をされないのが最善なのは間違いない。
まさか、全員に鵬法璽を使う訳にもいかないし……いや、使おうと思えば使えるが、出来ればそのような真似は避けたいというのが正直なところだ。
そうなると……どうするべきか。
少し考え、それならいっそ俺に逆らわないようにしてしまった方がいいと判断する。
勿論鵬法璽の類を使うのではなく、もっと別の方法で。
「よし。取りあえずやってみるか。……ヨルムンガンドにいる捕虜のうち、俺に従いたいと言ってる者を集めてくれ」
「アクセル王? 一体何を……?」
「俺に逆らおうとは思えないよう、力を見せつけて反抗心を折っておく」
そんな俺の言葉に、キブツは本当に大丈夫なのかと不安そうな様子ではありつつも、それでも素直に俺の指示に従うのだった。
ヨルムンガンドの格納庫。
一番広いのはそこだったので、捕虜の中でもこのまま俺に従うといった者がここに集まっていた。
……ちなみに、本当にちなみにだが、ソ連で俺達を襲ってきたオーラバトラー隊のパイロットもしれっとそこに混ざっている。
まぁ、それは別にいいんだが。
そんな捕虜達を前に、俺は口を開く。
「さて、お前達はこのまま俺に従うという選択をした者達だ。だが……当然ながら少し前まで敵だった以上、素直にそれを信じるといったような真似は出来ない。また、この中にはビショットの仇として俺を狙っているような奴が、ヨルムンガンドで破壊工作をしようと考えている者もいるかもしれない」
俺の言葉に、ビショット軍の兵士達が何か言おうとするも、俺はその前に改めて口を開く。
「お前達が何を考えているのかは、俺にも分からない。だが、そのような可能性があるというのは、十分に理解出来る。しかし……もしそのような真似をした場合、どうなるのかはよく考えろ。ゲア・ガリングが黒騎士によって破壊された以上、既にお前達の故郷と呼ぶべき場所はない」
それは皆が知っていた事ではあったが、改めて俺に言われると思うところもあったのだろう。
実際、今の状況を考えれば頼るべき場所や相手がいないのは間違いない。
それを多くの者が知っているからこそ、素直に俺達に降伏した者も多いのだから。
「さて、話は変わるが。俺がどういう存在なのかを知っている者は、あまりいない筈だ。それなりにビショットと付き合いがあったが、それはあくまでもビショットだけで、お前達のような一般の兵士とはあまり付き合いがなかったからな。そんな訳で、俺がどういう存在なのか……どういう力を持つのか、見せよう」
え? と。
突然変わった話に、兵士達は戸惑った様子を見せる。
しかし、俺はそんな相手を特に気にした様子もなく行動に移った。
とはいえ、その行動はそこまで複雑なものではない。
ただ、単に床にある自分の影を軽く二度踏んだだけだ。
ただし、出て来いという意思と共に。
そして次の瞬間、俺の影からとある存在が姿を現す。
見るからに……いや、見ただけで恐怖を抱いてしまう、そんな存在。
それは、刈り取る者という名前通り、容易に人の命を刈り取るだけの実力を持つと、そう本能的に理解出来る存在だ。
手に持つのは、拳銃。
ただし、その拳銃の銃口はライフルか何かと思う程に長く、それが余計に異彩を放っていた。
「あ……あ……」
兵士達の中で一番近くにいた兵士が、刈り取る者の圧力を間近で受け、そんな声を漏らす。
悲鳴を上げるといったような真似は出来ず、呻き声を漏らすような真似しか出来ない。
とはいえ、刈り取る者の存在に対し、本能的に怯えているのはその兵士だけではない。
他の者達も同様に、多かれ少なかれ怯えた様子を見せていた。
よし、これで十分だな。
刈り取る者を見ても特に反応しないようなら、それこそ魔法か何かを使って貰うつもりだったのだが、ビショット軍の兵士は完全に心が折れていた。
何人かは俺に挑発的な視線を向けている者もいたのだが、今の状況ではとてもそのような視線を向けるといったような真似は出来ない。
「戻れ」
短く言うと、刈り取る者は素直に俺の影に戻っていく。
これがネギま世界やペルソナ世界の住人なら、刈り取る者と相対してもここまで怯えるといったような事はないんだが。
「今のは刈り取る者という存在で、俺の召喚獣だ。召喚獣というのは……まぁ、簡単に言えば俺の指示に従ってどこにでも姿を現せるような存在だな。そんな訳で、もし俺の命を狙ったり、ヨルムンガンドに破壊工作をしたりといったような真似をする場合はくれぐれも気をつけろよ?」
そんな俺の言葉に、ビショット軍の兵士達は全員が素直に頷くのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1690
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1706