ゴラオン隊が、ここで出て来るというのは予想していた。
だが……それでも、こうして俺達が戦っているところに姿を現し、それこそもう少しでドレイクを説得出来るかもしれなかった時に、横から攻撃してくるというのは許容出来ない。
許容出来ないものの、ある意味でこれがゴラオン隊の狙いであるのかもしれないとも思ってしまう。
ゴラオン隊にしてみれば、ドレイク軍も俺達連合軍も、双方共に厄介な相手という認識の筈だ。
シーラのナの国は多少話が別かもしれないが。
ともあれ、こうして俺達に向かって攻撃をしてきたという事は、これからの戦いは三つ巴になるだろう。
何よりも厄介なのは、先程の一撃でドレイクが死んだ事だろう。
もしかしたら……本当にもしかしたらだが、先程の一撃でもまだドレイクが生きている可能性は否定出来ない。
しかし、ウィル・ウィプスはもう使い物にならないのは、様々な場所から黒煙を上げ、複数の爆発を起こしながら海上に向かって落下していっているのを見れば明らかだ。
ウィル・ウィプスは、出来れば入手したかったんだけどな。
「ゴラオン隊が不意打ちをしてきたぞ! ドレイクが殺された! 全機、ドレイク軍だけではなく、ゴラオン隊にも注意しろ!」
オープンチャンネルで叫ぶ。
当然のように、そんな俺の通信は連合軍に所属している者だけではなく、ドレイク軍にも聞こえただろう。
ドレイク軍に対し、ドレイク軍だけではなくゴラオン隊にも注意しろと言っても意味が分からないかもしれない。
だが、先程のゴラオンの放ったオーラノバ砲によってウィル・ウィプスが致命的なダメージを受けたのは、海上に落下していく姿を見ればすぐに理解出来る筈だった。
そしてドレイク軍は、地上に出た影響で好戦的になっている奴もいたものの、基本的にドレイクに対する強い忠誠心を持っているものが多い。
バイストン・ウェルにいた時はそこまで強い忠誠心を持っていなかったのかもしれないが、地上に出て来てそれは変わった。
多くの兵士が、家族や恋人と別れて地上に出て来たのだから。
そんな兵士達にとって、自分達を率いたドレイクという人物は、信じるに値する存在なのだろう。
そんなドレイクを……それも正面から戦って殺したのではなく、俺達と戦っているところで横から不意打ちをして殺したのだ。
ドレイク軍の兵士達にとって、そんなゴラオン隊は決して許容出来ない相手だろう。
事実、俺がオープンチャンネルで流した情報を聞き、俺達と戦うのではなく、ドレイクを不意打ちで殺したゴラオン隊に向かって攻撃をしようとする者がそれなりにいた。
予想通りの展開になってはいるが……だからといって、完全に思い通りという訳ではない。
ドレイク軍の中には、戦っているうちに何らかの因縁が生じたのか、未だに連合軍のオーラバトラー隊と戦っている者もいた。
それこそ、こういう時にドレイクがいてくれれば、軍を纏めるといったような真似も出来るのだろうが……いや、そもそもドレイクがいれば最初からこういう事にはなっていないか。
そう思っていると、不意にオープンチャンネルで通信が響き渡る。
『ドレイク軍の兵士達よ。私はミズル・ズロムである。ドレイク王は、ラウの国のゴラオンによる卑劣な不意打ちによって亡くなられた。よって、この戦いの間は、私が軍の指揮を執る! 全軍、アクセル王の軍ではなく、ドレイク王を殺したゴラオンを、そしてゴラオンに従う者達を沈めよ! これは、ドレイク王の仇討ちである!』
その声は、ドレイク程ではないにしろ、堂々とした迫力を持っていた。
一瞬、ミズルって誰だ? と思ったが、そう言えば以前ドレイクの開いたパーティか何かで話した事があったな。
バーンやガラリアとはまた違った意味で、ドレイクの信任が厚い男だ。
バーンやガラリアがオーラバトラーに乗って前線で戦う存在であるのに比べると、ミズルはオーラシップの艦長としてドレイクに重宝されていた人物。
実際、ドレイク軍の中でもナムワンよりも高性能なブル・ベガーの1番艦を与えられていたというのを考えれば、ミズルがどれだけドレイクに信頼されていたのかが分かりやすい。
そんなミズルの言葉だけに、俺の言葉だけでは従うのを嫌がった者達も、結構な数がゴラオンに向かって移動を始めた。
……それでも、ミズルの言葉を無視してこっちの部隊に攻撃を仕掛けて来るような奴もいるので、完璧ではないのだが。
ともあれ、これで俺達とドレイク軍VSゴラオン隊という形には持っていけた。
俺の感傷であったり、この戦いが終わった後の事を無視して、純粋に現在の状況だけを見れば、これは決して悪いものではない。
もしこの状況でゴラオン隊がこの戦いに乱入してこなかった場合、俺達とドレイク軍との戦いが終わった後は、恐らくゴラオン隊との決着をつけることなく、話し合いでお互いが共存といった形になっただろう。
とはいえ、ゴラオン隊にはギブン家がいる。
宣戦布告も何もなく、ドレイクが開いた園遊会に襲撃を仕掛けて来るような連中だ。
共存といった形になっても、何らかのテロ活動をしてきてもおかしくはない。
そしてギブン家の者達にとっては、テロ活動を続けてきただけに、それを躊躇する事はない。
そうなれば、一応は戦後になっている以上、かなりの面倒だっただろうが……こうして戦場に出て来た以上、この戦いでゴラオンを……そしてゼラーナを叩いても、誰からも文句は出ない。
ヴェルビンの映像モニタには、しっかりとゴラオンから少し離れた場所に存在するゼラーナの姿が映し出されている。
勿論、ナムワンの他にもグリムリーも多数いるので、そちらを撃破する必要も出て来るが。
にしても、一応シーラを通してイギリスの女王にこの戦いでゴラオン隊は動かないようにと要請してたんだけどな。
ゴラオン隊にしてみれば、俺達を一網打尽にするチャンスだけにその機会を見逃すといった真似は出来なかったってところか。
多くのオーラバトラー隊が……そしてオーラシップがゴラオン隊に向かうのを見ながら、グランガランに通信を入れる。
「シーラ、残念な結果になったな」
『そうですね。まさか、このような手段に出るとは……』
シーラも、まさかこの状況でゴラオン隊が出て来るというのは完全に予想外だったのだろう。
驚き、そして悲しみが混ざった表情をうかべている。
分かっているのだろう。これがゴラオン隊にとって致命傷であるという事を。
恐らくゴラオン隊としては、俺達とドレイク軍が正面から戦って双方共に損耗したところを狙って、一網打尽にする予定だったと思われる。
しかしその企みはドレイク軍との戦いで俺達が有利に……それも少しだけ有利といった訳ではなく、圧倒的な有利になった事で崩れる。
そのようになったのは、純粋に戦力の質の差だろう。
ドレイク軍にはガラリアと……すっかり忘れていたが、ミズルの二人くらいしか突出した人材はいなかった。
しかし、こちらはオーラバトルシップが2隻に、オーラクルーザーが1隻、そしてヴェルビンやガラバ、ブブリィといった新型機や、聖戦士、聖戦士に匹敵する実力を持つ者が多い。
全体の数としてみれば少数ではあるが、その少数の特化戦力が戦局を決定づけた。
……ドレイクが頼りにしていたガラリアも、オーラ力が増したマーベルに圧倒されたし。
「そんな訳で、悪いがゴラオン隊と話し合うといったような真似は出来ない。それは承知してくれるな?」
『分かっています。この状況でそのような事を考えるつもりはありません。それに……この状況は、ある意味で都合がいいのも事実』
「……都合がいい?」
シーラの口から出た言葉に、疑問を感じる。
いやまぁ、都合がいいというのは俺も思っていたから納得出来るが、シーラが俺と同じ意味で都合がいいと言ったようには思えなかったのだ。
だとすれば、そこには何かもっと別の理由がある筈だった。
『いえ、こちらの事です。ただ……もしかしたらオーラ力が……いえ、ここで言っても仕方がないですね。アクセルのおかげで成功率が高くなったのは間違いないですが』
そういう風に意味ありげなことを言われると、余計に気になるんだが。
とはいえ、シーラの様子を見る限り、ここで俺が聞いてもそれを教えるようには思えない。
だとすれば、ゴラオン隊がここに来たのが都合がいいというのがどういう意味なのか、それこそこの戦いが終わった後でゆっくり聞けばいい。
「分かった。なら、取りあえずゴラオン隊を倒してしまうか。出来ればゴラオンは入手したいところだが……難しいだろうな」
ゴラオンはゴラオン隊という名前の通り、旗艦だ。
当然のように防御力は高いし、何よりゴラオンがオーラバトルシップの中でも最も戦闘に特化しているだけあって、非常に強力だ。
ましてや、旗艦だけに降伏しろと言ってもそう簡単に降伏はしないだろう。
空間倉庫に収納しようにも、ゴラオンの中に1人でも……いや、ネズミとか1匹いるだけでも、空間倉庫に収納は出来ない以上、そちらもまた難しい。
そうなると、やっぱり撃破してしまうのが一番手っ取り早いだろう。
ただし、撃破は撃破でも出来るだけ被害が少ない状態で撃破すれば、後でショットやゼットを始めとした技術者達に直して貰えるだろうが。
『そうして下さい。ドレイク王はともかく、アクセルを一緒に倒そうとするとは……許せません』
あ、これ何気に怒っているな。
というか、オーラノバ砲で念動力が危険を察したという事は、オーラノバ砲は単純なエネルギー砲というだけではなく、多分オーラ力が混ざってるとか何とかで、俺にも普通にダメージが当たるんだろうな。
そういう意味では、シーラの心配も決し杞憂という訳ではないのか。
「分かった。なら……まずはこの戦いを終わらせてから、俺とマーベルとシーラでゆっくりしよう」
『な……』
突然の言葉に驚き、顔を赤くするシーラだったが、シーラが何かを言うよりも前に通信を切る。
出来ればいつまでもシーラと話していたかったが、今はこの戦いを終わらせる方が先決だ。
そう判断し、ヴェルビンを前線に向かわせる。
「うわ……凄い事になってるな」
ブブリィが、ゴラオン隊のオーラバトラー隊を蹂躙している様子が映像モニタに映る。
また、少し離れた場所では、ガラバも同様にその性能を最大限に発揮していた。
さっきはゼットが乗っていたが、どうやらスプリガンに戻ってパイロットはジャバに変わったらしい。
となると、ジャバはオーラバトラーに乗らずにスプリガンで待機していたのか。
ジャバの性格を考えれば、てっきりオーラバトラーで出撃していると思っていたんだが。
もしくは、ジャバはオーラバトラーの操縦がそこまで得意ではないとか?
ジャバは俺が最初に会った時……ハワイの近くでスプリガンと合流した時には、既にガラバに乗っていた。
それからずっとガラバに乗っており、オーラバトラーに乗っている姿は見たことがない。
そうなると、ガラバの操縦に特化した存在として操縦技術の方向性が定まっていても、おかしくはない。
そんな風に考えつつ、ジャバには特に声を掛けずにゴラオン隊に向かう。
まずここで倒すべきは、当然ながらゴラオン。
正確には、ゴラオンの持つオーラノバ砲だ。
あのオーラノバ砲は、下手をすれば1発で戦局が逆転しかねない程の威力を持つ。
事実、俺やマーベル達の攻撃でそれなりにダメージを受けていたとはいえ、それでもまだ全体的に見れば被害は小さかったウィル・ウィプスを、1発で沈めたのだ。
あのオーラノバ砲により、ヨルムンガンドが狙われれば最悪だ。
スプリガンはオーラクルーザーとしての特性を活かし、高い機動力を持つ。
オーラノバ砲を使う相手としては、一番厄介な存在だろう。
……その分、スプリガンの防御力は弱いので、命中すれば1発で撃破されるだろうが。
しかし、それは命中しなければ何の問題もないという事を意味している・
そしてグランガランは、ナの国のオーラバトルシップだ。
ラウの国と以前は友好的な存在ではあったし、直接的な恨みの類もない。
戦後の事を考えれば、パットフットも撃破したいとは思わないだろう。
そんな2隻と比べて、ヨルムンガンドは……まさに格好の的だった。
基本的に後方で運用する性能なので、攻撃力はそれなりにあるが、当然ながら攻撃に特化したかのようなオーラノバ砲を防ぐ方法はないし、反撃する方法もない。オーラバトルシップだけあって機動力も決して高くはなく……そしてラウの国やミの国、ギブン家にとって、ドレイクが死んだ今となっては俺は不倶戴天の敵だろう。
だからこそ、この状況でヨルムンガンドが狙われる可能性は十分以上にあった。
ゴラオンを撃破するのは無理でも、オーラノバ砲を発射不能にするくらいのダメージは与えておきたい。
不幸中の幸いと言うべきか、オーラノバ砲はあれだけの威力を持っているだけに、エネルギーのチャージ時間が必要で、連射は出来ない。
そう考え……俺は、ゴラオンに向かって突き進むのだった。
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1755
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1987
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.11
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1719