転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0289話

 夕日の差し込む教室で、俺、あやか、ネギ、神楽坂の4人が昨夜の魔法バレやエヴァとの戦いについて話し合っていると突然教室に響いた声。

 その声を聞いた瞬間、反射的に周囲を素早く見回すが俺達以外の人の影は無い。

 

「……もしかして、幽霊?」

「ア、アアアアアアアスナさん!? ゆ、幽霊なんてそんな非科学的なものが存在する筈が無いじゃないですか?!」

「委員長、相変わらず幽霊駄目なのね。魔法とかは平気なのになんでかしら」

 

 あやかが幽霊は苦手という意外な情報を入手しつつも、周囲を伺う。そもそも魔法という超常的存在があるんだから幽霊がいてもおかしくはないと思うんだが。

 俺の服の裾を掴んで周囲を見回すあやか、そんなあやかを暢気に眺める神楽坂、周囲の様子を確認している俺という状態だったが、ネギだけはどこか不思議そうな顔で周囲を見回していた。

 

「ネギ、どうした?」

「あ、いや。今の声どこかで……」

 

 そうネギが呟いた時、机と机の隙間から1匹の白いイタチのような生物が姿を現す。

 

「久しぶりだな、ネギの兄貴。仮契約に関する事ならこのアルベール・カモミールに任せてくれよ」

「え? イタチが喋った!?」

「幽霊じゃないんですのね」

 

 神楽坂とあやかの呆然とした声を聞きつつ、俺もそのイタチへと視線を向ける。

 スパロボOGsを知ってる俺にしてみれば、マサキのファミリアであるクロやシロという存在がいるのだから特に驚くような事は無い。と言うか、魔法のある世界なんだから言葉を喋る動物がいてもおかしくないだろう。

 

「あーーーーっ、カモ君!?」

「へへっ、俺っちは義理堅いんだ。前に助けて貰った恩を返しにきたぜ」

 

 そう告げるイタチ――アルベール・カモミール――だが……

 

「何で下着を咥えてるんだ?」

 

 俺のその質問で周囲の空気が固まった。

 そう、アルベール・カモミールは何故かブラジャーを咥えてこの場にいたのだ。いや、カラフルな彩色をされているのを見る限りでは水着なのかもしれないが。

 

「こ、これは……そう! 兄貴を捜している時にちょっと引っ掛かってしまってついそのまま……」

「へぇ、そうなんだ。大変だったね」

 

 アルベール・カモミールの言葉を素直に信じるネギだったが、当然の如く神楽坂やあやかは疑わしげな表情でその小動物へと視線を向けていた。

 

「で、ネギ。あんたこのエロ生物とどういう関係?」

 

 ジト目の神楽坂がネギへと尋ねる。その隣では、こちらも同じくジト目のあやかの姿があった。まぁ、下着か水着かは分からないが咥えているのを見ればそう思うのも無理は無いだろう。

 そんな2人の様子に気圧されながらも、ネギはどこか懐かしそうに口を開く。

 

「カモ君と初めて会ったのは今から5年くらい前です」

「そうそう。懐かしいなぁ。……あの時、山の中で罠に掛かってた俺っちをネギの兄貴が助けてくれたんだよな。傷も治癒魔法で治してくれて」

「あはは。あの後、猟師さんに怒られたんだけどね」

「へぇ。イタチをねぇ……」

 

 思わずその後に物好きな、と付け加えそうになったがさすがにそれは酷だと思いやめておく。

 

「おっと、兄さん。俺っちはイタチなんて下等な動物じゃあ、ありやせんぜ。ケットシーに並ぶ由緒正しいオコジョ妖精のアルベール・カモミールでさぁ。カモと呼んで下さい」

 

 二足歩行で立ち上がり、胸を張るカモ。

 

「ふむ、で、カモ。ネギと神楽坂が言ってたパートナーってのは何だ?」

「ありゃ? そんなに馬鹿でかい魔力を持ってるのに魔法使いの従者について知らないんですか?」

「……アクセル。あんた良くこの状況に対応出来るわね」

 

 平然とカモと会話を続ける俺を見て、頭を抱える神楽坂。

 そもそも今までアインストやら異星人やらとやり合ってきたのだ。この世界でも真祖の吸血鬼なんて存在と友誼を結んでいる。今更オコジョ妖精の一匹や二匹現れたとしても驚くに値しない。

 

「まぁ、色々と慣れってのがあるんだよ。で、カモ。魔法使いの従者ってのは?」

「へい。魔法使いの従者。正式名称はミニステル・マギと言いやす。元々は大きな魔法を使う際に無防備になる魔法使いを守る為の存在だったんですが……」

 

 そこまで言うと、チラリとあやかと神楽坂へ視線を向けるカモ。

 

「魔法使いとその従者がくっつく事が多かった為、現在では恋人探しの口実となってるんでさぁ」

 

 恋人探しの口実ねぇ。……もっとも、ネギが欲していたのは恋人じゃなくてエヴァと茶々丸のように戦闘時のパートナーという古い意味での魔法使いの従者だったんだろうが。

 

「……それは、本当ですの?」

 

 唐突に口を開いたのはあやかだった。その頬は赤く染まっており、興奮しているのが一目で分かる。

 

「え、ええ。もちろんでさぁ」

「なら私が魔法使いの従者になったら!?」

「へへっ、もちろんそうなる可能性はあります」

 

 その言葉を聞いたあやかは、ぐぐっとばかりにカモへと迫る。

 

「是非私を魔法使いの従者にして下さいまし!」

「お安いご用でさぁ。マスターはネギの兄貴でよろしいんで?」

 

 カモの言葉に動きを固めるあやか。数秒、俺とネギを見比べて……

 

「いえ、アクセル君でお願いしますわ」

「ちょっと待て。俺は別に魔法使いの従者なんて……」

「アクセルの兄貴と言いやしたよね。今回結ぶのは仮契約であって、本契約じゃないので大丈夫っすよ」

「いや、だから……」

「私としては本契約でもいいのですけど?」

「おい、俺の話を」

「申し訳ないですが、本契約を結ぶには色々と準備が必要で仮契約のようにパパッとは出来ないんですよ」

「ちょっと待」

「そうですの、しょうがないですわね。なら仮契約で我慢しますわ」

「へへっ、なら早速……契約!」

 

 カモのその言葉と共に、俺とあやかを中心にした教室の床に魔法陣が展開されて光を放つ。

 

「この魔法陣の中でぶっちゅー! とやれば契約成立でさぁっ!」

「え? それってキスしないと契約結べないって事!?」

 

 カモの言葉に驚きの声を上げる神楽坂だが、今の俺はそれ所では無かった。

 床の魔法陣が光を放った途端、俺の魔力――SP――に共鳴のようなものを引き起こし始めたのだ。幸い暴走のような事にはなっていないが、あやかに対する好意の感情が極端に自分の中で大きくなっているのを感じ取る。これは、カモの魔法陣の影響か!?

 そんな風に思うも、既に身体は俺の意志とは半ば無関係にあやかの方へと歩みを進めて行く。

 

「アクセル君……」

 

 あやかもまた俺と同様の事態となっているのか、潤んだ目で切なさそうに俺へと視線を向けて屈んでくる。

 

「あやか……」

 

 中腰になったあやかの滑らかな頬へと手を伸ばして撫でると、じっと目を瞑るあやか。そして俺とあやかの唇が重なり……そのまま俺の舌があやかの口の中へと入り込んでいく。

 

「んっ……ん……んんーっ!」

「うわ、ちょっ、ちょちょちょ……」

 

 神楽坂の声が聞こえて来るが、今の俺はあやかとのキスで特に気にしている暇は無い。

 

「仮契約成立!」

 

 カモのその声と同時に、魔法陣の光が一際強く光り……そのまま消え去っていく。

 

「……」

 

 無言でカモの方へと視線を向けると、そこにはカードらしき物を持って興奮しているカモの姿が。

 半ば夢心地なあやかをその場に残し、無言でカモの方へと近づき……

 

「アクセル君、待っ」

 

 ネギの声を無視して、その白いオコジョを鷲掴む。

 

「ギャッ! ア、アクセルの兄貴、一体何を……」

「俺が仮契約を結んでもいいと納得したか?」

「そ、それは……」

「納得し・た・か?」

 

 ギリギリとカモを握っている手に力を入れていく。

 アクセルの潜在能力と転生特典による成長チートにより、俺の身体能力は既に人外の域にある。ガンダムSEEDの世界でMS用コンテナを毟り取ったのを考えればそれがどれ程の物か理解出来るだろう。

 

「ぎゃあああああ、中身、中身が出るっ! ギブ、ギブ!」

「アクセル君、カモ君を離して!」

「アクセル、ちょっとやりすぎよ!」

 

 ネギと神楽坂がそう言ってくるが、俺はそれを無視してカモを握りしめている手へと力を……

 

「アクセル君、その、私とキスをしたのがそんなに嫌でしたか?」

 

 力を込める寸前に悲しそうなあやかの声を聞き、手から力を抜く。

 その瞬間をまるで見計らっていたかのように俺の手から逃げ出してネギの背へと隠れるカモ。その様子を横目で見てからあやかへと視線を向ける。

 どこか悲しそうな表情をしながら俺へと視線を注ぐあやか。その様子に思わず溜息を吐いて口を開く。

 

「俺自身はそんなに嫌という訳じゃない。だが、それこそあやかは良かったのか? 魔法使いの従者とやらになって。これでますます魔法の世界に足を踏み入れた事になるんだぞ」

 

 そんな俺の質問に、決意を込めた表情で頷くあやか。

 

「ええ。もちろんですわ。私は私自身の意志でアクセル君と共に魔法の世界に足を踏み入れると決めたんですもの」

 

 決意は固い……か。全く、わざわざ少なからず危険のある魔法の世界に足を踏み入れるなんて物好きな。

 そう言いつつも、俺自身も未知の力の探求という意味で魔法にのめり込んでいっているのは間違い無いのだからあやかに言えた義理ではないだろう。

 

「……分かった。これからどうなるかは分からないが、よろしく頼む」

「はい。マイ・マスター」

 

 差し出した俺の手を握り、微笑を口元に浮かべ……次の瞬間には盛大に鼻血を吹き出して床へと倒れ込む。

 

「ちょっ、委員長!? しっかりしなさいってば。あんた、その血の量は真面目に生死に関わるわよ!?」

「うわあああああ、委員長さん、しっかりしてくださーいっ!」

「お花が……あちらの川向こうに綺麗なお花が……」

「待って待って。委員長、それは三途の川よ! そっちに行っちゃ駄目ーーーっ!」

「えっと、治癒魔法、治癒魔法」

 

 結局最後の最後にオチを付けるあやかだった。




名前:アクセル・アルマー
LV:38
PP:625
格闘:262
射撃:282
技量:272
防御:272
回避:302
命中:322
SP:462
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    ???
    ???

撃墜数:376

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