転生とらぶる   作:青竹(移住)

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3004話

 俺の乗ったヴェルビンが、ヨルムンガンドの格納庫から出撃する。

 ヴェルビンを使った初めての戦いが、まさかドレイク軍との戦いになるとはな。

 てっきり、ゴラオン隊……いや、ゼラーナ隊が俺やショットを狙って攻めてきて、それと戦う為に出撃するといったような流れになるとばかり思っていたんだが。

 そんな風に思いながら、俺はオープンチャンネルを使って戦場にいる全ての者に語りかける。

 

「この戦場にいる、全ての者に告げる。俺はアクセル・アルマー。この戦場にいる者であれば、当然俺の名前は知っているだろう。さて、ドレイク軍に所属する者に宣言する。降伏しろ。個人であっても、部隊であっても、オーラシップごとであっても構わない。ドレイク軍に所属しているのなら、俺の……そして俺達の強さは十分に知っている筈だ。そうである以上、俺達と戦うというのは自殺行為でしかない。それは、十分に分かっているだろう。だからこそ……降伏しろ。今ここで降伏をするのなら、悪いようにはしない。そして俺の味方である者達にも告げる。降伏した相手に対しては、攻撃する事を禁じる。ただし、降伏する振りをしてこちらを攻撃してきた場合は、例外的に殺してもいい」

 

 その言葉は、間違いなく戦場中に響いた筈だ。

 ドレイク軍の兵士は、以前アメリカで戦った連中を見る限りでは地上に出た影響でかなり好戦的になっている。

 そうである以上、俺の言葉で大人しく降伏するとは限らないが、それでも全員が好戦的になっているとは限らない……と、そう思いたい。

 ともあれ、この戦いが終わった後も俺達は地上で行動する事になる。

 ゲートが機能するようになれば味方をホワイトスターに連れていく事も出来るが、それが具体的にいつになるのかは分からない。

 そうである以上、出来るだけこちらの戦力が多い方がいいのは間違いなかった。

 なかったのだが……

 

「うわ、予想以上に降伏する奴が少ないな」

 

 降伏するといった選択をした者が皆無という訳ではない。

 それでもドレイク軍の1割にも遠く及ばない程度となってしまうと、こちらとしてはかなり予想外だった。

 ドレイク軍の兵士であれば、俺がどれだけの力を持っているのかは分かっている筈だ。

 ましてや、赤い機体に乗っている俺を見れば、それが俺の機体であるというのもドレイク軍の兵士ならすぐに理解出来るだろう。

 にも関わらず、こうして降伏を選択する者が少数なのは……ドレイクに対して深い忠誠心を抱いているのか、もしくはマーベルやトッド達が戦ったドレイク軍の兵士のように好戦的になっているのか。

 どちらかは分からないが、この状況で俺達がやるべき事は決まっていた。

 

「全軍、突撃! 降伏した者達を殺させるな!」

 

 俺の指示に従い、出撃したオーラバトラー隊が敵に向かって進む。

 そして背後からは、オーラシップやオーラバトルシップからの援護射撃が行われる。

 当然、ドレイク軍の方も俺達に対して同じように攻撃をしてくるが、そんな中でも別の行動をしている者達がいた。

 俺の降伏勧告に従い、こちらに合流しようとしたオーラバトラーに対して、ドレイク軍のオーラバトラー隊が攻撃したのだ。

 とはいえ、これは考えてみればそこまでおかしな話ではない。

 ドレイク軍にしてみれば、降伏しようとする者達は裏切り者だ。

 そのような裏切り者が近くにいる以上、その相手を攻撃するのは当然の事だった。

 当然の事ではあるが、だからといってそれを俺が見逃すかと言えば、その答えは否。

 

「させるか!」

 

 ヴェルビンの持つ圧倒的な機動力……それこそサーバインやズワウスをも上回るその速度で、一気にドレイク軍に向かって突っ込んでいく。

 その最中に複合兵装のオーラショットを撃ち、3機のドラムロを撃破する。

 当然移動しながらの射撃だが、それで移動速度が落ちるという事はない。

 ……撃破されたドラムロ方はヴェルビンの一撃によって死んだので、一体何があってこうなったのかは全く分からなかっただろうが。

 

「次!」

 

 複合兵装の盾はオーラショット、オーラバルカン、ショットクロー、ついでに先端が打突武器になっていて非常に便利ではあるが、唯一の難点としては盾が武器のプラットフォームになっている以上、オーラショットとオーラバルカンの残弾数が少ないというのがある。

 これがサーバインの前腕にあるオーラショットなら、弾倉があるのでその辺について心配しなくてもいいのだが、複合兵装ではそういう真似が出来ない。

 使いやすい複合兵装だが、その点が欠点の一つだな。

 そんな訳で、残弾の心配をしなくてもいいマジックソードライフルを手に取る。

 俺の魔力をエネルギーにして放つこの武器は、だからこそ残弾の心配をしなくてもいい。

 それにヴェルビンの慣らしでそれなりに使ってはいたものの、それはあくまでも模擬戦や試射といった形だった。

 つまり、マジックソードライフルを本当の意味で実戦に使うのは、これが初めてとなるのだ。

 

「食らえ」

 

 放たれたエネルギー弾は、次の瞬間にはこちらに降伏しようとしていたライネックに攻撃をしようとしていたビランビーのコックピットを貫き、爆散させる。

 にしても、何でビランビー? そこは普通はビアレスだろ。

 そう思ったが、多分ドレイク軍としても戦力を少しでも増やす為に旧式機でも使っているのだろうと判断する。

 いやまぁ、そんなビアレスよりも旧式のドラムロが普通に使われているんだから、そんな事を考えても意味はないのだろうが。

 とはいえ、ドラムロはドレイク軍の中でも正式量産機で、ビアレスは少数しか生産されていないという違いはあるが。

 

「後方に行け。ただし、妙な真似をするなよ?」

 

 こっちに逃げてきたライネックに触れ、そう通信を送る。

 

『わ、分かってるよ! こんな状況で死んでたまるか! 俺は生きるんだからな!』

 

 そう叫び、ライネックはオーラコンバータを全開にして後方……こちらの陣営に向かって飛んでいく。

 それを見送っていると……ズワァースが1機、曲刀型のオーラソードを手にこちらに向かって突っ込んでくる。

 ズワァースを与えられているって事は、ドレイク軍の中でも精鋭なのは間違いない。

 何しろ、最新鋭量産機のライネックと比べても、ズワァースの製造コストはかなり高価だ。

 少なくても、広大な領土を持つようになったアの国を治めるドレイクであっても、大量に量産するといった決断が出来なかったくらいには。

 

『死ねぇっ! アクセル王の首を獲れば、褒美は思いのままだ、俺の手柄の為に死ねぇっ!』

 

 ズワァースのオーラソードを、オーラビームソード……ではなく、オーラソードで受け止める。

 何気に2刀流といった形になっているが、この辺の動きは模擬戦でそれなりに練習しているので、問題はない。

 本来なら2刀流というのは片手で1本の武器を持つという事から、相手の攻撃を片方の武器で防いでも押し切られる可能性がある。

 しかし……俺が使っているのはヴェルビンという、サーバインやズワウスよりも高性能な、恐らくは現時点で最強のオーラバトラー。

 ズワウスのベースとなったズワァースの攻撃を防ぐといったような真似をするのは、そう難しい話ではない。

 オーラソードでズワァースの一撃を防ぎ、マジックソードライフルの先端にビームソード――正確にはビームではないのだが――を作り出し、それを使ってズワァースのコックピットを貫く。

 一撃でコックピットを貫かれたズワァースだけに、当然ながらパイロットは死んだ。

 

「この機体をヨルムンガンドまで持っていけ」

 

 近くにいたヨルムンガンドのオーラバトラー隊のアルダムに、そう告げる。

 

『は!』

 

 アルダムのパイロットは素早く返事をすると、そのまま去っていく。

 アルダムはドラムロよりは新しいが、全体的に見た場合、かなり古い機体だ。

 勿論、ドレイク軍は現在でもドラムロが主力なので、アルダムでも一線級で戦えるのだが……それでも、やはりライネックのような最新鋭量産機を相手にすると厳しい。

 また、この戦いだけではなくこれからの事もある以上、アルダムのパイロットには第一線で戦って貰うのではなく、援護のような事をして欲しい。

 

「っと!」

 

 離れた場所にいたドラムロが放ったフレイボムを回避し、マジックソードライフルでエネルギー弾を撃つ。

 あっさりとコックピットを貫かれ、爆散するドラムロ。

 向こうにしてみれば、俺の動きが止まっていたので攻撃をする絶好のチャンスだと思ったのだろうが、甘い。

 そうしながら周囲の様子を確認すると、さっきのアルダムを始めとしてこちらの部隊も敵との戦闘を繰り広げていた。

 そんな中で目立つのは、やはりガラバとブブリィの2機だろう。

 ん? いや……あのガラバ、ジャバが操縦してるにしては、妙に動きが悪いような?

 イギリスで俺がジャバの操縦するガラバと模擬戦を繰り返していたのは、伊達ではない。

 元々ジャバは、バイストン・ウェルに聖戦士として召喚されてもおかしくないだけのオーラ力を持っていた。

 パイロットとしての才能も高く、それで最初は天狗になっていたところを、俺がその鼻を折ってやったのだが、それによってジャバも自分が最強ではないと知り、訓練を真面目に行うようになった。

 そんなジャバをヴェルビンの模擬戦相手として選び、数え切れない程に模擬戦をやったのだ。

 当然のようにジャバの技量は上がり……それだけに、あのガラバの動きは明らかに俺の知っているジャバのそれではなかった。

 次の行動に移るにも、明らかに遅い。

 俺との模擬戦であのような行動を見せれば、すぐに撃墜扱いになっていただろう。

 どうなっている?

 そんな疑問を抱き、俺はビアレスを撃破しているガラバに近付いていく。

 そうして接触したところで、通信を送り……

 

「って、ゼットか!?」

 

 映像モニタに表示された相手を見て、半ば反射的に叫ぶ。

 そう、映像モニタに表示されているのは、間違いなくゼットその人だった。

 

「なんでゼットが戦場にいる!?」

 

 映像モニタに表示されたゼットに向かい、そう叫ぶ。

 当然だろう。ゼットは技術者としては一流であるものの、戦場に立つ者としては素人に近い。

 いやまぁ、ブブリィとかの開発に関わっている以上、本当の意味で素人って訳じゃないのは間違いないだろうが。

 それにショットとゼットがシルキーに召喚されたのは間違いないのだ。

 シルキーに召喚されたという事は、当然ながら高いオーラ力を持っており、聖戦士としての才能もあったのは間違いない。

 そういう意味では、戦場に出てもおかしくはないのだが……ぶっちゃけ、聖戦士としてのゼットよりも、技術者としてのゼットの方が大きな意味を持つ。

 

『アクセルか。……悪いが、ここは黙って行かせてくれ』

 

 ゼットが映像モニタの向こう側でそう言ってくる。

 この様子からすると、間違いなく強い覚悟を持っているような、そんな様子だ。

 一体何を考えてこんな行動をしてるんだ?

 

「ゼット、お前が何を考えてこんな真似をしているのかは分からない。分からないが、ちょっと戦場を軽く見てないか? ドレイク軍は、俺達と敵対した。もしドレイク軍にお前の顔見知りがいても……」

 

 そこまで言った瞬間、ゼットが何故このような真似をしたのかに気が付く。

 そうか、ゼットの恋人のガラリアはドレイク軍にいる。

 ゼットと一緒の場所に転移したのならまだしも、そういう事がなかったのを考えると、ガラリアがドレイク軍にいるのはほぼ間違いないだろう。 

 そしてゼットは当然のようにそこを予想しており……

 

「ガラリアか」

 

 そう短く言うと、ゼットが明らかに動揺した。

 どうやら俺の予想は正解だったらしい。

 

「だが、お前が戦場に出て来て、ガラリアをどうにか出来ると思っているのか?」

 

 現在のガラリアが、どんなオーラバトラーに乗っているのかは分からない。

 タータラ城での戦いでは、まだバストールに乗っていた。

 しかし、当然ながらバストールは運動性や機動性は高いものの、防御力にはかなり問題を抱えている機体だ。

 そうである以上、ガラリアが今もバストールに乗っているとは限らない。

 現在のガラリアの立場は、ドレイクの筆頭騎士だ。

 そうなると、バストールではなくズワァースに乗っていてもおかしくはない。

 ヴェルビンやら何やらで色々と変わってきてはいるが、それでもズワァースが現在ドレイク軍の中でも最高性能のオーラバトラーであるのは間違いのない事実なのだから。

 ズワウスは……まぁ、ズワァースのカスタム機って事で、一応ズワァース枠に入れておいてもいいだろう。

 

『それでもだ! それでも俺はガラリアを取り戻す!』

 

 叫ぶゼットだったが、もし戦場でガラリアとゼットが遭遇しても、ガラリアを説得出来るかと言われれば……どうだろうな。

 俺の知る限り、ガラリアはかなりの出世欲を持つ。

 そんなガラリアが、ドレイクの下を離れてこっちの味方になるというのは、正直難しいと思う。

 思うのだが、ゼットの様子を見れば俺が言って聞くような真似はしないだろう。

 

「分かった。なら、せめて護衛を付けろ」

 

 俺の言葉に、ゼットは笑みを浮かべるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1720
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.11
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1712

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